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術伝流操体 【3】操体で一通り治療 [2]ラクになれない人への対処 
(3) 対処法3.イイ感じを味わってもらうために

イイ感じを味わってもらうために

(1)はじめに

 今まで2回書いてきたように、末端や中心を切っ掛けにして
ラクな姿勢が見付かったら、その姿勢を少し強調してイイ感じ
を味わってもらいます。

 これにも幾つか方法がありますが、簡単な方から説明してい
きます。

(2)定番などに近い姿勢なら、定番を試す

 色々とラクな姿勢を探してもらった結果、「ラクな姿勢を少
し強調」編で書いてきた寝方別のラクな姿勢からの操体の定番
に近い姿勢になることもあります。そしたら、そのまま、定番
を試してみれば良いです。

 例えば、横向き寝で膝を曲げ、上側の膝が前に出ている姿勢
がラクなら、上側の腰から大腿付け根の皮膚を膝の方にズラす
ことを切っ掛けにしてみます(写真1)。

写真1

(3)ラクな姿勢にした切っ掛けを試す

 (2)でラクな姿勢を探すときに切っ掛けにしたことを、そ
のまま切っ掛けにして、イイ感じを探していくことも可能です。

1.圧痛操法

 例えば、足の指揉みをして痛くした後に、痛さを少し弱く加
減しながら指揉みを続けます。そして、イイ感じの姿勢を探し
て、ゆっくり動いていってもらったりも可能です(写真2)。

写真2

 姿勢が止まったら、その姿勢を少し強調する操体に移ります。

 この場合に、今まで見たことの無い姿勢になったら、後で書
くように、体の伸びたがっているラインを見付け、少し余分に
伸ばすとイイ感じなことが多いです。

 痛くする足指は、10本触ってみて、痛みを一番感じる指を使
うと逃げる動作が出やすいです。が、寝方に関係する指を使う
と良い場合もあります。

 仰向け寝なら第2~3指、うつ伏せなら第4~5指、横向きなら
上になっている足の第4~5指などです。ここで第5指は小指の
ことです。

 寝ている姿勢で体重の負荷を避けたい所が、悪い所、体が治
したがっている所の可能性が高いと思います。仰向けなら、体
の前側を上にして寝ているので、経絡的に体の前側に関係する
足の第2~3指にツボが出ている可能性が高いという予測になる
わけです。

 足指のツボで動かなくなったら、そこと経絡的関係のツボを
探して、そのツボを少し痛くして逃げてもらい、その姿勢を少
し強調する操体をしてもよいです。

 例えば、仰向けで第2指の指裏を痛くして止まった(写真3)
なら、足陽明なので、足三里を押して痛みが有ったら、その痛
みから逃げてもらいます(写真4)。

写真3

写真4

 また、横向きで足の第5指で逃げてもらって止まった場合
(写真5)には、足太陽なので、脹脛の終わった辺りの飛陽
などを使います(写真6)。

写真5

写真6

 もちろん、経絡的な関係以外にも、左右上下前後対角などの
関係からツボを見付けて、そこを切っ掛けにすることもできま
す。

 例えば、仰向けで4指の辺りが痛くて逃げてもらったら、対
角の反対側の手の薬指を押してみて痛かったら、その痛みが減
る腕の位置を探してもらいます(写真7)。

写真7

 この少し痛くして逃げてもらうことを切っ掛けにした操体は、
操体の業界用語では「圧痛操法」と呼ばれています。

 余り痛くすると嫌がる人も居るので、痛さを加減してくださ
い。

 少しでも痛いことは嫌と言う人や、そうでない人でも痛みへ
の感受性が高くなっている場合には、使わない方が無難でしょ
う。

2.ラクにした末端を切っ掛けに

 五首など足指以外の末端を使ってラクな姿勢になってもらっ
たことを、そのまま切っ掛けにすることもできます。

 例え、仰向けで膝を曲げ倒した格好がラクだったら、その姿
勢で伸びようとしている、天井を向いている大腿の内側を伸ば
す皮膚操体(写真8)を切っ掛けにイイ感じを探していきます。

