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術伝流操体no.10 - (2016/07/22 (金) 08:06:10) のソース

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&color(green){術伝流操体no.10}&size(24){&color(green){ 全身運動と体重移動の関係}}
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(1)応急処置から学ぶ操体の基本  10. 全身運動と体重移動の関係
#contents

**はじめに 
 「術伝流操体 その8」と「その9」では、手首・足首から
の動きを全身に伝えていくとどうなるかを体験してもらいまし
た。

 今回は体重移動と全身運動の関係です。「その8」と「その
9」でも少し取り上げたので勘の良い人なら分かってしまった
人もいると思いますが、一つずつ取り上げていきます。

 手首・足首の場合には、手首・足首を先ず動かして、それを
全身に伝えていくという手順を踏みましたが、体重移動の場合
には、ある全身の動きをするときにどういう体重移動をするか
という視点で見ていく方が、初めての人には分かりやすいので、
そういう順に説明していきます。

 次回、体重移動を切っ掛けにした操体を説明しますが、その
ときに、「体重移動を切っ掛けに全身にイイ感じを伝える」こ
とは味わってもらうことにします。

**1. 前に曲げるときの体重移動 
 これは、立ち姿勢で体を前に曲げる(前屈)ときに、体重を
どう移動させるとやりやすいか、イイ感じが生まれやすいかと
いうことです。体重の中心は腰にありますから、腰をどっちに
動かすと体を前に曲がりやすいかということにもなります。

 先ずは、色々と試してみてください。

 体に大きな歪みなどがある場合には違うこともあります。が、
ほとんどの場合、尻を後ろに引いてから、つまり、尻を後ろに
突き出し体重を後ろに掛けてから、体を前に曲げると、曲げや
すいことが実感できると思います(写真1)。

&ref(so10p01h.jpg)写真1

 写真で踵(かかと)よりも腰の中心が後ろにきていることに
注目してください。

 さて、前回の復習です。この場合に手首はどうすると、前に
曲げやすいでしょうか? 手を垂らしている場合には、手の小
指側を手甲側に回す手首捻転をすると、体を前により曲げやす
くなりますね。付け加えてみてください。

**2. 体を反らせるときの体重移動
 立ち姿勢で体を反らせる(後屈)ときには、体重をどう移動
すると、やりやすいでしょうか? 1.と同じように腰をどう
移動させるとよいか、ということです。

 これも色々と試してみると、腰を前に突き出す、つまり、体
重を前に移動させると、体を後ろに反らせやすいことが分かる
と思います(写真2)。

&ref(so10p02h.jpg)写真2

 写真で爪先よりも腰の中心が前にきていることに注目してく
ださい。この場合、手を垂らしていたら、小指側を手平側に回
す手首捻転をすると、より体を反らせやすくなりますね。

**3. 体を捻るときの体重移動
 体を捻転する場合には、体重をどう移動すると、つまり、腰
をどちらに移動するとやりやすいでしょうか?

 捻転する側に体重を移動させると、つまり、腰を捻る側に移
動させると、体全体を捻転させやすくなります(写真3)。

&ref(so10p03h.jpg)写真3

 写真で反対側の足の踵が浮いていることに注目してください。

 この場合には、左右の手首の捻転は小指側をどう動かすかと
いうことでは同じではなかったですね。

 手を垂らしていた場合には、「捻る側の手首は、小指が手平
側に回る手首捻転」で、「反対側は、小指が手の甲側に回る手
首捻転」ですね。つまり、天から見ると胴体も両手も同じ向き
に捻転していることになります。

**4. 体を横に曲げる(側屈)ときの体重移動 
 横に曲げる、つまり、側屈させるときは、どうでしょう。

 これは意見が分かれるかも知れません。というのは、子供の
頃に習ったラジオ体操では、操体でこうだよというのと逆のこ
とをしているので、それが身に付いてしまっている人がいるか
らです。

 ラジオ体操では、側屈するのと同じ側に体重を移動するよう
指導していますが、これは直ぐ戻しているから成り立っている
だけで、少し長い時間行うと側屈した側に倒れやすく安定しま
せん。

 側屈する側と反対側に体重を移動した方が安定し、少し長い
こと同じ姿勢を続けても立っていられます(写真4)。

&ref(so10p04h.jpg)写真4

 写真で腰の中心が反対側の足の上にきていることに注目して
ください。

 このとき、手首をどうすると側屈しやすいか、側屈が安定し
やすいかも、色々と試してみてください。

**5. 手を上に上げるときの体重移動
 手を上に上げるときには、どういう風に体重を移動させると
やりやすいでしょう。試してみるとわかると思いますが、上げ
た手と同じ側の足に体重を移動させると、より手が上げやすく
なります(写真5)。

&ref(so10p05h.jpg)写真5

 写真で腰の中心が同じ側の足の上に来ていることに注目して
ください。

 このとき、手首はどうすると手が挙げやすくなったでしょう。
復習してみてください。 

**6.落ちているものを拾うとき
 床などに落ちているものを拾うときには、どうでしょう。こ
れも意見が別れるかもしれません。

 腰を落とさずに体を前屈して落ちているものを拾うときには、
拾う手と反対側の足を前に出し、そちら側に体重を移した方が
拾いやすいのです(写真6)。が、同じ側の足を前に出して拾
う人もいて、それが原因で腰痛になっている人が多いです。

