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受け手の体が気持ち良さを感じているか

体は自然、臨床は対話 【2】臨床は対話 
(2) 受け手の体が気持ち良さを感じているか

1.はじめに

 治療するとき、鍼で言えば刺し方や刺激量、操体で言えば向
きや強さなどは、受け手の体がどう感じているかで決めるのが
原則です。

 施術者が何をどう感じているかや、受け手が自分の体の状態
をどう話すかは、あくまで補助になります。

2.体が感じていることと、口に出る言葉は違うこともある

 受け手の体が感じていることと、受け手が口に出して言うこ
とは、違っていることも、かなりあります。

 「体が感じていることを言えるようになりなさい」と伝える
のは簡単ですが、実際に身に付けてもらうには時間が掛かるし、
工夫が必要です。

 体で感じることを口に出して言えないから病気に成りやすい
わけですから。

 体で感じること、心で思うこと、頭で考えること、口に出し
て言うこと、体で動くこと、これらが皆一致している人は、体
が余り歪まないので、大きな病気には成りません。

 患者さんが鍼灸や操体の良さが分かるのに時間が掛かっても、
心を乱さずに、粘り強く、色々工夫していきましょう。

3.刺激の強さと効果

 刺激の強さと効果の関係は、色々な考え方があります。

 基本的に、痛い一歩手前と、感じるか感じないかという所、
この二つが効くことが多いようです。

 鍼灸では流派により、操体でも先生により、どちらを中心に
するかは様々です。

 比較すれば、手足の指など末端には強い刺激を与えることが
多いでしょうか?

 胴体部分に余り強い刺激をしない理由は、胴体部分を強く刺
激すると、そこの歪みは取れても、全身の歪みが増えることが
あるためのようです。

 こういう現象が起きるのは、痛みから逃れるために体全体を
硬く緊張させる方に向かってしまうからのようです。

 指など末端の強刺激なら全身で逃げられるせいか、強刺激し
ても体の歪みが増えるることは殆ど無いようです。それにして
も、痛さで全身を固まらせたら歪みが増える可能性もあるとい
うことは踏まえておいた方が良いでしょう。

4.適切の目安は、先ず深い息

 そういう点も含めて、受け手の体が適切と感じているかどう
かを判断する目安を持っているとよいと思います。できたら、
一つではなく、いくつか。

 これまで書いてきたように、それに最も役に立つのは、受け
手の息の深さ、腹への息の入り具合だと思います。

 この独特の呼吸は、鍼灸に限らず、操体、按摩指圧でも同じ
です。また、空気が綺麗な所にいっても同じ息になります。体
が気持ち良さを感じるせいだと思われます。

 普段は元気な子供が、たまにカゼを引いたり、頭が痛いと言っ
て寝ているときも、同じような息の仕方になります。自己免疫
機能が活性化するときに特徴的な息のようです。

 息が深い間中、ずっと、瞬(まばた)きが多くなることもあ
ります。

 手足の指先が振るえたり、手や足を少し動かしたりの自動運
動が起きることもあります。

 効果が出てきたときには、刺し手や押し手で、鍼している所
の痼りが弛んだり、凹みが消えて膨らみが出てきたり、温かく
なったりという変化を感じることが多いです。

 指圧などでは、その前に、指を当てている所でドキドキと脈
を感じることがよくあります。血行が盛んになってくるためと
思われます。

 また、十分に効いて、もう終わりにしてよい頃には、姿勢を
変える動きが受け手の体に生まれてきたりします。

 触れている手で受け手の体を見守る感じで施術していると、
こういうことは感じやすいようです。

 また、腹がゴロゴロ鳴るのも、体が気持ち良さを十分に感じ
たサインみたいです。

5.体と体のリアルタイム・コミュニケーション

 常に受け手の体の状態を眺め、自分が利用できる目安を増や
していくことを心掛けたいと思っています。

 受け手の体の状態をよく観察して、受け手の体に描いてある
通りに治療できるように、自分の感覚、勘を磨いていきたいも
のです。

 体の自然についての理解を深め、受け手の体の歪みが何処に
あるか、何故そういう状態になったか、動かすと何が起こる可
能性があるのか、などを分かるようになっていきたいです。

 それらを通して、受け手の体の望んでいること、やって欲し
がっていることが把握できるようになりたいです。

 そして、施術中も刻々と変わっていく、受け手の体の望みに
合わせて、少しづつ方向や強さなどを変化させられるようにな
りたいと思っています。

 鍼灸、操体、按摩指圧などの東洋的物療は、そういう体と体
のリアルタイム・コミュニケーション(即時即応)ができるこ
とが、他の治療法にない特色だと思います。

 私は受け手の体が刻々と変化していくのを眺めているのが好
きなので、特にそう思うのかも知れませんが。

6.おわりに

 受け手の体が望んでいることを把握できる勘を磨き、それに
合わせて手の内を変化させていける腕も磨き、手を作っていき
たいものですね。


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最終更新:2016年11月22日 06:12