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左右・前後・上下・対角の相関関係

体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(6) 左右・前後・上下・対角の相関関係

1.はじめに

 左右・前後・上下と、それぞれの対角についての関係につい
て書いていきます。

 このうち、左右・前後については、頭や胴に現れるときには、
横輪切り相関の一部になります。そこで、左右については、主
に手足を中心に書いていきます。

2.左右の相関、巨刺が代表例

 左右の相関は、例えば、左の膝が痛いときに、右足の同じ所
を刺激すると良くなるということです。鍼の世界では、巨刺
(こし)と呼ばれ大昔から知られた技法です。

 別に鍼でなくても、灸でも手技でも同じ現象は起きます。大
学のラグビー部の顧問をされていた人の本には、試合中に痛い
と言われたら先ず棒で反対側を叩くと書いてありました。色々
な所で使われているようです。

 そんなに強い刺激でなくても、円皮鍼などでも十分に効果を
出せます。多くの場合には反対側にもツボが出ていて、それを
見付けられると上手くいきます。

 私の経験では、肘膝から先、特に、手首・足首から先に辛さ
があるときに特に効果的なように思います。

3.前後の相関、裏側の痛みは感じにくい

 次は、前後ですが、これは、頭や胴に比べて手足に出ること
は比較的少ないように思います。

 ただ、膝のように、痛みが膝の表側の皿の周りにあるように
感じるときでも、原因は膝裏の痼りで、膝裏の痼りを解さない
とスッキリ良くはならないなどの例があります。これは、肘や
肩などでも見られます。

 表側の痛みを感じるところをやっても、すっきり治らないと
き、特に「その辺り全体が痛い」と言って痛む場所を特定でき
ないときや、「ずっと奥の方が痛い」という表現をされるとき
には、裏側の痼りが原因の場合が多いです。

 成ってから時間が経った五十肩などのときにも、そういう表
現をされる人がいますが、そういう場合には、脇の下に痼りが
あり、筋肉の溝に沿って上腕から肘の手平側まで点々と痼りが
列を作っていることが多いです。

 膝裏や脇の下の側の痛みは意識できずに、膝の皿側や肩の痛
みとして感じるようです。肩の場合には、前後というよりも表
裏の相関と言った方が良いかもしれませんが。

4.上下の相関

 次は、上下。これは、例えば、右膝の痛みに対して右肘の同
じような所にツボを探して、そこを刺激すると右膝の痛みが減
るというものです。

 中国の本には、膝痛の人に同じ側の肘に鍼したまま階段を上
り下りしてもらうという方法が出ていました。

 この場合には、膝と肘は解剖学的な構造が少し違うので、左
右相関よりも上下反対側のツボは見付けにくくなります。

 が、大雑把に、拇指側か小指側か、肘膝の胴体寄りか手首足
首寄りかで見当を付けて、その辺りで、最も凹んでいる所を探
すと見付けやすいです。

 このようなツボの探し方は、後で詳しく説明します。

 この上下については、同じ側の手と足の相関関係以外に、頭
や胴体にも色々な上下相関を見ることができます。

横隔膜が境目のとき

 胴も含めての上下相関の場合の境目は、一つは横隔膜の辺り
になります。

 この場合には、肩胛骨と骨盤が相関し、首や頭が尾骨の周り
に対応します。

 灸で痔を治すときに頭頂部の百会というツボを使うのですが、
それは、この上下相関を利用しています。

 また、頭や首の症状が尾骨付近で改善することもあります。

 腹側では、腕と胸の境目の辺り(ウムネ)が、足と腹の境目
の辺り(鼡径部)に対応したりします。

 私の次男は、呼吸器の状態が悪く胸の腕寄りに反応があった
話を前に書いきましたが、足と腹の境目の鼡径部が今も縮んで
いて伸びにくいです。これも上下相関かなと思います。

足と胴の境目が、上下相関の境目のとき

 上下相関の境目は、もう一つあります。それは、足と胴の境
目です。この相関については、橋本敬三先生の「力学的医学の
構想」にも出てきます。

 前に紹介した側湾の方の下腿裏側・脹ら脛の左右差が酷かっ
たことなども例になると思います。

 一般的に良く見られるのは、頭痛の場合に、足首の周りや足
甲にツボが出ていて、そのツボに鍼灸などしていると頭痛が改
善できることです。

 ウオノメが原因の額の痛みの例が出ていた本もありました。

 逆に、足首や足甲の痛みの場合に、頭にツボが出ていて、そ
こへの刺激で足の方の痛みが減ったりもします。

 この辺りは、経絡的な縦切り相関とも関係しますが、ただ、
縦切りの中でも最も遠い頭と足首から先が相関するので、上下
と言う視点で見てもよいかなと思います。

5.対角の相関

 対角の相関は、左右・前後・上下の組みあわせになります。

 胴の部分では、右腰痛の人の場合に原因が左下腹にあり、そ
こを改善しないと十分には治らない場合などが例になります。
同じ側に出る場合の人が多いですが、1/3位の人は対角に出
ます。女性で瘀血証がある場合の腰痛などに見られます。

 手足の場合では、右足首の捻挫を左手首への鍼灸で治すとき
などが典型例です。今までの相関と組み合わせて、対角→上下→
左右の順で、だんだん患部に近づいていくと、かなり改善して
しまいます。

 例えば、調べたりするだけで痛がる右足首の捻挫なども、右
外踝前側下寄りを伸ばしたことが切っ掛けの場合には、左手首
の小指寄りの窪み近くに出ているツボ、右手首の小指寄りの窪
み近くに出ているツボ、左足首の外踝前側下寄りに出ているツ
ボの順で、鍼灸や操体をしていくと、調べたりする位は痛くな
くできるようになります。

6.おわりに

 今回は、左右、前後、上下、それらの組み合わせの対角の相
関関係を説明しました。

 次回は、ある動作をするときに一緒に動く所同士の相関関係
です。


   >>>つぎへ>>>動作時に連動する筋肉内



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最終更新:2016年11月21日 20:00