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術伝流一本鍼no.7 - (2015/06/09 (火) 10:52:52) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.7 (術伝流・先急の一本鍼・運動器編(7))}
&bold(){&size(24){&color(green){肩の動作鍼、まずは陽経側}}}
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#contents
*(1)動作鍼の基本(図1)
&ref(f1hari07h#01.jpg)図1
 動作鍼のおさらいです。動作鍼は、関節可動域制限に効果が
ある刺法で、基本刺鍼や手足甲への引き鍼などで準備した後に
行い、動作鍼をした後には手足の甲に引き鍼して後始末します。

 動作鍼の手順は、先ず制限のある動作を痛む手前までしても
らい、その動作で最も筋肉が伸びるラインと縮むライン(動作
の軌跡が描く面と皮膚表面とが交差するライン)上に出ている
ツボを探します。

 比較すると、伸びる側の一番凹む所に出ていることが多いで
す。

 そのツボに、その姿勢のまま刺鍼します。

 刺鍼後いったん姿勢を戻してから、制限のあった動作を再度
してもらうと、関節可動域が少し広がるので、広がった姿勢か
ら、また、同じライン上で先程よりも少し関節から遠ざかった
所に出ているツボに刺鍼します。

 すると、また少し余分に動くようになるので、再度ツボを探
し、出ていたツボに刺鍼して可動域を改善します。

 そういう手順を日常生活に不便がない程度に動くようになる
まで繰り返します。

*(2)肩まわりの痛みの動作鍼 
 肩まわりの可動域制限は、腕を上げる動作と腕を捻る動作の
大きく二通りに分けられます。

 実際には、それらを組み合わせた動きになりますが、先ず、頭
で理解しやすいように、単純な動きで説明します。

 座位で、準備と後始末の間にします。

**1. 準備:手の甲への引き鍼 
 準備として、動作制限がある側の手の甲や八邪などを調べ、手
甲で、一番悪そうなツボに引き鍼します(写真1)。

&ref(p1hari07h#01.jpg)写真1

 特定の動作制限だけある場合には、特定の所に出る傾向もあり
ます。

 例えば、側方挙上制限では手少陽が一番縮むせいか、4〜5間
よりも3〜4間にツボが出ている可能性が高いです。

 しかし、多くの場合には、色々な動作制限が組み合わさってい
ることが多いので、手甲を調べて、出ている中で一番悪そうなツ
ボに引き鍼すると良いと思います。

**2. 挙上制限 
 腕を上げる動作は、前方、側方、後方に分類できます。

 そして、動作をするともっとも縮むラインと伸びるラインを比
較すると、伸びようとしているラインに多くツボが出ます。

 また、少ししか上がらないうちは上腕から手首にかけての方向
にツボが出ますが、腕が床に平行に近づくころから反対方向の肩
の胴体側、首、背中、胸にツボが出ます。

 これは、ある程度以上に腕を挙げようとすると、腕の筋肉だけ
でなく、胴体側の筋肉も使うためです。

 症状が出てから間もないうちは腕の陽経側だけで対処可能です
が、古くなると陰経側にもツボが出て陰経側に刺鍼しないと効果
が上がらないことが多いです。

 しかし、陰経側の刺鍼は少し難しくなるので次回にまわし、今
回は、陽経側のみで対処する方法を解説します。

***1)側方挙上制限
 腕の側方挙上制限では、最も縮むラインは少陽で、最も伸びる
ラインは厥陰ですが、上に書いたように今回は陽経側のみで対処
します。

 先ず、痛む直前まで腕を横に上げてもらい(写真2)、その姿
勢で、肩峰(肩関節の一番尖端)から手首に向かって、手の少陽
に沿ってツボを探します(写真3)。

&ref(p1hari07h#02.jpg)写真2

&ref(p1hari07h#03.jpg)写真3

 そのままの姿勢で見つけたツボに刺鍼します(写真4)。

&ref(p1hari07h#04.jpg)写真4

 いったん腕を下げてから再度側方挙上してもらい(写真5)、
少し手首の方にズレたツボ(写真6)に刺鍼して、また少し上が
り・・・というのを日常生活に不便がない程度まで、繰り返しま
す。

&ref(p1hari07h#05.jpg)写真5

&ref(p1hari07h#06.jpg)写真6

 床に平行に近く上がるようになると、ツボが肩峰から首に向か
う少陽ラインに出ます。

 上がるにしたがって首に近い所にツボが出ます。

***2)前方挙上制限
 前方挙上制限腕は、最も縮むラインは陽明で、最も伸びるライ
ンは太陽です。

 この時に手甲のツボは、4〜5間と1〜2間に出やすくなります。

 伸びるラインの方が制限になっている場合が多いので、先ず、
肩峰から手の太陽ラインの動作鍼をします。

 腕が余り上がらないうちは、腕の肩の近い方にツボが出ます
(写真7)が、そこに刺鍼して(写真8)少し上がるようになる
と、肘に近い方にツボが出ます(写真9)。

&ref(p1hari07h#07.jpg)写真7

&ref(p1hari07h#08.jpg)写真8

&ref(p1hari07h#09.jpg)写真9

 そして、床に平行に上がった位から肩峰から背中側の肩甲骨ま
わりに出ます(写真10)。

&ref(p1hari07h#10.jpg)写真10

 そこに刺鍼すると、また少し上がるようになります(写真11)。

&ref(p1hari07h#11.jpg)写真11

 肩甲骨の周囲で、そこが縮んでいるために腕が上がりにくい所
を見付け、順番に刺鍼していくと、一鍼するたびに、だんだん腕
が上がるようになっていきます(写真12〜16)。

