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術伝流一本鍼no.10 - (2018/07/05 (木) 13:47:45) のソース

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術伝流・先急一本鍼・運動器偏 10.肘の痛み

&size(24){&color(green){肘の痛みは、手平側から}}
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#contents
*(1)はじめに
 肘の応急処置は、基本的には膝と同じで、痛みや辛さを
肘頭の周りに感じることが多いです。が、そこだけ刺して
も良くならないことや再発することが多いです。

 肘の治療の基本も、先ず肘の手平側に出ているツボを弛
めることから始めた方が治りやすく再発が少ないです。

 また、膝ほどではないですが、経過が長くなることもあ
ります。

*(2)肘の痛みの応急処置の手順 
 肘の応急処置も、前半、動作鍼、後始末に分けられます。
痛みが陽経側だけのときは、応急処置も陽経側だけします。
が、経過が長いせいか、ツボや痛みが陰経側にも出ている
ことが多く、そういう場合には、当然ですが、陰経側にも
刺鍼します。

 応急処置の前半では、症状をよく確認した後、先ずは陽
経側を引き鍼してから、手の陰経側で前腕の手首近くに引
き鍼をした後、肘の手平側に出ているツボに刺鍼します。

 動作鍼は、先ず伸展制限、屈曲制限などは膝の場合とほ
ぼ同じです。膝と違って、肘では捻転制限も多く、捻転の
動作鍼もします。

 また、動かして肘頭周りに痛みが出る場合には、そこに
付着している腱の筋腹にツボが出ていて縮んでいるために、
腱付着部が引っ張られて痛んでいることが多いです。その
筋腹のツボに刺鍼し、筋の過緊張を弛めると改善します。

 後始末は、頭に散鍼した後に手甲に引き鍼します。陽経
側だけに刺鍼した場合には、頭の散鍼を省略し手甲に引き
鍼だけします。

**1.症状確認 
 症状確認では、どの辺りが辛いか(写真1)、どのよう
な動作をしたときに痛みなどが出るか(写真2)、日常生
活で困っていることをよく聞きます。

&ref(p1hari10#01.jpg)写真1

&ref(p1hari10#02.jpg)写真2

 その1番目と2番目くらいを日常生活に支障が無い位に
改善することを応急処置の目標にします。

 肘の肘頭周りの痛みを訴える人が多いですが、ツボは、
肘の手平側にも出ていることが多いので、上腕、肘、前腕
の陰経側を丁寧に調べます。

**2.前半・準備
 応急処置前半・準備としては、手甲に出ているツボに引
き鍼(写真3,4)してから、前腕の陰経側手首近くの列缺、
内関、陰郄などに出ているツボに引き鍼(写真5,6)しま
す。

&ref(p1hari10#03.jpg)写真3

&ref(p1hari10#05.jpg)写真4

&ref(p1hari10#04.jpg)写真5

&ref(p1hari10#06.jpg)写真6

 このとき肘を動かせるようなら運動鍼をしても良いです。

 その後に、肘の手平側の手太陰、手厥陰、手少陰の3つ
のライン上で、肘から3cm位上腕よりから15cm位前腕よ
りまでの所にツボが出ていることが多く(写真7)、肩近
くから手首近くの順で刺鍼します(写真8)。

&ref(p1hari10#07.jpg)写真7

&ref(p1hari10#08.jpg)写真8

 初めの引き鍼に使うツボは、肘の親指側か小指側か捻転
制限かで違います。

 肘の親指側が痛ければ、手甲の1~2間や列缺が多いです。
小指側が痛ければ、手甲の4~5間や陰郄に出ていることが
多いです。捻転制限のときには、手甲の2~3間や3~4間、
内関にも出ます。

 肘の手平側のツボの出方は、膝裏とよく似ています。違
う点は、膝の場合は真ん中は比較的少な目ですが、肘は手
厥陰のラインも多いことです。

 肘のシワから2,3cm上腕よりと前腕よりに多く、それぞれ、前腕よりを下曲沢などと、上腕よりを上曲沢などと仮
称しています。

**2. 肘の動作鍼
 できない動作や辛い動作を痛みが出る手前までしてもら
い、引っかかっている所を探します(写真9)。

&ref(p1hari10#09.jpg)写真9

 たいていは、その姿勢で、最も伸びようとしているライ
ンに一番多く、次にもっとも縮もうとしているラインに多
いです。辛い一歩手前まで動かしてもらうと、そのライン
が目立つようになります(凹んで見えることも多い)。

