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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流操体no.55 【5】応用篇 (8)赤ちゃんへの操体 &size(24){&color(green){赤ちゃんへの操体}} ------ #contents *1.はじめに  先々回「言葉でみちびく」、先回「鍼などと組み合わせて」の 2回で、言葉で操体を誘導することを書いてきました。  今回は、それらの逆に当たるかもしれない、言葉が通じない赤 ちゃんへの操体について、書いていきます。  赤ちゃんや幼児の操体は、くすぐるのが基本です。大人向けの 操体が動きの操体などが中心だったのと比べると、ずいぶん違い ます。多分、大人と違って、言葉を掛けて動きを誘導するのが難 しいためではないかと思います。  そして、大人向けの操体が下半身からするのと違って、脇腹が 中心です。脇腹と言っても、少し背中寄りの脊柱起立筋の一番外 側までを含んだ範囲です。  下半身から操体するのは、立ち歩く姿勢では、下半身が土台に なるからだと思います。赤ちゃんの操体が脇腹中心なのは、立っ て歩いていないからではないかなと思います。  寝た姿勢では、体の動きの中心は、腰椎部になります。ですか ら、腰椎には、胸椎などと違って他の骨が付いていません。体の 動きの中心になるので、脇腹をくすぐるのかなと思いました。  立って歩き出した幼児は、両方した方が良いかなと考えていま す。皆さんは、どう思われますか? 2.基本的な手順  基本的な手順は、今までと同じです。 (1) ラクな姿勢から (2) キッカケを選ぶ (3) イイ感じを付け足す (4) イイ感じを味わう (5) 終えたら休み、次へ  とは言っても、相手は赤ちゃんです。大人のように操者の意図 を汲んで動いてくれるとは限らないので、臨機応変と言う感じも 大切になります。 **2.1. ラクな姿勢から  ラクな姿勢になっているか、確認します。服装や布団など敷物 に無理はないかなどをチェックします。  布団などに寝てくれないときは、お母さんに抱っこしてもらっ た状態から操体するのもいいと思います。 **2.2. キッカケをえらぶ  くすぐったがる所をくすぐることをキッカケにします。  症状や状態などによっては、くすぐる以外のキッカケが良い場 合もあります。指や手の平を当てておくだけとか、ゆっくり揺ら してみるのがよいこともあります。 2.2.1. くすぐったがる所  くすぐったがることが多いのは、脇腹の他では、足裏、足内側、 背中、腹、首、胸、指の股(八邪、八風)などです。赤ちゃんは、 全身くすぐってみてもよいと思います。  鍼灸では、幼児の場合には、身柱・命門が基本と言われていま す。大雑把に言えば、脇腹〜腰椎部分の背中側と肩甲間部という ことかなと思います。  野口整体では、小さな赤ちゃんでは、臍と後頭部を重視してい るようです。基本的な生命力に関係しているからだそうです。 2.2.2. くすぐり方  母指と示指で輪をつくり両指先でくすぐるか、中指でくすぐる のが基本です。母指と示指で輪を作るのは、鍼の世界で押し手と 呼ばれる形です。中指を使うのは、中指が一番長いからだと思い ます。  筆などの道具を使った方がくすぐったがることもあり、そうい う場合は、そういう道具を使った方が効果が出やすいと思います。 特に、指の股は、筆が効果的です。  オイルやパウダーを使って素肌にすれば、マッサージ風になり ます。  くすぐってみると、ゴニョゴニョという感じで逃げていくので、 逃げ方に合わせて、くすぐりつづけます。イヤがられるようでは やりすぎです。軽く逃げる程度にします。 **2.3. イイ感じを付け足す  動いた姿勢から、タワメの間やツボを予測できたら、操体や指 圧を加えるのも良いと思います。  タワメの間は、逃げた姿勢で伸ばそうとしているラインを読め ると予測できます。ツボは、タワメの間の姿勢で、最も伸びよう としているライン、最も縮めようとしているライン、その2つの ライン上に出ていることが多いです。  