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私の養生観 - (2020/05/31 (日) 06:31:24) のソース

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&color(green){人は動物、体は自然、未病と発作}

&bold(){&size(24){&color(green){私の養生観}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents

*はじめに
 「私の養生観」について説明します。ひっくり返せば
「私の疾病観」になると思いますが。

 基本的には、「人は動物、体は自然」で、「未病と発作」
を行き来している感じがします。

 詳しく言うと、

「人は動物。地球という星の上で重力に逆らって(筋肉
を緊張弛緩させて)直立2足歩行するサルで、基本的な
負荷は重力。
 体は自然。病気になるのは、風が吹いたり、雷が鳴っ
たりするのと同じ自然現象。
 鍼灸などをした時に起こる自己治癒反応も、また、
自然現象。それぞれに自然法則が有り、それに従う。
病をキッカケに生命力が上がることもあれば、下がる
こともある」

ということかなと思います。

*未病と発作
 養生を考える時に、必要な概念のうち、大きな要素は、
未病と発作かなと思います。

未病:未だ病まざる、つまり、症状は出ていないが歪みは
   ある病が静かに潜在し、動いていない状態

発作:症状が出ている状態、病が動き顕在化している状態

 未病と発作の関係を図の描くと、以下の感じと思います。
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 発作を切っ掛けに、未病は重くも軽くもなります。安静
や適切な治療を受ければ、発作の前よりも生命力の高い状
態で安定します。無理したり誤治されたりすると、発作の
前よりも生命力の低い状態で安定してしまいます。

 鍼灸操体に限らず和方(漢方,日本伝統医学)の養生や
治療は、発作を切っ掛けに発作前よりも生命力の高い状態
で安定させることを目指すものだと思います。

 言い換えれば「小さな病気は、大きな病気の保険」とい
うこと。軽いカゼや軽い下痢(腹痛)は、未病を改善するた
め、体が起こす小発作と言えると思います。そういう小発
作を利用して、生命力を発作以前よりも高めていくのが、
和方(漢方,日本伝統医学)の養生です。

**未病
 未病は、病が動かない時です。体の歪みはあるが、邪毒
は沈静し、病は潜在している状態です。

 5つ位の各段階でバランスしています。「①気持ち悪い
→②体が歪む→③感覚異常→④機能異常→⑤器官破壊」の
5つです。

 この未病の状態については、操体の橋本先生の解説が一
番分かりやすかったです。
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 体全体が5段階の何番目かということではなく、体の部
位ごと、細かく言えば細胞ごとに5段階の何番目かが決まっ
てくると言うことですね。

 橋本先生は、操体は、東洋医学の「体が歪む」前の「気
持ち悪い」という視点、言い換えれば、「歪みを正す」前
の「気持ち良い」という視点を持っているから、「日本医
学」とも言っています。

 術伝が「和方」を掲げているのも似た感覚を持っている
からです。操体だけでなく、江戸時代の鍼灸は、日本独自
の要素が沢山ありますし。

 ただし、逆に言うと、鍼灸操体を始めとする東洋的物療
で直ぐ効果が出るのは、機能性病変までです。器質性病変
に効果が無いわけでは有りませんが、組織が逆変性する必
要があるので3ヶ月単位の時間が必要です。

 ですから、現在では、器質性病変、特に急性のものは、
現代医学に任せるのが基本で、救急医療と連携します。

**発作
 病が動いている状態です。症状は顕在化し、邪毒も動き
ます。

 この視点は、吉益東洞、尾台榕堂らの古方派漢方の視点、
特に「上衝」の概念が理解しやすかったです。
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 別の視点で言えば、「体が発する警戒警報」とも言えま
す。操体の橋本敬三先生は、サイレンに例えて「サイレン
に水を掛けても、火は消えない」と顕在化した症状のみを
治療することの愚かさを指摘していますね。
  
 発作も、詳しく言うと5段階位に分かれ、段階的に変化
していきます。「①内より迎え(未病)→②外より入(スト
レス)→③外より内へ→④内なる変化→⑤内より外へ」とい
う感じ。

 この点については、横田観風先生の『万病一風論の提唱』
が詳しいです。

 私が理解できた範囲で説明すると、「先ず未病の状態
(内因)が有り、そこに、ストレスを始めとする外因が入
り、外因や、それを切っ掛けにする症状は、だんだん体の
内側に入り込み、ある場所で質的変化を起こす。そして、
排出現象で終わる。」という感じかなと思います。