 それらのライン上を指で辿り、ペコっと凹んでいる所を
見付け押してみると痛いことが多く、ツボになっているの
が分かります。まれに、麻痺して痛まないこともあります。

 痛い手前の姿勢のまま、そのツボに刺鍼します。刺鍼後、
一度動作を戻してから、再度、制限のあった動作をしてみ
ると、前より少し大きく動くようになっています。

 そこで、もう一度、引っかかっている所を見付けて、そ
の姿勢で刺鍼すると、また少し大きな動作ができるように
なります。それを日常生活に不自由がない位まで繰り返し
ます。

 肘の動作の場合に、引っかかっているシコりがあるライ
ンは、手の陰経陽経全てに可能性があります。

 曲げ伸ばし動作の制限では、出る経絡がほぼ決まってい
ます。親指側が痛む場合は、陽明と太陰に出やすいです。
小指側が痛む場合は、太陽と少陰に出やすいです。動作制
限が重い場合には、肘の近くに出ます。大きく動作できる
ようになると、肩や脇の下の近くや手首の近くに出ます。

 捻転運動制限の場合には、前腕の最も太い部分に出やす
く、少陽と厥陰が多くなります。

**3. 腱付着部痛の鍼 
 肘頭の近くで直ぐ下が骨で筋肉が殆ど付いてない所が痛
い場合、痛みの原因がそこではなく、そこに付着している
腱の筋腹に痼りがあり、腱付着部を引っ張っているため痛
みが出ていることがあります。

 動作鍼と同じように痛む直前まで動作をしてもらうと、
痛みのある場所に続く凹んだラインが見えることが多く、
それを辿っていくとツボが見つかります(写真10,11)。

&ref(p1hari10#12.jpg)写真10

&ref(p1hari10#13.jpg)写真11

 その姿勢のまま刺鍼する(写真12)と痛みが消えます。

&ref(p1hari10#14.jpg)写真12

 比較すると上腕よりに多く、上腕の一番太い部分辺りに
出やすいです。

 また、写真のモデルの方のように一つの姿勢で痛みが消
えても違う姿勢(動作)のときに痛む場合もあります(写
真13)。

&ref(p1hari10#16.jpg)写真13

 やはり、痛む姿勢で刺鍼して改善します(写真14)。

&ref(p1hari10#17.jpg)写真14

 この腱付着部痛は、肘だけでなく下が直ぐ骨で筋肉が殆
ど付いていない所が痛む場合などに多く見られます。踵の
痛みでは、脹ら脛にツボが出ます。指や手首の骨上の痛み
では、前腕の一番太い辺りに出やすいです。この3つが、
典型例になります。

 日常生活で困っていた動作をしてもいらい、改善された
か確認し(写真15)、改善しているようなら後始末に移り
ます。

&ref(p1hari10#18.jpg)写真15

**4.後始末 
 頭に散鍼した後に、手甲に引き鍼しておきます。陰経側
にも刺鍼する場合が多いので、治療後に頭が痛いなどの体
の上半身の症状が出ることを防ぐためです。

 余り無いとは思いますが、陽経側だけに刺鍼した場合に
は、手甲の陽経側に刺鍼して終えても構いません。

*(3)おわりに 
 今まで腰、肩、膝、肘と書いてきましたが、動作制限を
伴う関節周囲の痛みは、基本的に、みな同じです。

 先ず、引き鍼をしながら動かせるようなら運動鍼をしま
す。

 それから、関節周囲のその関節の動きに直接関係する筋
肉の経験上ツボの出やすい所を調べて、ツボが出ていたら
刺鍼します。

 そして、動作制限が残っていたら、動作鍼、場所によっ
ては腱付着部痛の鍼をして、動作制限を日常生活に不便が
ないように改善します。

 おわりに、頭に散鍼し手甲に引き鍼して仕上げます
(陽経側のみに刺鍼したときは手甲への引き鍼だけでよい)。

 だいたい、これで全ての関節まわりの辛さに対処できま
す。

 そこで、次回は、今までのまとめをしておこうと思いま
す。


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