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術伝流操体 [2]ラクな寝方を少し強調 (16) 指先で皮膚操体、横向き寝がラクなとき

指先で皮膚操体、横向き寝がラクなとき

(1) はじめに

 今回は、横向き寝のときの指先での皮膚操体について説明し
ていきます。

 この時も、先ずは、ラクな姿勢になってもらうことが必要で
す。

 いつもの通り、声を掛けて、ラクな姿勢になってもらい、そ
の姿勢が横向き寝だったら、窮屈そうでないか観察します(写
真1)。

写真1

 窮屈そうなら、声を掛けて、もう少しラクな姿勢を探しても
らいます(写真2)。

写真2

 それでも、まだ窮屈そうなら、上になっている足の小指や第
4指の指裏を調べてツボが出ていたら、少し痛くして逃げても
らい、指裏が痛まない姿勢になってもらいます(写真3)。

写真3

 横向き寝での指先の操体でよく使うツボは、基本的には、横
向きで上になっている部分に多いです。

 側頭部〜側面部、首横側、真横の肋間(小陽経の肋間)、背
骨の直ぐ横(華陀経)上側、上側の脇腹(痞根、腰徹腹)、臀
部の横側(環跳、仙骨の周り、臀央)、足の横側(足徹腹、風
市、下委陽、飛揚~外丘、陽大鐘、足五里~陰包~下腿内側、
大鐘)などです。

(2) 側頭部・側面部

 頭や顔の上を向いている側です。ツボの出やすい所は、仰向
けやうつ伏せの場合と同じです。

 頭の場合には、正中線、目を通り正中線に平行なライン、耳
を通り正中線に直行するラインに多いです。その辺りを中心に、
触ってみてペコペコ、ブヨブヨした感じの所を見付けます(写
真4)。

写真4

 顔の場合には、横側の髪の生え際、目と耳の間、顎の付け根、
耳の前の小さな窪み、下顎の後ろよりにある凹みなどです(写
真5)。

写真5

 頭のツボは、比較的ズレにくいので、指先で軽くズラしてか
ら捻転してみる感じが良いことが多いと思います。

 顔のツボは、額の横側、顎の付け根、頬などは、比較的大き
くズレやすいので、指先でズラすよりも四指でズラす方が良い
場合が多いです。

 横側の髪の生え際、耳の前、下顎の後ろ側などのツボは細か
いので、指先で沈方向に張ってから捻転するのが良い場合が多
いです。

 付け足しは、関連する、薬指・中指を反らしたりするのが良
い場合が多いです。

 ただ、受け手の後ろから操体した方が良い場合が多く、特に、
丸まり型の人の場合には、手を胸側に置いているせいもあって、
手が届かないことが多く、そういうときは無理して付け加えな
くてもよいでしょう。

 どちらの場合も、声を掛けて足を動かしてもらう操体などを
組み合わせることもできますが、横向き寝の場合は、他の寝方
と比べて、動きたくない感じの人が多いので、余り動きたく無
さそうなら、しない方がよいでしょう。

(3) 首横側

 上になっている側の後頭骨下縁(風池、完骨)、首の下額骨
の付け根より(下翳風)、横頸中央など(写真6)。

写真6

 指先で沈方向に張ってから捻転が良いことが多いです。

 付け足しは、操者が受け手の後ろ側のことが多いので、特に、
丸まり型の場合には、受け手の手を組み合わせるのは難しくな
ります。

 例えば、上半身の歪みに関係する上になっている脇腹の肋骨
近くのツボ(痞根)を組み合わせたりします(写真7)。

写真7

 声を掛けて動きの操体も可能ですが、丸まり型の場合には、
特に、動くことを好まれない場合が多いようです。

(4) 真横の肋間

 真ん中付近(大包)が多いですが、脇の下の近く(淵腋)や、
肋骨の下端近くにも出ていることがあります。

 肋間でツボが浅いので、軽く沈してから捻転がよいです。

 付け足しは、手足の指に無理なく手が届くことが少ないので、
手が届く範囲で、上になっている足の横側面のツボなど横向き
寝で出やすいツボを探し、そこを押したり皮膚操体したりする
ことが多いです。

