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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.50 (術伝流・養生の一本鍼・応用編(2))} &bold(){&size(24){&color(green){古い病、古いツボ}}} ------ #contents *1.基本的に  鍼灸で慢性期の養生をするときは、古い病に関係した古いツ ボを改善していくと、効果が出やすいです。そこで、今回は、 古い病に関係した古いツボについて、書いていきます。 **1.1.古いツボは、虚のツボ  古いツボは、虚のツボです(図1)。表面は、ベコベコして いて、しばらくズブズブした状態が続きます。そして、ずーっ と奥に、とても硬い板のような痼りが有ります。また、奥が弦 のような筋張りになっていることもあります。  板状の痼りを鍼灸で弛めると筋張りが出てくることも多いで す。実のツボに比べると、見付けにくいものが多いです。  生命力が旺盛な所は、元気な赤ん坊の体のように弾力があり ます。カチカチ硬いだけでなく、ベコベコ・ズブズブ・フニャ フニャの所も、生命力が低い所です。  奥の硬い痼りは、治療を続けると、少しずつ表面へ上昇して きます。じっくり時間を掛けて、消していきます。 &ref(kyo-no-tubo.jpg)図1 **1.2.丁度良い治療を心掛ける  古いツボを動かすと、腹の邪毒が動き排出されることが多い です。「瞑眩」と呼ばれる現象です。余り急に変えると、多量 の邪毒の排出が一度に起こり、患者さんを必要以上に苦しませ ることにもなりかねません。  そこで、少しずつ変えていきます。その日の治療で、どの位 動かしたら良いか、見極めることが大切になります。私は、 「次の日の朝の目覚めがスッキリしている」ことを目安にして います。  また、古いツボで古い病を変え、しかも、患者さんに余り辛 さを感じさせない、そういう意味で丁度良い治療のためには、 後始末も大事です。頭(や表位)の熱へ散鍼し、手陽経に強め に引き鍼をします。灸の場合には、手指の骨空、井穴、指端な どに、熱めの糸状灸をします。 **1.3.実の痼りと虚のツボ  古い虚したツボの左右反対側、同一経絡上や動作時連動筋肉 内には、実のツボが在ることが多いです。左右反対側の例は、 脊柱を挟んで同じ高さの左右などに良く見られます。同一経絡 内の場合は、背中の上下などに見られます。動作時連動筋肉内 の例は、手の運動器疾患での軸足に多く、例えばテニス肘の時 の反対側下腿外側などです。  ですから、逆に、実のツボや実の痼りの左右反対側、同一経 絡上や動作時連動筋肉内を丁寧に探すと、虚のツボは見付けや すいです。  例えば「[[術伝流一本鍼no.22]] 運動器偏補足 ムチウチ」に 書いたように、背中に大きな実の痼りが有った人の腰椎部分に 虚のツボが在りました(写真1)。そこへの刺鍼で、実の痼りも 目立たなくなりました。 &ref(DSCF2378.jpg)写真1 **1.4.虚すぎて痛まないツボもある  虚のツボで古くなったものには、押しても痛みを自覚できな いものもあります。  そういうときには、患者さんに了解を得た上で、刺鍼や灸頭 鍼などをしていきます。そうすると、初め自覚痛の無かった虚 のツボに痛みが出てくることが多いです。  また、古い、虚のツボが消えると、もう一つ前の古いツボが 出てくることがあります。順に消していきます。 **1.5.甘い物の食べ過ぎは、ツボが消えにくい  甘い物(白砂糖など)の過食者は、ツボが消えにくいです。 化学調味料、精製塩、添加物も同じです。また、消えても、復 活しやすいです。  鍼をして痼りが弛んでも、ゼリー状の物が痼りと同じ形・大 きさで残り、直ぐにまたツボになることが多いです。また、鍼 をしたときに筋肉が粘っこい感じを受けます。  