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操体は重さと末端で決まる

操体もくもく・操体の自然則 (4) 操体は重さと末端で決まる

1.はじめに

 前回までの3回で、実際の臨床の場でされている操体操法の時代に
よる変遷と、その理由ではないかと思われることを書いてみました。

 今回は、タマメの間で気持ちよさを引き出すためにというか、操体
うまく決まったなという感じになるために、私が一人操体のとき
に自分でためしてみたり、二人操体のときに受け手にためしてもらっ
たりしている二つの方法を紹介します。

2.原始感覚のうち、何に注目するか

 みなさんは、原始感覚にといかけながら、より深い気持ちよさが味
わえる格好をさがしていくときにどんなことに注意していますか?

 タワメの間で、イマイチ気持ちよさが足らないなと思ったときに、
まず何をしてみますか?

 私は、以下の二つのことをやってみます。
  1. 体重の移し方をすこし変えてみる
  2. 手首・足首・首から先の末端の動きをすこし変えてみる

 足の甲を反らすことをきっかけにする操体など、手足の末端がきっ
かけのときには、体重の移し方を変えると気持ちよさが深まりやすい
ようです。

 中腰尻ふりなど体重を移すことをきっかけにする操法の場合には、
手首・足首・首などの動き、とくに、手首はねじり方、足首は反らし
方(爪先あげ)を変えると、気持ちよさが深まりやすいように感じて
います。

3.末端がキッカケのときは、体重移動をくわえる

 末端の動かすことがキッカケの操体のときは、体重移動をくわえる
と、気持よさが深くなりやすいです。

爪先あげのときは、体重を肩のほうに移すと気持ちよい

 たとえば、あお向けで足甲を反らせる定番の操体、つまり、爪先あ
げのときは、かるく動くくらい足首を反らしたあとで、体重を右尻、
左尻、右肩胛骨、左肩胛骨というふうに移してみるわけです。

 この操体では、肩胛骨のほうに体重を移したほうが気持ちよさがふ
えることがおおいと思いますが、右か左かは歪み方によってちがいま
す。

 また、右肩に体重を移すと気持ちよいときには、自然に首が右をむ
いてくることがおおいです。そして、それよりも確率は低くなります
が、右膝も右にすこし倒れ気味になるようです。

 もっとも、首のシコり具合によっては、膝は右に倒れるけれど、首
は左にむいたほうが気持ちよいときもあるようです。

爪先あげ+体重移しは、気持ち良さが深まりやすい

 この爪先あげ操体のとき、全身に連動させることを考えると、足首
から遠い手首や首の動きで全身連動をさせることもできます。

 たとえば、足首を反らせると同時に手首や首も反らせるという方法
です。

 でも、すくなくとも私は、足首を反らせながら、手首や首の動きも
調節するよりも、体重を移すほうがやりやすいというか、頭を使わな
くてすむせいか、気持ちよさが深まりやすいように感じています。

 また、体重を移すことを付け加えるほうが、足首の反らし具合が少
なくても、また、腰などもあまり大きく動かさなくても、気持ちよさ
が深まりやすいようです。

 そのため、そのぶん、一人操体でも長いあいだタワメの間の気持ち
よさを味わえるように感じています。

 とくに、足首の反らし具合は少ないほうが、タワメの間を長いこと
味わえるようです。

二人操体で、爪先あげに体重移しを加える

 二人操体で爪先揚に体重移動をくわえるには、受け手が言葉が通じ
るときには、「体重を少し肩のほうに移してみたらどうですか」と声
をかけます。

 また、「腕を交互に頭のほうに伸ばすというか、挙げてみて、気持
ち良さに差がありますか?あったら、イイ感じのするほうの手をげた
ままにしておいてみてください。」とつたえても、あげたほうの肩に
体重を移していることになります。

 言葉の通じないときや、うまくできないときには、操者の手のひら
を受け手の左右どちらか良さそうなほうの肩にあてて、操者の体重を
すこしかけてから、気持ちよさの変化を聞いたり、息の深くなり具合
を観察したりして、うまくいきそうなときは続けます。