タワメの間やツボが分かったら、くすぐりながら片手で操体 ができればしてもよいし、止めて両手でしてもよいです。タワ メの間の姿勢は、軽く強調してみます。動かしてもよいですし、 皮膚操体でもよいし、軽く重さを掛けて強調してもよいです。  ツボは、かるく指圧します。  経絡的に関連する指を反らしたりしてもよいです。  操体や指圧などは、ほんの少しで十分です。また、できなけれ ばしないで、くすぐるだけで構いません。 **2.4. イイ感じを味わう  気持よさを感じているか確かめ、イイ感じそうなら続けます。 とは言っても、赤ちゃん相手なので、操者のほうが判断するわけ です。  赤ちゃんを育てたことがない人には、少し難しいかもしれませ ん。そういう人は、赤ちゃんと遊ぶ機会を増やして、慣れていく ことが必要です。 **2.5. 終えたら休み、つぎへ  イイ感じが消えたらようなら終えて、少し休みます。それから、 柚木の場所のくすぐりなどに移ります。  イヤがられない範囲、疲れない範囲でします。  オムツ替えなどのときにすると、習慣にしやすいです。1回5 分位で日に数回位で良いと思います。 *3.よく使う組み合わせ  赤ちゃんの場合にすることが多いのは、以下の組み合わせです。 (1) 仰向けで、脇腹と、その時の状態に関係する所 (2) うつ伏せで、肩甲間部と、 その時の状態に関係する所 (3) 座位で、手陽明経を撫で下ろし、母指示指の指反らし  仰向けの場合は、操者の膝の間に赤ちゃんの頭が来るような位 置がやりやすいです。 **3.1. その時の状態別に付け加える所  その時の状態に関係する所は、症状などによって違います。  症状によっては、その症状でよくくすぐったがる所があります。 くすぐったい所は、ツボの前駆症状というか、軽くツボになって いる所のことが多いからかなと思います。  赤ちゃんの場合は、主に、症状の出ている所の横輪切りが候補 になります。これは、寝ている時には重力は横輪切りに掛かるせ いかなと考えています。  呼吸器系では、腹側は、中府あたり。背中側は、肩甲間部。  消化器系では、腹側は、中脘、大腸の上部の曲がり角(特に左 側)。背中側は、胃の六灸に使う膈肝脾愈の辺り。  心の症状というか、うなされているような感じのときには、膻 中、労宮の組み合わせが効果的です。夜泣きしたとき、ぐずった ときとかにも使います。鎮心といい、心を落ち着かせる効果があ ります。この場合は、くすぐるというよりも、温度を計るような 感じで指腹を当てておきます。  疳の虫のような興奮している感じのときには、示指・母指の強 揉み、特に井穴が効果的です。赤ちゃんの場合は、母指・示指を 反らすだけでも効果があります。  喘息の子は、「肩甲間部の背骨を、横から、ゆっくり、ゆらし てあげる」と喜ぶことが多いです。これは、他の呼吸器系の症状 にも効果的です。  障害児で、特有の姿勢をしている場合には、その姿勢を強調し てみる操体も効果的です。脳性麻痺児の場合は、内反尖足を強調 します。 **3.2. 手陽明経で気を下げる  赤ちゃんなど、子どもは気が上がりやすいので、施術の終わり に手陽明経を撫で下ろし、母指と示指を反らしたり、揉んだりし て、気を下げておきます。  撫で下ろす時には、指腹で撫で下ろすよりも、指の爪側で撫で 下ろす方が、強めの刺激を与えることができます。赤ちゃんの状 態を見て、使い分けます。  また、指を反らすよりも、井穴を強めに揉む方が強刺激になり ます。 *4.やってみたら  実際に試させてもらいました。 **4.1. 0歳児  10カ月の0歳児。そばで、ご両親に見てもらい、説明しながら しました。  先ずは、仰向けから。初めに脇腹をくすぐったら、余り動いて くれませんでした(写真1)。初めてなので、様子を見ていたのか もしれません。 &ref(DSCF0462.jpg)写真1  中府・雲門あたりをくすぐったら、くすぐったがり、動いてく れるようになりました(写真2)。 &ref(DSCF0465.jpg)写真2  それから、もう一度、脇腹に戻り、よく探ったら、右骨盤より 脊柱起立筋の横側が凝っていて、そこをくすぐると、右足を上げ て曲げるポーズが続きました(写真3)。タワメの間になったと 思います。 &ref(DSCF0469.jpg)写真3  試しに、膻中と労宮の組み合わせをしてみたら、気持よさそう にしていました(写真4)。 &ref(DSCF0473.jpg)写真4  お腹が痛むときなどと説明しながら、大腸の曲がり角に手を当 てました。しばらくして、左足を上げました(写真5)。 &ref(DSCF0476.jpg)写真5  後頭骨下縁とヘソに手を当てたら、じっとおとなしくしていま した(写真6) &ref(DSCF0479.jpg)写真6  うつ伏せに移ったら、ハイハイで動き出してしまうので、やり にくかったです。止まってくれたときをねらって、肩甲間部を揺 すったり(写真7)、脊柱起立筋の横側(写真8)くすぐったり しました。 &ref(DSCF0489.jpg)写真7 &ref(DSCF0491.jpg)写真8  お腹の調子が悪いときには、背中側では、胸椎7〜11番の高 さ、つまり、肩甲骨の下側の肋骨のある部分を使います(写真9) &ref(DSCF0488.jpg)写真9  うつ伏せで、背中側ができないときは、座位でしてもよいです (写真10)。 &ref(DSCF0510.jpg)写真10  座位で、陽明経を撫で下ろし(写真11)、母指、示指を反らし ました(写真12)。 &ref(DSCF0493.jpg)写真11 &ref(DSCF0496.jpg)写真12 **4.2. 1歳児  1歳7カ月の子をお母さんの前でしてみました。  先ずは、仰向けで脇腹からくすぐっていきました(写真13)。 両足の格好が面白いなと思いました。これもタワメの一種かと思 います。 &ref(DSCF0549.jpg)写真13  「お腹の調子の悪いときは、大腸の曲がり角、特に左側が多い」 と説明しながら、手を当て、左足第2指を反らすことを付け加え てみました(写真14)。 &ref(DSCF0551.jpg)写真14  「カゼのときは、胸の中府から雲門、つまり、腕に近い胸の凹 んだ所」と説明しながら、してみたら、くすぐったがっていまし た(写真15)。 &ref(DSCF0553.jpg)写真15  夜泣きやぐずっているときなど、心が曇っていそうなら、膻中 と労宮(写真16)。 &ref(DSCF0556.jpg)写真16  次は、うつ伏せ。先ずは、肩甲間部の背骨を横から揺すってみ ました(写真17)。 &ref(DSCF0558.jpg)写真17  くすぐってみたら、体をよじって逃げました(写真18)。 &ref(DSCF0560.jpg)写真18  座位では、先ず、手陽明経を肘から手首に向かって、指の爪側 で撫で下ろしました(写真19)。 &ref(DSCF0565.jpg)写真19  そして、母指と示指を反らしました(写真20)。 &ref(DSCF0568.jpg)写真20 *5.おわりに  私の次男は、今年、成人になりました。生まれたときは、23週 600g強の超未熟児で、肺に後遺症が残ると言われ、酸素ボンベか らのチューブを鼻の下につけていました。  その次男に、 このくすぐり操体をしてみました。脇腹はくすぐっ たがりませんでした。全身をくすぐってみたら、中府・雲門の辺 りだけ、くすぐったがりました。そこをくすぐることを2か月ほ ど続けたら、肺の影が消え、酸素ボンベが外せるようになりまし た。  鍼灸学校に入って、そこが「肺の募穴」(腹側で肺に関係の深 いとされるツボ)だと知って、ツボや経絡をしっかり勉強しよう と思いました。    次へ >>> [[術伝流操体no.56]] -----    >>> 目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]    >>> このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.55]]    >>> 術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流操体no.55 【5】応用篇 (8)赤ちゃんへの操体 &size(24){&color(green){赤ちゃんへの操体}} ------ #contents *1.