写真8

 また、いわゆる爪先上げ、つまり、足首を反らす(背屈)と
ラクな感じがしたときには、足の甲の皮膚を足首の方に少しズ
ラしてイイ感じが増えないか探してみたりします(写真9)。

写真9

3.ラクにした中心をキッカケに

 ラクな姿勢になってもらうときに、腰椎の4種8方向や体重
移動を切っ掛けにした場合には、そのまま、それを少し強調し
てみて、イイ感じが増えないか探してみることができます。

 例えば、横向きで前屈が良いなら、背中を丸めることに連動
するように皮膚をズラしてみます。具体的には、肩甲間部の皮
膚を首の方に、腰から仙骨の皮膚を尾骨の方にズラします(写
真10)。

写真10

 特に、体重移動は、初めのうちは、操者も分かりにくいし、
受け手に判断してもらうのもしにくいように思えますが、案外
上手く行くことが多いです。

 例えば、仰向け膝立てで、尻を浮かすのがイイ感じなら(写
真11)、後屈したがっていることが多いです。

写真11

 ですから、肩の方に体重を移してもらいます(写真12)。

写真12

 それをもっと強調するには、肩を踵で押してもらいます(写
真13)。

写真13

 また、横向きで左右捻転が良いなら、下半身は前側体重移動
で、上半身は後側体重移動なので、手を背中側に伸ばしてもらっ
て、腕の重さでバランスを取ってもらいます(写真14)。

写真14

 それで、特に、今まで見たことの無い姿勢になったときには、
次に書くように、先ず、その姿勢から体重移動を切っ掛けにす
ると上手く行くことが多くなります。

(4)切っ掛けが分からないときには

 (2)や(3)で書いてきた方法、つまり、姿勢が定番に近
いもので無かったり、定番を試したり、ラクな姿勢になっても
らった切っ掛けを試しても、どうもイイ感じがしない場合もあ
ると思います。また、初めて見る姿勢だし、どうしようかなと
言う場合もあると思います。

 そういう場合に、試してみたら案外上手く行く切っ掛けが二
つ有ります。一つは、「体重を移してみる」こと、もう一つは、
「その格好で伸びようとしている所を伸ばす」ことです。順に
説明します。

1.体重を移してみる

 左右または前後×上下の4方向に体重を移してもらい、一番
イイ感じの方向に体重をしばらく移したままにしてもらいます。

 姿勢によっては、受け手が体重を移しにくい場合もあるので、
そういうときには、操者が体重を掛けてみてイイ感じがした所
に、しばらく体重を掛けたままにします。

 例えば、うつ伏せや仰向けで、左右差の少ない姿勢の場合に
は、両肩と両骨盤を順に押してみて、イイ感じの組み合わせを
探します(写真15、写真16)。

写真15

写真16

 この辺り、寝方別の重さの操体で解説練習したことを思い出
せば、何とかなると思います。

2.伸ばそうとしてる所を伸ばす

 ラクになった姿勢を見て、受け手の体が伸ばそうとしている
所を見付けます。

 操体は、赤ん坊やネコなどの動物がするノビやアクビを技法
化・様式化したものです。

 また、体が仰向け大の字と何処か違っていたら、何処かが縮
んで何処かが伸びているはずです。それで、仰向け大の字と違っ
た格好をしているときには、探せば必ず伸びようとしている所
は見付かります。

 横向き寝に近い姿勢では、前屈や左右捻転などが多いです。

 うつ伏せに近い姿勢では、カエル足、膝立てからの後屈や左
右捻転、足伸ばしなどが多くなります。

 仰向けでは、膝立てからの前屈後屈、左右捻転、足を伸ばし
た姿勢からの左右側屈、足伸ばしの強調などが多いです。

 まぁ、こう書いていくとラクな寝方からの定番は、そういう
寝方で多いものを選んでいるなと、改めて思います。

 今回のテーマは、ラクな姿勢になりにくい場合です。ですか
ら、直立不動に近い緊張感を伴う姿勢が崩れて、少しでもラク
な姿勢に成ってもらえれば、その姿勢を強調する操体は見付け
やすいということになると思います。

