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術伝流操体no.61 - (2015/03/13 (金) 10:52:47) のソース

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術伝流操体no.61
【5】応用篇 (14)応用講座の症例:左坐骨神経痛の人が盲腸に
&size(24){&color(green){左坐骨神経痛の人が盲腸に}}
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#contents
*1.はじめに
 左坐骨神経痛と腰痛のある人が虫垂炎になり、普段と違った歪
み方が出た例を紹介します。

 虫垂炎は、慢性で症状が潜在していたものが、悪化して発覚し
たようでした。初めは、腰から尻に痛みを感じたので、いつもの
腰痛かなと思っていたそうです。が、痛みが強くなり病院に行き
虫垂炎と診断されたそうです。

 しかも、状態が悪く、次の検査で変化がなければ即入院手術と
言われたとのことでした。

*2.診察も兼ねて、うつ伏せ寝の定番操体から
 この日の講座のテーマがうつ伏せ寝からの操体だったこともあ
り、初めは、うつ伏せ寝の左右差を見ていきました。

 先ず、うつ伏せに寝てもらったら、いつもは左坐骨神経痛のた
めか左足が外向きなのに、右足が外に向きたい感じの状態でした
(写真1)。

&ref(DSCF2055.jpg)写真1

 左右の膝倒しでは、右倒しが良い感じとのことでした(写真2)。

&ref(DSCF2058.jpg)写真2

 次は、尻叩き、左足のカカトでの尻叩きの方がイイ感じでした
(写真3)。

&ref(DSCF2064.jpg)写真3

 どちらも、虫垂のある部分を縮める動きが動きかなと思いまし
た。

 急性症状には、瞬間脱力が効果的なことが多いので、瞬間脱力
も試してみました(写真4)。写真では分かりにくいかもしれま
せんが、操者の右手首で動きを強調し、その手首を瞬間脱力し、
直ぐ右手で止めました。

&ref(DSCF2066.jpg)写真4
 
 カエル足は、元々の腰痛などの影響か、右足でした(写真5)。
しかし、カエル足の付け足しで、盲腸裏の右腰〜右尻を動かして
みると、右下腹部外寄りを下に押し付けるほうが良かったので、
この付け足しは、虫垂炎の影響かなと思いました(写真6)。

&ref(DSCF2070.jpg)写真5
&ref(DSCF2074.jpg)写真6

 うつ伏せ寝で首を左右に向けるのも左がラク(写真7)で、こ
れも右下腹部外寄りを下に押し付ける姿勢かなと思いました。古
い歪みが出やすい胸椎7番の華佗経にツボが出ていました。

&ref(DSCF2078.jpg)写真7

 うつ伏せ膝立て足首回しでは、足裏の合わせ目が右を向いてい
た(写真8)ので、それを強調しました(写真9)。これも右下
腹部外寄りを下に付ける動作につながる動きのように思いました。

&ref(DSCF2080.jpg)写真8
&ref(DSCF2081.jpg)写真9

 定番の操体というのは、それぞれの寝方で、腰椎部の3軸(左
右捻転、左右側屈、前後屈)を中心に胴体の歪みを整えるものだ
と思います。

 ですから、ラクな寝方で定番操体をすることで、体全体の大雑
把な歪みを整えられますし、普段との違いも調べられます。

*3.うつ伏せで、皮膚操体と按摩指圧の組み合わせ
 診察も兼ねた定番の操体を終えたので、虫垂炎への対処もして
みました。

 先ずは、うつ伏せのままで、虫垂の裏側の腰〜尻に出ているツ
ボを探しました(写真10)。そこへ皮膚操体をしながら、経絡的
に関連する足裏に出ていたツボへの按摩指圧を組み合わせました。
脹脛下部のツボ(写真11)と踵の上のツボ(陽大鐘、写真12)の
2か所。

&ref(DSCF2084.jpg)写真10
&ref(DSCF2086.jpg)写真11
&ref(DSCF2087.jpg)写真12

 患部近くは弱刺激で補、遠くの末端は強刺激で瀉が、急性症状
のときの原則です。

 このとき、足裏側の末端のツボを按摩指圧したときの反応が、
尻の皮膚に伝わっていく方が効果が出やすいです。伝わっている
ことが尻に当てた方の手で感じられないようなら、別のツボを探
します。

*4.仰向けで、皮膚操体と按摩指圧の組み合わせ
 それから、仰向けになってもらいました。この時点で、少しラ
クになったそうです。

 虫垂が上の方に折れているため、少し上寄りの辛さの方が強く、
シコリもそちらが酷いとのことでした。そのシコリ辺りの皮膚に
皮膚操体をしました。

 その皮膚操体をしながら、経絡的に関連するラインに出ていた
ツボに按摩指圧し、頃合いを見計らって瞬間脱力をしました。下
腿下部(写真13)と足甲2~3間(内庭、写真14)の2か所です。

&ref(DSCF2088.jpg)写真13
&ref(DSCF2090.jpg)写真14

 そしたら、腹のシコリが小さくなり、これは医者に見せたいと
のことでした。 ずいぶんラクになったとも言われました。

 腹の邪気の量が多いせいか、操体をしているときに、私もかな
り咳が出ました。特に、腹側をしていたときは、咳が出続けまし
た。このままでは、症状は復活しやすい感じで、腹の邪気を抜き
続けた方が良いように思いました。

 そのため、自己養生として、足の先の方のツボへの、灸痕を残
すような灸、貼る鍼の2つを勧めました。この人は、診療放射線
技師ですが、鍼灸指圧師なこともあって。

 ツボの位置確認も兼ねて、手持ちの円皮鍼を貼っておきました
(写真15)。

&ref(DSCF2091.jpg)写真15

 手のツボを聞かれました。腹の内側でも表面寄りに急性症状の
あるときには、手では裏合谷にツボが出ていることが多いです。
調べたら、やはり出ていて、大変痛がっていました。そこには灸
をしました(写真16)。

&ref(DSCF2092.jpg)写真16

*5.子供の場合には
 子供の場合は、今回したような皮膚操体と按摩指圧の組み合わ
せを日に2回位するとよいと思います。患部やその背中側への皮
膚操体と、経絡的に関連する手足末端への強刺激の按摩指圧を組
み合わせます。

 それ以外のときでも、痛みが出始めたら、そのたびに手足末端
に出ているツボに強刺激するとよいです。指反らしなどは、子供
自身でもできると思います。

 また、貼る鍼がダメでも、粒鍼なら良いという子もいます。

*6.おわりに
 検査では状態が良くなっていて、手術は避けられたと、次に会っ
たときに聞きました。年末の予定だったので、患者さん、病院ス
タッフ双方に良かったなと思いました。

 次の検査は3月だそうで、より状態を良くするため、鍼灸も組
み合わせ、継続的に診ているところです。


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