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術伝流操体 [2]ラクな寝方をすこし強調 (10)ラクな寝方から連続操体
&size(24){&color(green){ラクな寝方から連続操体}}
------
#contents
これまで寝方別に動き、皮膚、重さの操体を解説してきまし
た。今回は、そのラクな寝方から操体を連続して施術する方法
を解説します。
操体を臨床の場で使いこなしていくときには、メインとなる
手段ですので、よく理解して、しっかり身に付けてください。
*1.ラク寝からの連続操体の手順
ラクな寝方からの連続操体の手順は以下の通りです。
初めに「姿勢を変えたくなったら、どんどん変えて構いませ
ん。ただ、ユックリ動いてください。」と声を掛けておきます。
それから、連続して操体をしていきます。
(1)ラクな寝方になってもらう
(2)イイ感じを探し、切っ掛けにする
(3)色々な付け足をして、イイ感じを増やす
(4)イイ感じがあるか確かめ、味わい続ける
(5)姿勢を変えたくなったら終え、次へ
(…)(1)〜(5)を繰り返す
これから、(1)〜(5)を、詳しく説明していきます。
*2.ラクな寝方が分からないときは、横向きから
ラクな寝方が分かる人が相手なら、その寝方を少し強調する
ように操体していきますが、ラクな寝方が分からないと言う人
もいます。
そういうラクな寝方に成れない人には、先ず横向き寝の操体
(写真1)から始めると、上手くいくことが多いです。
&ref(p操体あ0810#01.jpg)写真1
前にも書きましたように、身に付けていくときには、寝方は、
仰向け、うつ伏せ、横向きの順で練習していく方が分かりやす
いし、修得しやすいです。が、実際に臨床の場で操体するとき
には、これと逆の順序の方が効率が良いことが多くなります。
つまり、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で操体していきます。
もちろん、イイ感じが自分で明確に分かる人なら、その人が
感じるラクな寝方から始めても、余り効率に影響しません。が、
現代では歪みも多いせいか、初めからイイ感じが分からない人
も多いです。それで、受け手がラクな寝方が分からないような
ら、横向きから始めた方が効率が良い場合が多いです。
寝方が横向きからが良いのは、おそらく、歪みが大きくなる
程、横向き寝がラクな人が多くなることに由来するようです。
歪みが少ない人は仰向けで寝るのがラクな人が多く、歪みが増
えていくとうつ伏せを好む人が増え、もっと歪みが多くなると
横向きを好む人が多いという傾向が有ります。
それで、歪みの多い人は、最初に仰向けで操体してもイイ感
じが分からなくて、タワメの間が上手く見付からないことが多
いです。
*3.足指を痛くしてよりラクになってもらう
横向き寝になってもらったら、今までも説明してきたように
足指裏の痼りを少し痛くして逃げてもらい、足指裏の痛さが減
る姿勢になってもらいます(写真2)。
&ref(p操体あ0810#02.jpg)写真2
その姿勢の方がよりラクなことが多いからです。
*4.ラクな姿勢を強調するとイイ感じなことが多い
今まで寝方別操体で説明してきたようにラクな姿勢、特に足
指を少し痛くしてよりラクになった姿勢を少し強調するとイイ
感じがあって、そのままタワメの間に入っていくことが多いで
す。
ですから、今まで寝方別に説明してきた定番の操体の姿勢に
近い姿勢なら、それを先ず試してみるのが良いと思います。試
してイイ感じならやってみて、姿勢が変わったら、また、近い
ものをやってみればよいだけです。
問題なのは、受け手が操体慣れしていなくてイイ感じが分か
らない場合と、初めて見る姿勢になった場合です。
*5.イイ感じが分からないときには、重さ、皮膚、動きの順で定番を
操者がラクな姿勢から定番の操体を思い浮べられなかったり、
思い浮んでも試してみて受け手がイイ感じが分からない場合に
