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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.29 (術伝流・養生の一本鍼・基本編(3))} &bold(){&size(24){&color(green){慢性期の養生の診察:何を見るか}}} ------ #contents *(1)はじめに  慢性期の診察では、基本的に、先回も書いたように、腹 診を中心に診ていきます。  一番大事なのは、体全体の雰囲気なんですが、初めは難 しいでしょうね。顔の表情や、姿勢、歩き方などを、治療 前後で比較することから始めてください。  姿勢が自然に良くなり、歩き方がスムーズで、足取りが 軽そうに見え、表情が晴れ晴れスッキリしていたら、治療 は上手くいったと考えてよいでしょう。  ですから、本当は、姿を見、顔を合わせたときから、診 察は始まっています。そういう体全体の様子の変化を観察 することが一番大事だという点を忘れずに、以下を読んで ください。 *(2)脈  脈は、先ずは、脈状。浮沈、数遅、虚実(六祖脈)。  「浮沈」は、指を軽く触れて分かるものを「浮」、指を 深く入れないと分からないものを「沈」と言い、病の盛ん な場所を示します。「浮」は、肩甲骨鎖骨から上の表位な ど体の上の方や、表面の近い方で、病が盛んなことを意味 し、風邪の初期などに見られます。「沈」は、体の奥の方 で病が盛んなことを意味し、経過の長い古い病のときに見 かけます。  「数遅」は、脈の速さに因る区別で「一息四脈」が標準 と聞きます。「数」は、「さく」と読み、熱が高いことを 意味します。「遅」は、比較すれば、体が冷えていること が多いようです。  「虚実」は、弱強・柔硬の区別です。「虚」は、体に元 気がないことを意味します。「実」は、病に因る邪が盛ん な場合と、体が元気な場合と、両方あります。  「実」の中でも、血管壁がパンパンに張っている感じの ものは、「弦」と呼ばれ、腹に痼りがあることを意味しま す。  次は、部位に因る脈。左手と右手の違いは、基本的に、 体の右半身と左半身の違いです。また、手首に近い方の脈 が、頭に近い方の状態と相関しています。肘に近い方の脈 は、足に近い下腹部の状態と相関しています。  脈状や部位脈は、先ず、これ位の区別を付けられるよう になりましょう。部位と内臓の対応を始めとする細かい点 は、流派に因り、国に因り、異なっていますので。 *(3)舌・顔  舌は、先ず表側から。真っ赤なら、熱。白っぽければ、 体の冷え。湿っぽかったり、歯の痕がついていたりすれば、 水毒。ひび割れていれば、乾燥。暗赤色なら、瘀血。それ ぞれ、そういうことを意味します。  膨れた感じで淡い色なら、疲れているときに良く見るら れる状態です。  舌の上に苔が生えているように見えるものを舌苔と言い、 黄色ければ熱があることを意味しています。舌苔の剥離が 見られるときは、胃腸の粘膜にも剥離がある可能性が高い とされます。  次は、裏側。左右2本の血管が太く黒ずんでいれば、瘀 血の証です。生理痛などのある人の他に、手術をした人や 打撲捻挫の多かった人などに見られます。  舌先は、体幹部の頭の方を示します。舌の奥は、体幹部 の下腹の方を示します。舌の横側は、体の横側を示すとさ れます。  細かくは色々ありますが、先ずは、これ位が分かるよう になりましょう。  顔は、表情・色艶を見ます。紅ければ、熱が高いことが 多いです。黒ずんでいれば、邪気が潜んでいることが多く なります。 *(4)腹  どの辺りが何となく悪そうな感じがするかというのが一 番大事なのですが、基本を書いてみます。  鎖骨の辺りを診て(写真1)、下から突き上げる感じを 受けたら、「上衝」と言う「腹の邪気が頭に衝き上げる」 証です。 &ref(DSCF2706.jpg)写真1  胸骨中央の膻中の辺りを診て(写真2)、ザワザワして いたら、「心煩」と言う「精神状態が不安定」な証です。 &ref( DSCF2707.jpg)写真2  鳩尾の辺りに四指の先を差し入れて(写真3)、硬かった ら、「心下痞」と言い、「水毒が上腹部に溜まっている」 証です。 &ref(DSCF2717.jpg)写真3  腹に近い肋骨の上が硬かったり膨らんでいたら、「胸脇 苦満」と言い、「少陽病」の証です。これは、肋骨下部を 左右交互に軽く押してみると分かりやすいです(写真4)。 硬くなっていて弾力がなく、押しても沈まないときは、胸 脇苦満と判断します。 &ref(DSCF2709.jpg)写真4  腹部の、特に上腹部の肋骨下縁の近くが張っていたら、 「腹満・腹脹」と言う「ガスなどが溜まっている」証です。 特に、大腸の二つの曲がり角、つまり、上行から横行の角 や、横行から下行の角で、ガスが溜まっている可能性が高 いです。  腹直筋に痼りや筋張りがあれば、その近くの内臓の異常 を庇っている可能性が高いです。これは、奥まで四指の先 を差し入れ、底に着いた所で横に振ってみると分かりやす いです(写真5)。 &ref(DSCF2720.jpg)写真5  下腹部から蝶骨にかけてに、痼りがあれば「少腹急結」 と言い、「瘀血」の証で、生理痛などが考えられます。特 に、五枢〜維道の辺りから親指を骨盤に巻き込むように押 し付けてみる(写真6)と、分かりやすいです。 &ref(DSCF2736.jpg)写真6  丹田の辺りが、ペコペコして、弾力がなく、力も無い感 じなら、「臍下不仁」と言って「虚」の証です。老人など に見られます。特に、指を入れていったときに弾力なく、 吸う息と共に押し返して来るかどうかを見て(写真7)、 押し返してこなければ、臍下不仁と診ます。 &ref(DSCF2724.jpg)写真7  横腹、章門、蝶骨の腹側(五枢維道)、臍の2~3cm斜め外 方の四隅などは、古い病に関係する痼りの出る所です。臍 を中心に、左右上半身、左右下半身の歪みを反映していま す。例えば、左上肓愈や左章門は、左上半身の古い歪み、 古い病を反映しています。  その他にも、腹診の本には色々な証が出てますが、先ず、 上記程度が区別できることを目指してください。  また、脈や舌などの診察から得られた情報と矛盾がない か点検することも忘れないでください。 *(4)足  先ず、足先や足甲の冷えは、体全体が冷えを意味し、左 右差は体の冷えの左右差に関係します。  下腿では、経絡ごとの虚実を見ます。特に、溝のような ものが見えるほど凹んでいれば、その経絡は虚しているこ とが多いです。  大腿には、古い病の影響が出ていることが多いので、必 要があれば診るようにしましょう。  また、足全体を眺めて、浮腫や悪血、例えば、打撲痕、 細絡、静脈瘤などや、動脈の拍動などが出ていないかも観 察しましょう。  足の状況も、脈、舌、腹の診察と比較して矛盾がないか 点検することを忘れないでください。 *(5)大切なこと  上記した細かい点よりも大切なことは、何度も繰り返し ますが、体全体の雰囲気です。顔の表情や姿勢、歩き方な どを治療前後で比べます。姿勢が自然に良くなり、歩き方 がスムーズで、足取りが軽そうに見え、表情が晴れ晴れスッ キリしていたら、治療は上手くいったと考えてよいです。  脈なども細かい脈状や部位脈よりも、先ずは、治療前後 の脈を比べて、ザワザワと騒がしい感じの脈が、穏やかで 元気になっているかが大切です。 *(6)臍を境に左右上下  (5)で書いた大切なことを踏まえた上で、診察結果、 特に腹診の結果から、刺鍼を始める前に、どこを中心に治 療するかや刺鍼手順などを決めていく必要があります。  そのために、診察結果で主に参考にするのは、古いツボ が出やすい所です。横腹、臍の周り、章門、五枢の辺りの 左右差を比べて、ツボが出ている側を選びます。両側に出 ていたら、虚している側を選びます。   虚している方とは、ツボのペコペコ、ズブズブした感じ が強い方です。虚を選ぶのは、虚のツボは、古いツボで、 慢性期の体の状態を反映していることが多いからです。  場所によって左右まちまちだったら、横腹の左右差で決 めます。臍より上と下で左右が違っていたら、手や臍より 上の腹と、臍より下の腹や足とでは、左右を変えてもよい です。  要するに、慢性期、すなわち、未病のときには、表位、 上焦には、邪気が多く、中焦には水毒が多く、下焦には瘀 血が多いです。  このうち、邪気は、そのもの単体であることは少ないで す。ビールの気のように抜けていきますから、常に水毒や 瘀血から湧き出している必要があります。