 クスグったいと言って嫌がる人の場合は、使いにくいです。

 そういう場合に、ほんの少しクスグったい位にして逃げても
らうとイイ感じのタワメの間に入っていくことも多いのですが、
受け手とのやり取りが少し難しいかもしれません。

 初めての人の場合は、やらないことも多くなります。

(5) 背骨の直ぐ横(上になっている側)

 背骨の直ぐ横側(横突起間)には、華佗経と呼ばれる経絡が
走っていると言われていて、比較的古い歪みのときにツボが出
やすいとされています。

 背骨の直ぐ横の上になっている側に指を滑らせて、なんとな
く変な感じの所を探して、押して痛い所を見付けます。

 とても古くて麻痺した感じで痛まない場合もありますが、初
めのうちは、そういう所は無理して使わなくてもよいと思いま
す。

 ここも、ツボが細かく余り皮膚がズレないことが多いので、
軽く沈してから捻転するのが良いでしょう。

 付け足しは、手がラクに動く範囲で選ぶと、例えば、背骨の
上側の違う場所のツボを組み合わせたりします(写真8)。

写真8

(6) 上側の脇腹

 上側の脇腹では、脊柱起立筋の脇腹側にツボが出ていること
が多く、中でも、肋骨の近く(痞根)、骨盤の近く(腰徹腹)
に多いです。

 横向き捻れ型のときには、痞根を背中側に、腰徹腹を腹側に
四指でズラすとイイ感じのことが多いです(写真9)。

写真9

 横向き丸まり型のときには、双方を腹側に寄せる、つまり近
付ける感じで斜めにズラすとイイ感じのことが多いです(写真
10)。

写真10

 付け足しは、両手を既に使ってしまっていることが多いので、
声を掛けて動いてもらいます。

 横向き捻れ型の場合には、上になっている足を膝の方に少し
動かしてもらったり、背中側に伸ばしている手をより伸ばして
もらったりなどの横向き捻れを強調するような動きを誘導でき
ます。

 横向き丸まり型の場合には、上になっている足の膝を胴体の
方に上げてもらったり、顎を胸に近付けてもらったりなどの横
向き丸まりを強調する動きを誘導できます。

 が、特に、横向き丸まり型の場合には、余り動きたくない感
じの人が多く、そういう場合は、控えた方が良いでしょう。

(7) 臀部の横側(上になっている側)

 臀部の上になっている側では、骨盤の上部と大転子の中ほど
の後ろ側の凹み(環跳)、仙骨と蝶骨の関節部、仙骨孔(次髎
など)、臀部の中央で見た目に出っ張っていて押すと凹む所
(臀央)などです。

 臀央と環跳は大き目なので、四指の先でズラすのがイイ感じ
のことが多く(写真11)、仙腸関節部や仙骨孔のツボは小さ目
なので、中指などの先で沈方向へズラし捻転するのがイイ感じ
のことが多いです。

写真11

 付け足しは、手が届く範囲で、上になっている足の横側(上
側)に出ているツボを組み合わせることが多いです(写真12)。

写真12

 もちろん、声を掛けて動きの操体を誘導しても良いですが、
特に丸まり型の場合は、動きたくない感じの人が多くなります。

(8) 足の横側

 足の横側では、足の付け根で腸脛靭帯の裏側の凹み(足徹腹)、
大腿横側中央(風市)、膝裏H字状の凹みの外側で下腿側2,3
cmの所(下委陽)、その延長で脹ら脛が終わった辺りの凹み
(飛揚~外丘)、アキレス腱と外踝の間の踵の骨の上(陽大鐘)
などです。

 また、足が重なっていなければ、下になっている足の大腿部
の中央ライン(陰包など)、下腿の内側のライン(下陰谷、築
賓)、内踝の周りのツボ(大鐘、照海)も使えます。

 広い範囲で大きく凹む、大き目のツボは、四指でズラした方
がイイ感じの場合が多く、狭い範囲で小さく凹む、小さ目のツ
ボは、押し手広げや指先で沈+捻転がイイ感じのことが多いで
す(写真13)。

