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術伝流操体no.73 - (2015/03/21 (土) 10:55:16) のソース

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術伝流操体no.73 
【6】自然則篇 (9)シコリに合わせた操体を予測
&size(24){&color(green){シコリに合わせた操体を予測}}
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#contents
*1.はじめに
 先回は、「タワメの間では目標のシコリは消える」という話で
したが、今回は「目標のシコリに相応しいタワメの間を予測する」
という話です。

 先々回の「タワメの間の姿勢で力が作用する所を、体は治した
がっている」と、先回の内容の組み合わせから、勘の良い人なら
直ぐ思いついてしまうことかも知れません。それくらい当たり前
と言えば当たり前というレベルの話です。

 つまり、目標とするシコリがあったら、その時のその受け手の
姿勢を少し変形して、その目標のシコリが改善しやすいタワメの
間の姿勢を見付けられないかなということです。

 それができれば、気持ち良さが感じられるか、息が深くなった
か確かめてから、それらのサインが続く間、その姿勢を維持すれ
ば、シコリは改善しやすいはずですね。

*2.仰向け大の字の姿勢の場合
 今までの経験から、受け手に色々な操体を続けていって、その
日はもう十分かなという状態になると、仰向け大の字に近い姿勢
になることが多いです(写真1)。

&ref(DSCF4707.jpg)写真1

 そして、そういう姿勢になったときに試してみるのが分かりや
すいようなのです。その状態で、まだ気になる所が残っていない
か聞きます。写真の例は、右肩など右上半身が気になる状態の場
合です。

 足の大腿部の延長線が気になる所を通るように足の広げ方を調
節します。目標のシコリが右肩の場合には、右足はほばそのまま
伸ばし、左足は右足よりも少し開いた格好になります(写真2)。

&ref(DSCF4709.jpg)写真2

 腕も同じようにするのですが、腕の場合には、上腕の向きと直
角で肩を通る線が、気になる所に向くようにしてもよいです(写
真2,3)。上腕の延長か直角の延長かは、動かす前の腕の位置に
近い方を先ず試してみれば良いと思います。

&ref(DSCF4710.jpg)写真3

 上腕や大腿が気になる所の延長にあるときには、その辺りの皮
膚を気になる所から遠ざけるような皮膚の操体をしてもよいし、
それと同じ効果のある動きの操体をしてもよいです。

 上腕が肩で直角になっているときには、上腕の皮膚を上腕骨に
対して直角に、気になる所から遠ざかる方向に捻転する皮膚の操
体をしてもよいし、それと同じ効果のある動きの操体をしてもよ
い、つまり腕を捻転してみてもよいです。

 胴体の上面になっている胸側の皮膚面を引っ張るように、上腕
を捻転しても(写真4)よいですし、同じ動きが出るように手首
を捻転しても(写真5)よいです。反対側の腕も同じような動き
(写真6)をキッカケにしてみます。

&ref(DSCF4711.jpg)写真4
&ref(DSCF4712.jpg)写真5
&ref(DSCF4714.jpg)写真6

 つまり、どちらの場合にも、気になる所の皮膚を引っ張るよう
な動きが伝わればよいです。色々ヤジウマしてみましたが、そう
いう動きの方が、気になる所へ近づけていくような動きが伝わる
場合よりも、気持ち良さが深くなる感じです。おそらく引っ張る
動きのほうが遠くまで伝わりやすいからだと思います。

 右肩に目標のシコリがある場合には、右足は小指側が足甲側に
回るような足首捻転をしながら引っ張る(写真7)と気持ちよい
ことが多いし、左足は少し開いた状態からなので足首を立てた形
で固定して引っ張った(写真8)方が気持ちよいことが多いです。

&ref(DSCF4716.jpg)写真7
&ref(DSCF4717.jpg)写真8

 が、反対のこともあるので、逆も試して、イイ感じの方を選択
するのがよいでしょう。

 また、肩でなく、腰が目標の場合には、少し高い位置で引っ張っ
た(写真9)方がイイ感じが出やすいです。これも、大腿骨の延
長に目標があるということから、当たり前のことですね。

&ref(DSCF4722.jpg)写真9

 手足4本以外だと、首の動きも関係していることがあります。
受け手に首を色々な方向に動かしてもらって気持ちのよい方向が
あったら、それを少し強調するというか、その首の格好を維持し
ても(写真10)、気持ち良さが深くなります。

&ref(DSCF4723.jpg)写真10

 引っ張る動きが伝わる方のやり方を試してみて気持ち良さが深
くならないようなら、近づける動きなど、他の動きをしてみても
よいです。

 言葉が通じない人が受け手の場合には、腹の息が深くならなかっ
たら、近づける方をしてみるとよいです。

 また、大腿、上腕などの皮膚を目標のシコリから遠ざかる方向
と近づく方向の2方向にズラしてみて、ズレやすい方にズラすか、
それと同じ効果のある動きの操体をしてみればよいです。

*3.極楽操体?
 講習会などで操者が数人いたら、気になる所に皮膚の操体をし
ている人とは別の人が、手足それぞれを担当した方が気持ち良さ
が深くなりやすいです。首も加えれば、全部で6人がかりの操体
になります。

