累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ 術伝流操体no.70 【6】自然則篇 (6)背骨に伝わる動きが同じなら &size(24){&color(green){背骨に伝わる動きが同じなら}} ------ #contents *1.はじめに 前回は、キッカケが「手首足首などの末端の時」と「体 重移動など体の中心に近い部分の時」の違いを、見た目の 分かりやすさ、操体のまとまりやすさなどから、見ていき ました。 今回は、「背骨に伝わる動きが同じなら、似たような効 果」が出る可能性が高いということを書いていきます。 *2.右肘を引けない時は、左肘を引くか、右肘を前に出す 簡単な例ですと、右肘を肘鉄砲と食らわすような感じで 後ろに引けない(写真1)という人に対して、左肘で同じ 動きをしてみる(写真2)という感じの操体です。 &ref(DSCF4315.jpg)写真1 &ref(DSCF4322.jpg)写真2 この場合に効果を出す可能性を高めようと思えば、軽く 動かせる範囲で左肘を後ろに引いてもらい、動きが止まっ たら、左手小指が手の平側に回る方向の左手首の捻転(写 真3)、左足への体重移動(写真4)の2つを付け加えると 良いでしょう。 &ref(DSCF4323.jpg)写真3 &ref(DSCF4324.jpg)写真4 腹に息が入るか、気持ち良さが生まれてくるか確認でき たら、気持ち良さを味わいます。体重を戻したくなるか、 肘を戻したくなるか、息が普通になるかしたら、終えます。 左肘を戻してから、後ろに引きにくかった右肘を後ろに 引いてみると、引けるようになっていると思います。 この症状に対しては、もちろん、単純に右肘を後ろに 引きにくい所から前に戻してくる(写真5)という操体で も良いです。 &ref(DSCF4333.jpg)写真5 その場合には、肘が脇腹に来た辺りから、右手小指が手 甲側に回る方向の右手首捻転、左足への体重移動の2つを 付け加える(写真6)と、効果が出やすくなります。 &ref(DSCF4334.jpg)写真6 *3.2つの操体で、背骨に伝わる動きは同じ ところで、この2つの症状改善のための動きが、背骨に はどう伝わっているか調べてみましょう。 どちらも肩甲骨、鎖骨を通って背骨に伝わり、肩甲間部 の背骨を頭の上の方から見て反時計回りに回転する動きに なっているのが分かると思います(写真7、8)。 &ref(DSCF4338.jpg)写真7 &ref(DSCF4337.jpg)写真8 ですから、2つの操体の動作を同時にしてもフラついた りしません(写真9)。 &ref(DSCF4339.jpg)写真9 *4.健側で同じ動作がキッカケの方が、効果が出やすい 今までの経験上、この二つの動きの操体を比較してみる と、患側で逆の動作をキッカケにするよりも、反対側の健 側の肘で同じ動作をキッカケにする方が、効果が出やすかっ たです。 これは、おそらく、健側同動作キッカケ操体の方が、全 身に連動しやすいし、痛い直前の姿勢から始めていないの で気持ち良さが味わいやすいためだと思われます。 この「やりやすい方で同じ動作をしてみる」という方法 は、肩周りで左右差のある動作制限にしてみてみると、た いてい効果が出ます。また、紹介し伝えた相手の人が面白 がって、操体に興味を持ってもらえます。 片手だけ背中に回しにくかったり、頭の後ろに回しにく かったりで、帯が結べなかったり、髪が結えなかったりと いうときには、試してみる価値があると思います。 ただ、左右差が無い場合には、効果があまり出ません。 *5.背骨の動きに左右差がないと、キッカケの手の動きは反対ではない また、手から伝わった動きが、背骨では左右捻転や左右 側屈の動きにはならない時には、手や腕の動作が反対では なくなります。 体を反らす時を例にします。この時には、手を垂らした 状態で小指側が手の平側に動く方向の手首捻転運動をキッ カケにできます(写真10)。 が、この場合には、左右どちらの手でも同じ向きの手首 捻転運動になりますから、片方の手ができない動作を反対 側の手でしても効果が出ません。 &ref(DSCF4340.jpg)写真10 もちろん、この場合にも、垂らした手を片側ずつ捻転し て左右差がある場合には、背骨の左右捻転の左右差に関係 してきますので、やりやすい方を余分に捻転すると、やり にくかった方が改善します。 *6.左右差が有る時は、試してみる 一見、背骨に捻転や側屈を与えない動作でも、左右差が 有る場合には、試してみる価値があります。 例えば、立位や座位で、手を真上に挙げる動作の場合に は、一見、背骨に捻転や側屈の動きはないように思えます。 が、上げやすい方の腕を少し余分に上げ、挙げた手の小 指側が甲側に回転するような手首捻転、移動しやすい方に (たぶん挙げた手と同じ側に)体重への移動を付け加えて みます(写真11)。 &ref(DSCF4346.jpg)写真11 そうすると、気持ち良く、腹にも深く息が入っていきや すいです。戻してみると、挙げにくかった方の手が上がり やすくなっています。 たぶん、左右差が有るときには、背骨が捻転や側屈をす るような動きが伝わるからだと思います。例に挙げた場合 では、挙げた手の小指を甲の側に回転する動きが、背骨に 伝わって背骨の捻転運動になっています。 *7.足でも左右差があれば、同じ これは、足の場合でも同じです。 手足の動きに左右差が有ったら、その動きをやりやすい 側の動きを少し強調することをキッカケにする方が、やり にくい側で逆向きの動作をすることをキッカケにするより も効果が出る確率が高いです。 そして、足首の背屈や捻転など「やりやすい方に末端を 動かす」ことと「移しやすい方に体重を移動する」ことを 付け加えると気持ち良さが味わえる可能性が増えます。 やったことがなかったら、試しにヤジウマしてみてくだ さい。 前回、うつ伏せで尻に踵が付きにくいときに、その足を 伸ばす定番操体と、反対側の付きやすい方の踵を尻に近付 けていく操体は、同じ効果があることを書きました。これ も、上に書いた自然則そのままだということが分かると思 います。 この二つの動きが仙骨にどう伝わるかと見ていきます。 仙骨は、背骨では、これら2つの動きで、足の動きが初め に伝わるからです。 ここでは話を分かりやすくするために、右足踵が尻に付 きにくかったことにします(写真12)。 &ref(DSCF4349.jpg)写真12 先ず、定番の操体では、付きにくい方の右足を痛くない 範囲で尻に近付けた状態から少しずつ伸ばしていきます。 多くの場合、膝が空中に浮いている状態で伸ばした方が 気持ち良いので、片手で膝を支え、もう一方の手で伸びて くる右足首に抵抗を掛けるという形になります(写真13、 14)。 &ref(DSCF4351.jpg)写真13 &ref(DSCF4352.jpg)写真14 この二つの手の使い方、補助と抵抗をする手のバランス などが、少し難かしいです。そのため、定番の操体の中で は、習得に時間が掛かるとされているようです。 さて、この操法で、「タワメの間」の形は、どうなって いるでしょう。立ち姿勢でボールを前蹴りするための準備 で、足を後ろに伸ばして振り上げた姿勢から、足を前に蹴 ろうとする方向に力を入れている状態(写真15)に見えま す。 &ref(DSCF4359.jpg)写真15 または、歩いている時の後ろ足を次の一歩のために前に 出そうとする状態にも思えます。そういう状態を、うつ伏 せにした形になっています。 その場合に、仙骨には、少し反らした状態から、右側の 反りを左側より緩和する方向に動かそうとする動きが伝わ ります。そうしながら、右前、つまり右の腹側に捻転させ る動きも加わります。 同じ効果を上げると紹介した、付きやすい左足をお尻に 付けていく動きでは、どうでしょう。多くの場合、途中か ら曲げた左足が右足の方に倒れていき、しかも、左膝を持 ち上げると気持ち良さが深くなるということを、前回に紹 介しました。 この場合に、仙骨に伝わる動きは、やはり仙骨を反らし ながら、しかも、左側をより反らせながら、つまり右側の 反りは比較すれば少なくしながら、右前のほうに仙骨を捻 転させる動きになっているように思います。 *8.おわりに どうして、背骨に伝わる動きが同じ操体は似たような効 果が出るのでしょう。この点について、私は、ヒトは直立 2足歩行するサルだからかなと思っています。 直立2足歩行がヒトの最も基本的な動きで、その動きは 背骨を中心になされているためかな、魚が背骨を横に振っ て泳ぐように…などと考えています。歩くときは、左右交 互に背骨を回転させていますし。 この見方、つまり、背骨に伝わる動きが同じ操体は似た 効果があるという見方を思いついてから日が浅いので、ま だ、色々な操体をすると動きは背骨にどう伝わるかについ て、全て調べてみたわけではありません。 ですから、例外が見つかるかも知れません。皆さんがお 得意の操体でヤジウマしてみて、違う例が出てきたら、教 えてください。 次回は、そういう見方で操体を見ていったことから思い 付いたことを書いていきます。 その時している操体が背骨のどの辺りに最も影響を与え ているか、それから発展させて、タワメの間である特定の 姿勢になった時に、その姿勢は体のどの辺りに効果を上げ ようとしているかを判断する方法などです。 次へ >>> [[術伝流操体no.71]] ----- >>> 目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]] >>> このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.70]] >>> 術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。 よろしくお願いします。 **感想・間違いなど 感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。 よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集 「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。 よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ---- >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----