は、重さ、皮膚、動きの順で定番をしていきます。
練習のときは、動き、皮膚、重さの順でしましたが、それは
その方が理解しやすいし、修得しやすいからです。臨床のとき
には、重さ、皮膚、動きの順でした方が効率が良い場合が多い
ので、そうしています。
つまり、重さの操体を先ずして、それから皮膚や動きの操体
という順番の方が、現在では、全体の施術時間が短縮できるこ
とが多いし、受け手の満足度も高いことが多いし、効果も上が
りやすくなるということです。
これは、重さの操体というのは、体重移動を切っ掛けにして
いるので、体の歪みの基本調整になるからだと思います。体重
の移動は、体の中心、重心を移動するということです。地球の
上で引力に従って活動しているヒトという動物にとって、その
重心のズレは、体の歪みの基本に関わっています。
経絡、特に十四経は、立位での重力負荷分担であることも関
係しています。
動きや皮膚の操体をしてから重さの操体をして、重心の調整
をすると、先に動きや皮膚の操体で調整した体のバランスが少
し違ってくるせいか、もう一度、動きや皮膚の操体をしたくなっ
てしまうことも多いように思います。
そういう理由で、ラクな寝方が分からない人には、横向き、
うつ伏せ、仰向けの順で、重さ、皮膚、動きの順で操体します。
つまり、ラクな寝方も分からないし、どうするとイイ感じか分
からない人が受け手の場合には、横向き寝からの重さの操体か
ら始めるということです(写真3)。
&ref(p操体あ0810#03.jpg)写真3
ただし、実際には、横向き寝の場合には、重さの操体を単独
で…と言うよりも、皮膚の操体も交えたものになってしまうこ
とが多いです。
ただ、どういう操体をしていいか分からなくなったら、先ず
重さの操体が試せないか考えてみたり、重さの掛け方を意識し
て皮膚操体してみるという選択肢を思い出すようにしてくださ
い。
そして、重さの操体で済んでしまうことは、皮膚や動きの操
体では省略することが多くなります。また、皮膚の操体で済ん
でしまうことは、動きの操体では省略することが多くなります。
また、現在では、動きの操体よりも、それと同じタワメの間
になる皮膚の操体を好まれる人が多いので、ラクな動きを確か
めてから、それを少し強調する皮膚の操体をすることが多くな
ります。
例えば、仰向けからの踵踏み込みは、肩の方に体重を移すこ
とで済んでしまうので、動きの操体としてはしないことが多い
です。
膝倒し、踵突き出しなどの足伸ばし、うつ伏せからの足伸ば
し代わりの尻叩きなどは、ラクな方に軽く動かした後は、それ
をほんの少し強調する皮膚の操体でしてしまいます。それで、
動きの操体としては確認程度になることが多いです。
結局、仰向けからの動きの操体として残るのは、膝裏痼り取
りのための膝裏の痼りを痛くして逃げてもらう操体(写真4)
位のことが多くなります。
&ref(p操体あ0810#04.jpg)写真4
この辺り、詳しくは、仰向けからの操体を読み直してください。
*6.初めて見る姿勢になったら
ラクな姿勢を強調すると言っても、今まで寝方別に説明して
きた定番の操体の姿勢に近い姿勢なら、それをしてみるのが良
いと思います。今まで見たことの無い、初めて見る姿勢になっ
たら、どうするか、いくつかコツがあります。
**1)伸びようとしているラインを伸ばす
初めて見る姿勢になったときに、最初に目を付けるのは、そ
の姿勢で体が伸ばしたがっているラインは何処かということで
す。
操体はアクビやノビの様式化で、赤ちゃんのときには無意識
で動いていたことを思い出すだけです。
ですから、操体のタワメの間は、アクビやノビでイイ感じに
なったときに暫(しばら)く同じ姿勢を続けるときの状態と同
じです。ノビという言葉で表現されるように、そういう暫く同
じ姿勢が続いているときには、体の何処かのラインが伸ばされ
続けています。
そのとき体が伸ばしたがっているラインをより伸ばしてあげ