はじめに  先々回「言葉でみちびく」、先回「鍼などと組み合わせて」の 2回で、言葉で操体を誘導することを書いてきました。  今回は、それらの逆に当たるかもしれない、言葉が通じない赤 ちゃんへの操体について、書いていきます。  赤ちゃんや幼児の操体は、くすぐるのが基本です。大人向けの 操体が動きの操体などが中心だったのと比べると、ずいぶん違い ます。多分、大人と違って、言葉を掛けて動きを誘導するのが難 しいためではないかと思います。  そして、大人向けの操体が下半身からするのと違って、脇腹が 中心です。脇腹と言っても、少し背中寄りの脊柱起立筋の一番外 側までを含んだ範囲です。  下半身から操体するのは、立ち歩く姿勢では、下半身が土台に なるからだと思います。赤ちゃんの操体が脇腹中心なのは、立っ て歩いていないからではないかなと思います。  寝た姿勢では、体の動きの中心は、腰椎部になります。ですか ら、腰椎には、胸椎などと違って他の骨が付いていません。体の 動きの中心になるので、脇腹をくすぐるのかなと思いました。  立って歩き出した幼児は、両方した方が良いかなと考えていま す。皆さんは、どう思われますか? 2.基本的な手順  基本的な手順は、今までと同じです。 (1) ラクな姿勢から (2) キッカケを選ぶ (3) イイ感じを付け足す (4) イイ感じを味わう (5) 終えたら休み、次へ  とは言っても、相手は赤ちゃんです。大人のように操者の意図 を汲んで動いてくれるとは限らないので、臨機応変と言う感じも 大切になります。 **2.1. ラクな姿勢から  ラクな姿勢になっているか、確認します。服装や布団など敷物 に無理はないかなどをチェックします。  布団などに寝てくれないときは、お母さんに抱っこしてもらっ た状態から操体するのもいいと思います。 **2.2. キッカケをえらぶ  くすぐったがる所をくすぐることをキッカケにします。  症状や状態などによっては、くすぐる以外のキッカケが良い場 合もあります。指や手の平を当てておくだけとか、ゆっくり揺ら してみるのがよいこともあります。 2.2.1. くすぐったがる所  くすぐったがることが多いのは、脇腹の他では、足裏、足内側、 背中、腹、首、胸、指の股(八邪、八風)などです。赤ちゃんは、 全身くすぐってみてもよいと思います。  鍼灸では、幼児の場合には、身柱・命門が基本と言われていま す。大雑把に言えば、脇腹〜腰椎部分の背中側と肩甲間部という ことかなと思います。  野口整体では、小さな赤ちゃんでは、臍と後頭部を重視してい るようです。基本的な生命力に関係しているからだそうです。 2.2.2. くすぐり方  母指と示指で輪をつくり両指先でくすぐるか、中指でくすぐる のが基本です。母指と示指で輪を作るのは、鍼の世界で押し手と 呼ばれる形です。中指を使うのは、中指が一番長いからだと思い ます。  筆などの道具を使った方がくすぐったがることもあり、そうい う場合は、そういう道具を使った方が効果が出やすいと思います。 特に、指の股は、筆が効果的です。  オイルやパウダーを使って素肌にすれば、マッサージ風になり ます。  くすぐってみると、ゴニョゴニョという感じで逃げていくので、 逃げ方に合わせて、くすぐりつづけます。イヤがられるようでは やりすぎです。軽く逃げる程度にします。 **2.3. イイ感じを付け足す  動いた姿勢から、タワメの間やツボを予測できたら、操体や指 圧を加えるのも良いと思います。  タワメの間は、逃げた姿勢で伸ばそうとしているラインを読め ると予測できます。ツボは、タワメの間の姿勢で、最も伸びよう としているライン、最も縮めようとしているライン、その2つの ライン上に出ていることが多いです。  タワメの間やツボが分かったら、くすぐりながら片手で操体 ができればしてもよいし、止めて両手でしてもよいです。