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ツボから先の血行や神経伝達の障害

体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [3] ツボの出方、探し方
(4) ツボから先の血行や神経伝達の障害

1.はじめに

 ツボが出ている所から先の血行や神経伝達が傷害されること
があります。

 座骨神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、手足のシビれ感、
冷え、ヒョウソ、水虫、乳腺炎、乳汁不足、椎間板ヘルニアな
どのときのツボの出方です。

 ツボが出ていると、そのツボの奥の底の痼りの周辺は、筋肉
が過緊張して硬くなり、異常な活動電位を発生している(伊藤
和憲先生)ので、その近くを通る血管を圧迫したり、神経に悪
影響を与えたりするようです。

 そうすると、そこから先の血の流れる量が減ったり、神経伝
達が傷害されたりします。

 そのため、そこから先で、冷えたり、栄養や酸素が不足した
り、二酸化炭素や老廃物がたまったり、シビれたり、痛んだり、
麻痺したりといったことが多くなります。

 ヒョウソや水虫、乳腺炎や乳汁不足も、血行不良や神経伝達
障害が関係しているようです。椎間板ヘルニアは、椎間板の両
側の椎骨がツボの出ている筋肉に逆方向に引っ張られることが
原因のようです。

 ですから上に書いたような症状があるときには、冷えたりシ
ビれたり、色々な症状が出ている所と出ていない所の境目を探
します。

 冷えなら皮膚表面を触って温度が違っている所を探し、痛み
やシビレなら患者さんに聞きながら境目を探します。

 そして、その境目の少し中枢より、血管なら心臓寄り、神経
なら脳寄りを探すとツボが見付かることが多く、そのツボに鍼
灸などして、ツボの奥の過緊張した痼りが弛んだとたんに、上
に書いた症状が消えることが多いです。

2.主に神経伝達が障害される例

 麻痺や神経痛では、神経が体の奥(中枢神経と分岐する深さ)
から体表の皮膚近くに出てくる所で周りの筋肉の中に出来た過
緊張した部分に影響されていることが多いです。

 座骨神経痛のときには、尻中央の奥の大座骨孔(梨状筋下孔)
の辺り。三叉神経痛では、頭頂部と側頭部との境目の耳の真上
の辺り。

 分かりにくければ、体表解剖の本を見て、神経痛の出ている
神経の走行を調べます。

 手足のシビレ感の場合にも、症状が出ている所の少し脳寄り
を探すとツボが見付かることが多いです。が、シビレ感は、血
行も関係しているようなので、心臓よりも探します。

 椎間板ヘルニアのときは、ツボが出ている筋肉が過緊張して
いて、その筋が背骨に付いている部分で椎骨を引っ張り、隣り
合う椎骨が逆の方向に引っ張られたときに間の椎間板を圧迫し
て、圧迫された椎間板が飛び出すようです。

 背骨は連結しているので、背骨全体の曲がり具合を見ながら、
どの筋肉にツボが出ていることに因って、飛び出している椎間
板の上下が圧迫されているかを考えると、ツボが見付けやすい
です。

ーーー 追記:190428 ーーーーーーーーーーーーーー
 肋間神経痛や肋間ヘルペスの場合に、その肋間の華佗経の所
に、ツボが出ているのも、この例と思います。肋間神経は、
華佗経の部分(背骨の直ぐ脇)で立ち上がってきますね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3.主に血行が傷害される例

 乳腺炎や乳汁不足では、乳房の裾野の周りの乳房と肋骨の間
の大胸筋などにツボが出ます。

 こちらは、主に、それら乳房の裾野の周りの痼りで、血管が
圧迫され、そこから先が血行不足になることによって、症状が
出るようです。

 乳は、大雑把に言えば、血液から赤血球を除き脂肪を混ぜた
もののようです。そのため、血流が少なくなれば乳汁不足にな
るし、少なくなった血流に沢山の脂肪を混ぜようとしてドロド
ロになり詰まって炎症を起こすようです。

