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&color(green){術伝流一本鍼no.43 (術伝流・養生の一本鍼・病証編(2))}
&bold(){&size(24){&color(green){太陽の病}}}
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#contents
*1. 基本的に
太陽の病は、体の後ろ側に主な症状が出て、痛みが激しいこ
とが特徴です。坐骨神経痛などが典型例になります。
**1.1. 片寄った使い方と内側の症状が原因
体の片寄った使い方が主な原因のことが多いです。が、内臓
など体の内側の症状が関係していることもあります。
肩凝りなど上半身の場合には、腕や目の片寄った使い方が原
因のことが一番多いです。それ以外では、風邪や虫歯など上半
身に関係した病、食べ過ぎ、瘀血証、欲求不満などが関係する
こともあります。
右利きで左肩凝りのときには、心臓の負担が反映しているこ
とがあります。子供の頃に弁膜症だった人や不整脈のある人な
ど。こういう人は、普通の肩凝りでは肩甲間部上半分が凝って
いるのに対し、肩甲骨の下角辺りの方の凝りが酷いので区別で
きます(図1)。
&ref(sinzou-hutan.jpg)図1
また、左前腕の少陰経の手首付近(陰郄)にツボが出ている
ことも多くなります。
この右利きで左肩凝りで心臓の負担が関係している例は、何
度も経験しているのですが、写真がありません。そういう人を
ご存じなら紹介してください。よろしくおねがいします。
腰痛など下半身の場合にも、体の片寄った使い方が原因のこ
とが多いです。それ以外では、下半身の外傷や瘀血症などに因
る腹の痼りが原因のことも結構あります。
心臓系の疾患と肩甲間部の痛みやツボ、生理痛はじめ瘀血症
と腰痛などの関係は、体の内部の内臓の不調を背中側の筋肉で
庇っていることから出ています。四足動物だった頃、背中の筋
肉で内臓を釣っていた名残ですね。
それに、人は、体内部や腹側の痛みは感じにくく、それらを
背中側の痛みとして感じやすいことからも来ていると思います。
また、こういう関係があるから、内科系の病のときに、その
横輪切りの背中側にツボが出るので、それを利用して「陽に引
く」という手法を使うわけです。
そして、太陽経病証として、背中側の痛みがあったときにも、
再発が多いようなら、内科系や体の前側などが原因していない
かチェックする必要も出てきます。
**1.2. 古くなると特定の所に辛さや痛みが集中
古くなると特定の所に辛さや痼りが集中する傾向があります。
上半身の場合には、肩関節の肩峰の周りで、肩峰から3cm程
の窪みに痛みが出ることが多いです。そして、その原因となる
ツボは、その裏側の脇の下から上腕陰経に出ます。
下半身の辛さは、膝の皿の周りの窪みに集中することが多い
です。腰痛があった人が坐骨神経痛になり、そして年をとって
膝の痛みを訴えるというのが典型的なパターンです。また、足
首捻挫を繰り返した人も、年をとると膝が痛くなることが多い
です。
そして、下半身の辛さの原因となるツボは、膝裏から脹脛に
出ていることが多いです。
体の裏側の痛みは自覚しにくく、表側の痛みとして感じるこ
とが原因のように思います。この場合、患者さんの訴える肩峰
や膝皿の周囲だけの治療では、余り改善しません。
**1.3. 動かないでも痛い方が重い
一般的に動くと痛いものよりも、動かなくても痛いものの方
が重く、治療も長く掛かることが多いです。そういうときには、
腹の邪毒などが関係していることがあり、腹の邪毒を減らして
いく必要があります。
**1.4. 痼りに邪気が入ると、ピリピリビリビリ痛む
ただ痼りが有るだけでは痛まないこともあります。そういう
ときにも、腹の邪毒からの邪気が入ると、ピリピリビリビリと
痛み出します。慢性期の型などで養生し、腹の状態を良くした
だけで肩凝りや腰痛が治ったりするのは、腹の痼り由来の邪気
が少なくなるためです。
*2. ツボの出やすい所
詳しいことは、運動器系の応急処置、養生で書いてきたこと
を参照してください。
肩では、肩井、首の付け根、膏肓、肩貞、天柱、横頚部中央、
脇の下など。首の付け根は女性に多く、肩貞は慢性期に多く、
天柱は不眠を伴うときに多いです。
腰では、大腸兪、殿央、環跳、仙骨まわりなど。