そして、邪気の 動きが激しければ、未病とは言えず、発作、すなわち、急 性期になってしまいます。  つまり、未病を治すことを目指す、慢性期の養生では、 水毒と瘀血を中心に診る、すなわち、腹診の中でも、中焦 と下焦を中心に診ることになります。  そんな理由で、術伝では、先ずは臍を境に、腹を左右上 下に4分割し、何処が一番悪いか、2番目は何処かを決め ることをしています。経験上、臍を境に、左右の上半身と 左右の下半身の何処が悪いかに、ほぼ相関しています。  初めに書いたように、その判断に使うのは、主に、古い ツボが出やすい所です。詳しく書くと、胸に近い方から、 左右章門の辺り、左右上肓兪の辺り、左右下肓兪の辺り、 左右五枢維道の辺り、そして、左右脇腹の肋骨寄りと骨盤 寄りの、全部で計12か所を中心に判断しています。   &ref(hara-hurui-tubo.jpg)図1  そして、臍より上が悪い側の左右で、主に施術する手の 左右を選び、臍より下が悪い側の左右で、主に施術する足 の左右を選んでいます。 *(7)おわりに  東洋医学に詳しい人から見れば、今回の術伝流の腹診と その結果の判断の仕方は、随分と大雑把な感じを受けると 思います。  が、しかし、初めは、これ位で、十分です。後は、腹診 で見付けた悪い所と経絡的に関連する手足のツボが見付け られ、そこに適切な刺鍼ができれば、腹の悪い所が改善し ていきます。経絡ってすごいなと思います。  ゆっくり少しずつ腹の悪い所を見付けるたびに、それに 関連する手足のツボに適切な施術をしていけば、だんだん 腹だけでなく、体全体が整っていきます。  次回は、刺鍼手順です。それも、先ずは、今回書いた腹 の悪い所に関係する手足のツボの選び方が中心になります。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.30]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.27]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.29 (術伝流・養生の一本鍼・基本編(3))} &bold(){&size(24){&color(green){慢性期の養生の診察:何を見るか}}} ------ #contents *(1)はじめに  慢性期の診察では、基本的に、先回も書いたように、腹 診を中心に診ていきます。  一番大事なのは、体全体の雰囲気なんですが、初めは難 しいでしょうね。顔の表情や、姿勢、歩き方などを、治療 前後で比較することから始めてください。  姿勢が自然に良くなり、歩き方がスムーズで、足取りが 軽そうに見え、表情が晴れ晴れスッキリしていたら、治療 は上手くいったと考えてよいでしょう。  ですから、本当は、姿を見、顔を合わせたときから、診 察は始まっています。そういう体全体の様子の変化を観察 することが一番大事だという点を忘れずに、以下を読んで ください。 *(2)脈  脈は、先ずは、脈状。浮沈、数遅、虚実(六祖脈)。  「浮沈」は、指を軽く触れて分かるものを「浮」、指を 深く入れないと分からないものを「沈」と言い、病の盛ん な場所を示します。「浮」は、肩甲骨鎖骨から上の表位な ど体の上の方や、表面の近い方で、病が盛んなことを意味 し、風邪の初期などに見られます。「沈」は、体の奥の方 で病が盛んなことを意味し、経過の長い古い病のときに見 かけます。  「数遅」は、脈の速さに因る区別で「一息四脈」が標準 と聞きます。「数」は、「さく」と読み、熱が高いことを 意味します。「遅」は、比較すれば、体が冷えていること が多いようです。  「虚実」は、弱強・柔硬の区別です。「虚」は、体に元 気がないことを意味します。「実」は、病に因る邪が盛ん な場合と、体が元気な場合と、両方あります。  「実」の中でも、血管壁がパンパンに張っている感じの ものは、「弦」と呼ばれ、腹に痼りがあることを意味しま す。  次は、部位に因る脈。左手と右手の違いは、基本的に、 体の右半身と左半身の違いです。また、手首に近い方の脈 が、頭に近い方の状態と相関しています。肘に近い方の脈 は、足に近い下腹部の状態と相関しています。  