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鍼灸漢方用語の術伝的解釈 - (2020/03/22 (日) 12:02:15) のソース

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&color(green){理科系的?現代風に考えると}

&bold(){&size(24){&color(green){鍼灸漢方用語の術伝的解釈}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents

*はじめに
 私は、理系の大学を出ましたので、昔からの鍼灸漢方用
語は、体の中の自然現象として見たいこともあり、以下の
ように解釈しています。

 また、一般の人や医師はじめ理系の人には、こういう解
釈の方が伝わりやすいのではないかなとも思っていますし、
研究も進みやすそうに思います。

*ツボ、経絡
**ツボ 
 筋肉が一時的に機能性病変(機能異常)を起こした所
 表面に近い部分は過弛緩、奥の方は過緊張

**経絡 
 筋肉の重力負荷分担システム
 正経12経は、立位での重力負荷分担システム

**ツボと経絡について、詳しくは
 この辺りは、詳しくは>>> [[ツボと経絡の観方]]

*瘀血,水毒,邪気、真気
**瘀血 
 血液が循環しにくくなり、悪化したもの。老廃物・未代
謝化学物質などが多く、ウイルス細菌などが増えている。

 自然界での川や湖沼などで、流れにくくなった部分には、
ゴミが溜まりやすく、腐りやすいのと同じことと思います。
体内では、「ゴミ」=「老廃物・未代謝化学物質など」、
「腐る」=「ウイルス細菌などが増殖」ということだと思
います。

**水毒
 体液が循環しにくくなり、悪化したもの。老廃物・未代
謝化学物質などが多く、ウイルス細菌などが増えている。

 瘀血と同じですね。繰り返しになりますが、自然界での
川や湖沼などで、流れにくくなった部分には、ゴミが溜ま
りやすく、腐りやすいのと同じこと。体内では、「ゴミ」
=「老廃物・未代謝化学物質など」、「腐る」=「ウイル
ス細菌などが増殖」ということ。

**邪気
 体の中の邪毒のうち、形が無く、見えないが、機能は、
実感できるもの。気体や電気のように。
    
 瘀血や水毒から湧き出すと言われる。

 実態は生体内雑電気か? ツボに指を近付けただけで飛
んでくるのは静電気放電? 過緊張した筋肉が発する異常
活動電位と関係か?

***邪気の出てくる文献など 
追記:2017.1.11ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 邪気については、江戸時代の鍼灸書に頻繁に出てきます。

>「鍼は万病一邪と心得べし」『鍼道発秘』(葦原検校)

>「邪気ある時は何れの所にも鍼を用ゆ 
>   病なきは何れの穴にも鍼を禁ず」『鍼道発秘』 
>                  (葦原検校)

>「けだし鍼は邪気を退くるものなり 
>  邪気さえ退く時は自ら正気は盛になる理なり」 
>                 (『鍼灸重宝記』)

>「邪気の至るや緊にして疾く、 
>   穀気の至るや徐にして和す」 
>   (『杉山真伝流』皆伝之巻「鍼法撮要」〈気察〉)

 これら記述は、私が鍼灸している時に実感していること
に近いですし、敏感な患者さんの話とも近いです。

 例えば、筋痛症系の患者さんは、電気のような物が動い
て指から出ていくと言う話をされる事が多いです。 
[[術伝流一本鍼no.57]]:応用(9)筋痛症 
 
 ーーー 追記の追記:20180526 ーーーーーーーーー
  『専門医のための漢方医学テキスト - 漢方専門医研修
 カリキュラム準拠 』日本東洋医学会学術教育委員会 (著)
 にも出てきます。
> Ⅶ鍼灸 1鍼灸医学総論 (p299〜p300)
> ③治療原則としての虚実,補寫
>  病的状態において「実」は邪気の充満した状態をいい、
> 邪気とは生命力の拡張を阻害するもの、病気の原因、誘
> 因である。健康体は発病せずに障害部位が発生するのは
> その部位が弱っている、虚している、そこに邪(実)が
> 侵入するからと考える…鍼灸治療の原則は補寫である…
> 補:闘病反応の低下、体力低下を補うことである
> 寫:充満した邪気を排除することである

  『専門医のための漢方医学テキスト』の感想はブログ
 に書きました。
 [[『専門医のための漢方医学テキスト』感想>http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20101028/1288247718]]
 ーーー 追記の追記:20180526(終) ーーーーーー
 
