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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流・先急一本鍼・運動器偏 18.頭部の打撲に灸など &size(24){&color(green){頭部の打撲に灸など}} ------ #contents *(1)はじめに  今月から「養生の一本鍼」に入ろうかと思っていましたが、 興味深い症例を体験しましたので、その報告をします。 *(2)忘れていた頭頂部の打撲  頭頂部の辺りが痛いということでした。患者さんが指差す辺 りを調べてみたら、傷のような感じになっていました(写真1)。 そのことを伝え、心当たりがないか聞いてみたら、3日前に打 撲したとのことでした。 &ref(DSCF1213.JPG)写真1  そのときは痛くなかったとのことで忘れていたようで、当日 の朝から痛みを感じたそうでした。こういう打撲したときは、 痛みが出ずに、しばらくして痛みが出てくる打撲は、古傷にな りやすいです。打撲したときは、あまりに強い衝撃のため麻痺 してしまうようです。  交通事故のときなどは、1ヶ月後に痛み出すこともあると聞 きます。  私自身20代に、左肩甲骨下部を打撲し、1週間後に痛み出し ました。そして、その後遺症で、冷房の中に長時間いると、左 手の握力が殆ど無くなったり、疲れると左上半身が痛くて動か せなくなったりという状態が続きました。  40代の頃から、鍼灸、特に灸頭鍼をして、そういう状態は だいぶ軽減しましたが、残っていました。  50代初めにした脳梗塞の再発予防として、漢方の専門医に 勧められて、駆瘀血剤(桂枝茯苓丸)を服用しました。そした ら、その御陰(副効用?)で、打撲の後遺症が改善し、今は少 し違和感が有る程度です。  こういうのは、外傷性瘀血証だそうで、若い頃に打撲捻挫や 手術した人がなりやすいと聞きました。その漢方医は、長嶋茂 雄さんの医療チームの一員で、長嶋さんの脳梗塞も瘀血証が素 因の可能性が高いとのことでした。  そういう経験を話し、注意を促した後で、治療に入りました。 *(3)準備の引き鍼  先ずは準備として、いつものように、手甲に引き鍼。頭の傷 の場所から、手甲の中で、だいたいツボの出ていそうな所を予 測し、出ていたツボに引き鍼しました(写真2)。 &ref(DSCF1203.JPG)写真2  その後、頭頂部ということで、「頭頂部の頭痛は、足厥陰」 ということを思い出し、足厥陰にツボを探してみました。急性 症状なので、足厥陰の急性症状のときに、よくツボの出る、蠡 溝、中封、太衝を調べました(写真3、4、5)。 &ref(DSCF1206.JPG)写真3 &ref(DSCF1207.JPG)写真4 &ref(DSCF1208.JPG)写真5  比較すると、中封が痛いということで、そこに刺鍼しながら 運動鍼のように首を動かしてもらいました(写真6、7)。 &ref(DSCF1209.JPG)写真6 &ref(DSCF1211.JPG)写真7  刺鍼後患部を見たら、邪気が引けたせいか、傷跡の色が少し 薄くなっていました(写真8)。 &ref(DSCF1214.JPG)写真8 *(4)患部の散鍼と棒灸  次に、熱を散らし、患部の代謝を促すために、患部の周りを 散鍼しました(写真9)。 &ref(DSCF1215.JPG)写真9  こういう打撲の場合には、瘀血の処理を促すために、炎症が ある程度治まったら、灸頭鍼をすることにしています。今回の 場合は、場所が、頭頂部で、直ぐ下が頭蓋骨なので、灸頭鍼は しにくいので、棒灸で炙ってみることにしました。  試してみたら、温かい感じがするということで続けました (写真10、11)。 &ref(DSCF1217.JPG)写真10 &ref(DSCF1219.JPG)写真11  その後に患部を見たら、温まったのか明るいピンク色になり、 傷跡の色も、また少し薄くなっていました(写真12)。 &ref(DSCF1220.JPG)写真12 *(5)仕上げ  先急の手順通りに、仕上げとして、手甲の八邪に出ていたツ ボに刺鍼し、邪気を引いておきました(写真13)。 &ref(DSCF1221.JPG)写真13  次の日に治療後の様子を聞くためにメールをしてみました。 そしたら、 「頭の痛みは殆ど感じなくなりました。治療当日は少し頭が重 い感じがしたが、ドーゼオーバーではなかったです。頭に傷が あることさえ認識していませんでしたし、原因が分かり良かっ たです」 との返事が来ました。 *(6)「四畔の灸」と灸頭鍼  こういう打撲には、いわゆる「四畔の灸」も効果的です(特 に、タンコブのように腫れた場合)。今回のように、頭部で髪 の毛が生えている場所には難しいですが。  腫れたりブヨブヨになっている部分と正常な部分の境目のラ イン上にツボ探し棒を滑らし、凹んでいる所を見付けます。た いてい1,2cmおきにツボが出ています。そこに、糸状灸や手指 用糸艾を立ててから、一気に点火します。 &ref(DSCF1039.JPG)写真14 &ref(DSCF1041.JPG)写真15  私は、その後に、中心にも1壮施灸することにしています。 その方が改善が進みやすいからです。 &ref(DSCF1042.JPG)写真16  また、患部と経絡的に関係する指の井穴や骨空にツボが出て いれば、そこにも施灸しておくと、より改善が進みやすいよう に思います。  多くの場合、次の日に、黄色い輪が患部の周りに出現します。 ヘモグロビンがビリルビンに変化したものが黄色い輪になって 見えるようです。そして、打撲した痕の青痣は、だんだん薄く なり、押したときの痛みも減っていきます。  また、腫れたりしていた患部の範囲が毎日狭くなっていくの で、四畔の灸をする場所をそれに合わせて変更していく必要が あります。四畔の灸をするたびに、正常な部分と正常でない部 分をよく確かめ、その境目にツボを探すようにしてください。  また、先にも書きましたように、灸頭鍼も効果的です。刺鍼 したときには出血しなくても、灸頭鍼した後に抜鍼すると、血 がタラリと出てくることが多いです。奥に溜まっていた瘀血が 揺り動かされて出てきたのかなと思います。出てきた血を注意 して処理するようにしてください。 追記:2016.8.15  比較すると、「"棒灸での炙り"や"温灸"や"四畔の灸"は、 浅い部分の瘀血に効果的」、「"灸頭鍼"は、深い部分の瘀血に 効果的」と言えます。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.19]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.18]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想、間違いなどありましたら、術伝事務局までメールをください。 よろしくおねがいします。 術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ (この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) (「あま」を「@」に、)(以下無視kuaniu、nteyu、lPpkiumo) (「ググ」を「googlegroups」に、)(以下無視mesiun、kiuen) (「どこ」を「.com」に変えて送信してください。) (面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
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