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術伝流操体no.70 - (2018/07/07 (土) 14:30:38) のソース

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術伝流操体no.70 
【6】自然則篇 (6)背骨に伝わる動きが同じなら
&size(24){&color(green){背骨に伝わる動きが同じなら}}
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#contents
*1.はじめに 
 前回は、キッカケが「手首足首などの末端の時」と「体
重移動など体の中心に近い部分の時」の違いを、見た目の
分かりやすさ、操体のまとまりやすさなどから、見ていき
ました。

 今回は、「背骨に伝わる動きが同じなら、似たような効
果」が出る可能性が高いということを書いていきます。

*2.右肘を引けない時は、左肘を引くか、右肘を前に出す
 簡単な例ですと、右肘を肘鉄砲と食らわすような感じで
後ろに引けない(写真1)という人に対して、左肘で同じ
動きをしてみる(写真2)という感じの操体です。

&ref(DSCF4315.jpg)写真1
&ref(DSCF4322.jpg)写真2

 この場合に効果を出す可能性を高めようと思えば、軽く
動かせる範囲で左肘を後ろに引いてもらい、動きが止まっ
たら、左手小指が手の平側に回る方向の左手首の捻転(写
真3)、左足への体重移動(写真4)の2つを付け加えると
良いでしょう。

&ref(DSCF4323.jpg)写真3
&ref(DSCF4324.jpg)写真4

 腹に息が入るか、気持ち良さが生まれてくるか確認でき
たら、気持ち良さを味わいます。体重を戻したくなるか、
肘を戻したくなるか、息が普通になるかしたら、終えます。

 左肘を戻してから、後ろに引きにくかった右肘を後ろに
引いてみると、引けるようになっていると思います。

 この症状に対しては、もちろん、単純に右肘を後ろに
引きにくい所から前に戻してくる(写真5)という操体で
も良いです。

&ref(DSCF4333.jpg)写真5

 その場合には、肘が脇腹に来た辺りから、右手小指が手
甲側に回る方向の右手首捻転、左足への体重移動の2つを
付け加える(写真6)と、効果が出やすくなります。

&ref(DSCF4334.jpg)写真6

*3.2つの操体で、背骨に伝わる動きは同じ
 ところで、この2つの症状改善のための動きが、背骨に
はどう伝わっているか調べてみましょう。

 どちらも肩甲骨、鎖骨を通って背骨に伝わり、肩甲間部
の背骨を頭の上の方から見て反時計回りに回転する動きに
なっているのが分かると思います(写真7、8)。

&ref(DSCF4338.jpg)写真7
&ref(DSCF4337.jpg)写真8

 ですから、2つの操体の動作を同時にしてもフラついた
りしません(写真9)。

&ref(DSCF4339.jpg)写真9

*4.健側で同じ動作がキッカケの方が、効果が出やすい
 今までの経験上、この二つの動きの操体を比較してみる
と、患側で逆の動作をキッカケにするよりも、反対側の健
側の肘で同じ動作をキッカケにする方が、効果が出やすかっ
たです。

 これは、おそらく、健側同動作キッカケ操体の方が、全
身に連動しやすいし、痛い直前の姿勢から始めていないの
で気持ち良さが味わいやすいためだと思われます。

 この「やりやすい方で同じ動作をしてみる」という方法
は、肩周りで左右差のある動作制限にしてみてみると、た
いてい効果が出ます。また、紹介し伝えた相手の人が面白
がって、操体に興味を持ってもらえます。

 片手だけ背中に回しにくかったり、頭の後ろに回しにく
かったりで、帯が結べなかったり、髪が結えなかったりと
いうときには、試してみる価値があると思います。

 ただ、左右差が無い場合には、効果があまり出ません。

*5.背骨の動きに左右差がないと、キッカケの手の動きは反対ではない
 また、手から伝わった動きが、背骨では左右捻転や左右
側屈の動きにはならない時には、手や腕の動作が反対では
なくなります。

 体を反らす時を例にします。この時には、手を垂らした
状態で小指側が手の平側に動く方向の手首捻転運動をキッ
カケにできます(写真10)。

 が、この場合には、左右どちらの手でも同じ向きの手首
捻転運動になりますから、片方の手ができない動作を反対
側の手でしても効果が出ません。

&ref(DSCF4340.jpg)写真10

 もちろん、この場合にも、垂らした手を片側ずつ捻転し
て左右差がある場合には、背骨の左右捻転の左右差に関係
してきますので、やりやすい方を余分に捻転すると、やり
にくかった方が改善します。

*6.左右差が有る時は、試してみる
 一見、背骨に捻転や側屈を与えない動作でも、左右差が
有る場合には、試してみる価値があります。

 例えば、立位や座位で、手を真上に挙げる動作の場合に
は、一見、背骨に捻転や側屈の動きはないように思えます。

 が、上げやすい方の腕を少し余分に上げ、挙げた手の小
指側が甲側に回転するような手首捻転、移動しやすい方に
(たぶん挙げた手と同じ側に)体重への移動を付け加えて
みます(写真11)。