 邪気とは、今の言葉で言えば「生体内雑電気」かなと思
います。明治鍼灸大学時代の伊藤和憲先生の研究で「過緊
張した筋肉は活動電位を出し続けている」というのがあり
ますが、その活動電位と関係が深そうに思います。

 また、邪気は、漢方的には、体の中の邪毒のうち、目に
見えず、形が分からないが、電気や空気のように機能は感
じられる物と思われます。

 そして、邪気は、水毒や瘀血から湧き出すとされるので、
腐った水からメタンガス(気体)が出てくる感じかなと思
います。

 「症状が出ている所、古いツボ、傷跡、水毒、瘀血には、
邪気が沢山有る(蠢いている)。そこから邪気を退けると、
症状は改善し、ツボ、つまり、筋肉の一時的機能性病変も
改善し、傷跡の改善も進み、水毒や瘀血の毒性も低下する」
ということのようです。

 体の中の電気生理学的研究が進むと解明できるかもしれ
ないなと思っています。

 ーーー 追記の追記:体内静電気 ーーーーーーーーー
  堀泰典先生の『体内静電気を抜けば病気は怖くない!』
 を読んだら、堀先生の言う体内静電気こそ、邪気の正体
 (の1つ)のように思 いました。体内静電気を鍼で抜く
 話も出てきましたので。 
 [[著書『体内静電気を抜けば病気は怖くない』の紹介>http://www.dr-hori.com/media/tainai/intro.php]] 

  『体内静電気を抜けば病気は怖くない!』の感想は、
 ブログに書きました。
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20161018

  また、以下のような話も見付けました。
 [[電磁波を放電しよう!体にたまった電磁波の抜き方、知っていますか?>http://www.emf110.com/blog/?p=267]]
  上記で問題にしている体内に溜まった電磁波も、昔の
 言葉で言えば邪気でしょうね。

  体の表面に近い余剰電磁波(雑電気)は、アースなど
 で抜けますね。

  けれど、邪気は筋肉内にも溜まっていることも多く、
 そういう場合には、筋肉まで刺鍼する深鍼の鍼治療が一
 番効果的と思います。もちろん、その前後に手足末端へ
 の引き鍼して、手足末端から体の外に出るように誘導す
 ることも大切ですが。 
 ーーー 追記の追記:体内静電気(終) ーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  
追記:2018.05.26 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 また、邪気は、機械が不調の時に発する雑音にも似てい
ると思います。

 本田技研の本田宗一郎さんは、エンジン動かして音を聞
いて、エンジンの何処が不調か分かったそうですね。邪気
も同じように、調子の悪くなった体が発する雑電気だろう
なと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
***邪気を感じる
  邪気に関して以下のようなことを試してみると、殆どの
人の指は邪気に反応して動く場合が多いです。

[[邪気を実感する>https://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/326.html#id_f4adbb32]]

 敏感な人は、ピリピリビリビリした感じを受けることが
多いです。また、敏感な患者さんには、鍼すると「電気の
ようなもの(小さな雷や稲妻)が、動いている」という表
現をされることが多いです。

[[リウマチ薬で数値は下がったが、症状が改善しない>https://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/248.html#id_d2c04916]]
     
**真気
 毛細血管の血流と関係が深いようだ。実態は遠赤外線か?

 特に、真気のうちの営気(穀気)は、毛細血管の血流そ
のものかなと思います。それに対して、衛気は、毛細血管
の血流に従って生じる遠赤外線かなという感じです。

**瘀血,水毒,邪気、真気などについて、詳しくは
 この辺り、詳しくは、[[私の養生観]]、[[術伝流基本+]]
の「発作現象の濁醪(どぶろく)モデル」なども参考にし
てください。

*心下痞硬の痞硬、臍下不仁の不仁
**痞硬
 その部分の筋肉が一時的な過緊張に成っている

**不仁
 その部分の筋肉が一時的な過弛緩に成っている

*傷寒論の太陽病,中風,傷寒
**太陽病
 上気道感染症、特に、(急性)上気道炎。

 太陽位は、上気道のある部分の皮膚表面(〜筋肉)。上
気道の感染状況を皮膚表面(や筋肉)の変化などで診察し
たことに由来するように思います。

「太陽之為病、脈浮、頭項強痛而悪寒」 
(太陽の病たる、脈浮、頭項強痛して悪寒す)
(うなじにもシコりが出る)

**中風
 普通のカゼなど

「太陽病、発熱、汗出、悪風、脉緩者、名為中風」
(太陽病、発熱、汗出で、悪風し、脈緩なる者は
 名づけて中風と為す) 
 
「太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之」 
(うなじから背中にかけて強くこわばる)

