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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流操体no.57 【5】応用篇 (10)障碍をもった人への操体 &size(24){&color(green){障碍をもった人への操体}} ------ #contents *1.はじめに  今回は、脳性麻痺など障碍をもった人に対する操体です。  私の次男は、23週626gで生まれた超未熟児で、6か月入院し て帰ってきたときには、酸素ボンベからのチューブを鼻の下に付 けていました。肺の機能不全だったからです。また、脳性麻痺で した。  そういう次男を育てていく上で、操体は、とても役に立ちまし た。くすぐり操体を2カ月ほどしたら、酸素ボンベを外して良い ことになりました。内反尖足を強調する操体を続けたら、歩行が 安定するようになっていきました。 *2.麻痺など障碍のある人への操体の基本  こういう麻痺など障碍のある人への操体では、以下の3つが基 本です。 (1)反応のある所をしてみる (2)ラクな姿勢を強調する (3)歩行下手なら、胴体の歪みを優先 **2.1. 反応のある所をしてみる  前にも書いたと思いますが、酸素ボンべを付けていた頃の次男 は、肺の募穴である中府辺りしか、くすぐったがりませんでした。  操体をまとめた橋本敬三先生は、赤ちゃんには脇腹くすぐりと 書き残しているので、先ず、そこをくすぐってみたのですが、く すぐったがりませんでした。  そこで、全身をくすぐってみたら、胸の一番腕寄りの部分だけ、 くすぐったがりました。その部分をくすぐっていたら、2カ月後 の肺の検査で胸の影が消えていることが分かり、酸素ボンベを外 して良いことになりました。  何の反応が無い所よりも、少しでも反応の有る所にする方が効 果が出やすいです。  片麻痺の患者さんに、先ず、指端の灸をして逃げる動作を誘導 するのも、同じような視点からかなと思います。 **2.2. ラクな姿勢を強調してみる  あるとき、障碍児の介護の疲れから腰痛になったお母さんに指 圧をたのまれたことがあります。  その後、その障害児の子がいつも片側を下にした横向きでしか 寝ないという話を聞きました。お母さんやリハビリ施設の人が詰 め物などを工夫してもダメで、直ぐ同じ向きになるとのことでし た。  操体では、ラクな姿勢を強調しますと説明し、試してみました。 その横向き寝を強調するように肩と腰あたりの皮膚をズラしまし た。しばらくして、手に押し返すような圧を感じたので、終えま した。  障碍が重いと直ぐには効果が出ないかもしれませんということ を話しながら、お茶をいただいていました。そしたら、すっと、 その子が自分一人で逆向きの横向き寝になりました。お母さんは、 唖然とされていました。  今のリハビリはできない姿勢や動作をなんとかさせるものが多 く、痛いので、受け手からはイヤがられることが多いです。私の 次男も痛がって、リハビリ室から逃げたりもしていました。  家では、操体をしていましたが、こちらは、気持ち良さを大切 にするせいか、「操体をしてくれ」と言って、せがまれるほどで した。飲み過ぎて酔っぱらってできないと、よく怒られました。  重度の障碍児の訪問看護をしている人の話では、言葉が出てこ ない子でも目でせがむんでくるようです。  これもラクな姿勢を少し強調する方が気持ち良いからだと思い ます。また、実際に効果が上がりやすいです。 **2.3. 歩行下手なら、胴体の歪みを優先  直立二足歩行できないほどの歪みがあるときには、胴体の歪み を優先した方が良いようです。  次男は、小学校に入学する前までは、手は握ることしかできず、 塗り絵をさせると、境界線から2,3cmはみだしていました。つま り、線を書き始めようとする点と書き終えようという点が2,3cm ずれてしまう状態でした。  そういう状態でしたから、小学1年生の1学期は、一文字も書 けず、教室で固まったままだったようです。夏休み前にその話を 担任の方から聞き、字を書けないままだと大変だなと思いました。  そこで、夏休みの間、毎日1匹、ポケモンの名前とそのポケモ ンの覚える技の名前を書かせてみました。