そのため、そういう人は、銀鍼を痛がることも多いです。人 間の体と銀鍼の親和性がかえって仇(あだ)になってしまうよ うです。  白砂糖などの高度精製物や化学合成物は、血糖値スパイクに 代表されるように、血中濃度が直ぐ上がり直ぐ下がるのが特徴 です。化学合成薬としては「切れ味が良い」と評価されている ようです。  しかし、同時に禁断症状が起きやすく麻薬性も持ちます。ケ シの汁とアヘン・モルヒネ、麻黄とエフェドリン、コカの葉と コカイン、昆布とグルタミン酸ソーダ(味の素、化学調味料)、 自然海水塩と精製塩(NaCl)、みな同じ関係です。  そして、血中濃度が下がったからと言って、全てが体内から 排泄されるわけでは無いようです。皮下や筋肉内組織の間の体 液に混ざっているようです。ステロイド剤の残滓が皮下に残留 していることを指摘する人もいますね。  そういう高度精製物や化学合成物の残滓が残っていると、筋 肉が粘った感じがして、弛みにくく成るようです。  ですから、食養生の指導も必要です。10数年前に、30代の 女性で1か月甘い物を断ったら体質が変わり、ツボが消えやす くなったこともあります。 追記:ーーーーーー  この人はアイスクリームが好きで毎日10個位食べているとの ことでした。鍼灸学校の学生さんだったので、上記を伝えまし た。1ヶ月後に刺鍼したら鍼がスーッと入ったので、びっくり して聞いたら、アイスクリームをやめてみたとのこと。1ヶ月 で、こんなに変わるのかと、良い体験をさせてもらいました。 ーーーーーーーーー **1.6.補の灸、灸頭鍼、自己養生も必要  鍼のみで変わりにくいときは、補の灸・灸頭鍼を併用した方 が変わりやすいです。  できれば自宅施灸もした方が良いです。施灸してくれる人が いないときは、自分で可能な指端など指への灸を勧めます。 *2.ツボが出やすい所(図2) &ref(furui-tubo.jpg)図2 **2.1.体の境目に近い所に出やすい  ツボは、初めは筋肉の太い所に出ます。背中では1行線、腹 側では胃経。病が古くなると、そこだけでは支えきれなくなり、 横へ横へとズレていきます。  腹側では、脾経から、やがて少陽経へ、そして、章門、そし て、腰骨に張り付くような感じで、五枢〜維道など。背中側で は、2行線へ、そして、脊柱起立筋の外端の痞根・腰徹腹など。  また、それらが関係する手足の少陽と厥陰にも出やすいです。 小陽と厥陰は、前後の境界でもありますね。  左右境界にも出やすいので、任脈、督脈、華陀経を探します。 基本的には、慢性症状の関連する臓器の高さに多いです。例え ば、喘息に定喘など。  それと、臍の周りは、様々な慢性症状の場合に出るので、丁 寧に探します。  上下の境界は、横隔膜ラインです。背中側の督兪、膈兪、膏 肓の下側などに出やすいです。比較すると、左側が多いです。  前後、左右、上下の境界の組み合わせにも出ます。百会、尾 骨〜会陰の周り、大包、鳩尾〜巨闕の辺りなど。  体と手足、頭と首の境目にも出ます。手と体では、雲門、肩 貞。足と体では、衝門、居髎、環跳、足徹腹など。後頭骨下縁 の天柱、風池、完骨。 **2.2.立ち姿勢で負荷が掛かりやすい土台部分  膝裏から脹脛(ふくらはぎ)、両踝(くるぶし)の周りにも ツボが出やすいです。膝裏のH字状の窪みの両端のラインと中 央のライン上で、特に、脹脛側に多いです。下委陽、飛揚〜外 丘、承筋、承山、下陰谷、築賓など。  古くなると、大腿側にも出ます。 **2.3.古い打撲、手術痕  古い打撲や手術痕も古いツボになりやすく、瘀血を伴うこと が多いです。  季節の変わり目、寒い時期、疲れたときや、汗をかいて冷房 に当たった場合などに痛みます。また、50過ぎて初めて痛み 出すこともあります。若い頃スポーツマンだった人は、こうい う外傷性瘀血症で、脳梗塞などを起こしやすくなるので、注意 が必要です。  