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動きの操体の新旧比較

操体もくもく・操体の自然則 (1) 動きの操体の新旧比較

1.はじめに

 「操体の自然則」を書いていきます。

 昔(といっても30年ほど前でしょうか)操体を習った人や、橋本敬
三先生の本などを読んで操体を知った人には、私が書いているような
操体が本当に操体なんだろうかと疑問を持たれる人もいると思います。

2.動きの操体の変遷

操体と聞いておおくの人が思い浮かべるのはパッストン


 『万病を治せる妙療法 操体法』が出版されて全国的に有名になった
ころ、それは私が操体を知り初めて習ったころでもあるのですが、操
体というと次のようなイメージでした。

 動作を左右くらべてラクなほうの動作をしてもらい、それに伝え手
がめいっぱい抵抗をかけて、数秒その状態をたもったあと、「はい脱
力して」と声をかけて脱力させる。

 擬音表現でいえば、「ギュッ、パッ、ストン」。

 受け手にしてもらう動作もできるだけがんばってもらうことがおお
かったようです。

 橋本敬三・翁先生は「頑張らないで気持ちよいほうに逃げろ」と書
いていますが、あの当時に伝わった操法は、受け手にも頑張らせる形
がおおかったように思います。

 また、今でもそういうイメージで操体を知っている人が、一般的に
は、いちばんおおいと思います。

ギュッ・パッ・ストンから皮膚の操体までは、連続している

 ギュッ・パッ・ストンという操体と皮膚の操体が、なぜ同じ「操体」
という言葉で語られるのか、実際に皮膚の操体を達人の先生から受け
たことのない人は、疑問に思われるでしょう。

 「操体の自然則」について書いていく手始めに、あお向け膝たおし
を例にして、ギュッ・パッ・ストンから皮膚の操体までのあいだの操
体のバリエーション、適切にできれば、ほぼ同じ効果を出せるものを
紹介してみます。

 そして、それら一連のバリエーションをすべて「操体」と感じても
らえるようにしたいと思います。

 疑問点はぶつけてください。

タイプ1.ギュッ・パッ・ストン

 さて、私が知っているいちばん古いというか、ギュッ・パッ・スト
ンというイメージに近いあお向け膝たおしの操法は、以下です。

(1) 左右くらべてラクなほうをみつける
(2) 逆のつらくなる手前の状態にする
(3) そこからラクなほうに受け手に自力で動くように指示
(4) 伝え手は受け手が動いて来るのに頑張って抵抗する
(5) 受け手の動きが止まったところで数秒たもつ
(6) 「ハイ脱力」と指示する

 つらいほうからラクなほうへ動きが変わるところで、抵抗する手の
置き方を変えないとうまくできませんでした。

 そのためか、ラクなほうがみつかったら、膝を真ん中に戻してから
するようになっていきました。このやり方の特徴を書き出してみます。

(1) あお向け膝たおしという、やりにくい動作そのものの逆の動作を
  受け手にしてもらう
(2) 受け手が動かそうとしている膝そのものに対して、伝え手が抵抗
  をかける
(3) 適度なところで動かなくなったときに、その姿勢のままで抵抗を
  かけている時間は数秒。この間を「タワメの間(マ)」とよぶ。
(4) 伝え手が脱力を指示する。

タイプ2.フワー・パッ・ストン

 ギュッ・パッ・ストンは、そういう特徴のため、というか、おもに
(2)の受け手が動かそうとしている膝そのものに対して伝え手が抵抗し
ているため、全身に連動させることができない人がたくさんいました。

