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術伝流操体 【3】操体で一通り治療 [2]ラクになれない人への対処 
(4) 対処法4.ゆらし操法

ゆらし操法

(1)はじめに

 先回まででラクな寝方になりにくい人に対する対処法を色々
な説明しました。ラクな寝方を強調する操体をしていくために
ラクな寝方を探す方法や、見たこともない寝方になったときに
強調する方法などでした。

 寝た姿勢からの操体は、ラクな寝方を強調する以外にも幾つ
かの技法が知られています。それらの技法をしていると、だん
だんラクな寝方になっていくことも多く、ラクな寝方を探す方
法としても役に立つので紹介します。

 ラクな寝方を強調する方法が、体の大きな歪みに視点を置い
た方法であるのに対して、体の一部分に着目した方法です。今
まで説明してきた中では、指揉みなどが体の一部分に着目した
方法だと思います。

 指揉み以外にも、体を揺らしたり、くすぐったりする手段も
使えますし、皮膚操体や動きの操体でも、顔、頭、首などの小
さなツボを使ったり、あるいは、耳を抓んで動かしたりも使え
ます。

 どんな刺激でも、イイ感じがあり、腹に息が深く入るように
なることなら、操体の切っ掛けになります。

 順に説明していきます。

(2)揺らし操法

 ラクな寝方で寝てもらい、適当な所に手を当てて、揺らし
ていきます。といっても、ラクな寝方が分からなくて仰向け
に寝てしまう人には、仰向けからします。

 揺らす切っ掛けは、足指が有名です。

1.足指から揺らす

 足指は、手平全体で、ふんわりと、5本の足指を包み込む
ように握ったり(写真1)、拇指と示指で気になる指を、ふ
んわり包み込むように挟んで持ったり(写真2)します。

写真1

写真2

 5本の足指を包んだ場合には、足首を軽く反らしたり戻し
たりを繰り返すようにして揺らしていきます(写真3)。繰
り返すときに、指と指がこすれないようにします。

写真3

 揺らす大きさや揺らすリズムの速さは、受け手に聞いてイ
イ感じになるようにします。

 左右の足を一緒に揺らす(写真4)と縦揺れ、つまり、背
骨と平行に揺れます。

写真4

 左右の足首を交互に反らすように揺らす(写真5)と横揺
れ、つまり、背骨と直角方向に揺れます。

写真5

 これも、どちらがイイ感じか、受け手に聞いてイイ感じの
方にします。背骨と平行の縦揺れを好む人が比較的多いです。
横揺れの場合には、うつ伏せで背骨を揺らすことを切っ掛け
にする方を喜ぶ人が多いです。

 指揉みをして気になる痼りが見つかった指を拇指と示指で
包んで、その痼りを揉むのを大きくするようにしていっても、
体は揺れます。

 このときにも揺らす大きさや揺らすリズムの速さは、受け
手に聞いて、イイ感じになるようにします。もともと、揺ら
し操法というのは、足の指揉みの発展として生まれたようで
す。

2.揺らしているときの注意点など

 揺らしている間に不快な感じが出てきたら止めます。イイ
感じなら続けます。

 頭の方まで揺れが伝わって、体全体が揺れているか確かめ
てみてください。途中で揺れが伝わらないようなら、その辺
りに大きな歪みがあることが多いです。

 揺らし方を変えてみて、揺れが伝わっていない所にも揺れ
が伝わるように、受け手と相談しながら色々な工夫してみて
ください。ただ、イヤな感じが出てこないように注意してく
ださい。

 なかなか揺れが伝わらない所は、その人のその時の主な歪
みであることが多く、そこを縮めるか伸ばすかどちらかの姿
勢がラクな姿勢であることが多くなります。

3.終え方

 イイ感じが続いている間に、よく揺れている間は続けます
が、好きな人だと、ずーっと揺らしていて欲しいという人も
居ますので、適度な時間になったら終わりにします。

 また、姿勢を変えたくなったら終えてもいいと思います。

 中には、揺らされながら眠ってしまう人もいます。揺り籠
のような気持ち良さを感じられたのかなと思います。

 終わりにするときは、だんだん、ゆっくりなリズムにして
行ってから止めます。止めても直ぐ手を離さずに、しっかり
包み込んだ状態をしばらく保ちます。

 そして、しばらくイイ感じの余韻を味わってもらいます。
体の中では、まだ揺れが続いているのかも知れません。なん
となく、ほんわかとした感じがしばらく続くことが多いです。

 足指の1本を切っ掛けに揺らした場合には、それ以外の指
を揺らすことを切っ掛けにしてもよいですが、そうしている
と、1時間位、アッという間に経ってしまいますので、その
辺りも考えて、揺らし操法をするようにしましょう。

4.足甲、膝などを切っ掛けに揺らす

 足指以外を切っ掛けにして、揺らし操法をすることもでき
ます。足甲、下腿、膝、腰骨、背骨、手などです。

 足甲を、手平全体で、ふんわりと包み込むように触れて、
手平が足甲の表面の皮膚にピッタリ張り付いた状態にします。
足甲の皮膚を足首の方に軽くズラしたり戻したりを繰り返す
と、体が揺れていきます(写真6)。