&ref(so10p06h.jpg)写真6

 同じ側の足を前に出して落ちているものを拾う場合には、しっ
かり腰を落としてから拾う(写真7)と腰を痛めにくいです。

&ref(so10p07h.jpg)写真7

 特に床にある重いものを持ち上げるときには、重いものの方
に臍を向けてから腰を入れて持ち上げないと腰を痛めやすいで
す。

**7.利き手で作業するとき
 利き手で長時間作業するとき、つまり、料理をしたり、字を
書いたり、物を作ったりするときには、利き手と反対側の足を
前に出して、そちらの足に体重を掛けるようにする(写真8)
と作業しやすく、長時間作業しても腰を痛めません。

&ref(so10p08h.jpg)写真8

 長時間作業するときに利き手と同じ側に体重をかけていると
腰を痛めやすくなります。これも、腰痛の原因となる普段の姿
勢のうち非常に高い割合を示すので、注意してください。

**9.素早く動くものを相手にするとき
 格闘技のときや卓球のときなど、近くで素早く動くものを相
手にするときには、6.とは逆になります。

 利き手と同じ側を前に出す、いわゆる、ナンバ歩きで半身動
作です。利き手を前に出すときには、同じ側の足を前に出して、
体重もそちら側に掛けます。反対側の手を前に出すときには、
反対側の足を前に出して、体重もそちら側に掛けます。そうす
ると、相手の素早い動きにも付いて行きやすく、疲れません。

 昔から間合い三間といいます。5m強以内の距離で、素手か
軽い武器を持ち素早く動くものを相手と格闘する場合には、利
き手と同じ側の足を前に出す半身動作が有利です。ですから、
色々な格闘技の試合場の面積は、だいたい直径5m強位です。

 相手にさらす自分の体の面積も少なくできるのも、半身動作
が格闘技に有利な点だと思います。ですから、日本に限らず、
西洋のフェンシングの場合も剣を持つ側の足を前に出していま
す。

 ただ、がっぷり組んで力を出し合う、相撲のいわゆる「がっ
ぷり四つ」などの場合は、ナンバ型では不利になります。相撲
は、離れたときにはナンバ、組んだときは利き手と反対側の足
を前に出す、この切り替えが素早いことが必要かと思います。

 ボクシングのジャブとストレートなども脚の使い方が逆です
ね。ジャブはナンバ、ストレートはナンバと反対です。

**8.山道を登り下りするとき 
 半身動作は山の急斜面を登り下りするときにも有利で、疲れ
ません。

 また、階段の昇り降りにも有利です。特に、2,3段跳ばし
て階段を駆け上がるときには、足と同じ側の手を前に上げる方
が絶対速いです。試してみてください。

 半身動作だと、足を上げたり下ろしたりする側と同じ手を上
げたり下ろしたりするので無駄がないからです。

 普通に歩くときのように、「前に上げる足と、反対側の手を、
前に出す」歩き方で急斜面を登ると、背骨を軸とする回転運動
が、手足で逆になるので、スムーズに体を上に上げことができ
ません。

 例えば、右足を前に上げる動作は、左足に体重を移し、そこ
を支点にして、体を天から見て反時計回りに回転させながら上
に上げる動作になります。が、左手を前に出す動作は、体を天
から見て時計回りに回転する動作につながるので、互いに逆の
動きになってしまい、効率が悪くなります。

**10.重いものを持っての半身動作は腰を痛める
 半身動作の有利な点を挙げてきましたが、短時間作業でも半
身動作が不利なこともあります。

 餅搗きのように、重い杵を持上げて下ろすというような作業
の場合には、1回でも半身動作で行うと腰を痛めます。

 杵を持つときには、先ず、利き手前で杵を持ち、利き手と反
対側の足を前に出して、臼に臍を向けます。それから、利き手
を杵の先端の方へ移動させながら杵を上げていきます。十分上
がって突くときには、利き手を手前に移動させながら、杵の重
さを利用して落とし、手は方向を制御するためにだけ使うよう
にします。

 利き手前というのは、両手で杵を持つのですが、利き手が杵
の先端側になるように持つ持ち方です。

**おわりに 
 どういう動作をするかによって、利き手側の足を出した方が
良いか、反対側の足を前に出した方が良いかは違うので、それ
ぞれの動作に合うよう、しっかり身に付けましょう。体の動か
し方が効率的になり、体を歪めることが少なくなります。


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