 乳腺炎のときには、正確に言うと、乳腺炎を起こしている所
と乳首を結ぶ線の延長と乳房の裾野が交わる辺りにツボが出ま
す。

 一番多いのは腕の付け根(中府)に近い所と、乳首を挟んで
対角に当たる所です。が、2,3cmおきに片側で数か所出ている
人が結構います。

 生理痛などのある人は、乳腺炎になる前、妊娠する前から乳
房の裾野の周りのツボが出ていることが多いです。できれば、
授乳を始める前に元に戻しておくとよいです。

 ヒョウソのときは、症状が出ている指を手首の方に辿った手
甲にツボが出ていることが多く、例えば、中指なら、手甲の2~
3間か3~4間(特に指先への血管が分岐している辺り)に、ツ
ボが出ます。

 患部の爪の上の灸でも改善しますが、手甲のツボも鍼灸して
おいた方が治りやすいし再発しにくいです。

 足の水虫で、特定の趾間にだけに出ているときも、ヒョウソ
と同じように、そこから足首の方に戻った足甲にツボが出てい
ます。

 こちらも趾先への血管が分岐している辺りに多いですが、足
首の周りに出ることもあります。患部だけでなく、足甲や足首
の周りのツボにも鍼灸した方が、治りやすく再発しにくくなり
ます。

 冷えのときには、冷えている所とそうでない所の境目を見付
けた後に、少し心臓寄りを探してツボを見付け鍼灸すると改善
します。

 鼡径部や膝の近くの血海や足陽関(別名:寒風)などのツボ
で足の冷えが改善するのも、ツボの奥の痼りが血管を圧迫して
いるからかもしれません。

 首から上の顔や頭の症状には、首のツボが深く関係している
ことが多いです。昔から目、鼻、耳、口など顔頭にある器官に
関係する症状や頭痛などのときには、首のツボを丁寧に調べる
ように多くの人が書き残しています。

 これも、血行について、症状の出ている所の少し心臓よりを
調べる例のように思います。

 後頭骨下縁の天柱風池への刺鍼で眼圧が低下したという報告
もあり、これは、静脈の血行が良くなった可能性があるかなと
思います。

 動脈の血行だけでなく、静脈の血行も関係している例が他に
もあるかもしれません。冷えなども、静脈の血行が良くなり、
それに連れてて動脈の血行が良くなり…ということもあるかな
と思います。

 ガングリオンは、その底の下にある筋肉に刺すつもりで、ガ
ングリオンの周りの四方八方から刺鍼するとだんだん小さくな
ることが報告されています。これなども血行が改善し、新陳代
謝が促進された結果のように思われます。

4.鍼灸の効果の根拠の一つかも

 デルマトームや脊髄からの神経走行を考えると、肺兪、肝兪、
胃兪など背部兪穴で、それらの名前に関係する内臓の症状が改
善するのにも、このツボの底の痼りによる神経伝達の障害が関
係しているかもしれないなと考えています。

 また、それら臓器への血行や臓器からの血行も、ツボの出方
に関係している可能性もあります。

 リュウマチの症状が、体の一部に出ているときに、その少し
中枢寄りのツボで改善することがあるのも、血行や神経伝達が
関係しているように思います。

 今は指先の血流量を検査する機械があるので、少なくとも血
行の改善は直ぐ検査して確かめられると思います。

 その他にも色々で沢山の生理学的な実験をして確かめてほし
いなと思います。

 鍼灸を始めとする東洋的物療は、出ているツボを消すこと、
つまり、ツボの出ている所の筋が、一時的に機能的過緊張過弛
緩した状態を改善することで、色々な症状の改善を目指します。

 それによって血行や神経伝達も改善することが研究で確かめ
られれば、なぜ内臓の症状も改善するか根拠が今よりも明確に
なってきそうな気がしています。

5.おわりに

 この辺りは、本当に研究者の皆さんの研究に期待します。よ
ろしくおねがいします。


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最終更新:2019年04月28日 08:38