打撲したら、炎症が治まったら直ぐに、灸・灸頭鍼で瘀血を 散らしておくと良いです。上手く行くと、青黒い瘀血が黄色い 輪になって広がり、やがて消えていきます。ヘモグロビンがビ リルビンに変わっていくのかなと思いました。  特に、打撲したとき痛まずに、次の日以降に痛み出した場合 は、必ず施術した方が良いです…古傷になりやすいので。数日 してから痛み出したものは、特に注意が必要です。  漢方薬の駆瘀血剤(治打撲一方など)を飲んでおいた方が良 いことも多いです。漢方に詳しい医師・薬剤師・販売員に相談 してください。  治療継続中に、それまで隠れていた古い打撲が痛み出すこと もあります。そのときは、そこに灸・灸頭鍼をします。また、 この場合も、漢方の専門医などに相談し、駆瘀血剤(桂枝茯苓 丸など)を併用した方が良いと思います。  打撲の治療は、「[[術伝流一本鍼no.18]] 頭部の打撲に灸など」 を参考にしてください。  古い打撲の場合は、一番虚したポイントに補の灸・灸頭鍼を するのが効果的です。 **2.4.指端など指のツボに灸  指端など指に出ているツボに灸をするのは、良い自己養生に なります。手足の指端20カ所に試しに小灸をして、熱くない 所に多壮灸します。経絡的な変動の調整に向きます。  また、片麻痺など脳血管障害後遺症の麻痺の場合にも使いま す。  足指端は、体の重心調整、中心軸調整にもなります。特に、 足1指は、フォームが決まらない人などの正中線作りに効果的 なことが多いです。  指端の灸で効果が出にくいときは、その指の裏側関節部の横 紋の端(節紋)にある小さな痼りを見付け、灸をします。また、 井穴、骨空なども使えます。 **3.手順  初めは、ツボを考慮して慢性期の型をします。そして、古い ツボが見付かったら、灸や灸頭鍼をします。  古いツボが定まってきたら、灸や灸頭鍼を中心に施術します。 特に古く変わりにくいツボには、枇杷葉エキスも利用した灸頭 鍼もします。  「補の灸」や灸頭鍼については、「[[術伝流一本鍼no.33]]腰の 慢性期の養生、灸頭鍼」などを参考にしてください。 *4.手術痕の治療  手術痕は、手術痕と普通の皮膚の間に出ているツボに鍼灸す ると、だんだん小さくなっていきます。腫れに対する「四畔の 灸」と同じような方法です。繰り返していくと、腫れと同じよ うに、だんだん小さくなっていきます。  手術痕の直ぐ近くは、痼りになっています。そういう痼りと、 痼りになっていない所との境目を探すと、1cmおき位にツボが 出ています(写真2)。 &ref(DSCF2556.jpg)写真2  慢性期の養生として刺鍼するときは、手術痕の場所に経絡的 に関係する手のツボに陰陽の順で引いて準備します。  そして、その手術痕の周囲に出ていたツボに順に刺鍼します (写真3,4)。手術痕の周囲の痼りが改善され柔らかくなった ことを患者さんにも確認してもらいます。 &ref(DSCF2559.jpg)写真3 &ref(DSCF2561.jpg)写真4 注: 写真を撮るために押し手を離しましたが、術伝流では、灸 頭鍼などの時を除いては、押し手は、普通、離しません。  それから、手術痕に関連しそうな足のツボに、陰陽の順で引 きます。手術痕の背中側にツボが出ていれば、そこにも引きま す(写真5)。座位で、頭に散鍼し、手甲に引いて仕上げます。 &ref(DSCF2566.jpg)写真5  もちろん、他の病・症状やそれに関連するツボと組み合わせ て鍼灸していくこともできます。 *5.自己養生 **5.1.自己施灸と温法など  自宅での施灸もしてもらった方が変化が早いです。古いツボ の中で、その時に動かしたい所と、手足の指のツボにします。  一人暮らしなどで目標の痼りに灸がしにくい場合には、指の ツボに灸し、目標の痼りに円皮鍼が貼れれば貼ります。  