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術伝流一本鍼no.58 - (2015/08/18 (火) 09:41:56) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.58 (術伝流・養生の一本鍼・応用編(10))}

&bold(){&size(24){&color(green){置鍼法への応用}}}
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#contents
*1.はじめに
 今まで書いてきたような術伝流一本鍼の治療は、置鍼にも応用
ができます。

 置鍼する場合も、刺鍼時も抜鍼時も、刺法の三原則「手足に引
く」「陽に引く」「下に引く」を守ることが大切です。

 浅鍼で深い所に響かせたいなら回旋術をしてから置鍼するとよ
いです。表位などに熱い所が有れば、先ず散鍼してから鍼を刺し
ます。刺すツボは一本鍼と同じですが、姿勢を考慮して無理の無
いものを選びます。

 患者さんの大きな動き、咳、くしゃみなどに配慮します。寝返
りを打ちたくなったり、咳やクシャミをしたくなったりしたとき
には声をかけてくれるよう、あらかじめ伝えておきます。

 置鍼時と抜鍼時に、鍼の本数を数え、同じか確認することを習
慣にします。

 患者さんを近くで見ていないと、患者さんの反応が分かりにく
いので、注意が必要です。

 肺のある所は、置鍼中にシコリが弛み、鍼が奥まで刺さり、気
胸になることがあるので、奥のシコリが弛んでも大丈夫な長さの
鍼を使うなどの工夫をする必要があります。

 術伝流一本鍼の方法でツボが取れ効果が出せるようになってか
ら挑戦すれば、比較的直ぐにできるようになります。

 置鍼法では、邪気よりも真気の動きが大きいように思います。
この真気の動きの気持ち良さに引かれ、置鍼による治療が好きに
なる人も多いです。そのため、慢性期の養生には、置鍼効果的な
こともあります。

*2.慢性期の養生、全身調整の手順
**2.1. 診察
 先ず、仰向けで、脈診、舌診、腹診をします(写真1)。

&ref(DSCF4684.jpg)写真1

2.2. 仰向けの置鍼
 それから、手の陰経→陽経、(腹)、足の陰経→陽経の順で、
ツボ、特に古いツボを探し、刺鍼した(写真2)後に置鍼します
(写真3)。

&ref(DSCF4686.jpg)写真2

&ref(DSCF4687.jpg)写真3

 手の陽経は、腕を置く位置が難しい時には、うつ伏せに回して
もよいです。腹は、切皮程度か、円皮鍼にします。省略してもよ
いです。

 しばらく置鍼してから、刺鍼時と同じ順序で抜鍼します。足陽
経の鍼を抜く前に弾鍼などをして、上衝しやすい邪気を下に引い
ておくとよいです(写真4)。

&ref(DSCF4688.jpg)写真4

**2.3. うつ伏せの置鍼
 次に、うつ伏せで、首、肩、(腕)、背中、腰、足の後側の順
で、ツボ、特に古いツボを探し置鍼します(写真5)。

&ref(DSCF4689.jpg)写真5

 肋骨より下には刺さないように、肋骨より皮膚側の筋肉内に鍼
先があるように、気を付けます。また、置鍼中にシコリが弛んで
も、胸腔を包む膜に鍼先が届かないような配慮も必要です。

 しばらく置鍼してから、刺鍼時と同じ順序で抜鍼します。足陽
経側の一番足先よりの鍼を最後に抜鍼します。そして、仰向けと
同じように、抜鍼前に弾鍼などをして、上衝しやすい邪気を降ろ
しておきます。

2.4. 補の灸頭鍼、補の灸の併用
 仰向け、うつ伏せのどちらも、置鍼中に古いツボや古い病に関
係していそうなツボがあったら、それらのツボに補の灸頭鍼をし
ます(写真6)。

&ref(DSCF4699.jpg)写真6

 腹のヘソ周りなど灸頭鍼よりも補の灸が向きそうな所は、補の
灸をします(写真7)。

&ref(DSCF4694.jpg)写真7

 そういう感じで灸頭鍼や灸をすると、ただ置鍼だけするよりも
変化が早いです。

 また、灸頭鍼している間に、邪気の出る量が多く、上衝が心配
なら、灸頭鍼した所と経絡的に関係する手足末端に出ているツボ
に刺鍼し、弾鍼などをして、邪気を末端に誘導します。