タワ メの間の姿勢は、軽く強調してみます。動かしてもよいですし、 皮膚操体でもよいし、軽く重さを掛けて強調してもよいです。  ツボは、かるく指圧します。  経絡的に関連する指を反らしたりしてもよいです。  操体や指圧などは、ほんの少しで十分です。また、できなけれ ばしないで、くすぐるだけで構いません。 **2.4. イイ感じを味わう  気持よさを感じているか確かめ、イイ感じそうなら続けます。 とは言っても、赤ちゃん相手なので、操者のほうが判断するわけ です。  赤ちゃんを育てたことがない人には、少し難しいかもしれませ ん。そういう人は、赤ちゃんと遊ぶ機会を増やして、慣れていく ことが必要です。 **2.5. 終えたら休み、つぎへ  イイ感じが消えたらようなら終えて、少し休みます。それから、 次の場所のくすぐりなどに移ります。  イヤがられない範囲、疲れない範囲でします。  オムツ替えなどのときにすると、習慣にしやすいです。1回5 分位で日に数回位で良いと思います。 *3.よく使う組み合わせ  赤ちゃんの場合にすることが多いのは、以下の組み合わせです。 (1) 仰向けで、脇腹と、その時の状態に関係する所 (2) うつ伏せで、肩甲間部と、 その時の状態に関係する所 (3) 座位で、手陽明経を撫で下ろし、母指示指の指反らし  仰向けの場合は、操者の膝の間に赤ちゃんの頭が来るような位 置がやりやすいです。 **3.1. その時の状態別に付け加える所  その時の状態に関係する所は、症状などによって違います。  症状によっては、その症状でよくくすぐったがる所があります。 くすぐったい所は、ツボの前駆症状というか、軽くツボになって いる所のことが多いからかなと思います。  赤ちゃんの場合は、主に、症状の出ている所の横輪切りが候補 になります。これは、寝ている時には重力は横輪切りに掛かるせ いかなと考えています。  呼吸器系では、腹側は、中府あたり。背中側は、肩甲間部。  消化器系では、腹側は、中脘、大腸の上部の曲がり角(特に左 側)。背中側は、胃の六灸に使う膈肝脾愈の辺り。  心の症状というか、うなされているような感じのときには、膻 中、労宮の組み合わせが効果的です。夜泣きしたとき、ぐずった ときとかにも使います。鎮心といい、心を落ち着かせる効果があ ります。この場合は、くすぐるというよりも、温度を計るような 感じで指腹を当てておきます。  疳の虫のような興奮している感じのときには、示指・母指の強 揉み、特に井穴が効果的です。赤ちゃんの場合は、母指・示指を 反らすだけでも効果があります。  喘息の子は、「肩甲間部の背骨を、横から、ゆっくり、ゆらし てあげる」と喜ぶことが多いです。これは、他の呼吸器系の症状 にも効果的です。  障害児で、特有の姿勢をしている場合には、その姿勢を強調し てみる操体も効果的です。脳性麻痺児の場合は、内反尖足を強調 します。 **3.2. 手陽明経で気を下げる  赤ちゃんなど、子どもは気が上がりやすいので、施術の終わり に手陽明経を撫で下ろし、母指と示指を反らしたり、揉んだりし て、気を下げておきます。  撫で下ろす時には、指腹で撫で下ろすよりも、指の爪側で撫で 下ろす方が、強めの刺激を与えることができます。赤ちゃんの状 態を見て、使い分けます。  また、指を反らすよりも、井穴を強めに揉む方が強刺激になり ます。 *4.やってみたら  実際に試させてもらいました。 **4.1. 0歳児  10カ月の0歳児。そばで、ご両親に見てもらい、説明しながら しました。  先ずは、仰向けから。初めに脇腹をくすぐったら、余り動いて くれませんでした(写真1)。初めてなので、様子を見ていたのか もしれません。 &ref(DSCF0462.jpg)写真1  中府・雲門あたりをくすぐったら、くすぐったがり、動いてく れるようになりました(写真2)。 &ref(DSCF0465.jpg)写真2  それから、もう一度、脇腹に戻り、よく探ったら、右骨盤より 脊柱起立筋の横側が凝っていて、そこをくすぐると、右足を上げ て曲げるポーズが続きました(写真3)。タワメの間になったと 思います。 &ref(DSCF0469.jpg)写真3  試しに、膻中と労宮の組み合わせをしてみたら、気持よさそう にしていました(写真4)。 &ref(DSCF0473.jpg)写真4  お腹が痛むときなどと説明しながら、大腸の曲がり角に手を当 てました。しばらくして、左足を上げました(写真5)。 &ref(DSCF0476.jpg)写真5  後頭骨下縁とヘソに手を当てたら、じっとおとなしくしていま した(写真6) &ref(DSCF0479.jpg)写真6  うつ伏せに移ったら、ハイハイで動き出してしまうので、やり にくかったです。止まってくれたときをねらって、肩甲間部を揺 すったり(写真7)、脊柱起立筋の横側(写真8)くすぐったり しました。 &ref(DSCF0489.jpg)写真7 &ref(DSCF0491.jpg)写真8  お腹の調子が悪いときには、背中側では、胸椎7〜11番の高 さ、つまり、肩甲骨の下側の肋骨のある部分を使います(写真9) &ref(DSCF0488.jpg)写真9  うつ伏せで、背中側ができないときは、座位でしてもよいです (写真10)。 &ref(DSCF0510.jpg)写真10  座位で、陽明経を撫で下ろし(写真11)、母指、示指を反らし ました(写真12)。 &ref(DSCF0493.jpg)写真11 &ref(DSCF0496.jpg)写真12 **4.2. 1歳児  1歳7カ月の子をお母さんの前でしてみました。  先ずは、仰向けで脇腹からくすぐっていきました(写真13)。 両足の格好が面白いなと思いました。これもタワメの一種かと思 います。 &ref(DSCF0549.jpg)写真13  「お腹の調子の悪いときは、大腸の曲がり角、特に左側が多い」 と説明しながら、手を当て、左足第2指を反らすことを付け加え てみました(写真14)。 &ref(DSCF0551.jpg)写真14  「カゼのときは、胸の中府から雲門、つまり、腕に近い胸の凹 んだ所」と説明しながら、してみたら、くすぐったがっていまし た(写真15)。 &ref(DSCF0553.jpg)写真15  夜泣きやぐずっているときなど、心が曇っていそうなら、膻中 と労宮(写真16)。 &ref(DSCF0556.jpg)写真16  次は、うつ伏せ。先ずは、肩甲間部の背骨を横から揺すってみ ました(写真17)。 &ref(DSCF0558.jpg)写真17  くすぐってみたら、体をよじって逃げました(写真18)。 &ref(DSCF0560.jpg)写真18  座位では、先ず、手陽明経を肘から手首に向かって、指の爪側 で撫で下ろしました(写真19)。 &ref(DSCF0565.jpg)写真19  そして、母指と示指を反らしました(写真20)。 &ref(DSCF0568.jpg)写真20 *5.おわりに  私の次男は、今年、成人になりました。生まれたときは、23週 600g強の超未熟児で、肺に後遺症が残ると言われ、酸素ボンベか らのチューブを鼻の下につけていました。  その次男に、 このくすぐり操体をしてみました。脇腹はくすぐっ たがりませんでした。全身をくすぐってみたら、中府・雲門の辺 りだけ、くすぐったがりました。そこをくすぐることを2か月ほ ど続けたら、肺の影が消え、酸素ボンベが外せるようになりまし た。  鍼灸学校に入って、そこが「肺の募穴」(腹側で肺に関係の深 いとされるツボ)だと知って、ツボや経絡をしっかり勉強しよう と思いました。    次へ >>> [[術伝流操体no.56]] -----    >>> 目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]    >>> このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.55]]    >>> 術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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