 そのせいか、抵抗をかけながら、伝え手が「全身に連動させて」と
いう指示を出すようになりました。

 そして、その全身に連動する様子を「フワー」と言う言葉で表現す
ることがおおくなりました。

 擬音表現で言えば「フワー・パッ・ストン」と表現されるタイプ。

 この形を操体だと思ってる人が2番目におおいと思います。

筆者は、ギュッ・パッ・ストンは好きでなかった

 実は、私は、1970年代後半から80年代前半に東京で知られていた
ギュッ・パッ・ストン操体は、あまり好きではありませんでした。

 そのころまでに知っていたヨガや太極拳など、ほかの運動療法より
も気持ちよくなかったからです。

 本に書かれているとおりにやるよりも、少し動きを変形したりタワ
メの間を長くしたりするほうが、そして、脱力をほとんどしないほう
が、気持ちよかったりしました。

 橋本敬三先生の本は好きで読んでいて、「考え方としてはいちばん
おもしろいのに、どうして実技は気持ちよくないのだろう」と、ずっ
と思っていました。

 でも、気になるので操体の本は集めていました。そして出会ったの
が三浦先生と今先生が書かれ、マル先生がイラストを描かれた『操体
法治療室』(初版は栢樹社、現在は谷口書店)です。

 読んで、自分がやっていたような変形も操体では「あり」なんだと
わかりました。

 「ラクな動きや本に書かれた動きと、気持ちよい動きが違っていた
ら、気持ちよいほうをえらんで動きなさい」というメッセージが伝わっ
てきました。

 今先生のほうが合うかなとも思ったのですが、仙台は遠いので、三
浦先生に手紙を書きました。そしたら、講習会に来てみないかという
ことで出掛けました。20年以上まえ、80年代後半のことです。

タイプ3.フワー・ポワワン・パッ・ストン

 さて、ここからは、その後、達人の先生方がいろいろ工夫された領
域にはいってきますので、今でも操体を工夫し続けている達人の先生
方に直接指導を受けた人以外には、あまり知られていないかもしれま
せん。

 まず一つ目は、タワメの間が長いほうが気持ちよいという受け手が
たくさん出てきました。たぶん、うまく全身に連動するようになった
せいでしょう。

 それで、その時間を長くするようになったようです。

 擬音表現で言えば「フワー・ポワワン・パッ・ストン」と表現され
るような形です。

タイプ4.ふわーぽわわん・ふっくにゃぁ

 つぎには、タワメの間が長くなったせいか、受け手のなかに
「パッ・ストン」という形の脱力を気持ちよく思わない人が(とくに
都市部で)たくさん出てきたため、「ふっ・くにゃぁ」という感じの
脱力でもよいことにせざるをえなくなったようです。

 擬音表現で言えば「ふわーぽわわん・ふっくにゃぁ」と表現される
ような形です。カタカナ表記よりもひらがな表記のほうが似合うよう
になりました。

 面白いことに、橋本敬三先生が70年代中頃ご自身で一人操体してい
る際の瞬間脱力が「ふっ・くにゃぁ」型でした。そのころ仙台NHK
が取材・放送したビデオが残っています。

 三浦先生は「橋本先生の瞬間脱力は、いつどこでしているのか、わ
からないぐらいだった」とおっしゃっていました。

タイプ5.遠いところで抵抗

 そのつぎの変更は、声をかけるだけでは、全身に連動できない人も
おおかったので、動かしている膝に対して遠いところで抵抗をかける
ようにしたことです。

 こうすると、全身に連動しようと思わなくても自然に全身を使った
操体になるからです。

 倒れていくのと反対側の腕を使って抵抗をかけました。膝が左にた
おれていくときには、右手。

 腕のおき方によって、やり方がすこしづつちがいますが、ようする
に、膝をたおすのと逆モーメントの動きが胴体部分におきるような動
きを、腕に作ればよいのです。

 腕を腰と反対方向(上)に伸ばしているときには、小指を甲側にね
じる動きが抵抗になります。

3.おわりに

 さて、私が習ったのはここまでだったと思います。

 同時に皮膚をズラすという方法でも気持ちよさを感じてもらえるこ
とも習いました。

 そういえば、私がはじめて三浦先生に習った講習会のコースで、三
浦先生ははじめて皮膚をズラすという方法(三浦先生は「渦状波」と
よんでました)を教えたそうです。

 次回は、そういう習ったことから、いま、私がしている「ラクな姿
勢をちょっと強調する」までのバリエーションを展開してみます。


   >>>つぎへ>>>動きから皮膚や重さへ



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