ればイイ感じのことが多く、腹の息も直ぐに深くなることが多
いです。
最も現在では、伸ばすと言っても動きの操体でするよりも皮
膚の操体をする方がよりイイ感じという人が多いので、伸ばす
ことに連動するように皮膚をズラすことが多くなります。
例えば、仰向けで膝を曲げて倒し大腿内側を上に向けている
(写真5)の場合には、その上になっている大腿内側が伸びる
ように、大腿の膝近くの皮膚を膝の方にズラす(写真6)のが
イイ感じの切っ掛けになることが多いです。
&ref(p操体あ0810#05.jpg)写真5
&ref(p操体あ0810#06.jpg)写真6
その時に体が伸ばそうとしているライン上で、釣り合ってい
る互いに逆向きの二つの力の向きと、それら二つの力の境目を、
その2つを見付けるようにしてください。
それが分かると、よりイイ感じにしやすいです。その境目を
基準にして、伸びようとしている向きに沿って、互いに反対方
向になるように皮膚をズラすとイイ感じになります。
ただし、受け手の胴体の重さが反対方向の力になっていると
きには、片方の方向にズラすだけで済んでしまうことも多いで
す(写真6)。
ref(p操体あ0810#06.jpg)写真6
もちろん、こういう場合にも反対側に手を添えて、より伸ば
すことを強調することができます(写真7)。
&ref(p操体あ0810#07.jpg)写真7
どちらが良いかは受け手によります。例えば、異性で初めて
の人の場合には、下腹部に近い所を触れられると緊張してしま
う場合も有り、そういう場合には、触れない方が良い場合が多
くなります。
伸ばすのが実行しにくい場合には、それと反対側を縮めるこ
とを実行することもあります。伸びようとしている所と縮もう
としている所は、前後左右表裏の対称関係になっています。
**2)体が変えたがっている所を見付ける
体が変えたがっている所は、伸ばそうとしている所以外にも
あるかもしれません。足首、膝、大腿、上腕などの位置や向き
から、動きやすそうな所、皮膚がズレやすそうな所、体が今変
えたがっている所を探していきます。
足首や膝の位置や方向が左右で違えば、その差を強調してみ
ることが考えられます。
例えば、仰向けで足の倒れ具合が違えば(写真8)、倒れて
いる方の足の膝裏外側に痼りがないか確かめます。(写真9)
&ref(p操体あ0810#08.jpg)写真8
&ref(p操体あ0810#09.jpg)写真9
膝裏に痼りが有れば、その痼りから逃げる操体をしてみる
(写真10)ことなどが考えられます。
&ref(p操体あ0810#10.jpg)写真10
大腿屋上腕の向きの延長線上や、それと直交したり平行した
りする線上と背骨が交わる辺りにツボが出やすいことも、今ま
で寝方別で説明してきた通りです。
例えば、うつ伏せで肘を肩と同じ以上に挙げている場合(写
真11)には、顔の向いている側の腕の延長の華陀経にツボが出
ていることが多いです。
&ref(p操体あ0810#11.jpg)写真11
それで、そちらの肘を持ち上げる操体を切っ掛けに、指反ら
しとそのツボへの指圧を付け加える(写真12)とイイ感じなこ
とが多いです。
&ref(p操体あ0810#12.jpg)写真12
背骨の捻れ曲がりも目安になります。特に腰椎の部分は、胴
体の前屈後屈、左右捻転などの境目なので、よく調べてみてく
ださい。腰椎の次は頚椎ですね。特に首から上の症状を訴える
人は首の筋肉に痼りが出ている場合が多いです。
首や胴体の歪みと経絡的に関係のある手足のツボも一緒に使
うと効果が上がりやすいです。例えば、関係する手足の指を反
らすとか。
*3)仰向け大の字に近くなったら
操体してイイ感じのタワメの間を幾つか味わっていると、仰
向け大の字に近い格好になる時があります。そういう時には、
その姿勢で、仰向け大の字と違っている所を強調すると、イイ
感じが味わえることが多いです。
例えば、片足の膝だけ少し曲がって下腿の内側が上を向いて
いるとき(写真13)は、下腿内側に痼りがある場合が多いです。
