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動きから皮膚や重さへ

操体もくもく・操体の自然則 (2) 動きから皮膚や重さへ

1.はじめに

 前回は、動きの操体の新旧比較をしてみました。

 今回は、そこから皮膚や重さの操体までのバリエーションを紹介し
ます。

2.動きから皮膚へのバリエーション

タイプ6.自力と抵抗を逆に

 受け手に膝をたおしてもらい、伝え手が手首をねじって抵抗する形
は、受け手の負担が大きいことに気が付きました。

 足が重いので、気持ちよさが十分味わえるまで続けられないと言わ
れました。膝を適度な角度にたもつ姿勢を維持するには、それだけで
大きな力が必要なためです。

 それで、膝をたおすほうを伝え手がして、受け手には手首をねじる
ほうをしてもらったら、みなさん、絶対こっちのほうが気持ちよいと
言いました。

 これでも、タワメの間(マ)での体全体の格好はおなじになるので
効果にかわりはありません。

 ただ、操者のほうも重い足を動かし、長い時間一定の位置に保持す
るのは大変でした。気持ち良さが感じられるほどタワメの間が長くな
る傾向にあるためだと思われます。

タイプ7.大腿を床にたおしてから

 それで、まず膝をラクなほうにたおしてもらい、そのときに胴体と
足の角度が開きすぎて無理な格好にならないように、上半身を浮かす
ように動かしてもらいました。

 つまり、タワメの間のときの胴体と足のねじれる角度が、あお向け
で膝たおししているときと、同じになるようにしたわけです。

 いちばん気持ちの良い膝をたおす角度はそのままで、床に背中がつ
いたあお向けの姿勢から、たおれていくほうの大腿の横側が床に着く
格好になってもらったわけです。

 その姿勢で、膝が浮き上がって来ないように伝え手が押さえ、受け
手に手首をねじってもらいました。

 受け手は、たおれていくほうと反対側に腕を伸ばしているだけでも
けっこう効果があることもわかりました。

 受け手も伝え手もともにラクで、長いあいだ気持ち良さの味わえる
バリエーションができました。

 たおした足の大腿部に、座布団を1,2枚のせれば、一人操体としても
たのしめます。

タイプ7−2.座布団を積んで

 背中が床に着いているほうが安心できるという人に対しては、座布
団1,2枚か毛布を畳んだものなどを、膝がたおれていく側に、気持ち良
い角度の分だけ積んでしまうと、やりやすいこともわかりました。

 でも、くらべると、横向き寝にちかい格好、つまり、背中上部を浮
かせてしまうほうが気持ちよいという人がおおかったです。

タイプ8.押すかわりに皮膚をズラす

 大腿を押すバリエーションをしているうちに、大腿を浮かないよう
に床に押しつけるよりも、腰と大腿のさかいめあたりの皮膚を、膝の
ほうにズラしたほうが気持ちよいという受け手がおおいことに気が付
きました。

 これでも、受け手が作る腕の動きに対して、逆モーメントの抵抗に
なっているし、タワメの間の格好もかわりません。

 そして、私は、このときに、皮膚の操体が生まれた理由(わけ)を
納得できました。

 動きやすい方向に動かすことと、皮膚をズレやすい方向にズラすこ
とをくらべてみると、どちらをしても、タワメの間の姿勢を中心に考
えれば、同じモーメントの動きが受け手の体に生まれてくることに気
が付いたわけです。

タイプ9.抵抗も皮膚ズラしで

 受け手が動かしている腕のほうも、皮膚をズラすのに変えたらどう
かなと思い、空いているもう一方の手で、肩ちかくの皮膚を、大腿の
皮膚と逆モーメントになる方向に、ズラしてみました。

 受け手の口から「これは気持ちよい」という声が返ってきました。

タイプ10.重さの操体として見ると

 このやり方をしばらく続けているうちに、このやり方は、下半身の
重さを腹側に移し、上半身の重さを背中側に移していることにもなる
なと思い、中腰尻振り運動などが操体にあるのも納得できました。

 さきほど書いた、受け手が腕を膝がたおれていくほうと反対側に、
腕を伸ばしていくだけでも効果が出るのも、腕の重さを利用して、膝
がたおれていくことに抵抗しているのだなと思いました。