これには本人も喜んで 挑戦し、夏休みが終える頃には、ひらがなとカタカナ全て書ける ようになっていました。  2cm四方の枠からも飛び出す大きさで、本人と親と担任の先生 だけがなんとか読める程度の字でしたが。  この時にポケモンを書かせようと思い至ったのは、橋本敬三先 生の「子供には好きなことをさせろ」という言葉を思い出したか らです。この点でも、橋本先生に大変感謝しています。  しかし、それ以外の細かい手先のことはできるようにはならず、 TVゲームなども兄などがしているのを羨ましそうに見ていました。  同じ頃、乗馬、補助付き自転車、縄跳び、水泳、スキーなどの 練習もしていました。それも少しずつしか、成果が出ませんでし た。  例えば、補助付き自転車では、初めはキックキックで自転車を 前に進ませることもできませんでした。それができるようになっ ても、ペダルに足を乗せることができませんでした。ペダルに足 が乗るようになったら、1回転する毎に足がペダルから外れてし まうという感じでした。結局補助付き自転車に乗れるようになる のに、3か月くらい掛かりました。  3年生になって、補助輪無しの自転車に乗る練習をしたときも やはり3か月くらい掛かりました。  同じ頃には、縄跳びもなんとかできるようになり、水泳もクロー ルは泳げるようになり、スキーも補助具を付けてですが滑れるよ うになっていました。  すると、4年生頃から、やりたくてもできなかったTVゲームの アクションものなどができるようになりました。字もなんとか 1.5cm四方位の大きさで書けるようになりました。  そして、それからしばらくして、ようやくOTなどでの、細かい 手先の動作の訓練も成果が出るようになっていきました。  こうして次男の成長を振り返ってみると、体を動かすときの胴 体の大雑把なバランスが取れる状態になった途端に、手足のリハ ビリの成果が上がり出したように見えるのです。  自転車で左右バランス、クロールで左右捻転バランス、縄とび で上下バランス、スキーで前後バランス。お分かりとは思います が、例えば、スキーは前後の動的バランスが取れないとできませ んし、自転車は左右の動的バランスが取れないと乗れません。  よくよく考えてみれば、操体で下半身、特に膝裏から整えてい くのは、ヒトが直立2足歩行することから来ているわけで、直立 2足歩行が巧くできないほど胴体に歪みのある場合には、胴体の 歪みを先に正したほうが良いというのは当たり前の話かも知れま せん。  でも、今まで余り話題になったことはないように思いますし、 私自身、次男にずっと付き合ってきて、ようやく分かったことで す。初めから分かっていたら、赤ちゃんの頃に、そういう視点で 操体をしていたら、もう少し歪みを減らせたかなと思いながら、 書いています。 *3. 言葉の示す意味を理解しないと、振り回される  言葉というものは一人歩きしやすいなと、改めて思います。  その言葉が生み出されたワケ(理由)をよく理解していないと、 一人歩きする言葉に振り回されて、判断を間違うことにつながり ます。  操体は、自然則で作られているので、そういうことは比較的少 ないですが、それでも一人歩きする言葉に振り回されないよう、 気を付けていきたいなと思います。  また、目で見て、耳で聞いて、手で触って確かめられることか ら、言葉で伝えられた自然則や操体の型までの道筋を、大勢の人 に納得してもらえるような形で書き残していくことを心がけてい きたいと思っています。 *4.操体は一期一会、操体はライブ  数学のように、言葉だけで作られた世界は、言葉のみで考え、 伝えあっていけます。また、機械のように、言葉で書かれた仕様 書に基づいて作られたものは、修理のときにも、仕様書に書かれ た言葉を頼りに修理していっても間違いは少ないと思います。  しかし、人間の体のように自然なものを相手にするときには、 目で見て、耳で聞いて、手で触って確かめられることで、その言 葉で書かれたことが、実際に成り立っているかどうかを、いつも 確かめながら行動していかないと、判断を間違いやすくなるなと 思います。  そういう意味で、 操体というのは「一期一会」 なものだなと 思います。なんて書くと、若い人には通じませんね。要するに、 今先生がいつも言っているように、操体はライブなんです。 *5.赤ちゃんは歩けないから、先ずは脇腹くすぐり  そう言えば、操体で「赤ちゃんには脇腹くすぐりがよい」と勧 めるているのも、赤ちゃんは直立2足歩行の段階にないので、膝 裏を整えることよりも、胴体を弛めることを優先するということ でしょう。  胴体の大きな動的バランスを考えると、脇腹のある部分、背骨 でいうと腰椎の部分ですが、その辺りが一番関係しているようで す。腰椎には、他の骨がつなががっていません。他の胴体部分の 背骨、胸の部分の胸椎には肋骨が、尻部分の仙骨には骨盤がつな がっています。  他の骨がつながってないので動きやすいせいか、胴体の部分の 動的バランスを取るときには、この腰椎の高さの部分を一番動か して、バランスを取っているようです。  そういう脇腹のくすぐったがる所をくすぐっていれば、胴体全 体のバランスが良くなるという、操体の脇腹くすぐりというのは、 優れた方法だなと、改めて思いました。  そういえば、我が家の次男は、赤ちゃんの頃は、脇腹はくすぐっ たがらなかったのですが、だんだん、くすぐったがるようになっ ていき、水泳や自転車の練習をしている頃には、胸の腕寄りだけ でなく、脇腹もくすぐっていたことを思い出しました。  それで、小学校の低学年の頃は、もっぱら、くすぐり療法や、 それと同じ効果のある筆や歯ブラシや小児鍼のローラー鍼などを 使って、くすぐったがる部分をくすぐっていました。  特に、ローラー鍼は、コロコロと呼んで、次男は大好きでした。 ローラー鍼は、痛くない程度にギザギザが沢山付いているローラー を皮膚の上で転がすものです。  それと、寝ている間は、普段くすぐったがる所へ、皮膚の操体 をしました。  足を伸ばしたり曲げたりという普通の動の操体は、余り喜ばな いので、できませんでした。  自転車や水泳ができるようになって、歩き方が、カカトを上げ ているとは言え、直立に近づいた頃からは、足を伸ばす、つまり、 内反尖足を強調する動きの操体を、とても気持ちよいと言うよう になり、寝る前によくやりました。  また、足の指揉みと同じ効果のある、足の先の方、足指裏やカ カトへの灸もしました。指揉みよりも灸の方を面白がったからで す。 *6. やってみてください、勧めてください  皆さんの周りに障碍を持った子供がいたら、ぜひ操体をしてあ げてください。少しずつですが変わっていきます。  できたら、障碍児のお母さん始め家族の人に操体を伝えて、毎 日やるよう勧めてください。痛い方法だと親子関係が壊れること がありますが、操体は気持ち良さを大切にするので、そういうこ とはないから、安心して勧められます。  それに、そういう障碍児に操体をしていくことで、皆さんの操 体の腕が上がっていくと思います。  脳性麻痺などの障碍ある人の筋肉のシコリの硬さは、肩凝りや 腰痛などが酷い人とは、比べものににならないほどの硬さです。 そういうシコリに操体していると、肩凝りなどは簡単だなと思え るようになります。  また、言葉によるコミュニケーションが取れないことも多いの で、体の歪みを読む能力や、力を加える方向や力の入れ具合を判 断する能力、また、患者さんが喜んでいるかどうかを判断する能 力が上がっていきます。  ただ、焦らないでください。毎日のように操体しても、1カ月 単位では進歩が見られないことが多いと思います。でも、諦めな いでください。1年続けて振り返ると、1年前とは大分違ってい ると思います。  家族の人に勧めるときも、その点をよく話してあげてください。  そういう風に、障碍のある人には、操体は、とても役に立ちま す。でも、写真がありません。術伝流講座で、実際に症状のある 人を操体してみせることをしています。  そういう場に障碍児の人に来てもらえたら、ありがたく思いま す。周りでそういう人をご存じの方は紹介してください。よろし くお願いします。    次へ >>> [[術伝流操体no.58]] -----    >>> 目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]    >>> このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.57]]    >>> 術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流操体no.57 【5】応用篇 (10)障碍をもった人への操体 &size(24){&color(green){障碍をもった人への操体}} ------ #contents *1.