写真6

 ピッタリ張り付いていると、揺らしたときに皮膚同士がこ
すれあったりしません。

 揺らす大きさや揺らすリズムの速さは受け手に聞いてイイ
感じになるようにします。

 左右の足を一緒に揺らすと縦揺れ、つまり、背骨と平行に
揺れます。が、左右の足首を交互に反らすように揺らすと横
揺れ、つまり、背骨と直角方向に揺れます。指のときと同じ
です。これも、どちらがイイ感じか、受け手に聞いて、イイ
感じの方にします。

 終わり方や終わった後の余韻の味わい方は、指の場合と同
じです。

 下腿も同じように、手平の全体で包み込むように触れ、ピッ
タリ張り付いた状態から、下腿の皮膚を膝の方に軽くズラし
たり戻したりを繰り返すと、体が揺れていきます(写真7)。

写真7

 膝の場合には、膝の皿に手平の手首より(掌底)を引っ掛
けて、膝の皿を腹の方に軽くズラしたり戻したりを繰り返す
(写真8)と、体が揺れていきます。

写真8

 揺らす大きさや揺らすリズムの速さ、横揺れと縦揺れのど
ちらがイイかを受け手に合わせることや、終わった後の余韻
の味わい方などは同じです。

 同じようにして、腰骨などに掌底を当てて揺らしていくこ
ともできます。イイ感じがするか確かめながら揺らすように
してください。

5.背骨を切っ掛けに

 背骨の場合には、他の部分と少し違って、横揺らしが主に
なります。

 うつ伏せになってもらい、首をラクな方に曲げてもらいま
す。背骨の気になる所に親指を重ねて横から当てて(写真9)、
背骨を軽く押したり戻したりを繰り返すと、体が揺れていき
ます。

写真9

 背骨の直ぐ脇(華陀経)にツボが出ている所で揺らすと、
効果が出やすいです。

 例えば、喘息の子のときには、利き手側の肩甲間部の背骨、
特に胸椎3番辺りの横側にツボが出ていることが多いです。
そこに利き手側から押すように親指を重ね、押したり戻した
りを繰り返すと、揺れていきます(写真10)。

写真10

 背骨の場合にも、揺れが全身にゆったりと伝わっていくよ
うに揺らし方を工夫します。受け手と相談してイイ感じな揺
れ方になるようにしていくと、全身に伝わりやすいです。

 終わり方や余韻の味わい方も同じです。

 背骨のどの部分をしたらいいか分からない場合には、背骨
の曲がりが他の部分よりもキツい角などを試してみてくださ
い。

 首の方から揺らしてイイ感じのする所を、順に揺らしていっ
ても良いです。

 時間は掛かりますが、足指の揺らしと背骨揺らしだけで満
足してくれる人も、結構多いように思います。

6.仕上げに、座位で、重さと手の指揉み

 揺らし終わった後にラクな姿勢になれたら(写真11)、そ
の姿勢を少し強調する皮膚の操体などをします(写真12)。

写真11

写真12

 十分に操体で気持ち良さを味わったら、終わりに座位で、
仕上げをします。頭の後ろで手を組んでから、左右捻転と前
後屈を組み合わせた後、重さの操体をします(写真13)。そ
して、座位で、手の指揉みをします(写真14)。

写真13

写真14

(3)おわりに

 私の友人に、この揺らし操法が上手な人が居ます。彼女の
患者さんの中には、1時間の治療中、ずーっと、揺らし操法
だけして欲しいという人が大勢いるそうです。それだけ気持
ち良いのでしょう。揺らし操法には揺り籠のような気持ち良
さがあるせいかもしれません。

 仙台の今先生は、温故堂に入って初めての施術で先ず揺ら
しをして、橋本先生から「患者には気持ち良さだけ伝えなさ
い」と注意されたと聞きます。揺らしを先ず初めにすると、
自分で気持ち良さを探すということが伝わらないからと言う
ことのようです。

 まぁ、しかし、現在は非常に疲れている人が多くて、治療
の場では、初めのうちは自分では動きたくない人が多いです。
そのため、揺らしから始めたり、揺らしが殆どになってしま
う方が良い人が出るのも仕方がない面もあると思います。

 ただ、治療を終えた後で、自分で揺らす方法や、それ以外
の一人操体の方法を伝えて、自宅でも操体をする楽しさは伝
えた方が良いと思います。手軽にできる方法を伝えれば、普
段の生活の合間に操体してくれる人が多いです。

 逆に、操体は自力だからといって、施術中に言葉かけだけ
して受け手に動いてもらい、家でもしてくださいと伝えるだ
けでは、普段の生活では全然操体をしてくれないこともある
ので、注意してください。

 自分でするには、手をブラブラさせたり(写真15)、座っ
て足をブラブラさせる(写真16)のがやりやすいかもしれま
せん。

写真15

写真16

 座っての足ブラブラは貧乏揺すりみたいになりますね。で
すけど、橋本先生は「無意識の動きは全て体の歪みを元に戻
す」と書いています。ですから、貧乏揺すりも、寝相やアク
ビやノビと同じ、無意識の後戻りシステムなのかなとも思い
ます。


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最終更新:2017年02月25日 13:59