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経絡病症と気血水病証 - (2010/08/04 (水) 19:12:41) のソース

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* (1)はじめに
 東洋医学的な病証の見方は大雑把に3つです。

 一つ目は「未病と発作」で、病の慢性期と急性期を見ています。

 二つ目は「経絡病証」で、体を縦切りに見ています。立ち姿勢で体を
前・横・後ろに3分類するのが基本で、前・横・後ろ×内外×手足で、
3×2×2=12経絡になります。体の外側を中心にした病気によく当て
はまります。

 三つ目は「気血水病証」で、体を横輪切りに見ています。立ち姿勢の
頭首胴で、肩胛骨・鎖骨から上が「表位」、その下で横隔膜までが「上
焦」、その下で臍までが「中焦」、臍から下が「下焦」です。体の内側
の病気によく当てはまります。

*(2)未病と発作
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 東洋医学的な病証の見方として、慢性期は未病、急性期は発作という
のが、まずは基本になります。

 未病というのは、病が動いていない状態のことですが、動いていない
から症状ははっきり出ていませんが、体に歪みはありますし、悪血や水
毒もあり、そこからすこしずつ邪気が漏れているのが普通です。悪血や
水毒などが沈静化しているので症状ははっきり現れません。

 体の恒常性維持機能がはたらいて、歪んだなりになんとかバランスを
保っている状態です。

 そういう未病の体に、耐えきれないストレスがかかると、体は邪毒を
取りいれ増やし、発作的な急性症状の状態になります。そして、未病の
状態よりも生命力はすこし落ちた状態になります。

 発作的な急性症状になったときに、安静にしてたり適切な治療を受け
ると、体から邪毒が排出され、体は元の未病の状態よりもすこし生命力
が高い状態でバランスします。

 発作的急性症状になったときに、またストレスがかかったり誤治を受
けたりすると、体は邪毒を取りいれ増やし、症状が消えても、元の未病
の状態よりもすこし生命力が低い状態でバランスしてしまいます。

 こういう未病と発作が、いつも繰り返されていると考えるのが、基本
の見方です。

(3)経絡病証
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 経絡病証は、体を縦切り、つまり、直立2足歩行するヒトの体にかか
る重力負荷を分担している分類であると思います。

 立ち姿勢でのヒトの姿を前から見たとき、横から見たとき、後ろから
見たとき、それぞれのときに見えやすい部分に分けるのが基本です。こ
れに体の内外の区別と手足の区別を組み合わせると、12経絡となります。
3×2×2=12

 大雑把には、足という2本の丸太の内側同士がくっついて胴体ができ
ていると考えるとよいでしょう。

 ですから、体の内側も大雑把に、前、中〜横、後ろにわけ、それぞれ
足の内・前の太陰、内・中〜横の厥陰、内・後ろの少陰が担当している
と考えれば、腹筋のすぐ下にある胃腸が内・前の足太陰、腹膜後器官で
背中側から手術する腎臓が内・後ろの足少陰、体の中央にある子宮が内・
中〜横の足厥陰に属するのは、理解しやすいと思います。

 ですから、体の横輪切りの解剖図を見れば、だいたいどの経絡が担当
するか検討がつきやすいです。

 目の奥の病、網膜剥離や近視乱視が足厥陰(内・横〜中)に関係する
のも、目の高さの横切り解剖図で、網膜や近視乱視に関係する目を動か
す筋肉が内側の中ほどにあるからでしょう。

(4)気血水病証
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 気血水病証では、体を横輪切り、つまり、肩甲・鎖骨から上を表位、
その下から横隔膜までを上焦、横隔膜から臍までを中焦、臍から下の胴
体部分を下焦と分けています。

 未病のときには、表位や上焦は邪気が多く、中焦は水毒が多く、下焦
は悪血が多いとされます。

 気は軽く、血は重く、水はその中間なので、病が動かない未病のとき
には、より重いものが下になっているのでしょう。

 どぶろくをつくって冷蔵庫に静かに放置しておくと、上からガス、清
酒、そして、底のほうには澱がたまるのとよく似ていると思います。

 発作の時には、腹の邪毒から頭にむかって邪気が突き上げる上衝とい
う現象が起こるとされています。

 腹の水毒や悪血が悪化、つまり菌やウイルスが増殖して、そこから発
生した邪気が頭を衝くそうですが、腐った水、つまり菌などが繁殖した
水からメタンガスがわくようなものかなと考えるとわかりやすかったで
す。

 放置したどぶろくを暖かいところにしばらく出しておき、すこし揺すっ
てから栓を開けると泡とともに吹き出す様子にも似ているような気がし
ています。

(5)大雑把につかもう
 病証に関しては、まずは今回解説した程度のことを大雑把に把握する
ことが大切です。臨床の場では、大雑把な分類を思い浮かべるほうが、
細かなことを覚えるよりも役に立ちます。

 目の前の方が、だいたい大雑把に分類するとどういう状態かつかむ勘
をやしない、そのつかんだことに合わせてツボや手順、技法を選んでい
けるようになりましょう。

 こまかな知識を覚えるよりも、大雑把な分類から判断できる勘をみが
いていきましょう。



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