はじめに  今回は、脳性麻痺など障碍をもった人に対する操体です。  私の次男は、23週626gで生まれた超未熟児で、6か月入院し て帰ってきたときには、酸素ボンベからのチューブを鼻の下に付 けていました。肺の機能不全だったからです。また、脳性麻痺で した。  そういう次男を育てていく上で、操体は、とても役に立ちまし た。くすぐり操体を2カ月ほどしたら、酸素ボンベを外して良い ことになりました。内反尖足を強調する操体を続けたら、歩行が 安定するようになっていきました。 *2.麻痺など障碍のある人への操体の基本  こういう麻痺など障碍のある人への操体では、以下の3つが基 本です。 (1)反応のある所をしてみる (2)ラクな姿勢を強調する (3)歩行下手なら、胴体の歪みを優先 **2.1. 反応のある所をしてみる  前にも書いたと思いますが、酸素ボンべを付けていた頃の次男 は、肺の募穴である中府辺りしか、くすぐったがりませんでした。  操体をまとめた橋本敬三先生は、赤ちゃんには脇腹くすぐりと 書き残しているので、先ず、そこをくすぐってみたのですが、く すぐったがりませんでした。  そこで、全身をくすぐってみたら、胸の一番腕寄りの部分だけ、 くすぐったがりました。その部分をくすぐっていたら、2カ月後 の肺の検査で胸の影が消えていることが分かり、酸素ボンベを外 して良いことになりました。  何の反応が無い所よりも、少しでも反応の有る所にする方が効 果が出やすいです。  片麻痺の患者さんに、先ず、指端の灸をして逃げる動作を誘導 するのも、同じような視点からかなと思います。 **2.2. ラクな姿勢を強調してみる  あるとき、障碍児の介護の疲れから腰痛になったお母さんに指 圧をたのまれたことがあります。  その後、その障害児の子がいつも片側を下にした横向きでしか 寝ないという話を聞きました。お母さんやリハビリ施設の人が詰 め物などを工夫してもダメで、直ぐ同じ向きになるとのことでし た。  操体では、ラクな姿勢を強調しますと説明し、試してみました。 その横向き寝を強調するように肩と腰あたりの皮膚をズラしまし た。しばらくして、手に押し返すような圧を感じたので、終えま した。  障碍が重いと直ぐには効果が出ないかもしれませんということ を話しながら、お茶をいただいていました。そしたら、すっと、 その子が自分一人で逆向きの横向き寝になりました。お母さんは、 唖然とされていました。  今のリハビリはできない姿勢や動作をなんとかさせるものが多 く、痛いので、受け手からはイヤがられることが多いです。私の 次男も痛がって、リハビリ室から逃げたりもしていました。  家では、操体をしていましたが、こちらは、気持ち良さを大切 にするせいか、「操体をしてくれ」と言って、せがまれるほどで した。飲み過ぎて酔っぱらってできないと、よく怒られました。  重度の障碍児の訪問看護をしている人の話では、言葉が出てこ ない子でも目でせがんでくるようです。  これもラクな姿勢を少し強調する方が気持ち良いからだと思い ます。また、実際に効果が上がりやすいです。 **2.3. 歩行下手なら、胴体の歪みを優先  直立二足歩行できないほどの歪みがあるときには、胴体の歪み を優先した方が良いようです。  次男は、小学校に入学する前までは、手は握ることしかできず、 塗り絵をさせると、境界線から2,3cmはみだしていました。つま り、線を書き始めようとする点と書き終えようという点が2,3cm ずれてしまう状態でした。  そういう状態でしたから、小学1年生の1学期は、一文字も書 けず、教室で固まったままだったようです。夏休み前にその話を 担任の方から聞き、字を書けないままだと大変だなと思いました。  そこで、夏休みの間、毎日1匹、ポケモンの名前とそのポケモ ンの覚える技の名前を書かせてみました。これには本人も喜んで 挑戦し、夏休みが終える頃には、ひらがなとカタカナ全て書ける ようになっていました。  2cm四方の枠からも飛び出す大きさで、本人と親と担任の先生 だけがなんとか読める程度の字でしたが。  