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背骨に伝わる動きが同じなら

操体もくもく・操体の自然則 (6) 背骨に伝わる動きが同じなら

1.はじめに

 前回は、キッカケが、手首足首などの末端のときと、体重移動など
体の中心に近い部分のときのちがいを、見た目の分かりやすさ、操体
のまとまりやすさなどから、見ていきました。

 今回は、背骨に伝わる動きが同じなら、似たような効果がある
能性が高いということを書いていきます。

2.背骨に伝わる動きが同じなら、効果も似ている

例.右肘を後ろに引けないとき

 たとえば、右肘を肘鉄砲をくらわすような感じで後ろに引けないと
いう人に対して、左で同じ動きをしてみたり、右で反対の動きをして
みたりという感じの操体について考察してみます。

左肘を後ろに引くことをキッカケに

 このとき、効果を出す可能性を高めようと思えば、かるく動かせる
範囲で左肘を後ろに引いてもらい、動きが止まったら、左手小指が手
のひら側に回る方向の左手首捻転の動きを付け加えたり、左足に体重
を移すことを付け加えるとよいでしょう。

 おなかに息が深くはいるか、気持ち良い感じがでてくるか確認でき
たら、その操体を続けます。

 体重を戻したくなるか、肘を戻したくなるか、息が普通になるかし
たら、終えます。

 左肘を戻してから、後ろに引きにくかった右肘を後ろに引いてみる
と引けるようになっていると思います。

右肘を前に出すのをキッカケにする

 この症状に対しては、もちろん、単純に右肘を後ろに引きにくいと
ころから前に戻してくるという操法でもよいです。

 そのときには、肘が脇腹に来たあたりから、右手小指が手甲側に回
る方向の右手首捻転を付け加えたり、左足に体重を移したりすると、
効果がでやすくなります。

二つのキッカケで、背骨に伝わる動きは同じ

 ところで、この二つの症状改善のための動きが、背骨にはどう伝わっ
ているか調べてみましょう。

 左肘を後ろに引くことをキッカケにするほうは、左肩に伝わると左
肩を後ろにまわす動きになり、その動きが左肩甲骨左鎖骨をとおして
背骨に伝わると、天から見て背骨を反時計回りに回転する動きになり
ます。

 右手を前に出していくことをキッカケにするほうは、右肩を前にま
わす動きになり、その動きが右肩甲骨右鎖骨をとおして背骨に伝わる
と、天から見て背骨を反時計回りに回転する動きになります。

 つまり、どちらも同じ側の肩胛骨鎖骨をって背骨に伝わり、肩甲間
部の背骨を、天から見て反時計回りに回転するという、まるで同じ動
きになっているのがわかると思います。

健側をキッカケにするほうが効果が出やすい

 今までの経験上、この二つの動きをくらべてみると、患側で逆の動
きをするよりも、反対側の健側の肘で同じ動きをするほうが、効果が
出やすかったです。

 これは、たぶん、反対側の健側で同じ動きをするほうが、全身に連
動しやすいし、痛い直前の姿勢から始めていないので、気持ち良さが
味わいやすいためだと思われます。

 まぁ、痛くない側のほうが動かしやすいし、その動きのほうが背骨
に伝わりやすいし、気持よさも味わいやすいということです。

3.やりやすい側で同じ動作をしてみる操体

 この「やりやすいほうで同じ動作をしてみる」という方法は、肩ま
わりで左右差のある動きに対してためしてみると、たいてい効果が出
て、おもしろいです。

 というよりも、紹介し伝えた相手のほうがおもしろがって、操体に
興味を持ってくれることが多くなります。

 片手だけ背中に回しにくかったり、頭の後ろに回しにくかったりで、
帯がむすべなかったり、髪がゆえなかったりというときには、ためし
てみる価値があると思います。

 ただ、左右差がないときには、効果があまり出ません。

背骨に伝わる動きによっては効果がない

 また、背骨に左右捻転や左右側屈の動きを起こさせないときには、
手や腕の動作が反対ではなくなります。

 つまり、体を反らすときには、手をたらした状態で、小指側が手の
ひら側に動く方向の手首捻転運動をキッカケにできますが、このとき
は、左右どちらの手でも同じ向きの手首捻転運動になりますから、片
方の手ができない動作を反対側の手でしても効果がでません。

 もちろん、この場合でも、たらした手を片側ずつ捻転して左右差が
あるときには、背骨の左右捻転の左右差に関係してきますので、やり
やすいほうを余分に捻転すると、やりにくかったほうが改善します。