&ref(p1hari07h#12.jpg)写真12

&ref(p1hari07h#13.jpg)写真13

&ref(p1hari07h#14.jpg)写真14

&ref(p1hari07h#15.jpg)写真15

&ref(p1hari07h#16.jpg)写真16

 その結果、日常生活に支障がない程度になれば終わりますが、
制限が残ったときには、手の陽明ラインの動作鍼をすると改善す
ることが多いです。

***3)後方挙上制限
 後方挙上制限は、最も縮むラインは太陽で、最も伸びるライン
は陽明です。

 手順が陽明が先で太陽が後になることと、ある程度以上上がる
と胸側にツボが出ること、その二つ以外は前方挙上制限と同じで
す。

 やはり、ラクに上げられる所まで上げてツボを探し(写真17)、
その姿勢のまま刺鍼していくと(写真18)、一鍼するたびにだん
だん上がるようになっていきます(写真19)。

&ref(p1hari07h#17.jpg)写真17

&ref(p1hari07h#18.jpg)写真18

&ref(p1hari07h#19.jpg)写真19

***4)斜めの挙上制限
 前方や後方の挙上制限の方向が少し斜めだと、側方挙上制限が
混じるため陰経側にもツボが出ます。

 斜めの程度、つまり、制限された挙上角度によっては、厥陰経
だけでなく太陰経や少陰経にも出ます。

 陰経の動作鍼については、次回解説します。

**3. 捻転制限
 次は、腕を捻る動作の制限への動作鍼です。

 先ずは小指を手のひら側に捻る動作制限です。

 この場合に、伸びる側は、腕を垂らした状態で肩峰から胸に向
かって、腕に直角なライン(写真20)です。

&ref(p1hari07h#20.jpg)写真20

 縮む側は、肩峰から背中に向かって腕に直角なラインです。

 腕を捻る時には、腕を少し上げている場合が多いので、腕に直
角なラインは床に平行にはならないで、肩峰から遠ざかるにつれ
て床に少し近づきます。

 腕が上がる角度が大きければ徐々に床に垂直なラインに近づき
ます。

 捻転を痛む直前まですれば、ツボが出ているラインが溝状に凹
んで見えることが多く、目安になります。

 伸びる側の肩峰から胸に向かうラインを肩峰に近い側から順番
に動作鍼していきます。

 ラクに捻転できる範囲で限度まで捻転してもらい、ツボを探し
て(写真21)その姿勢のまま刺鍼します(写真22)。

&ref(p1hari07h#21.jpg)写真21

&ref(p1hari07h#22.jpg)写真22

 少し余計に捻れるようになった姿勢で、またツボを探し(写真
23)、その姿勢のまま刺鍼します(写真24)。

&ref(p1hari07h#23.jpg)写真23

&ref(p1hari07h#24.jpg)写真24

 そうすると、だんだん可動範囲が広くなっていきます(写真25)。

&ref(p1hari07h#25.jpg)写真25

 小指を手甲側に捻る動作の制限の場合には、伸びる側と縮む側が
逆になるだけです。

 つまり、伸びる側の肩峰から背中に向かうラインを肩峰に近い
側から順番に動作鍼していきます。

**4. 組み合わせ 
 挙上制限と捻転制限の組み合わせでは、その動作をした時に最
も伸びようとするラインと縮もうとするラインを予測して、よく
見てみれば、ほとんどの場合に溝状に凹んでいるラインが目に入
ります。

 そのラインを肩峰から辿って、特に凹んでいる所を押してみれ
ばツボが出ています。

 そこにその姿勢で鍼をし、いったん元の姿勢に戻してから再度
調べて、ツボが出ていたら刺鍼を繰り返せばよいだけです。

 捻転の場合や、腕が平行よりも高く上がった場合には、胴体側
に凹んだラインが出ます。

 こういう凹んだラインというのは、写真だと上手く写らないの
で、理解していただくのが難しいです。が、臨床の場では、痛む
直前の姿勢で、その時に筋肉が一番伸びようとしている辺りを見
れば、皮膚が凹んだ線が見付けられる場合が多く、探すのが難し
いということは、あまり、ありません。

 よく探してみてください。

**5. 後始末
 一通り動作鍼の刺鍼を終えたら、後始末として手甲に引き鍼し
ます。初めと同じ指間になった場合には、八邪を使います。

*(3)おわりに
 この陽経の動作鍼に次回の陰経側を組み合わせれば、肩まわり
のほとんどすべての動作制限に対処できます。

 よく練習してしっかり身に付けてくだい。


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