指のツボの探し方や施灸法などは「[[術伝流一本鍼no.14]]指ま わりの痛みに糸状灸」、「[[術伝流一本鍼no.21]]表位陽明経の急性期」 などを参考にしてください。  臍の周りにツボが出ていれば、そこにも灸します。また、臍 の周りには、蒸しタオル温法でも良いです。 蒸しタオル温法:  ①濡れタオルをレンジパックにいれ、レンジでチンする  ②レンジパックの口を閉じ、乾いたタオルで包む  ③ ②を患部に乗せる  古い虚したツボには、足湯・半身浴や砂浴なども向きます。 枇杷エキスを入れた湯は、微温くても温まりやすいです。 **5.2.食養  食養としては、白砂糖、精製塩、添加物を減らしていくこと、 和食を中心にすることを、先ず勧めます。次に、パン、パスタ、 ドリアなどのカタカナ主食は少なくします。そして、スイーツ も和菓子(しかも、白砂糖を使わず、和三盆を使ったもの) を勧めます。  『粗食で生き返る』(幕内秀夫著)、『日本食長寿健康法』 (川島四郎著)などを参考にしてください。  また、手抜きして料理できる工夫も必要です。特に、一人暮 らしで自炊する場合には、その方が長続きします。『ズボラ人 間の料理術』(奥薗壽子著)、『クッキングパパの絶品ひとり 暮らしレシピ』(うえやまとち著)などを参考にしてください。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.51]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.50]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。 よろしくおねがいします。 術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ (この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) (「あま」を「@」に、「ググ」を「googlegroups」に、) (「どこ」を「.com」に変えて送信してください。    ) (面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.50 (術伝流・養生の一本鍼・応用編(2))} &bold(){&size(24){&color(green){古い病、古いツボ}}} ------ #contents *1.基本的に  鍼灸で慢性期の養生をするときは、古い病に関係した古いツ ボを改善していくと、効果が出やすいです。そこで、今回は、 古い病に関係した古いツボについて、書いていきます。 **1.1.古いツボは、虚のツボ  古いツボは、虚のツボです(図1)。表面は、ベコベコして いて、しばらくズブズブした状態が続きます。そして、ずーっ と奥に、とても硬い板のような痼りが有ります。また、奥が弦 のような筋張りになっていることもあります。  板状の痼りを鍼灸で弛めると筋張りが出てくることも多いで す。実のツボに比べると、見付けにくいものが多いです。  生命力が旺盛な所は、元気な赤ん坊の体のように弾力があり ます。カチカチ硬いだけでなく、ベコベコ・ズブズブ・フニャ フニャの所も、生命力が低い所です。  奥の硬い痼りは、治療を続けると、少しずつ表面へ上昇して きます。じっくり時間を掛けて、消していきます。 &ref(kyo-no-tubo.jpg)図1 **1.2.丁度良い治療を心掛ける  古いツボを動かすと、腹の邪毒が動き排出されることが多い です。「瞑眩」と呼ばれる現象です。余り急に変えると、多量 の邪毒の排出が一度に起こり、患者さんを必要以上に苦しませ ることにもなりかねません。  そこで、少しずつ変えていきます。その日の治療で、どの位 動かしたら良いか、見極めることが大切になります。私は、 「次の日の朝の目覚めがスッキリしている」ことを目安にして います。  