**傷寒
 新型インフルエンザなど

「太陽病、或已発熱、或未発熱、必悪寒、体痛、嘔逆、
 脈陰陽倶緊者、名曰傷寒」
(太陽病、或は已に発熱し、或は未だ発熱せず、
 必ず悪寒し、体痛み、嘔逆し、脈陰陽倶に緊なる者、
 名づけて傷寒と曰う)

「太陽病,頭痛発熱,身疼腰痛,骨節疼痛,悪風,
 無汗而喘,麻黄湯主之」
(太陽病,頭痛発熱,身疼腰痛,骨節疼痛,悪風し,汗無くして喘する者,麻黄湯之を主る)
(傷寒論太陽病中篇)

**中風と傷寒の違い
 「脈が緩」と「脈陰陽倶緊」が一番大きな違いですね。
次は、中風が上気道の通り道の周辺(表位中心で少し上焦)
だけなのに対し、傷寒は全身の症状が出ていますね。

 一般的に、「脈の陰」は、上焦など(内臓側)体の内側
を、「脈の陽」は、表位など体の外側を指します。

 そして、「緩」と「緊」は、その部分(特に筋肉)の緊
張具合を表します。

 要するに、「中風は、体の外側は少し緊張しているが、
それほど酷くは無い」、「傷寒は、体の外側も内側も酷く
緊張している」、と言っているように思えます。

**新型ウイルスと傷寒論
 (新型?)インフルエンザ・ウイルスは、シベリアの大
地に眠っているとか。先ず、夏に飛来した渡り鳥(雁,鴨)
に感染。

 渡り鳥が越冬のため中国南方などに移動。そこは、昔か
ら、ヒト、ブタ、アヒル(家鴨)が一緒に住む地域。

 そこで、先ず(蚊を媒介として)アヒル(家鴨)に感染
(鳥インフルエンザ)、次に(進化して?)ブタに感染
(豚インフルエンザ)、そして(進化して?)ヒトに感染
(新型インフルエンザ)。

 ヒト、ブタ、アヒル(家鴨)が一緒に住んでいるので、蚊
が吸血した血の中のウイルスが、アヒル、ブタ、ヒトの血
液内で混ざりやすく、進化しやすいそうですね。

 『傷寒論』は、昔の中国の南方地域で新型感染症の治療
に奔走した人によって書かれたとか。それで、私には、
『傷寒論』は、同じ上気道感染症(太陽病)のうち、普通
のカゼのように軽いもの(中風)と、新型インフルエンザ
(やSARS)などのような重いもの(傷寒)の差を書いた
本のように見えました

ーーー 追記:2020.03.18 ーーー
 
――インフルエンザ・ウイルスは普段、どこにいるのでしょ
うか。夏はほとんど流行せず、冬だけ流行るのも不思議です。
 
石:普段はシベリアやアラスカ、カナダなどの北極圏の近く
で、凍り付いた湖や沼の中にじっと潜んでいます。春になっ
て渡り鳥のカモやガンなどの水鳥が繁殖のために戻ってくる
と、ウイルスは水鳥の体内に潜り込んで腸管で増殖します。
 渡り鳥は年に二回、繁殖地と越冬地の移動の途中でふんと
いっしょにウイルスをばらまきます。
 
[[インフルエンザはなぜ毎年大流行するのか 石弘之『感染症の世界史』>https://kadobun.jp/feature/interview/80.html?fbclid=IwAR38oN39PtU4lfxSd1flNcXA4jsStz1t5p_Ildw0Z-aufaJ0NECEK9Fd71c]]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーー 追記:2020.03.06 ーーー
新型コロナも、新型上気道経由感染症ですね。
 
 以上の見方に基づいた術伝流カゼ対策は以下などに書い
ています。

カゼの自己養生 :[[自分で養生no.5]]
カゼの術伝流鍼灸:[[術伝流一本鍼no.49]]
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*おわりに
 ご理解いただけましたか。私は、こんな風に、ツボと経
絡など鍼灸漢方用語を観ています。こういう風に観ると、
鍼灸漢方用語は、現代医学と余り矛盾しないように思うの
ですが、いかがでしょう。 

 私は、大学では数学を専攻しました。数学の世界では、
古代ギリシアの「ピタゴラスの定理」も、「江戸時代の和
算」も現代数学的に定義かつ解釈できています。伝統医学
用語の現代医学(現代自然科学)的定義や解釈も同じよう
に可能と思います。
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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想・間違いなど
 感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
 「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。
参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

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