&ref(p操体あ0810#13.jpg)写真13
下腿内側の痼りを確かめ、その痼りとその経絡的な関係のあ
る指など足首から先を利用する操体をしていく(写真14)と、
より仰向け大の字に近付くことが多いです。
&ref(p操体あ0810#14.jpg)写真14
*7.付け足してイイ感じを増やすコツ
切っ掛けが決まったら、それに付け足してイイ感じを増やし
て行きますが、イイ感じを付け足すコツは、先ず何と言っても
窮屈そうに見える所を動かしてもらうことです。
そんなの分からないと言わずに、それを何時か分かるように
なろうと言う感じで、操体中の受け手を眺めるようにしてくだ
さい。だんだん分かるようになっていきます。
窮屈そうな所は、受け手の体は、何とかして変えたがってい
ます。ですから、声を掛けるだけでイイ感じを探して動いてく
れることが多いので、操者はラクです。
具体的な目の付け所としては、手首、足首の位置や向き(足
首の場合は、反り具合も)、膝の曲がり倒れ、顔の向き、大腿
上腕の向き、背骨の特に腰椎の部分の捻れ曲がり具合などです。
そういう所を少し強調してもらったり、窮屈そうなら変えて
もらったりします。
そして、そういう所と経絡的に関係する手足、特に肘膝から
先のツボに皮膚操体や指圧をしてみたり、経絡的に関係する指
を反らしたりも試してみてください。
この辺りは、今まで書いてきた寝方別の操体を読み直してみ
てください。
*8.イイ感じなら、腹の息が深くなる
今までも何度も書いてきたように、イイ感じのタワメの間に
入ると、腹の息が深くなります。痼りに触れていれば、痼りが
弛んだり、痼りの周りで動悸がしたり温かくなったりするのを
感じることが多いですし、姿勢も余り変わらなくなります。
現在では、その日に体が求めているタワメの間に入ると、そ
のまま10分以上姿勢を変えたがらないで、そのままの格好をし
続けるということが、結構、多いです。
*9.姿勢を変えたくなったら、次へ
姿勢を大きく変えたくなったら、その操体を終わりにして良
い合図で、またラクな姿勢を探して、新しいラクな姿勢から次
の操体をします。
ラクな寝方が分からない人は、既に書いたように、横向き、
うつ伏せ、仰向けの順で寝方を変えて、重さ、皮膚、動きの順
で操体をしていきます。
いつまでもラクな寝方が分からないと言う人も居ますが、途
中でラクな寝方が分かる人が多いです。
そんな風にして、ラクな寝方からの操体を連続していきます。
*10.頻繁に見られる二つの例
私は、今まで書いてきたように、ラクな寝方からの操体を連
続していくことを、臨床の場で操体を中心に施術していく場合
の主な手段にしています。そして、受け手がとても喜んでくだ
さることが多いです。
それで、読んでいる皆さんにも、ぜひ身に付けて、臨床の場
で生かして欲しいと思っています。
とは言っても、読んでいるだけでは分からない人もいると思
うので、次回、次々回で、連続操体をしていくときに、よく見
られる例を二つ解説します。
ラクな寝方が分からない人を横向きの操体から始めた場合の
頻繁に見られる例です。ただし、実際に受け手にラクな姿勢を
次々探していってもらった例なので、最も頻繁にあるケースと
は少し違っているという点は理解するようにしてください。
つぎへ>>>[[術伝流操体no.22]]
-----
>>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]
>>>このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.21]]
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術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。
よろしくおねがいします。
術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ
(この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe)
(「あま」を「@」に、「ググ」を「googlegroups」に、)
(「どこ」を「.com」に変えて送信してください。 )
(面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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術伝流操体 [2]ラクな寝方をすこし強調 (10)ラクな寝方から連続操体
&size(24){&color(green){ラクな寝方から連続操体}}
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#contents
これまで寝方別に動き、皮膚、重さの操体を解説してきまし
た。今回は、そのラクな寝方から操体を連続して施術する方法
を解説します。
操体を臨床の場で使いこなしていくときには、メインとなる
手段ですので、よく理解して、しっかり身に付けてください。
*1.ラク寝からの連続操体の手順
ラクな寝方からの連続操体の手順は以下の通りです。
初めに「姿勢を変えたくなったら、どんどん変えて構いませ
ん。ただ、ユックリ動いてください。」と声を掛けておきます。
それから、連続して操体をしていきます。
(1)ラクな寝方になってもらう
(2)イイ感じを探し、切っ掛けにする
(3)色々な付け足をして、イイ感じを増やす
(4)イイ感じがあるか確かめ、味わい続ける
(5)姿勢を変えたくなったら終え、次へ
(…)(1)〜(5)を繰り返す
これから、(1)〜(5)を、詳しく説明していきます。
*2.ラクな寝方が分からないときは、横向きから
ラクな寝方が分かる人が相手なら、その寝方を少し強調する
ように操体していきますが、ラクな寝方が分からないと言う人
もいます。
そういうラクな寝方に成れない人には、先ず横向き寝の操体
(写真1)から始めると、上手くいくことが多いです。
&ref(p操体あ0810#01.jpg)写真1
前にも書きましたように、身に付けていくときには、寝方は、
仰向け、うつ伏せ、横向きの順で練習していく方が分かりやす
いし、修得しやすいです。が、実際に臨床の場で操体するとき
には、これと逆の順序の方が効率が良いことが多くなります。
つまり、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で操体していきます。
もちろん、イイ感じが自分で明確に分かる人なら、その人が
感じるラクな寝方から始めても、余り効率に影響しません。が、
現代では歪みも多いせいか、初めからイイ感じが分からない人
も多いです。それで、受け手がラクな寝方が分からないような
ら、横向きから始めた方が効率が良い場合が多いです。
寝方が横向きからが良いのは、おそらく、歪みが大きくなる
程、横向き寝がラクな人が多くなることに由来するようです。
歪みが少ない人は仰向けで寝るのがラクな人が多く、歪みが増
えていくとうつ伏せを好む人が増え、もっと歪みが多くなると
横向きを好む人が多いという傾向が有ります。
それで、歪みの多い人は、最初に仰向けで操体してもイイ感
じが分からなくて、タワメの間が上手く見付からないことが多
いです。
*3.足指を痛くしてよりラクになってもらう
横向き寝になってもらったら、今までも説明してきたように
足指裏の痼りを少し痛くして逃げてもらい、足指裏の痛さが減
る姿勢になってもらいます(写真2)。
&ref(p操体あ0810#02.jpg)写真2
その姿勢の方がよりラクなことが多いからです。
*4.ラクな姿勢を強調するとイイ感じなことが多い
今まで寝方別操体で説明してきたようにラクな姿勢、特に足
指を少し痛くしてよりラクになった姿勢を少し強調するとイイ
感じがあって、そのままタワメの間に入っていくことが多いで
す。