また、古いツボで古い病を変え、しかも、患者さんに余り辛 さを感じさせない、そういう意味で丁度良い治療のためには、 後始末も大事です。頭(や表位)の熱へ散鍼し、手陽経に強め に引き鍼をします。灸の場合には、手指の骨空、井穴、指端な どに、熱めの糸状灸をします。 **1.3.実の痼りと虚のツボ  古い虚したツボの左右反対側、同一経絡上や動作時連動筋肉 内には、実のツボが在ることが多いです。左右反対側の例は、 脊柱を挟んで同じ高さの左右などに良く見られます。同一経絡 内の場合は、背中の上下などに見られます。動作時連動筋肉内 の例は、手の運動器疾患での軸足に多く、例えばテニス肘の時 の反対側下腿外側などです。  ですから、逆に、実のツボや実の痼りの左右反対側、同一経 絡上や動作時連動筋肉内を丁寧に探すと、虚のツボは見付けや すいです。  例えば「[[術伝流一本鍼no.22]] 運動器偏補足 ムチウチ」に 書いたように、背中に大きな実の痼りが有った人の腰椎部分に 虚のツボが在りました(写真1)。そこへの刺鍼で、実の痼りも 目立たなくなりました。 &ref(DSCF2378.jpg)写真1 **1.4.虚すぎて痛まないツボもある  虚のツボで古くなったものには、押しても痛みを自覚できな いものもあります。  そういうときには、患者さんに了解を得た上で、刺鍼や灸頭 鍼などをしていきます。そうすると、初め自覚痛の無かった虚 のツボに痛みが出てくることが多いです。  また、古い、虚のツボが消えると、もう一つ前の古いツボが 出てくることがあります。順に消していきます。 **1.5.甘い物の食べ過ぎは、ツボが消えにくい  甘い物(白砂糖など)の過食者は、ツボが消えにくいです。 化学調味料、精製塩、添加物も同じです。また、消えても、復 活しやすいです。  鍼をして痼りが弛んでも、ゼリー状の物が痼りと同じ形・大 きさで残り、直ぐにまたツボになることが多いです。また、鍼 をしたときに筋肉が粘っこい感じを受けます。  そのため、そういう人は、銀鍼を痛がることも多いです。人 間の体と銀鍼の親和性がかえって仇(あだ)になってしまうよ うです。  白砂糖などの高度精製物や化学合成物は、血糖値スパイクに 代表されるように、血中濃度が直ぐ上がり直ぐ下がるのが特徴 です。化学合成薬としては「切れ味が良い」と評価されている ようです。  しかし、同時に禁断症状が起きやすく麻薬性も持ちます。ケ シの汁とアヘン・モルヒネ、麻黄とエフェドリン、コカの葉と コカイン、昆布とグルタミン酸ソーダ(味の素、化学調味料)、 自然海水塩と精製塩(NaCl)、みな同じ関係です。  そして、血中濃度が下がったからと言って、全てが体内から 排泄されるわけでは無いようです。皮下や筋肉内組織の間の体 液に混ざっているようです。ステロイド剤の残滓が皮下に残留 していることを指摘する人もいますね。  そういう高度精製物や化学合成物の残滓が残っていると、筋 肉が粘った感じがして、弛みにくく成るようです。  ですから、食養生の指導も必要です。10数年前に、30代の 女性で1か月甘い物を断ったら体質が変わり、ツボが消えやす くなったこともあります。 追記:ーーーーーー  この人はアイスクリームが好きで毎日10個位食べているとの ことでした。鍼灸学校の学生さんだったので、上記を伝えまし た。1ヶ月後に刺鍼したら鍼がスーッと入ったので、びっくり して聞いたら、アイスクリームをやめてみたとのこと。1ヶ月 で、こんなに変わるのかと、良い体験をさせてもらいました。 ーーーーーーーーー **1.6.補の灸、灸頭鍼、自己養生も必要  鍼のみで変わりにくいときは、補の灸・灸頭鍼を併用した方 が変わりやすいです。  できれば自宅施灸もした方が良いです。施灸してくれる人が いないときは、自分で可能な指端など指への灸を勧めます。 *2.ツボが出やすい所(図2) &ref(furui-tubo.jpg)図2 **2.1.