&ref(DSCF4346.jpg)写真11

 そうすると、気持ち良く、腹にも深く息が入っていきや
すいです。戻してみると、挙げにくかった方の手が上がり
やすくなっています。

 たぶん、左右差が有るときには、背骨が捻転や側屈をす
るような動きが伝わるからだと思います。例に挙げた場合
では、挙げた手の小指を甲の側に回転する動きが、背骨に
伝わって背骨の捻転運動になっています。

*7.足でも左右差があれば、同じ
 これは、足の場合でも同じです。

 手足の動きに左右差が有ったら、その動きをやりやすい
側の動きを少し強調することをキッカケにする方が、やり
にくい側で逆向きの動作をすることをキッカケにするより
も効果が出る確率が高いです。

 そして、足首の背屈や捻転など「やりやすい方に末端を
動かす」ことと「移しやすい方に体重を移動する」ことを
付け加えると気持ち良さが味わえる可能性が増えます。

 やったことがなかったら、試しにヤジウマしてみてくだ
さい。

 前回、うつ伏せで尻に踵が付きにくいときに、その足を
伸ばす定番操体と、反対側の付きやすい方の踵を尻に近付
けていく操体は、同じ効果があることを書きました。これ
も、上に書いた自然則そのままだということが分かると思
います。

 この二つの動きが仙骨にどう伝わるかと見ていきます。
仙骨は、背骨では、これら2つの動きで、足の動きが初め
に伝わるからです。

 ここでは話を分かりやすくするために、右足踵が尻に付
きにくかったことにします(写真12)。

&ref(DSCF4349.jpg)写真12

 先ず、定番の操体では、付きにくい方の右足を痛くない
範囲で尻に近付けた状態から少しずつ伸ばしていきます。

 多くの場合、膝が空中に浮いている状態で伸ばした方が
気持ち良いので、片手で膝を支え、もう一方の手で伸びて
くる右足首に抵抗を掛けるという形になります(写真13、
14)。

&ref(DSCF4351.jpg)写真13
&ref(DSCF4352.jpg)写真14

 この二つの手の使い方、補助と抵抗をする手のバランス
などが、少し難かしいです。そのため、定番の操体の中で
は、習得に時間が掛かるとされているようです。

 さて、この操法で、「タワメの間」の形は、どうなって
いるでしょう。立ち姿勢でボールを前蹴りするための準備
で、足を後ろに伸ばして振り上げた姿勢から、足を前に蹴
ろうとする方向に力を入れている状態(写真15)に見えま
す。

&ref(DSCF4359.jpg)写真15

 または、歩いている時の後ろ足を次の一歩のために前に
出そうとする状態にも思えます。そういう状態を、うつ伏
せにした形になっています。

 その場合に、仙骨には、少し反らした状態から、右側の
反りを左側より緩和する方向に動かそうとする動きが伝わ
ります。そうしながら、右前、つまり右の腹側に捻転させ
る動きも加わります。


 同じ効果を上げると紹介した、付きやすい左足をお尻に
付けていく動きでは、どうでしょう。多くの場合、途中か
ら曲げた左足が右足の方に倒れていき、しかも、左膝を持
ち上げると気持ち良さが深くなるということを、前回に紹
介しました。

 この場合に、仙骨に伝わる動きは、やはり仙骨を反らし
ながら、しかも、左側をより反らせながら、つまり右側の
反りは比較すれば少なくしながら、右前のほうに仙骨を捻
転させる動きになっているように思います。

*8.おわりに
 どうして、背骨に伝わる動きが同じ操体は似たような効
果が出るのでしょう。この点について、私は、ヒトは直立
2足歩行するサルだからかなと思っています。

 直立2足歩行がヒトの最も基本的な動きで、その動きは
背骨を中心になされているためかな、魚が背骨を横に振っ
て泳ぐように…などと考えています。歩くときは、左右交
互に背骨を回転させていますし。

 この見方、つまり、背骨に伝わる動きが同じ操体は似た
効果があるという見方を思いついてから日が浅いので、ま
だ、色々な操体をすると動きは背骨にどう伝わるかについ
て、全て調べてみたわけではありません。

 ですから、例外が見つかるかも知れません。皆さんがお
得意の操体でヤジウマしてみて、違う例が出てきたら、教
えてください。

 次回は、そういう見方で操体を見ていったことから思い
付いたことを書いていきます。

 その時している操体が背骨のどの辺りに最も影響を与え
ているか、それから発展させて、タワメの間である特定の
姿勢になった時に、その姿勢は体のどの辺りに効果を上げ
ようとしているかを判断する方法などです。


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