ですから、今まで寝方別に説明してきた定番の操体の姿勢に
近い姿勢なら、それを先ず試してみるのが良いと思います。試
してイイ感じならやってみて、姿勢が変わったら、また、近い
ものをやってみればよいだけです。
問題なのは、受け手が操体慣れしていなくてイイ感じが分か
らない場合と、初めて見る姿勢になった場合です。
*5.イイ感じが分からないときには、重さ、皮膚、動きの順で定番を
操者がラクな姿勢から定番の操体を思い浮べられなかったり、
思い浮んでも試してみて受け手がイイ感じが分からない場合に
は、重さ、皮膚、動きの順で定番をしていきます。
練習のときは、動き、皮膚、重さの順でしましたが、それは
その方が理解しやすいし、修得しやすいからです。臨床のとき
には、重さ、皮膚、動きの順でした方が効率が良い場合が多い
ので、そうしています。
つまり、重さの操体を先ずして、それから皮膚や動きの操体
という順番の方が、現在では、全体の施術時間が短縮できるこ
とが多いし、受け手の満足度も高いことが多いし、効果も上が
りやすくなるということです。
これは、重さの操体というのは、体重移動を切っ掛けにして
いるので、体の歪みの基本調整になるからだと思います。体重
の移動は、体の中心、重心を移動するということです。地球の
上で引力に従って活動しているヒトという動物にとって、その
重心のズレは、体の歪みの基本に関わっています。
経絡、特に十四経は、立位での重力負荷分担であることも関
係しています。
動きや皮膚の操体をしてから重さの操体をして、重心の調整
をすると、先に動きや皮膚の操体で調整した体のバランスが少
し違ってくるせいか、もう一度、動きや皮膚の操体をしたくなっ
てしまうことも多いように思います。
そういう理由で、ラクな寝方が分からない人には、横向き、
うつ伏せ、仰向けの順で、重さ、皮膚、動きの順で操体します。
つまり、ラクな寝方も分からないし、どうするとイイ感じか分
からない人が受け手の場合には、横向き寝からの重さの操体か
ら始めるということです(写真3)。
&ref(p操体あ0810#03.jpg)写真3
ただし、実際には、横向き寝の場合には、重さの操体を単独
で…と言うよりも、皮膚の操体も交えたものになってしまうこ
とが多いです。
ただ、どういう操体をしていいか分からなくなったら、先ず
重さの操体が試せないか考えてみたり、重さの掛け方を意識し
て皮膚操体してみるという選択肢を思い出すようにしてくださ
い。
そして、重さの操体で済んでしまうことは、皮膚や動きの操
体では省略することが多くなります。また、皮膚の操体で済ん
でしまうことは、動きの操体では省略することが多くなります。
また、現在では、動きの操体よりも、それと同じタワメの間
になる皮膚の操体を好まれる人が多いので、ラクな動きを確か
めてから、それを少し強調する皮膚の操体をすることが多くな
ります。
例えば、仰向けからの踵踏み込みは、肩の方に体重を移すこ
とで済んでしまうので、動きの操体としてはしないことが多い
です。
膝倒し、踵突き出しなどの足伸ばし、うつ伏せからの足伸ば
し代わりの尻叩きなどは、ラクな方に軽く動かした後は、それ
をほんの少し強調する皮膚の操体でしてしまいます。それで、
動きの操体としては確認程度になることが多いです。
結局、仰向けからの動きの操体として残るのは、膝裏痼り取
りのための膝裏の痼りを痛くして逃げてもらう操体(写真4)
位のことが多くなります。
&ref(p操体あ0810#04.jpg)写真4
この辺り、詳しくは、仰向けからの操体を読み直してください。
*6.初めて見る姿勢になったら
ラクな姿勢を強調すると言っても、今まで寝方別に説明して
きた定番の操体の姿勢に近い姿勢なら、それをしてみるのが良
いと思います。今まで見たことの無い、初めて見る姿勢になっ
たら、どうするか、いくつかコツがあります。
**1)伸びようとしているラインを伸ばす
初めて見る姿勢になったときに、最初に目を付けるのは、そ