体の境目に近い所に出やすい  ツボは、初めは筋肉の太い所に出ます。背中では1行線、腹 側では胃経。病が古くなると、そこだけでは支えきれなくなり、 横へ横へとズレていきます。  腹側では、脾経から、やがて少陽経へ、そして、章門、そし て、腰骨に張り付くような感じで、五枢〜維道など。背中側で は、2行線へ、そして、脊柱起立筋の外端の痞根・腰徹腹など。  また、それらが関係する手足の少陽と厥陰にも出やすいです。 小陽と厥陰は、前後の境界でもありますね。  左右境界にも出やすいので、任脈、督脈、華陀経を探します。 基本的には、慢性症状の関連する臓器の高さに多いです。例え ば、喘息に定喘など。  それと、臍の周りは、様々な慢性症状の場合に出るので、丁 寧に探します。  上下の境界は、横隔膜ラインです。背中側の督兪、膈兪、膏 肓の下側などに出やすいです。比較すると、左側が多いです。  前後、左右、上下の境界の組み合わせにも出ます。百会、尾 骨〜会陰の周り、大包、鳩尾〜巨闕の辺りなど。  体と手足、頭と首の境目にも出ます。手と体では、雲門、肩 貞。足と体では、衝門、居髎、環跳、足徹腹など。後頭骨下縁 の天柱、風池、完骨。 **2.2.立ち姿勢で負荷が掛かりやすい土台部分  膝裏から脹脛(ふくらはぎ)、両踝(くるぶし)の周りにも ツボが出やすいです。膝裏のH字状の窪みの両端のラインと中 央のライン上で、特に、脹脛側に多いです。下委陽、飛揚〜外 丘、承筋、承山、下陰谷、築賓など。  古くなると、大腿側にも出ます。 **2.3.古い打撲、手術痕  古い打撲や手術痕も古いツボになりやすく、瘀血を伴うこと が多いです。  季節の変わり目、寒い時期、疲れたときや、汗をかいて冷房 に当たった場合などに痛みます。また、50過ぎて初めて痛み 出すこともあります。若い頃スポーツマンだった人は、こうい う外傷性瘀血症で、脳梗塞などを起こしやすくなるので、注意 が必要です。  打撲したら、炎症が治まったら直ぐに、灸・灸頭鍼で瘀血を 散らしておくと良いです。上手く行くと、青黒い瘀血が黄色い 輪になって広がり、やがて消えていきます。ヘモグロビンがビ リルビンに変わっていくのかなと思いました。  特に、打撲したとき痛まずに、次の日以降に痛み出した場合 は、必ず施術した方が良いです…古傷になりやすいので。数日 してから痛み出したものは、特に注意が必要です。  漢方薬の駆瘀血剤(治打撲一方など)を飲んでおいた方が良 いことも多いです。漢方に詳しい医師・薬剤師・販売員に相談 してください。  治療継続中に、それまで隠れていた古い打撲が痛み出すこと もあります。そのときは、そこに灸・灸頭鍼をします。また、 この場合も、漢方の専門医などに相談し、駆瘀血剤(桂枝茯苓 丸など)を併用した方が良いと思います。  打撲の治療は、「[[術伝流一本鍼no.18]] 頭部の打撲に灸など」 を参考にしてください。  古い打撲の場合は、一番虚したポイントに補の灸・灸頭鍼を するのが効果的です。 **2.4.指端など指のツボに灸  指端など指に出ているツボに灸をするのは、良い自己養生に なります。手足の指端20カ所に試しに小灸をして、熱くない 所に多壮灸します。経絡的な変動の調整に向きます。  また、片麻痺など脳血管障害後遺症の麻痺の場合にも使いま す。  足指端は、体の重心調整、中心軸調整にもなります。特に、 足1指は、フォームが決まらない人などの正中線作りに効果的 なことが多いです。  指端の灸で効果が出にくいときは、その指の裏側関節部の横 紋の端(節紋)にある小さな痼りを見付け、灸をします。また、 井穴、骨空なども使えます。 **3.手順  初めは、ツボを考慮して慢性期の型をします。そして、古い ツボが見付かったら、灸や灸頭鍼をします。  古いツボが定まってきたら、灸や灸頭鍼を中心に施術します。 特に古く変わりにくいツボには、枇杷葉エキスも利用した灸頭 鍼もします。  