カゼ、便秘、食べ過ぎ、瘀血などが原因のときには、そうい
う状態に関連する所にツボが出ます。古典にも出てきます。
「太陽之為病、脈浮、頭項強痛而悪寒」
(項(うなじ)にも痼りが出る)
「太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之」
(項から背中が強く強張って、鳥が羽ばたくような姿勢に)
患部や腹の邪などと経絡的に関係する所にも出ます。手陽経
なら、中渚、上小海、合谷など。手陰経なら、上腕の脇の下か
らの溝の中など。足陽経なら、下委中、飛揚〜外丘、陽大鐘、
丘墟、足甲4~5間など。足陰経なら、下陰谷、築賓、大鐘、曲
泉、中封など。
*3. 手順
手順も、詳しいことは、運動器系の養生で書いてきたことを
参照してください。
慢性期の養生の型で、患部や関連する所を丁寧に四診し刺鍼
ます。鍼のみで変わりにくい所は、灸や灸頭鍼をします。
*4.繰り返す痛みは、古い打撲が原因のことも
打撲の影響が後で出ることが結構あります。急な打撲で麻痺
したものが後で痛み出す典型例は、交通事故の後のムチウチ症
です。また、子供や若い頃の打撲が中年すぎに痛み出すことも
多いです。
特に、仙骨下部〜尾骨の打撲の場合は、原因が分からないで、
体全体が不調になったり、背中側全体に痛みが出たりします。
そういう状態のときに尾骨の周りが原因なら、そこの治療をし
た途端に症状が消えていくことが多いです。
今年は、繰り返す背中側の症状の原因が尾骨の周辺の打撲だっ
た例を3つ経験しました。そのうち一人は、小学生の頃の打撲
が中年になって影響した例でした。
これらも、打撲した痕の瘀血などが邪気の発生源になってい
て、そこからの邪気が体の背中側のツボが出ている所に影響し、
痛みや辛さが出ています。痛みや辛さが出ている所だけ治療し
ても、ぶり返すことが多いです。邪気の発生源である古い打撲
を治療すると、大きく改善します。
古い打撲は、患者さん自身も忘れている場合も多く、麻痺に
近い状態で、その部分の辛さを感じないことが多いので、見付
けにくいです。特に、尾骨の周辺は、患者さんの意識に上りに
くいようです。
*5. 写真付き症例
**5.1. 交通事故の後遺症、ムチウチか
交通事故の後に、首が動かしづらくなった例です。脇道から
飛び出した車に追突し、エアバックに顔が突っ込んだというこ
とでした。うつ向きは少しできるけれど、それ以外の首の動作
制限が酷い状態でした。
慢性期の型で治療していき、座位になったときに調べてみる
と、背中(特に肩甲間部左側)にツボが並んで出ていました。
そこに刺鍼しながら、できる範囲でゆっくり首や腕を動かして
もらったら(運動鍼)、改善していきました(写真1,2,3)。
&ref(DSCF0085.jpg)写真1
&ref(DSCF0088.jpg)写真2
&ref(DSCF0093.jpg)写真3
エアバックに顔が密着し、首が余り動かなかったことで、肩
甲間部の背骨で衝撃を受けたせいかなと思いました。
**5.2. 長引く坐骨神経痛と尾骨の打撲
坐骨神経痛が長引き、しかも、治療しても再発を繰り返した
例です。
よくよく話を聞いてみると、バイクで衝突し前に投げ出され
たのだが、ザックを背負っていて、背中の衝撃は避けられたと
いうことでした。要するに、直接道路と衝突したのは、左側臀
部、仙骨下部から尾骨あたりなのかなと思いました。が、麻痺
して、その部分の痛みを余り感じなかったようです。
そこを治療した(写真4,5)ら、治療間隔を空けても大丈夫
になりました。
&ref(DSCF9447.jpg)写真4
&ref(DSCF9448.jpg)写真5
どちらの例も患者さんが訴える場所だけを治療したのでは、
改善が進まないで、症状の再発を繰り返した可能性が高いです。
再発が多いときには、邪気の発生源が別にあるかもしれない
ことも考え、古いツボの出やすい所を探す必要が出てきます。
打撲の場合には、打撲の衝撃を受け止めた所、その中でも経過
の古い物というのも、古いツボの出やすい典型例の一つです。
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術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