の姿勢で体が伸ばしたがっているラインは何処かということで
す。
操体はアクビやノビの様式化で、赤ちゃんのときには無意識
で動いていたことを思い出すだけです。
ですから、操体のタワメの間は、アクビやノビでイイ感じに
なったときに暫(しばら)く同じ姿勢を続けるときの状態と同
じです。ノビという言葉で表現されるように、そういう暫く同
じ姿勢が続いているときには、体の何処かのラインが伸ばされ
続けています。
そのとき体が伸ばしたがっているラインをより伸ばしてあげ
ればイイ感じのことが多く、腹の息も直ぐに深くなることが多
いです。
最も現在では、伸ばすと言っても動きの操体でするよりも皮
膚の操体をする方がよりイイ感じという人が多いので、伸ばす
ことに連動するように皮膚をズラすことが多くなります。
例えば、仰向けで膝を曲げて倒し大腿内側を上に向けている
(写真5)の場合には、その上になっている大腿内側が伸びる
ように、大腿の膝近くの皮膚を膝の方にズラす(写真6)のが
イイ感じの切っ掛けになることが多いです。
&ref(p操体あ0810#05.jpg)写真5
&ref(p操体あ0810#06.jpg)写真6
その時に体が伸ばそうとしているライン上で、釣り合ってい
る互いに逆向きの二つの力の向きと、それら二つの力の境目を、
その2つを見付けるようにしてください。
それが分かると、よりイイ感じにしやすいです。その境目を
基準にして、伸びようとしている向きに沿って、互いに反対方
向になるように皮膚をズラすとイイ感じになります。
ただし、受け手の胴体の重さが反対方向の力になっていると
きには、片方の方向にズラすだけで済んでしまうことも多いで
す(写真6)。
ref(p操体あ0810#06.jpg)写真6
もちろん、こういう場合にも反対側に手を添えて、より伸ば
すことを強調することができます(写真7)。
&ref(p操体あ0810#07.jpg)写真7
どちらが良いかは受け手によります。例えば、異性で初めて
の人の場合には、下腹部に近い所を触れられると緊張してしま
う場合も有り、そういう場合には、触れない方が良い場合が多
くなります。
伸ばすのが実行しにくい場合には、それと反対側を縮めるこ
とを実行することもあります。伸びようとしている所と縮もう
としている所は、前後左右表裏の対称関係になっています。
**2)体が変えたがっている所を見付ける
体が変えたがっている所は、伸ばそうとしている所以外にも
あるかもしれません。足首、膝、大腿、上腕などの位置や向き
から、動きやすそうな所、皮膚がズレやすそうな所、体が今変
えたがっている所を探していきます。
足首や膝の位置や方向が左右で違えば、その差を強調してみ
ることが考えられます。
例えば、仰向けで足の倒れ具合が違えば(写真8)、倒れて
いる方の足の膝裏外側に痼りがないか確かめます。(写真9)
&ref(p操体あ0810#08.jpg)写真8
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膝裏に痼りが有れば、その痼りから逃げる操体をしてみる
(写真10)ことなどが考えられます。
&ref(p操体あ0810#10.jpg)写真10
大腿屋上腕の向きの延長線上や、それと直交したり平行した
りする線上と背骨が交わる辺りにツボが出やすいことも、今ま
で寝方別で説明してきた通りです。
例えば、うつ伏せで肘を肩と同じ以上に挙げている場合(写
真11)には、顔の向いている側の腕の延長の華陀経にツボが出
ていることが多いです。
&ref(p操体あ0810#11.jpg)写真11
それで、そちらの肘を持ち上げる操体を切っ掛けに、指反ら
しとそのツボへの指圧を付け加える(写真12)とイイ感じなこ
とが多いです。
&ref(p操体あ0810#12.jpg)写真12
背骨の捻れ曲がりも目安になります。特に腰椎の部分は、胴
体の前屈後屈、左右捻転などの境目なので、よく調べてみてく
ださい。腰椎の次は頚椎ですね。特に首から上の症状を訴える