**ストレス
 気持ち悪いことに代表されることですね。

 未病の体の歪んだ状態を内因とし、気持ちの悪いストレ
スに代表される外因が加わると、発作を起こして改善する
ために、ウイルス細菌に代表される邪毒を体に取り入れる
という感じかなと思っています。

**邪毒
 漢方古方派では、邪気、水毒、瘀血の3つとされますね。
それぞれ体内の気血水が流れにくくなり悪化したものとさ
れます。

 現代の視点で見れば、気は、気体(ガス)や電気のように
目に見えないが機能は感じられるものでしょう。水は体液、
血は血液ですね。

 私は、流れにくくなった川の部分には、ゴミが溜まりや
すく、細菌なども繁殖しやすいのと同じかなと思いました。
邪気は、水毒や瘀血から発生するとされるのも、腐った水
からメタンガスなどが発生するのと似ているなと思います。

 邪気は、手などにピリピリビリビリした感じを受けるこ
とが多いです。敏感な患者さんは「電気が走っている」と
か「小さな稲妻」とか言う表現をされます。

 水毒は、汗、痰、下痢、鼻水、泪、皮膚炎などの形で、
普段から、少しずつ排泄されていることも多いです。

 瘀血の原因としては、女性の生理不順の他、怪我や打撲
捻挫、手術なども結構多いです。

 邪気、水毒、瘀血については、詳しくは以下を読んでみ
てください。
[[邪気,水毒,瘀血、真気>https://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/318.html#id_9f23f571]]

**☆:気持ちの良い、イイ感じなこと
 安静や適切な治療などですね。

 これも、数段階の過程を経るように思います。「①少し
痛みが減る→②発作的な自己治癒反応→③フッと脱力する
→④気持良く体が弛む→⑤邪毒が排泄される」という感じ。

 ① 適切なことをことをすると、先ず少し痛みが減りま
す。

 ② が、しばらくすると、症状などの変化が激しくなり
ます。深い呼吸が特徴で、痛みは少し増すこともあります。
鍼灸操体などをしていると、効果が出ているなという実感
があります。

 ③ 次に、フッと脱力する感じに変化が消えます。操体
で言う、瞬間脱力の感じに近いかなと思います。

 ④ 気持よく体が弛んで、ダルさが出て、動きたくなく
寝ていたくなります。

 ⑤ しばらくすると、汗、小水、下痢、下血などの排泄
現象が起こります。

 この辺りについては、野口整体の野口晴哉先生の『風邪
の効用』などでの観察が分かりやすかったです。

*おわりに
 ご理解いただけましたか。私は、こんな風に養生と病を
観ています。

 症例に上げたような症状で私が診る程度の患者さんは、
術伝流鍼灸の型と操体の応用で、喜んでもらえることが多
いです。

 これからは、子宮頸がんワクチンやレーシックの後遺症
など、今まで余り診たことのないものを診させてもらいた
いなと思っています。私の養生観や疾病観が変わるかもし
れないので。

 それ以外だと、食養を始めとする普段の生活、軽いカゼ
や下痢腹痛などへの対処などを広めていきたいなとも思っ
ています。

 また、ここの内容は、「[[体は自然、臨床は対話]]」の
「体は自然」で、より詳しく書いています。興味が有った
ら、読んでみてください。

[[「体は自然」が東洋的身体観の基本]]
[[気持ちよいと歪みが取れる理由]]
[[小さな病気は歪みを治す]]
[[歪みは筋肉に記憶される]]

 よろしくおねがいします。

***鍼灸操体、ツボ経絡などは、要するに自然現象の利用
(追記:2017.01.18)

 鍼灸操体按摩指圧など日本伝統医学の物療は、基本的に
は、 以下と思います。

1.ツボは、筋肉の機能性病変

2.経絡などツボ同士の相関関係を利用して、 
  「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、 
  「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに
  因り、痛み辛さ症状を改善している

 この辺りは、以下を読んでみてください。 

[[ツボと経絡の観方]]
[[和方鍼灸の基本]]

 こういう点も、要するに、
「目の前の患者さんの体に、その時起こっている自然現象
を、昔の達人達が利用し伝え残したことも参考にして、適
切に利用していく」
ということが基本と思います。

 そのためにも、体に起こっている自然現象を的確に把握
することが大切ですね。
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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。


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