**間違いなど
間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
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参加者を募集しています。
よろしくお願いします。
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&bold(){&size(24){&color(green){太陽の病}}}
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#contents
*1. 基本的に
太陽の病は、体の後ろ側に主な症状が出て、痛みが激し
いことが特徴です。坐骨神経痛などが典型例になります。
**1.1. 片寄った使い方と内側の症状が原因
体の片寄った使い方が主な原因のことが多いです。が、
内臓など体の内側の症状が関係していることもあります。
肩凝りなど上半身の場合には、腕や目の片寄った使い方
が原因のことが一番多いです。それ以外では、風邪や虫歯
など上半身に関係した病、食べ過ぎ、瘀血証、欲求不満な
どが関係することもあります。
右利きで左肩凝りのときには、心臓の負担が反映してい
ることがあります。子供の頃に弁膜症だった人や不整脈の
ある人など。こういう人は、普通の肩凝りでは肩甲間部上
半分が凝っているのに対し、肩甲骨の下角辺りの方の凝り
が酷いので区別できます(図1)。
&ref(sinzou-hutan.jpg)図1
また、左前腕の少陰経の手首付近(陰郄)にツボが出て
いることも多くなります。
この右利きで左肩凝りで心臓の負担が関係している例は、
何度も経験しているのですが、写真がありません。そうい
う人をご存じなら紹介してください。よろしくおねがいし
ます。
腰痛など下半身の場合にも、体の片寄った使い方が原因
のことが多いです。それ以外では、下半身の外傷や瘀血症
などに因る腹の痼りが原因のことも結構あります。
心臓系の疾患と肩甲間部の痛みやツボ、生理痛はじめ瘀
血症と腰痛などの関係は、体の内部の内臓の不調を背中側
の筋肉で庇っていることから出ています。四足動物だった
頃、背中の筋肉で内臓を釣っていた名残ですね。
それに、人は、体内部や腹側の痛みは感じにくく、それ
らを背中側の痛みとして感じやすいことからも来ていると
思います。
また、こういう関係があるから、内科系の病のときに、
その横輪切りの背中側にツボが出るので、それを利用して
「陽に引く」という手法を使うわけです。
そして、太陽経病証として、背中側の痛みがあったとき
にも、再発が多いようなら、内科系や体の前側などが原因
していないかチェックする必要も出てきます。
**1.2. 古くなると特定の所に辛さや痛みが集中
古くなると特定の所に辛さや痼りが集中する傾向があり
ます。
上半身の場合には、肩関節の肩峰の周りで、肩峰から3
cm程の窪みに痛みが出ることが多いです。そして、その
原因となるツボは、その裏側の脇の下から上腕陰経に出ま
す。
下半身の辛さは、膝の皿の周りの窪みに集中することが
多いです。腰痛があった人が坐骨神経痛になり、そして年
をとって膝の痛みを訴えるというのが典型的なパターンで
す。また、足首捻挫を繰り返した人も、年をとると膝が痛
くなることが多いです。
そして、下半身の辛さの原因となるツボは、膝裏から脹
脛に出ていることが多いです。
体の裏側の痛みは自覚しにくく、表側の痛みとして感じ
ることが原因のように思います。この場合、患者さんの訴
える肩峰や膝皿の周囲だけの治療では、余り改善しません。
**1.3. 動かないでも痛い方が重い
一般的に動くと痛いものよりも、動かなくても痛いもの
の方が重く、治療も長く掛かることが多いです。そういう
ときには、腹の邪毒などが関係していることがあり、腹の
邪毒を減らしていく必要があります。
**1.4. 痼りに邪気が入ると、ピリピリビリビリ痛む
ただ痼りが有るだけでは痛まないこともあります。そう
いうときにも、腹の邪毒からの邪気が入ると、ピリピリビ
リビリと痛み出します。慢性期の型などで養生し、腹の状
態を良くしただけで肩凝りや腰痛が治ったりするのは、腹
の痼り由来の邪気が少なくなるためです。
*2. ツボの出やすい所
詳しいことは、運動器系の応急処置、養生で書いてきた
ことを参照してください。
肩では、肩井、首の付け根、膏肓、肩貞、天柱、横頚部