「補の灸」や灸頭鍼については、「[[術伝流一本鍼no.33]]腰の 慢性期の養生、灸頭鍼」などを参考にしてください。 *4.手術痕の治療  手術痕は、手術痕と普通の皮膚の間に出ているツボに鍼灸す ると、だんだん小さくなっていきます。腫れに対する「四畔の 灸」と同じような方法です。繰り返していくと、腫れと同じよ うに、だんだん小さくなっていきます。  手術痕の直ぐ近くは、痼りになっています。そういう痼りと、 痼りになっていない所との境目を探すと、1cmおき位にツボが 出ています(写真2)。 &ref(DSCF2556.jpg)写真2  慢性期の養生として刺鍼するときは、手術痕の場所に経絡的 に関係する手のツボに陰陽の順で引いて準備します。  そして、その手術痕の周囲に出ていたツボに順に刺鍼します (写真3,4)。手術痕の周囲の痼りが改善され柔らかくなった ことを患者さんにも確認してもらいます。 &ref(DSCF2559.jpg)写真3 &ref(DSCF2561.jpg)写真4 注: 写真を撮るために押し手を離しましたが、術伝流では、灸 頭鍼などの時を除いては、押し手は、普通、離しません。  それから、手術痕に関連しそうな足のツボに、陰陽の順で引 きます。手術痕の背中側にツボが出ていれば、そこにも引きま す(写真5)。座位で、頭に散鍼し、手甲に引いて仕上げます。 &ref(DSCF2566.jpg)写真5  もちろん、他の病・症状やそれに関連するツボと組み合わせ て鍼灸していくこともできます。 *5.自己養生 **5.1.自己施灸と温法など  自宅での施灸もしてもらった方が変化が早いです。古いツボ の中で、その時に動かしたい所と、手足の指のツボにします。  一人暮らしなどで目標の痼りに灸がしにくい場合には、指の ツボに灸し、目標の痼りに円皮鍼が貼れれば貼ります。  指のツボの探し方や施灸法などは「[[術伝流一本鍼no.14]]指ま わりの痛みに糸状灸」、「[[術伝流一本鍼no.21]]表位陽明経の急性期」 などを参考にしてください。  臍の周りにツボが出ていれば、そこにも灸します。また、臍 の周りには、蒸しタオル温法でも良いです。 蒸しタオル温法:  ①濡れタオルをレンジパックにいれ、レンジでチンする  ②レンジパックの口を閉じ、乾いたタオルで包む  ③ ②を患部に乗せる  古い虚したツボには、足湯・半身浴や砂浴なども向きます。 枇杷エキスを入れた湯は、微温くても温まりやすいです。 **5.2.食養  食養としては、白砂糖、精製塩、添加物を減らしていくこと、 和食を中心にすることを、先ず勧めます。次に、パン、パスタ、 ドリアなどのカタカナ主食は少なくします。そして、スイーツ も和菓子(しかも、白砂糖を使わず、和三盆を使ったもの) を勧めます。  『粗食で生き返る』(幕内秀夫著)、『日本食長寿健康法』 (川島四郎著)などを参考にしてください。  また、手抜きして料理できる工夫も必要です。特に、一人暮 らしで自炊する場合には、その方が長続きします。『ズボラ人 間の料理術』(奥薗壽子著)、『クッキングパパの絶品ひとり 暮らしレシピ』(うえやまとち著)などを参考にしてください。 **5.3.自己養生については、詳しくは  自己養生については、詳しくは以下の項目を参考にしてください。 [[養生生活の基本]] [[自分で養生]]    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.51]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.50]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 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