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術伝流操体no.88 - (2015/03/25 (水) 17:55:05) のソース

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術伝流操体no.88
【6】自然則篇 (24)自然法則と、個性や時代場所の特性を掛け合わせる
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#contents
*1.はじめに
 『万病を治せる妙療法 操体法』などの本に書かれた操体と、先
回紹介した『操体法 橋本敬三の世界 温古堂診療室から』の動画
で橋本先生がなさっていた操体は、見た目は大きく違うと思われ
る人は多いでしょう。

 そして、その後から現在まで、色々な先生が、講座などで実演
されたり、DVDなどで動画として公開されたりしている操体も、
先生方一人一人、それぞれ随分と違うなと思われる人も多いと思
います。表現を変えて言えば、皆さん非常に個性豊かな操体をさ
れています。

 いわゆる「仰向け膝立て膝倒し」などの二人組操体と、「中腰
尻振り運動」などの一人操体も、同じ操体と呼ぶには、差が大き
いと思われる人もいるかもしれません。

 それ以上に、「仰向け膝立て膝倒し」などの二人組での「動き
の操体」と、それとほぼ同じ効果を持つ二人組での「皮膚の操体」
も、同じ操体と呼ばれていることに疑問を持つ人が多いかもしれ
ません。

*2.初心者は違いに目を奪われる
 そうなんですね。私も操体を習い始めた頃は、違いばかり目に
ついて、目を白黒させて、戸惑っていました。

 「中腰尻振り運動」などの一人操体は、「尻振り」と言っても
フラダンスのような動きとは程遠く、気功や太極拳のような動き
だなと思いました。

 「仰向け膝立て爪先上げ」は、野口整体の操法などに似た動き
に見えました。皮膚操体は、野口整体の「愉気」や気功の「外気
功」に似ている感じがしました。要するに、それぞれ違う手技運
動療法に見えました。

 操体の講座を始めて20年位になりますが、初心者の感想や質問
を聞いていると、初めのうちは、やっぱり違いの方に目を奪われ
ている人が多いように思います。

*3.共通点に目を向ける
 しばらく戸惑った後、前にも書きましたが、赤ん坊のノビを見
ているうちに共通点があることに気が付きました。赤ん坊のノビ
やアクビに似ているということです。

 そして、操体のバリエーションも、ヨガや気功や整体などの他
の東洋的手技運動療法も、みんなアクビの技術化なのかもしれな
いなと思いました。

 操体で言う「動診」、「タワメ」、「瞬間脱力」という要素が
あるなと思いました。操体のように、その3つが全て揃っていな
いものもありますが。

*4.橋本敬三先生は、自然則を伝えた
 そう思ってから、『万病を治せる妙療法 操体法』を読み返し
てみると、ちゃんと書いてありました。

 目次だけ見ても、「バランスのくずれと健康」「バランスを調
整する無意識行動」「感覚で健康を判断」「大切なカンを磨くこ
と」「運動系の秘密の原則」「痛くない動きが痛みを取る」「気
持よく動けばよい」「テクニックにこだわらない」「体の動かし
方・動作の極意」「無理のない動作は美しい」「無理のない動き
のきまり」「重心移動の法則を知る」「覚えてほしい自然法則」
「動かすコツ・動くコツ」「運動生理をよく知って治す」「痛み
を取る極意はこうだ」「寝ていての快適運動」「気持よく元に戻
すこと」など。

 「バランスを調整する無意識行動」は、先に書いた「操体は、
アクビの技術化」と通じるものがあるなと思います。実際に
「 バランスを調整する無意識行動」の項目(p101)を見てみ
ると、「たとえば、たいくつしているとアクビをするとか…」
と出ています。

 そして、「自然法則」や「極意」「コツ」と言った表現が多い
し、「テクニックにこだわらない」とも書かれています。橋本先
生の高弟だった先生方の操体が、それぞれ随分と違うように見え
る理由は、ここにあるのかなと思いました。