この時にポケモンを書かせようと思い至ったのは、橋本敬三先 生の「子供には好きなことをさせろ」という言葉を思い出したか らです。この点でも、橋本先生に大変感謝しています。  しかし、それ以外の細かい手先のことはできるようにはならず、 TVゲームなども兄などがしているのを羨ましそうに見ていました。  同じ頃、乗馬、補助付き自転車、縄跳び、水泳、スキーなどの 練習もしていました。それも少しずつしか、成果が出ませんでし た。  例えば、補助付き自転車では、初めはキックキックで自転車を 前に進ませることもできませんでした。それができるようになっ ても、ペダルに足を乗せることができませんでした。ペダルに足 が乗るようになったら、1回転する毎に足がペダルから外れてし まうという感じでした。結局補助付き自転車に乗れるようになる のに、3か月くらい掛かりました。  3年生になって、補助輪無しの自転車に乗る練習をしたときも やはり3か月くらい掛かりました。  同じ頃には、縄跳びもなんとかできるようになり、水泳もクロー ルは泳げるようになり、スキーも補助具を付けてですが滑れるよ うになっていました。  すると、4年生頃から、やりたくてもできなかったTVゲームの アクションものなどができるようになりました。字もなんとか 1.5cm四方位の大きさで書けるようになりました。  そして、それからしばらくして、ようやくOTなどでの、細かい 手先の動作の訓練も成果が出るようになっていきました。  こうして次男の成長を振り返ってみると、体を動かすときの胴 体の大雑把なバランスが取れる状態になった途端に、手足のリハ ビリの成果が上がり出したように見えるのです。  自転車で左右バランス、クロールで左右捻転バランス、縄とび で上下バランス、スキーで前後バランス。お分かりとは思います が、例えば、スキーは前後の動的バランスが取れないとできませ んし、自転車は左右の動的バランスが取れないと乗れません。  よくよく考えてみれば、操体で下半身、特に膝裏から整えてい くのは、ヒトが直立2足歩行することから来ているわけで、直立 2足歩行が巧くできないほど胴体に歪みのある場合には、胴体の 歪みを先に正したほうが良いというのは当たり前の話かも知れま せん。  でも、今まで余り話題になったことはないように思いますし、 私自身、次男にずっと付き合ってきて、ようやく分かったことで す。初めから分かっていたら、赤ちゃんの頃に、そういう視点で 操体をしていたら、もう少し歪みを減らせたかなと思いながら、 書いています。 *3. 言葉の示す意味を理解しないと、振り回される  言葉というものは一人歩きしやすいなと、改めて思います。  その言葉が生み出されたワケ(理由)をよく理解していないと、 一人歩きする言葉に振り回されて、判断を間違うことにつながり ます。  操体は、自然則で作られているので、そういうことは比較的少 ないですが、それでも一人歩きする言葉に振り回されないよう、 気を付けていきたいなと思います。  また、目で見て、耳で聞いて、手で触って確かめられることか ら、言葉で伝えられた自然則や操体の型までの道筋を、大勢の人 に納得してもらえるような形で書き残していくことを心がけてい きたいと思っています。 *4.操体は一期一会、操体はライブ  数学のように、言葉だけで作られた世界は、言葉のみで考え、 伝えあっていけます。また、機械のように、言葉で書かれた仕様 書に基づいて作られたものは、修理のときにも、仕様書に書かれ た言葉を頼りに修理していっても間違いは少ないと思います。  しかし、人間の体のように自然なものを相手にするときには、 目で見て、耳で聞いて、手で触って確かめられることで、その言 葉で書かれたことが、実際に成り立っているかどうかを、いつも 確かめながら行動していかないと、判断を間違いやすくなるなと 思います。  そういう意味で、 操体というのは「一期一会」 なものだなと 思います。なんて書くと、若い人には通じませんね。要するに、 今先生がいつも言っているように、操体はライブなんです。 *5.赤ちゃんは歩けないから、先ずは脇腹くすぐり  そう言えば、操体で「赤ちゃんには脇腹くすぐりがよい」と勧 めるているのも、赤ちゃんは直立2足歩行の段階にないので、膝 裏を整えることよりも、胴体を弛めることを優先するということ でしょう。  