 仰向け大の字に近い格好のときには、わずかに左右に側屈し
ていることが多く、伸びている側を伸ばしてあげる(写真17)
のがイイ感じになることが多いです。

写真17

 また、片側の肩が上がり、片側が下がっていたら、それを強
調、つまり、縮もうとしている筋肉を縮め、伸びようとしてい
る筋肉を伸ばすと、イイ感じなことが多いです(写真18)。

写真18

 たまには、定番に近い姿勢なのに、定番で無い所を伸ばして
欲しいと言う人も居ます。そういう時こそ、新しい操体を見付
けられるチャンスです。例えば、横向き寝から上になっている
側を伸ばしたい人もいました(写真19)。


写真19

 また、仰向けで胸を張っている感じの人(写真20)は、それ
を強調したら、気持ち良いとのことでした(写真21)。

写真20

写真21

(5)味わい方や終わり方は同じ

 ラクな姿勢になってもらい、切っ掛けが決まったら、後は同
じです。

 先ずは、切っ掛け以外に色々と探してイイ感じを付け加えて
いきます。

 窮屈そうに見える所や目立つ感じの所を先ず切っ掛けにした
場合には、五首などで切っ掛けにしなかった所を付け足したり、
体重を移してもらったりすると、イイ感じが増えることが多い
です。

 逆に、言葉を掛けて、腰椎の3軸を動かしてもらうのは、難
しいことが多いので、余りしません。

 例えば、仰向け片足膝倒しの人には、首をラクな方に捻転し
てもらったり(写真22,23)、左右の手を頭の方に挙げてもら
い、イイ感じの方を選んでもらったりします。

写真22

写真23

 中心である腰椎や体重移動を切っ掛けにしたときにも、五首
などをイイ感じになるよう動かしてもらいます。

 例えば、仰向け膝立てで、体重を頭の方に移す(写真24)
のがイイ感じなら、手の甲を反らせてもらう(背屈)とイイ感
じが増えることが多いです(写真25)。

写真24

写真25

 ただし、このとき、手の小指側を下にしている方が良い場合
には、手首を橈屈(拇指側に曲げる側屈,写真26)するとイイ
感じが増えやすいです。

写真26

 どちらの動きも、この姿勢での頭の方への体重移動を強調す
ることになっていることを確かめてください。

 このように、手は、置く位置によって、動かし方が変わって
くることが多いので、少し注意するようにしてください。

 例えば、 横向き寝で上側を胸側に移す体重移動(写真27)
が良いときは、上側の肩を下側の体側面を支点に前側に回転さ
せていることになります。そのため、上になっている腕の手首
も、その方向に回転しやすいように捻転すると良いことが多い
です。

写真27

 上の手の指先が頭の方に向いていれば、小指側を手平側に回
す手首捻転(写真28)がイイ感じなことが多いです。

写真28

 逆に、上の手の指先が足の方に向いていれば、小指側を手甲
側に回す手首捻転(写真29)がイイ感じなことが多いです。

写真29

 また、手首を動かすのが、それほどイイ感じでもない場合に
は、そういう動きに連動するように、上腕の皮膚をズラす(写
真30)と、より深い気持ち良さを感じられることも多いです。

写真30

 十分イイ感じを味わってもらい、姿勢を変えたくなったら終
わります。そして、余韻を十分味わうというか、一つの操体を
終えた後のイイ感じの後味を十分に味わってもらいます。それ
から、また、ラクな姿勢を見付けて、次の操体をしていきます。

(6)おわりに

 今回までで、ラクな寝方に成れない人の対処法として、ラク
な姿勢を手足や首など末端から決めていく方法と、重さや腰椎
など中心から決めていく方法を紹介しました。

 次回からは、揺らしやクスグリなどや、耳や髪の毛への操法
など、いわゆる定番の操体と少し違った技法を紹介します。こ
れらは、ラクな姿勢が分かる人にラクな姿勢でしても効果があ
りますが、緊張していてラクな姿勢に成れない人の緊張を弛め
るのにも役立ちます。


   つぎへ>>>術伝流操体no.36



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