 「医者として五十余年」(p206~)に、「民間療法をあさる」
「世の知られぬ在野の名人」「自ら試す物理療法」「恐るべきは
自然法則」などと書かれています。 

 橋本先生は、 様々な手技運動療法を学ばれ、自分で試していく
中から「東洋的物理療法(手技運動療法)」の「自然法則」を見
つけ出されたようです。そして、それをお弟子さん達に伝えたの
だと思います。

*5.達人の技術=自然法則×達人の個性
 それで、私は、「達人の技術=自然法則×達人の個性」だと考
えるようになりました。

 つまり、橋本敬三先生や高弟の先生方の操体で、それぞれ違っ
て見える所は、その先生の個性なんだということです。橋本敬三
先生が伝えた東洋的物理療法の自然法則に、それぞれの先生がご
自身の個性を掛け合わせたものが、それぞれの先生の操体なんだ
なと思いました。

 逆に言えば、橋本先生が自然法則を伝え、「テクニックにこだ
わるな」と伝えたから、それぞれの先生は、それぞれの個性を掛
け合わせることができたようにも思います。

*6.時代場所などで、表現形は異なってくる
 「達人の技術=自然法則×達人の個性」は、より詳しく言えば、
以下のようになると思います。

達人の技術=自然法則×達人の個性×常連の個性×時代の特性
      ×場所の特性×…

 私が操体を学んだ中の一人の高弟の先生は、橋本先生に言われ
1970年代半ばに仙台から東京に出てきて、操体を始めたそうで
す。

 東京の人に、仙台で習い覚えた操体をしても「気持ち良い」と
言ってもらえないこともあったそうです。仙台に帰った時に橋本
先生に相談したら「受け手が気持ち良いと感じることを探せ」と
言われたとのこと。そして、当時の東京の受け手に気持ち良いと
言ってもらえる操体を工夫したそうです。

 「バランスのくずれと健康」「無理のない動きのきまり」「気
持よく元に戻すこと」などとあるように、操体は、「日常生活で
無理をして体のバランスを崩した状態を、気持ち良く元に戻して
いく」技法です。

 そして、時代や場所が違えば、仕事の仕方や家事の仕方が違っ
てきます。すると、無理の仕方も異なってくるので、歪み方も少
し違ってきます。そして、受け手の人も様々ですから、「気持良
く元に戻す」技法、受け手が気持ち良いと感じる技術方法も少し
ずつ違ってきます。

 そういう感じで、それぞれの先生方が、時代や場所、常連の受
け手に、自然法則を合わせていくことで、それぞれの先生方の操
体が生み出されて行ったように思います。

*7.先生方の共通点から自然則を掴む
 ですから、逆に、様々な先生方の共通点を見ていくと、操体の
自然法則が見付けやすいと思います。私が書いてきた「操体の自
然則」は、様々な先生方の共通点と、私が思ったものと言うこと
もできます。

 少なくとも、違いに目を奪われている人よりも、共通点に目が
行った人の方が上達が早いように思います。20年ほど操体を伝え
てきて実感しています。
 
*8.自然則に自分の個性などを掛け合わせる
 そして、先生方の共通点から見つけた自然法則に、皆さん一人
一人の個性を掛け合わせることで、皆さん一人一人の操体ができ
るように思います。

 自分の個性だけでなく、時代や場所の特性、常連の受け手の個
性なども掛け合わせる工夫ができると、より良いでしょう。そし
て、時代や場所や受け手の変化にも合わせて、少しずつ改善して
いきましょう。

 「何でもかんでも一つの方法がよいということでは賛成できま
せん」(p124)とあるように、橋本先生自身が、そういう風に
歩まれたように思います。

 ですから、『万病を治せる妙療法 操体法』に書かれた操体と、
『操体法 橋本敬三の世界 温古堂診療室から』の操体の動画が、
表現形としては大きく違って見えるのだと思います。


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