写真13

 付け足しは、経絡的に相関する指を反らしたり(写真14)、
指の関節部裏側横紋端のツボの指圧か「沈+捻転」の皮膚操体
などをします。

写真14

 言葉で上半身の上になっている腕や首(頭、顔)を動かして
もらう操体を誘導したりもできますが、動きたく無さそうな人
には声掛けしない方が良いでしょう。

(9) よく使うもの

 頭の方から順に書いてきましたが、操体は下半身から整えて
いくのが基本です。

 しかも、横向き寝の場合には、初めによりラクな姿勢になっ
てもらったときに、上になっている足指が痛くない姿勢になっ
てもらうと、下半身の姿勢が殆ど決まってしまい、下半身を動
かすことが少なくなってしまいます。

 こういう場合には、次に、胴体の4種八方向や体重移動など、
体の中心のバランスを整えていく操体をすると効果が上がりや
すいです。

 横向き寝の場合に、具体的に言えば、腰椎の4種8方向をす
ると、大きく変化していくことが多いです。

 というわけで、腰椎部の4種8方向が効果が出やすく、よく
使われます。

9.1.横向き捻れ型

 横向き捻れ型の場合には、脇腹の痞根・腰徹腹をそれぞれ反
対側にズラす操体です(写真15)。

写真15

 この場合、どちらか良くズレる方をズラし、ズレない方は外
して、手がラクに届く範囲で、ズレる方と関連する手足のツボ
と組み合わせたりするのもイイ感じが出やすいです。

 比較すると、腰骨側の腰徹腹の方がズレやすいことが多く、
下腿の下委陽~飛揚・外丘~陽大鐘、承筋~承山のツボと組み
合わせると、イイ感じのことが多いです。

 そして、動いてもらえそうなら、言葉で上になっている腕や
首を動かす操体をしてもらったりもします。

9.2. 横向き丸まり型

 横向き丸まり型の場合には、胴体が丸まりたいのを少し強調
するものです。

 例えば、上になっている脇腹のツボを腹側に寄せ合うもの
(写真16)、肩甲間部と仙骨に出ているツボを互いに離す方に
ズラすものなどです。

写真16

 ただ、そういう細かいものよりも、比較すると、手平で大き
くズラす方法の方を好む人が多いです。

 例えば、腰と肩の辺りを手平で包むようにして、胴全体を大
きくフンワリと丸めながら、少し腹側に倒していく感じの操体
(写真17)です。

写真17

 それ以外では、手平で肩甲間部と仙骨の周りの皮膚をフワーッ
と離す方にズラしていく操体なども好まれることが多いです。

 それで、指先での操体をしてイイ感じが余り増えないような
ら中止して、手平を使う操体に切り替えた方が良いと思います。


(10) 横向き寝の特徴

 もちろん、仰向けやうつ伏せで書いてきたように、ラクな姿
勢になってもらい、そのラクな姿勢での大腿と上腕の向きから、
ツボを予測してもよいです。

 しかし、横向き寝の場合には、横向き捻れか、横向き丸まり
か、どちらかがラクな姿勢なことがとても多く、(9)に書いた
ようなことをしていると、うつ伏せか仰向けに姿勢が変わって
しまうことが多いです。

 それで、うつ伏せや仰向けに比べると、他のものを使うこと
が少なくなります。

 この前、左額関節症の人で、左頭部、左額から顔面などの患
部に出ているツボや皮膚のズレやすい所も使いながら、40分位
左上横向き寝の姿勢で皮膚操体を続ける経験をしました。

 が、そういうことは比較的珍しく、せいぜい10〜20分位で
別の寝方になっていく人が多いです.

(11) おわりに

 これで、ラクな寝方からの操体を終えて、次回からは「III.
操体で一通り治療する」に入ります。

 ラクな寝方からの操体が長くなってしまい、退屈されてしまっ
た人も多いと思います。が、臨床の場で操体を使いこなしてい
くためには、このラクな寝方からの操体が基本になりますので、
繰り返し練習して、しっかり身に付けてください。


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最終更新:2017年02月25日 13:41