 私は患者さんの体が変化していく様子を見ているのが好きです
し、安全の点からも、置鍼中に患者さんの傍(そば)からは離れ
ないことにしています。灸頭鍼や補の灸をしたり、末端に置鍼し
た鍼を弾鍼したりし、指を反らしたり、関連するツボに指を触れ
て変化を見たりしています。

**2.5. 仕上げに座位で頭散鍼、手甲へ引き鍼
 仕上げに、座位で、頭の熱い所に散鍼した(写真8)後に、手
甲に引き鍼(写真9)します。

&ref(DSCF4690.jpg)写真8
&ref(DSCF4691.jpg)写真9

 これは、施術後に立歩きはじめたときのフラつき、その後の頭
痛や目眩などの邪気の上衝による症状の防止に効果的なので、忘
れないようにしてください。

*3.簡便法の手順
**3.1. 肩・腰など背中側の症状
 ラクな寝方で寝てもらい、手甲、患部の周囲、足の陽経の順に
ツボを探し、置鍼します。抜鍼は、上から下に、首、肩、背、腰、
足、最後に手甲の順でします。手甲の抜鍼前に、弾鍼するのも同
じです。

 ラクな寝方で寝てもらうのは、置鍼中の患者さんの大きな動き
を少なくするためです。

 手甲の鍼は、置鍼しにくければ抜いてしまいます。そのときは、
仕上げに座位で、手甲に刺鍼します。

 置鍼中に古いツボや古い病に関係するツボに補の灸頭鍼をする
と効果的なのは、全身調整のときと、同じです。

**3.2. 養生、体質改善
 仰向けで、腹への補の灸と組み合わせます。手陰経の肘の付近
(写真10)、足の陰経〜陽経(写真11)の順で置鍼した後に、
腹の古いツボに補の灸をします(写真12)。

&ref(DSCF4692.jpg)写真10
&ref(DSCF4693.jpg)写真11
&ref(DSCF4695.jpg)写真12

 刺鍼と同じ手順で抜鍼します。足の陽経を抜鍼する前に弾鍼な
どして、邪気をおろします(写真13)。

&ref(DSCF4696.jpg)写真13

 その後、頭に散鍼し(写真14)、手の指端または骨空へ透熱灸
をして仕上げます(写真15)。

&ref(DSCF4702.jpg)写真14
&ref(DSCF4704.jpg)写真15

 指端や骨空への灸は、目覚ましなので、治療した後に寝られる
ときは省略してもよいです。その場合は、手甲に引き鍼しておい
たほうが無難です。

**3.3. 手足の肘膝から先で自己養生
 自分の手の届く範囲に円皮鍼を簡便法の手順で貼ることで、自
己養生できます。その上や近くへツボの間接灸や操体法などの運
動法を併用すると、より効果が出やすいです。また、一人で右手
の治療もできて便利です。

 手足の肘膝から先のツボに円皮鍼を貼るだけでも、かなり改善
します。経絡の効用を感じます。

*4.おわりに
 「今まで置鍼して大丈夫だったのに、頭痛など治療後の辛い症
状を言われた」という相談を受けることが2000年以降増えてき
ました。近頃は邪気が沢山溜まっている人が増えてきているせい
かなと思います。

 そんなときに以上のような手順で置鍼抜鍼してもらったら、そ
れから治療後の辛い症状を言われることが少なくなったと聞いて
います。

 置鍼は、一本鍼と比較すると、真気を動かす方法で、邪気が動
く可能性は低いです。が、邪気が沢山溜まっている人だと、邪気
も動いてしまいます。動いた邪気は上衝し、横隔膜から頭にかけ
ての急性症状を引き起こしやすいです。

 抜鍼手順に注意したり、後始末として、頭の散鍼、手甲の引き
鍼、手骨空への透熱灸をしたりすると、そういう急性症状が起き
る可能性を減らせます。

 説明した置鍼は例なので、慣れている置鍼法に応用してくださ
い。


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