人は首の筋肉に痼りが出ている場合が多いです。
首や胴体の歪みと経絡的に関係のある手足のツボも一緒に使
うと効果が上がりやすいです。例えば、関係する手足の指を反
らすとか。
*3)仰向け大の字に近くなったら
操体してイイ感じのタワメの間を幾つか味わっていると、仰
向け大の字に近い格好になる時があります。そういう時には、
その姿勢で、仰向け大の字と違っている所を強調すると、イイ
感じが味わえることが多いです。
例えば、片足の膝だけ少し曲がって下腿の内側が上を向いて
いるとき(写真13)は、下腿内側に痼りがある場合が多いです。
&ref(p操体あ0810#13.jpg)写真13
下腿内側の痼りを確かめ、その痼りとその経絡的な関係のあ
る指など足首から先を利用する操体をしていく(写真14)と、
より仰向け大の字に近付くことが多いです。
&ref(p操体あ0810#14.jpg)写真14
*7.付け足してイイ感じを増やすコツ
切っ掛けが決まったら、それに付け足してイイ感じを増やし
て行きますが、イイ感じを付け足すコツは、先ず何と言っても
窮屈そうに見える所を動かしてもらうことです。
そんなの分からないと言わずに、それを何時か分かるように
なろうと言う感じで、操体中の受け手を眺めるようにしてくだ
さい。だんだん分かるようになっていきます。
窮屈そうな所は、受け手の体は、何とかして変えたがってい
ます。ですから、声を掛けるだけでイイ感じを探して動いてく
れることが多いので、操者はラクです。
具体的な目の付け所としては、手首、足首の位置や向き(足
首の場合は、反り具合も)、膝の曲がり倒れ、顔の向き、大腿
上腕の向き、背骨の特に腰椎の部分の捻れ曲がり具合などです。
そういう所を少し強調してもらったり、窮屈そうなら変えて
もらったりします。
そして、そういう所と経絡的に関係する手足、特に肘膝から
先のツボに皮膚操体や指圧をしてみたり、経絡的に関係する指
を反らしたりも試してみてください。
この辺りは、今まで書いてきた寝方別の操体を読み直してみ
てください。
*8.イイ感じなら、腹の息が深くなる
今までも何度も書いてきたように、イイ感じのタワメの間に
入ると、腹の息が深くなります。痼りに触れていれば、痼りが
弛んだり、痼りの周りで動悸がしたり温かくなったりするのを
感じることが多いですし、姿勢も余り変わらなくなります。
現在では、その日に体が求めているタワメの間に入ると、そ
のまま10分以上姿勢を変えたがらないで、そのままの格好をし
続けるということが、結構、多いです。
*9.姿勢を変えたくなったら、次へ
姿勢を大きく変えたくなったら、その操体を終わりにして良
い合図で、またラクな姿勢を探して、新しいラクな姿勢から次
の操体をします。
ラクな寝方が分からない人は、既に書いたように、横向き、
うつ伏せ、仰向けの順で寝方を変えて、重さ、皮膚、動きの順
で操体をしていきます。
いつまでもラクな寝方が分からないと言う人も居ますが、途
中でラクな寝方が分かる人が多いです。
そんな風にして、ラクな寝方からの操体を連続していきます。
*10.頻繁に見られる二つの例
私は、今まで書いてきたように、ラクな寝方からの操体を連
続していくことを、臨床の場で操体を中心に施術していく場合
の主な手段にしています。そして、受け手がとても喜んでくだ
さることが多いです。
それで、読んでいる皆さんにも、ぜひ身に付けて、臨床の場
で生かして欲しいと思っています。
とは言っても、読んでいるだけでは分からない人もいると思
うので、次回、次々回で、連続操体をしていくときに、よく見
られる例を二つ解説します。
ラクな寝方が分からない人を横向きの操体から始めた場合の
頻繁に見られる例です。ただし、実際に受け手にラクな姿勢を
次々探していってもらった例なので、最も頻繁にあるケースと
は少し違っているという点は理解するようにしてください。
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