中央、脇の下など。首の付け根は女性に多く、肩貞は慢性
期に多く、天柱は不眠を伴うときに多いです。
腰では、大腸兪、殿央、環跳、仙骨まわりなど。
カゼ、便秘、食べ過ぎ、瘀血などが原因のときには、そ
ういう状態に関連する所にツボが出ます。古典にも出てき
ます。
「太陽之為病、脈浮、頭項強痛而悪寒」
(項(うなじ)にも痼りが出る)
「太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之」
(項から背中が強く強張って、鳥が羽ばたくような姿勢に)
患部や腹の邪などと経絡的に関係する所にも出ます。手
陽経なら、中渚、上小海、合谷など。手陰経なら、上腕の
脇の下からの溝の中など。足陽経なら、下委中、飛揚〜外
丘、陽大鐘、丘墟、足甲4~5間など。足陰経なら、下陰谷、
築賓、大鐘、曲泉、中封など。
*3. 手順
手順も、詳しいことは、運動器系の養生で書いてきたこ
とを参照してください。
慢性期の養生の型で、患部や関連する所を丁寧に四診し
刺鍼ます。鍼のみで変わりにくい所は、灸や灸頭鍼をしま
す。
*4.繰り返す痛みは、古い打撲が原因のことも
打撲の影響が後で出ることが結構あります。急な打撲で
麻痺したものが後で痛み出す典型例は、交通事故の後のム
チウチ症です。また、子供や若い頃の打撲が中年すぎに痛
み出すことも多いです。
特に、仙骨下部〜尾骨の打撲の場合は、原因が分からな
いで、体全体が不調になったり、背中側全体に痛みが出た
りします。そういう状態のときに尾骨の周りが原因なら、
そこの治療をした途端に症状が消えていくことが多いです。
今年は、繰り返す背中側の症状の原因が尾骨の周辺の打
撲だった例を3つ経験しました。そのうち一人は、小学生
の頃の打撲が中年になって影響した例でした。
これらも、打撲した痕の瘀血などが邪気の発生源になっ
ていて、そこからの邪気が体の背中側のツボが出ている所
に影響し、痛みや辛さが出ています。痛みや辛さが出てい
る所だけ治療しても、ぶり返し、再発することが多いです。
邪気の発生源である古い打撲を治療すると、大きく改善し
ます。
古い打撲は、患者さん自身も忘れている場合も多く、麻
痺に近い状態で、その部分の辛さを感じないことが多いの
で、見付けにくいです。特に、尾骨の周辺は、患者さんの
意識に上りにくいようです。
*5. 写真付き症例
**5.1. 交通事故の後遺症、ムチウチか
交通事故の後に、首が動かしづらくなった例です。脇道
から飛び出した車に追突し、エアバックに顔が突っ込んだ
ということでした。うつ向きは少しできるけれど、それ以
外の首の動作制限が酷い状態でした。
慢性期の型で治療していき、座位になったときに調べて
みると、背中(特に肩甲間部左側)にツボが並んで出てい
ました。そこに刺鍼しながら、できる範囲でゆっくり首や
腕を動かしてもらったら(運動鍼)、改善していきました
(写真1,2,3)。
&ref(DSCF0085.jpg)写真1
&ref(DSCF0088.jpg)写真2
&ref(DSCF0093.jpg)写真3
エアバックに顔が密着し、首が余り動かなかったことで、
肩甲間部の背骨で衝撃を受けたせいかなと思いました。
**5.2. 長引く坐骨神経痛と尾骨の打撲
坐骨神経痛が長引き、しかも、治療しても再発を繰り返
した例です。
よくよく話を聞いてみると、バイクで衝突し前に投げ出
されたのだが、ザックを背負っていて、背中の衝撃は避け
られたということでした。要するに、直接道路と衝突した
のは、左側臀部、仙骨下部から尾骨あたりなのかなと思い
ました。が、麻痺して、その部分の痛みを余り感じなかっ
たようです。
そこを治療した(写真4,5)ら、治療間隔を空けても大
丈夫になりました。
&ref(DSCF9447.jpg)写真4
&ref(DSCF9448.jpg)写真5
どちらの例も患者さんが訴える場所だけを治療したので
は、改善が進まないで、症状の再発を繰り返した可能性が
高いです。
再発が多いときには、邪気の発生源が別にあるかもしれ
ないことも考え、古いツボの出やすい所を探す必要が出て
きます。打撲の場合には、打撲の衝撃を受け止めた所、そ
の中でも経過の古い物というのも、古いツボの出やすい典
型例の一つです。
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