左右差がある動きには、効果が出る

 一見、背骨に捻転や側屈を与えない動作でも、左右差があるときに
は、ためしてみる価値があります。

 たとえば、立位や座位で手を真上にあげる動作は、一見、背骨に捻
転や側屈の動きはないようですが、あげやすいほうの腕をすこし余分
にあげ、あげた手の小指側が甲側に回転するような手首捻転を付け加
え、体重を移しやすいほうに(たぶん挙げた手と同じ側に)移動させ
ると、イイ感じがふかくなりやすいです。

 その操体を気持よくしてから、戻してみると、あげにくかったほう
の手があがりやすくなっています。

 たぶん、左右差があるときには、背骨に捻転や側屈をおこさせるよ
うな動きが伝わるからだと思います。

 このときには、あげた手の小指を甲の側に回転する動きが背骨に伝
わって、背骨の捻転運動になっています。

足でやりやすいほうをキッカケにする

 これは、足にもあてはまります。

 手足の動きに左右差があったら、その動きをやりやすい側の動きを
すこし強調することをキッカケにするほうが、やりにくい側で逆向き
の動作をすることをキッカケにするよりも、効果が出る確率が高くな
ります。

 そして、手首足首の捻転などやりやすいほうに末端を動かすこと
と、移しやすいほうに体重を移動することを付け加えると、気持ち
良さが味わえる可能性がふえます。

 やった事がなかったら、野次馬してみてください。

4.うつ伏せ足伸ばしと尻たたきの仙骨への影響

 前回、うつ伏せで尻にカカトがつきにくいときに、その足を伸ばす
定番操体と、反対側のつきやすいほうのカカトを尻に近づけていく操
体は、同じように、尻につきにくいほうのカカトをつきやすくする効
果があることを書きました。

 これも、上に書いた自然則をそのままあてはめただけだということ
がおわかりになると思います。

 この二つの動きが仙骨にどう伝わるかと見ていきましょう。仙骨は、
この動きで足の動きがはじめに伝わる背骨です。

 ここでは、話をわかりやすくするために、右足カカトが尻につきに
くかったことにします。

 まず、定番の操体では、つきにくいほうの右足を尻に痛くない範囲
で近づけた状態から、すこしづつ伸ばしていきます。

 多くの場合、膝が空中に浮いている状態で伸ばしたほうが気持ちよ
いので、片手で膝をささえ、もう一方の手で伸びてくる右足首に抵抗
をかけるという形になります。

 この二つの手の使い方、補助と抵抗をする手のバランスなどがむず
かしくて定番の操体ではむずしいほうになるようです。

 さて、この操法で、タワメの間の形は、立ち姿勢でボールを前蹴り
するための準備で足を後ろに伸ばして振り上げた姿勢から、足を前に
蹴ろうとする方向に力を加えている状態に似ています。

 または、歩いているときの後ろ足を、つぎの一歩のために前に出そ
うとする状態をうつ伏せにした形になっているとも言えます。

 このとき、仙骨には、仙骨をすこし反らした状態から、右側の反り
を左側よりゆるめる方向に動かそうとしながら、右前、つまり、右の
おなか側に捻転させる動きが加わります。

 同じ効果をあげると紹介した、つきやすい左足を尻につけていく動
きでは、多くの場合、途中から曲げた左足が右足のほうに倒れていき、
しかも、左膝を持ち上げると気持ち良さが深くなるということは、前
回も紹介しました。

 この場合に、仙骨に伝わる動きは、やはり仙骨を反らしながら、し
かも、左側をより反らせながら、つまり、右側の反りは、比較すれば
弱めながら、右前のほうに仙骨を捻転させる動きになっているように
思いますが、いかがでしょう。

5.背骨に伝わる動きで決まるのは、直立2足歩行するから

 どうして、背骨に伝わる動きが同じ操体は、似たような効果を上げ
るのでしょう。

 私は、ヒトは直立2足歩行するサルだからかなと思っています。

 直立2足歩行がヒトのもっとも基本的な動きで、その動きは背骨を
中心になされているためかな、魚が背骨を横に振って泳ぐように・・
などと考えています。

 この見方、つまり、背骨に伝わる動きが同じ操体は似た効果がある
という見方を思いついてから日が浅いので、まだ、いろいろな操体を
すると動きは背骨にどう伝わるかについて、すべて調べてみたわけで
はありません。

 ですから、例外が見つかるかも知れません。みなさんがお得意の操
体で調べてみて、ちがう例が出てきたら知らせてください。

6.おわりに

 次回は、そういう見方で操体を見ていったときに、している操体が
背骨のどのあたりにもっとも影響を与えているかを考えていきます。

 そして、それから発展させて、一つの操体のタワメの間で、ある特
定の姿勢になったときに、その姿勢は、体のどのあたりに効果を上げ
ようとしているかを判断する方法について書いていきます。


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