すごく気持ちよくて、「これは極楽だな」と言われたこともあり
ます。

 操体は自力が基本ですが、人にやってもらうほうが気持ちよい
ことが多いですね。たまには、こういう6人がかりの操体も味わっ
てみてもよいのでは…と思います。

 それに、この6人がかりの操体を受けてみると、全身に連動す
る感じ、体丸事の気持ち良さという感じが、はっきり感覚できる
ようです。

 それまで全身に連動するという感じがよく分からないと言って
いた人で、6人がかりで、しかも、一人ずつ順に操体する所を増
やしていく過程で、少しずつ気持ち良さが深くなっていく感覚を
味わってからは、全身に連動すると気持ちよいということが実感
できるようになったという人もいました。

 五首とも言われる体の末端の全てを気持ちよい感じに維持して
いる実感が味わえるからだと思います。

*4.うつ伏せの場合
 うつ伏せの場合も、だいたいは同じです。ある程度は操体に慣
れている人が受け手なら、ラクな姿勢でうつ伏せに寝てもらいま
す(写真11)。

&ref(DSCF4724.jpg)写真11

 その姿勢で、大腿の延長や、前腕の延長や直角の延長線上を参
考にしながら、その時に体が治したがっているシコリやツボを見
付けます。受け手にも確認を取りながら。

 そして、その目標に皮膚操体しながら、手足にも皮膚操体して
いきます。目標に皮膚操体している方が、目標の変化が分かりや
すいので、しない場合よりも適切な操体になりやすいです。

 ただ、初めは、両方同時にするのは難しいかもしれませんし、
分かりにくい可能性もあります。

 また、足を引っ張るようなキッカケの場合は、片手では難しい
ので、目標の皮膚操体と組み合わせるのも難しくなりますね。

 また、組み合わせる場所が遠くても無理な感じになってしまう
ので、手がラクに届く範囲で、目標と組み合わせる前腕や大腿の
場所を選びます。

 目標に近い側の大腿なら、大腿に出ているツボの上の皮膚を目
標から遠ざける方向にズラす皮膚操体を組み合わせる(写真12)
のが、イイ感じになりやすいと思います。

&ref(DSCF4725.jpg)写真12

 目標と同じ側の上腕の直角方向に目標があるなら、上腕の皮膚
を捻転し、目標の皮膚を引っ張る動きを作り、キッカケにしてみ
ます(写真13)。

&ref(DSCF4726.jpg)写真13

 引っ張る動きでイイ感じが出てこないようなら、目標に向かっ
て皮膚が動いていくようにしてもよいです。例えば、目標と同じ
側の大腿なら、膝を曲げていく動きも組み合わせる(写真14)
ことで、イイ感じが出ることも多いです。

&ref(DSCF4727.jpg)写真14

 また、目標と経絡的に関連する指を反らすのを組み合わせても
よいです。背中側が目標なら、手の指なら、小指か薬指を組み合
わせるのがよいことが多いです(写真15)。

&ref(DSCF4728.jpg)写真15

 余談になりますが、こんな風に2カ所同時に皮膚操体をする場
合には、時間が長びき腕が疲れても反対側の手で肘を支持できま
せん。

 そういうときは、両足の膝を巧く使って操体している手の肘を
支持すると、長時間疲れないで皮膚操体を続けられます。ちょっ
としたコツです。肘と膝の位置や姿勢は、いろいろヤジウマしな
がら工夫してみてください。

*5.おわりに
 今回は、シコリのある所に力が伝わるように大腿や上腕の位置
を決めるという方法で、目標とするシコリにあった操体を予測す
るということを書きました。

 もちろん、違うこともあります。

 目標とした選択したシコリが、その時に、一番、受け手の体が
改善したがっているシコリではないときには、予測通りになりま
せん。体は、その時、一番、改善したいシコリに合わせた操体を
選択しますから。

 そういう場合も、ラクな姿勢からイイ感じのことをキッカケに
する操体を繰り返していけば、だんだん目標とするシコリに合っ
た、つまり、目標とするシコリを大腿や前腕が提示するような姿
勢がラクな姿勢になっていきます。

 受け手と相談しながら、見付けていってください。慣れてくれ
ば、だんだん早く、目標のシコリに合ったラクな姿勢が見付けら
れるようになります。

 また、今回のような目標のシコリに引っ張る力が伝わるような
単純な動きや皮膚の操体でなく、もう少し複雑な動きも予測でき
るようになります。例えば、定番の操体を目標とするシコリに合
わせて、少し変形するようなこともできるようになります。

 そして、上達していけば、仰向けやうつ伏せだけでなく、横向
き寝、座位、立位でも同じようにできるようになります。

 また、色々な姿勢で休んでいる人を見て、体が改善したがって
いる目標の予測も可能になります。私は、電車などで向かいに座っ
ている人の姿勢から、その人に出ているシコリを想像することも
しています。

 私は、そういうことが習慣に近くなってからは、経絡という考
え方をより深く実感できるようになった気がしています。

 次回は、シコリから操体を予測する方法の2回目で、「シコリ
のある筋肉を縮める動き」というテーマで書きます。これも勘の
良い人なら当たり前の話かもしれません。

 そして、次々回は、皮膚の操体とシコリとの関係に進んでいき
たいと思います。


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