3.どの操体にも、動き、皮膚、重さのバリエーションがある

 そうして、どの操体操法も、(1)関節筋肉を動かす形、(2)皮膚をズ
ラす形、(3)重さを移す形の3つに変化させることができるようになり
ました。

 そのときそのときで、受け手が気持ちの良いもの、イメージしやす
いものを選んでいけばよいのだなと納得しました。

歪みのひどい人は、まず横向き寝で

 いろいろな人に操体をしているうちに、歪みがひどくなるほど、症
状がつらくなるほど、横向き寝で寝るのがラクな人がおおくなるのに
気が付きました。

 それで、私は、いま、横向き寝がラクな人に対しては、その格好の
ままで、腰ちかくと肩ちかくの皮膚をズラしやすい方向にズラしてみ
ることをはじめにするようになりました。

 その部分をしばらくズラしてみて息が深くなるかどうか見守ります。
言葉が通じる人に対しては、息が深くなった時点で気持ちよさを聞き
ます。

 もちろん、ズレ具合によっては、あお向け膝たおしとちがう操体の
バリエーションになってしまうこともありますが、長くなるので、あ
とで、姿勢ごとの操体の具体的なやり方を書くときに説明します。

4.バランス、止め時、釣り合う2つの力

 いろいろな操体を皮膚や重さの視点で見ていくと、おもしろいこと
に気が付きました。

皮膚ズラしとシーソーバランス

 皮膚をズラしながら、受け手の上半身と下半身の重さの移り具合を
両手に感じて、シーソーや天秤(てんびん)のバランスをとるように、
そのときそのときの受け手の体の状況にあわせて、ズラし具合や向き
をリアルタイム(即時即応)で調節するようになりました。

 重さの操体という見方を思いついたので、皮膚をズラしたり、筋肉
を動かしたりしているときでも、微妙なバランスを取りやすくなった
ように思います。

 いつも重さを意識の片隅においておくことで、タワメの間(マ)で、
二つの互いに逆モーメントの動きのごくわずかな変化感じて、受け手
の体の望みにちょうど良く合わせていくことが、以前よりできるよう
になりました。

 ヤジロベエがバランスをとって動くように、モビールが風にふかれ
てゆっくり動いていくように。

体の発する止め時の信号

 また、こうしていると、もうその操体を止めてもよいと受け手の体
が感じ始めたサインも見付けやすいです。

 受け手の体が姿勢を変えたがるような動きを見せたら、たいてい止
め時です。それは、それまでのヤジロベエがバランスを取るような、
モビールが風にふかれて動くような動きとは全く別の種類の動きです。

 ただ、実際の人の動きはヤジロベエやモビールよりもダイナミック
です。

 終わったと思った時点から、すぐつぎの操体への動きが始まってい
く人もいます。また、一つのタワメの間のときのバランスをとる動き
も、弾力にとんだ生き物らしいダイナミック動きをともなったものに
なる人もおおいです。

タワメの間には、必ず、逆向きの同じ大きさの力が働く

 ついでに書いておきますが、互いに逆向きの同じ大きさの力が働く
から、「タワメの間(マ)」ができるわけです。

 片一方の力だけはたらくとしたら、タワメの間は生まれず、体は動
き続けてしまいます。

 一方の力だけに思えるとき、にも反対向きの力は必ず存在します。
体の重さや倒れまいとする動きが逆向きの力のときには意識されにく
いだけです。

5.おわりに

 さて、「ギュ・パッ・ストン」型から、「そのときのラクな寝方を
強調するように皮膚をズラす」形や「重さを移してみる」形まで、同
じ操体という言葉でよばれることを納得していただけましたでしょう
か?

 タワメの間を中心にして、互いに方向が逆で、大きさがほぼ同じ力
がヤジロベエのように少しづつ動きながら釣り合い、バランスを取っ
ているイメージを心に思い浮かべられれば、一つの操体から、いろい
ろなバリエーションを作っていくことが可能です。

 納得できない人は、疑問点を書き込んでください。

 次回からは、いろいろなタイプにおける手段のちがいをとおして、
操体の自然則を説明していきます。


   >>>つぎへ>>>新旧操体の向き不向き



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