胴体の大きな動的バランスを考えると、脇腹のある部分、背骨 でいうと腰椎の部分ですが、その辺りが一番関係しているようで す。腰椎には、他の骨がつなががっていません。他の胴体部分の 背骨、胸の部分の胸椎には肋骨が、尻部分の仙骨には骨盤がつな がっています。  他の骨がつながってないので動きやすいせいか、胴体の部分の 動的バランスを取るときには、この腰椎の高さの部分を一番動か して、バランスを取っているようです。  そういう脇腹のくすぐったがる所をくすぐっていれば、胴体全 体のバランスが良くなるという、操体の脇腹くすぐりというのは、 優れた方法だなと、改めて思いました。  そういえば、我が家の次男は、赤ちゃんの頃は、脇腹はくすぐっ たがらなかったのですが、だんだん、くすぐったがるようになっ ていき、水泳や自転車の練習をしている頃には、胸の腕寄りだけ でなく、脇腹もくすぐっていたことを思い出しました。  それで、小学校の低学年の頃は、もっぱら、くすぐり療法や、 それと同じ効果のある筆や歯ブラシや小児鍼のローラー鍼などを 使って、くすぐったがる部分をくすぐっていました。  特に、ローラー鍼は、コロコロと呼んで、次男は大好きでした。 ローラー鍼は、痛くない程度にギザギザが沢山付いているローラー を皮膚の上で転がすものです。  それと、寝ている間は、普段くすぐったがる所へ、皮膚の操体 をしました。  足を伸ばしたり曲げたりという普通の動の操体は、余り喜ばな いので、できませんでした。  自転車や水泳ができるようになって、歩き方が、カカトを上げ ているとは言え、直立に近づいた頃からは、足を伸ばす、つまり、 内反尖足を強調する動きの操体を、とても気持ちよいと言うよう になり、寝る前によくやりました。  また、足の指揉みと同じ効果のある、足の先の方、足指裏やカ カトへの灸もしました。指揉みよりも灸の方を面白がったからで す。 *6. やってみてください、勧めてください  皆さんの周りに障碍を持った子供がいたら、ぜひ操体をしてあ げてください。少しずつですが変わっていきます。  できたら、障碍児のお母さん始め家族の人に操体を伝えて、毎 日やるよう勧めてください。痛い方法だと親子関係が壊れること がありますが、操体は気持ち良さを大切にするので、そういうこ とはないから、安心して勧められます。  それに、そういう障碍児に操体をしていくことで、皆さんの操 体の腕が上がっていくと思います。  脳性麻痺などの障碍ある人の筋肉のシコリの硬さは、肩凝りや 腰痛などが酷い人とは、比べものににならないほどの硬さです。 そういうシコリに操体していると、肩凝りなどは簡単だなと思え るようになります。  また、言葉によるコミュニケーションが取れないことも多いの で、体の歪みを読む能力や、力を加える方向や力の入れ具合を判 断する能力、また、患者さんが喜んでいるかどうかを判断する能 力が上がっていきます。  ただ、焦らないでください。毎日のように操体しても、1カ月 単位では進歩が見られないことが多いと思います。でも、諦めな いでください。1年続けて振り返ると、1年前とは大分違ってい ると思います。  家族の人に勧めるときも、その点をよく話してあげてください。  そういう風に、障碍のある人には、操体は、とても役に立ちま す。でも、写真がありません。術伝流講座で、実際に症状のある 人を操体してみせることをしています。  そういう場に障碍児の人に来てもらえたら、ありがたく思いま す。周りでそういう人をご存じの方は紹介してください。よろし くお願いします。    次へ >>> [[術伝流操体no.58]] -----    >>> 目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]    >>> このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.57]]    >>> 術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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