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新旧操体の向き不向き

操体もくもく・操体の自然則 (3) 新旧操体の向き不向き

1.はじめに

 さて、前の2回で、ギュッパッストンから皮膚の操体まで、タワ
メの間が同じ形になる操体のバリエーションを紹介してみました。

 それらは、ほぼ同じ効果があるのですが、ちがいがあります。今回
は、ちがいのほうに目をむけて、くらべてみたいと思います。

 「バリエーションで、何がちがうか」が今回のテーマです。

2.各タイプの特徴

 はじめにギュッパッストンタイプの特徴を書き出してみます。

 いちばんの特徴は、受け手が自力で動かす部分そのものに対して、
操者が抵抗を加えていることです。それに続くのが、タワメの間が短
いこと、瞬間脱力が大きめなことです。

 そういう特徴から出てくることをあげてみます。

 おもに自力運動と抵抗が近いため、全身に連動しにくくなります。
また、おもにタワメの間が短いため、気持ちよさを充分な時間味わえ
なかったりします。

 それで、他のタイプとくらべて試してもらうと、このタイプをえら
ぶ人は、少なくなっていきました。

ギュッパッストンは、運動筋のその日の疲れにむく

 このタイプが、いまでは役に立たないというわけではありません。

 たとえば、普段運動をしていない人が、スポーツの大会に出たり、
ハイキングで長いこと歩ったりしたあとに、このタイプをためすと、
きっと、さわやかに疲れがぬけていくことを体験できると思います。
爽快な後味もたのしめるでしょう。

 また、ある特定のところに焦点をあてて、そこに効かせたいという
ときにも、うまくできれば効果が出せます。特定の、とくに表層にあ
る、大きな動きを生み出す筋肉を1日中繰り返して使った後などです。

 このタイプを知ってから20数年ためしてきて、私は、その日の運動
による疲れをとるのには、このギュッパッストンは、効くなと思っ
ています。

ギュッパッストンは、姿勢維持筋には効きにくい

 ギュッパッストンは、その日の表層の運動筋の疲れに効くのに
対して、同じ姿勢を維持したり、あるいは、考えたり思ったりという
活動の疲れをとったりするのにはむかないし、何ヶ月もかかって蓄積
された歪みをとっていくのにもむいていないように感じています。

 比較的深層にある姿勢を維持する筋肉を縮めたままにする姿勢をと
り続けた場合などが、その典型例になります。

 姿勢維持筋は、スポーツのときに表層の運動筋を大きく伸び縮みさ
せるのにくらべると、長いあいだ縮ませることだけを続ける場合がお
おおいです。

 この長いあいだ縮ませた状態を続けることが、ギュッパッストン
型でゆるみにくい原因となっているのかなと考えています。

 ジワーと作られたシコりは、ゆるめるのにも長い時間を必要とする
のかなという感じです。

ふわーぽわわんふっくにゃぁは姿勢維持筋に効く

 そういう同じ姿勢を維持しながら、パソコンで書類を作ったり、
チェックしたりというような仕事に代表されることが原因で、歪みが
作られたときには、ふわーぽわわんふっくにゃぁタイプのほうを気
持ちよく感じる人がおおいという経験を積み重ねてきました。

ギュッパッストンは戻りやすい?

 姿勢維持筋を長いあいだ縮めてできたシコりをギュッパッストン
で取れたとしても、数時間後には元に戻っていたという経験も何度も
しました。

 とくに、全身への連動がうまくできなかったときに、戻りやすいよ
うです。

 全身の歪みが調整されないと、体のほかの部分のシコりは元のまま
ですから、なくなったところにもシコりがあるほうが自然なためとい
うか、ないと全身のバランスが取れないためだと思います。

 そのため、ギュパッストンで全身調整するために、体のおもな関
節の一つ一つを4種8方向に動かし検査し調整するということをして
いる先生もおられるようですが、すごく時間がかかるみたいです。

 「そのときは効果があったんだけど、すぐもどるね、効果が続かな
いね」というようなことを、よく言われました。

 「そのときには、また、ギュッパッストンしてください」と伝える
のは簡単ですが、受け手にそれを納得してもらって、ギュパッストン
を習慣にしてもらうのは、むずしかったです。

 こういうシコりにギュッパッストンしても気持ちよさがあまりない
ことにもよると思います。

ふわーぽわわんふっくにゃぁタイプは戻りにくい

 ところが、同じシコりをふわーぽわわんふっくにゃぁタイプで消す
ことができると、短くても3日、たいてい1週間くらいはもつことが
おおいです。

 2週間、1ヶ月以上シコりが出てこなかったという人もいて、感謝
されたこともあります。

 また、やること自体が気持ちよく感じられるせいか、「毎日してる
よ、クセになるね」という話を聞くこともおおかったです。

3.昔と今の仕事の差でバリエーションができた

 橋本敬三先生が「力学的医学の構想」をまとめられたのは、1937
年ごろですし、臨床の、というか、健康回復の技術としてまとめよう
と臨床の場で盛んに試してられたのは、1960年代の仙台です。

 そのころといまの体の動かし方、とくに、仕事のときの体の動かし
方のちがいが、タイプの差を生み出した理由のように思います。

 現在、宅急便の運転手さんなどでも、物を運ぶ疲れよりも、書類の
チェックや時間に合わせるための行動、お客さんとの応対などによる
疲労のほうが大きいのではないでしょうか?

 1985年ころから、仕事の場のいろいろなところで、パソコンやコ
ンピュータ端末を使うようになりました。

 携帯電話が普及してからは、普段の私生活の場でも使われるように
なりました。携帯電話は電話の形をしていますが、中身は通信機能つ
きのコンピュータそのものです。

 そういう昔とは様変わりした環境のなかで、ギュッパッストン
タイプは、だんだん選ばれなくなってきたように思います。

 とくに、その日の運動による疲れをとるために操体を受ける人がす
くない臨床の場では。

4.タイプによる違いをまとめてみると

 そういうことを振り返ってみて、いま、私は、各タイプのちがいを
以下のように整理して、納得しています。

 ギュッパッストンタイプ:
その日の疲れ、とくに、表層にある大きな動きに関わる筋肉の伸縮を
繰り返すことでシコりができたとき、たとえば、ふだん運動していな
い人がスポーツやハイキングをしたときなどに有効。

 ふわーぽわわんふっくにゃぁタイプ:
何ヶ月かにわたって蓄積された疲れ、とくに、深層にある姿勢維持に
かかわる筋肉を縮めるような姿勢を長いあいだ続けたことでシコりが
できたとき、また、心や頭を使った仕事によって疲れたときなどに有
効。

 心や頭を使った仕事は、長いあいだ同じ姿勢をとり続けることがお
おいからふわーぽわわんふっくにゃがむくのだと思います。

 また、皮膚の操体は、ふわータイプに近く、同じように使えるなと
感じています。

 そして、操体を伝えるときには、受け手に実際に両方を味わっても
らいながら、そういう説明をして納得してもらっています。

5.おわりに

 このあたりは、議論になるところだと思います。

 みなさんは、どう思われますか?疑問のある人はぶつけてください。

 対話という形で疑問点をやりとりするなかから、操体についての新
しい発見ができたらと思っています。

 いまの日本の臨床の場で操体を使いこなしていくためには、避けて
通れない問題だと思いますし。

 よろしくお願いします。


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最終更新:2010年08月21日 16:33