脈状や部位脈は、先ず、これ位の区別を付けられるよう になりましょう。部位と内臓の対応を始めとする細かい点 は、流派に因り、国に因り、異なっていますので。 *(3)舌・顔  舌は、先ず表側から。真っ赤なら、熱。白っぽければ、 体の冷え。湿っぽかったり、歯の痕がついていたりすれば、 水毒。ひび割れていれば、乾燥。暗赤色なら、瘀血。それ ぞれ、そういうことを意味します。  膨れた感じで淡い色なら、疲れているときに良く見るら れる状態です。  舌の上に苔が生えているように見えるものを舌苔と言い、 黄色ければ熱があることを意味しています。舌苔の剥離が 見られるときは、胃腸の粘膜にも剥離がある可能性が高い とされます。  次は、裏側。左右2本の血管が太く黒ずんでいれば、瘀 血の証です。生理痛などのある人の他に、手術をした人や 打撲捻挫の多かった人などに見られます。  舌先は、体幹部の頭の方を示します。舌の奥は、体幹部 の下腹の方を示します。舌の横側は、体の横側を示すとさ れます。  細かくは色々ありますが、先ずは、これ位が分かるよう になりましょう。  顔は、表情・色艶を見ます。紅ければ、熱が高いことが 多いです。黒ずんでいれば、邪気が潜んでいることが多く なります。 *(4)腹  どの辺りが何となく悪そうな感じがするかというのが一 番大事なのですが、基本を書いてみます。  鎖骨の辺りを診て(写真1)、下から突き上げる感じを 受けたら、「上衝」と言う「腹の邪気が頭に衝き上げる」 証です。 &ref(DSCF2706.jpg)写真1  胸骨中央の膻中の辺りを診て(写真2)、ザワザワして いたら、「心煩」と言う「精神状態が不安定」な証です。 &ref( DSCF2707.jpg)写真2  鳩尾の辺りに四指の先を差し入れて(写真3)、硬かった ら、「心下痞」と言い、「水毒が上腹部に溜まっている」 証です。 &ref(DSCF2717.jpg)写真3  腹に近い肋骨の上が硬かったり膨らんでいたら、「胸脇 苦満」と言い、「少陽病」の証です。これは、肋骨下部を 左右交互に軽く押してみると分かりやすいです(写真4)。 硬くなっていて弾力がなく、押しても沈まないときは、胸 脇苦満と判断します。 &ref(DSCF2709.jpg)写真4  腹部の、特に上腹部の肋骨下縁の近くが張っていたら、 「腹満・腹脹」と言う「ガスなどが溜まっている」証です。 特に、大腸の二つの曲がり角、つまり、上行から横行の角 や、横行から下行の角で、ガスが溜まっている可能性が高 いです。  腹直筋に痼りや筋張りがあれば、その近くの内臓の異常 を庇っている可能性が高いです。これは、奥まで四指の先 を差し入れ、底に着いた所で横に振ってみると分かりやす いです(写真5)。 &ref(DSCF2720.jpg)写真5  下腹部から蝶骨にかけてに、痼りがあれば「少腹急結」 と言い、「瘀血」の証で、生理痛などが考えられます。特 に、五枢〜維道の辺りから親指を骨盤に巻き込むように押 し付けてみる(写真6)と、分かりやすいです。 &ref(DSCF2736.jpg)写真6  丹田の辺りが、ペコペコして、弾力がなく、力も無い感 じなら、「臍下不仁」と言って「虚」の証です。老人など に見られます。特に、指を入れていったときに弾力なく、 吸う息と共に押し返して来るかどうかを見て(写真7)、 押し返してこなければ、臍下不仁と診ます。 &ref(DSCF2724.jpg)写真7  横腹、章門、蝶骨の腹側(五枢維道)、臍の2~3cm斜め外 方の四隅などは、古い病に関係する痼りの出る所です。臍 を中心に、左右上半身、左右下半身の歪みを反映していま す。例えば、左上肓愈や左章門は、左上半身の古い歪み、 古い病を反映しています。  その他にも、腹診の本には色々な証が出てますが、先ず、 上記程度が区別できることを目指してください。  また、脈や舌などの診察から得られた情報と矛盾がない か点検することも忘れないでください。 *(4)足  先ず、足先や足甲の冷えは、体全体が冷えを意味し、左 右差は体の冷えの左右差に関係します。  下腿では、経絡ごとの虚実を見ます。特に、溝のような ものが見えるほど凹んでいれば、その経絡は虚しているこ とが多いです。  