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術伝流一本鍼no.18 - (2017/02/25 (土) 12:15:22) のソース

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術伝流・先急一本鍼・運動器偏 18.頭部の打撲に灸など

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#contents
*(1)はじめに
 今月から「養生の一本鍼」に入ろうかと思っていましたが、
興味深い症例を体験しましたので、その報告をします。

*(2)忘れていた頭頂部の打撲
 頭頂部の辺りが痛いということでした。患者さんが指差す辺
りを調べてみたら、傷のような感じになっていました(写真1)。
そのことを伝え、心当たりがないか聞いてみたら、3日前に打
撲したとのことでした。

&ref(DSCF1213.jpg)写真1

 そのときは痛くなかったとのことで忘れていたようで、当日
の朝から痛みを感じたそうでした。こういう打撲したときは、
痛みが出ずに、しばらくして痛みが出てくる打撲は、古傷にな
りやすいです。打撲したときは、あまりに強い衝撃のため麻痺
してしまうようです。

 交通事故のときなどは、1ヶ月後に痛み出すこともあると聞
きます。

 私自身20代に、左肩甲骨下部を打撲し、1週間後に痛み出し
ました。そして、その後遺症で、冷房の中に長時間いると、左
手の握力が殆ど無くなったり、疲れると左上半身が痛くて動か
せなくなったりという状態が続きました。

 40代の頃から、鍼灸、特に灸頭鍼をして、そういう状態は
だいぶ軽減しましたが、残っていました。

 50代初めにした脳梗塞の再発予防として、漢方の専門医に
勧められて、駆瘀血剤(桂枝茯苓丸)を服用しました。そした
ら、その御陰(副効用?)で、打撲の後遺症が改善し、今は少
し違和感が有る程度です。

 こういうのは、外傷性瘀血証だそうで、若い頃に打撲捻挫や
手術した人がなりやすいと聞きました。その漢方医は、長嶋茂
雄さんの医療チームの一員で、長嶋さんの脳梗塞も瘀血証が素
因の可能性が高いとのことでした。

 そういう経験を話し、注意を促した後で、治療に入りました。

*(3)準備の引き鍼
 先ずは準備として、いつものように、手甲に引き鍼。頭の傷
の場所から、手甲の中で、だいたいツボの出ていそうな所を予
測し、出ていたツボに引き鍼しました(写真2)。

&ref(DSCF1203.jpg)写真2

 その後、頭頂部ということで、「頭頂部の頭痛は、足厥陰」
ということを思い出し、足厥陰にツボを探してみました。急性
症状なので、足厥陰の急性症状のときに、よくツボの出る、蠡
溝、中封、太衝を調べました(写真3、4、5)。

&ref(DSCF1206.jpg)写真3

&ref(DSCF1207.jpg)写真4

&ref(DSCF1208.jpg)写真5

 比較すると、中封が痛いということで、そこに刺鍼しながら
運動鍼のように首を動かしてもらいました(写真6、7)。

&ref(DSCF1209.jpg)写真6

&ref(DSCF1211.jpg)写真7

 刺鍼後患部を見たら、邪気が引けたせいか、傷跡の色が少し
薄くなっていました(写真8)。

&ref(DSCF1214.jpg)写真8

*(4)患部の散鍼と棒灸
 次に、熱を散らし、患部の代謝を促すために、患部の周りを
散鍼しました(写真9)。

&ref(DSCF1215.jpg)写真9

 こういう打撲の場合には、瘀血の処理を促すために、炎症が
ある程度治まったら、灸頭鍼をすることにしています。今回の
場合は、場所が、頭頂部で、直ぐ下が頭蓋骨なので、灸頭鍼は
しにくいので、棒灸で炙ってみることにしました。

 試してみたら、温かい感じがするということで続けました
(写真10、11)。

&ref(DSCF1217.jpg)写真10

&ref(DSCF1219.jpg)写真11

 その後に患部を見たら、温まったのか明るいピンク色になり、
傷跡の色も、また少し薄くなっていました(写真12)。

&ref(DSCF1220.jpg)写真12

*(5)仕上げ
 先急の手順通りに、仕上げとして、手甲の八邪に出ていたツ
ボに刺鍼し、邪気を引いておきました(写真13)。

&ref(DSCF1221.jpg)写真13

 次の日に治療後の様子を聞くためにメールをしてみました。
そしたら、

「頭の痛みは殆ど感じなくなりました。治療当日は少し頭が重
い感じがしたが、ドーゼオーバーではなかったです。頭に傷が
あることさえ認識していませんでしたし、原因が分かり良かっ
たです」

との返事が来ました。

*(6)「四畔の灸」と灸頭鍼
 こういう打撲には、いわゆる「四畔の灸」も効果的です(特
に、タンコブのように腫れた場合)。今回のように、頭部で髪
の毛が生えている場所には難しいですが。

 腫れたりブヨブヨになっている部分と正常な部分の境目のラ
イン上にツボ探し棒を滑らし、凹んでいる所を見付けます。た
いてい1,2cmおきにツボが出ています。そこに、糸状灸や手指
用糸艾を立ててから、一気に点火します。

&ref(DSCF1039.jpg)写真14

&ref(DSCF1041.jpg)写真15

 私は、その後に、中心にも1壮施灸することにしています。
その方が改善が進みやすいからです。

&ref(DSCF1042.jpg)写真16

 また、患部と経絡的に関係する指の井穴や骨空にツボが出て
いれば、そこにも施灸しておくと、より改善が進みやすいよう
に思います。

 多くの場合、次の日に、黄色い輪が患部の周りに出現します。
ヘモグロビンがビリルビンに変化したものが黄色い輪になって
見えるようです。そして、打撲した痕の青痣は、だんだん薄く
なり、押したときの痛みも減っていきます。

 また、腫れたりしていた患部の範囲が毎日狭くなっていくの
で、四畔の灸をする場所をそれに合わせて変更していく必要が
あります。四畔の灸をするたびに、正常な部分と正常でない部
分をよく確かめ、その境目にツボを探すようにしてください。

 また、先にも書きましたように、灸頭鍼も効果的です。刺鍼
したときには出血しなくても、灸頭鍼した後に抜鍼すると、血
がタラリと出てくることが多いです。奥に溜まっていた瘀血が
揺り動かされて出てきたのかなと思います。出てきた血を注意
して処理するようにしてください。

追記:2016.8.15
 比較すると、「"棒灸での炙り"や"温灸"や"四畔の灸"は、
浅い部分の瘀血に効果的」、「"灸頭鍼"は、深い部分の瘀血に
効果的」と言えます。


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