 うまくいかないときには、反対側の肩にすこし重さをかけてみて、
気持ち良さが深くなるか聞いたり、おなかに息がはいるか観察したり
して、良さようなら続けます。

 また、皮膚の操体ふうに、肩にちかい胸の皮膚を肩のほうにすこし
ズラしても同じような効果が出ます。

 どちらにしても、受け手の足の甲の動きに対して、操者の手のひら
を足甲にあてて抵抗するよりも、長いあいだタワメの間の気持ちよさ
を味わえるように思います。

4.重さの操体では、末端の動きをくわえる

 重さの操体、つまり、きっかけが体重移動のときには、末端の動き
をくわえると、気持よさが深くなりやすいです。

 重さの操体で、一般的なのは、中腰尻ふりとトイレット操法です。

中腰尻ふりに末端の動きを付け足す

 中腰尻ふり運動は、頭の高さの壁などに手をつけて、膝をすこし曲
げて肩幅ぐらいの足幅で立ち、おしりを左右前後にふってみることを
きっかけにして、気持ちよさが深くなる格好をさがしていきますね。

 このときにある程度おしりをふる方向がきまったら、言葉をかえて
言えば、体重を移動する方向がきまったら、壁につけている手の手首
を左右どちらかにねじってみます。

 手は二つあるので、組み合わせは、4種類になります。そのなかで
いちばんいいほうにすこしねじったままにしていると、気持ちよさが
深くなりやすいような気がしています。

 反らしたり曲げたりもくわえてもよいと思いますが、いままでの経
験から、ねじり具合が気持ちよさの深まり具合にいちばん関係してい
るように感じています。

 途中で曲げや反らしを組み合わせるにしても、きっかけは、ねじり
がいいようです。

 それに合わせて、首の捻り具合や曲げ具合も変えてみると、もうす
こし気持ちよさが深くなると思います。

 やってみて確かめてください。

 また、足首をねじったり、爪先をあげたりするのを付け加えても、
気持ち良さが変化します。

 手首ほどねじりと反らしの差はなく、反らすだけでイイ感じが深ま
ることがけっこうあります。

 足首は、親指側を反らすか、小指側を反らすかで、ねじりがからん
でくるようです。

トイレット操法に末端の動きをくわえる

 トイレット操法は、膝をすこし曲げて肩幅ぐらいで立って、両膝の
上に両手をついてから、体重を左右前後あちこちに移動することをきっ
かけに気持ちよさが深くなる格好をさがしてゆきますね。

 トイレット操法では、手首は自由に動かせないので、ある程度体重
を移す方向がきまったら、比較的自由に動かせる首のねじり具合や曲
げ具合をすこしづつ変えて、いちばん気持ちよさが深まりやすい格好
をさがしてみてください。

 また、体重の移し具合によっては、すこし足首を反らすこともでき、
それでイイ感じが深まることもあります。試してみてください。

 このときに、親指側を反らすか、小指側を反らすかで感じがちがっ
てくるのも中腰尻ふりのときといっしょです。

5.タワメの間は、末端と体重移動で決まる

 いろいろな操体をいろいろな姿勢でためしてきて、操体のタワメの
間で気持ちよさが深まっていくポイントは、この二つなんじゃないか
なと思っています。
  1. 体重をどの方向に移すか
  2. 末端の手首・足首・首の動かし方というか固定の仕方

 末端は、4種8方向に動けるわけですが、その動きの方向の組み合
わせをどういう配分でどの方向に固定するかということになります。

 固定するといっても、ずっと動かさないワケではなく、一つのタワ
メの間のあいだには動きがあまりないという意味です。

 そして、手首はねじることが、足首は反らすことが、4種8方向の
中心になっているような感じを受けます。

 この体重と末端の二つの組み合わせで気持ちよさの深まり具合がき
まってくるのは、まぁ体重は体の中心の動きにかかわってきますから、
中心と末端を決めていけば、全身に連動した格好が決まりやすい
ということだと思います。

 考えてみれば当たり前かなとも思うのですが、もし、まだ、ためし
てられなかったら、ヤジウマしてみてください。

6.おわりに

 今回は、気持ちよさを深める工夫として、体重移動と末端の動きを
取り上げました。

 このように、私は、操体操法は、重さと末端で決まりやすいと考え
ているので、操体を伝えるときには、まずはじめに、重さを移すこと、
末端の動きを全身に伝えることの二つを体感し納得し理解してもらう
ようにしています。

 次回は、今回書いた、末端の動きと体重移動の二つのきっかけをく
らべてみて、その違いについて書いていきたいと思います。


   >>>つぎへ>>>末端の動きと体重移動での違いは



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最終更新:2010年08月21日 16:34