大腿には、古い病の影響が出ていることが多いので、必 要があれば診るようにしましょう。  また、足全体を眺めて、浮腫や悪血、例えば、打撲痕、 細絡、静脈瘤などや、動脈の拍動などが出ていないかも観 察しましょう。  足の状況も、脈、舌、腹の診察と比較して矛盾がないか 点検することを忘れないでください。 *(5)大切なこと  上記した細かい点よりも大切なことは、何度も繰り返し ますが、体全体の雰囲気です。顔の表情や姿勢、歩き方な どを治療前後で比べます。姿勢が自然に良くなり、歩き方 がスムーズで、足取りが軽そうに見え、表情が晴れ晴れスッ キリしていたら、治療は上手くいったと考えてよいです。  脈なども細かい脈状や部位脈よりも、先ずは、治療前後 の脈を比べて、ザワザワと騒がしい感じの脈が、穏やかで ゆったり(滔々)と流れる状態になっているかが大切です。 *(6)臍を境に左右上下  (5)で書いた大切なことを踏まえた上で、診察結果、 特に腹診の結果から、刺鍼を始める前に、どこを中心に治 療するかや刺鍼手順などを決めていく必要があります。  そのために、診察結果で主に参考にするのは、古いツボ が出やすい所です。横腹、臍の周り、章門、五枢の辺りの 左右差を比べて、ツボが出ている側を選びます。両側に出 ていたら、虚している側を選びます。   虚している方とは、ツボのペコペコ、ズブズブした感じ が強い方です。虚を選ぶのは、虚のツボは、古いツボで、 慢性期の体の状態を反映していることが多いからです。  場所によって左右まちまちだったら、横腹の左右差で決 めます。臍より上と下で左右が違っていたら、手や臍より 上の腹と、臍より下の腹や足とでは、左右を変えてもよい です。  要するに、慢性期、すなわち、未病のときには、表位、 上焦には、邪気が多く、中焦には水毒が多く、下焦には瘀 血が多いです。  このうち、邪気は、そのもの単体であることは少ないで す。ビールの気のように抜けていきますから、常に水毒や 瘀血から湧き出している必要があります。そして、邪気の 動きが激しければ、未病とは言えず、発作、すなわち、急 性期になってしまいます。  つまり、未病を治すことを目指す、慢性期の養生では、 水毒と瘀血を中心に診る、すなわち、腹診の中でも、中焦 と下焦を中心に診ることになります。  そんな理由で、術伝では、先ずは臍を境に、腹を左右上 下に4分割し、何処が一番悪いか、2番目は何処かを決め ることをしています。経験上、臍を境に、左右の上半身と 左右の下半身の何処が悪いかに、ほぼ相関しています。  初めに書いたように、その判断に使うのは、主に、古い ツボが出やすい所です。詳しく書くと、胸に近い方から、 左右章門の辺り、左右上肓兪の辺り、左右下肓兪の辺り、 左右五枢維道の辺り、そして、左右脇腹の肋骨寄りと骨盤 寄りの、全部で計12か所を中心に判断しています。   &ref(hara-hurui-tubo.jpg)図1  そして、臍より上が悪い側の左右で、主に施術する手の 左右を選び、臍より下が悪い側の左右で、主に施術する足 の左右を選んでいます。 *(7)おわりに  東洋医学に詳しい人から見れば、今回の術伝流の腹診と その結果の判断の仕方は、随分と大雑把な感じを受けると 思います。  が、しかし、初めは、これ位で、十分です。後は、腹診 で見付けた悪い所と経絡的に関連する手足のツボが見付け られ、そこに適切な刺鍼ができれば、腹の悪い所が改善し ていきます。経絡ってすごいなと思います。  ゆっくり少しずつ腹の悪い所を見付けるたびに、それに 関連する手足のツボに適切な施術をしていけば、だんだん 腹だけでなく、体全体が整っていきます。  次回は、刺鍼手順です。それも、先ずは、今回書いた腹 の悪い所に関係する手足のツボの選び方が中心になります。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.30]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.27]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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