「術伝流操体no.65」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

術伝流操体no.65 - (2016/07/29 (金) 08:43:32) のソース

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) 
------
術伝流操体no.65 
【6】自然則篇 (1) 動きの操体の新旧比較
&size(24){&color(green){動きの操体の新旧比較}}
------
#contents
*1.はじめに
 さて、今回から「操体の自然則」編に入ります。

 私は、色々な達人の先生達が「操体」として実行しているこ
との共通部分に「操体」はある、少なくとも共通部分が「操体
の自然則」ではないかなと思っています。

 そして、「操体の自然則」と各先生の「個性」が合わさった
ものが、各先生の「操体」ではないかとも考えています。

 そこで、これから、達人の先生達の共通部分から、私が「操
体の自然則」に当たると思ったことを書いていきます。今まで
書いてきたことと重なることも、「操体の自然則」の視点から
書いていきますので、よろしくおねがいします。

 昔、30数年ほど前に操体を習った人や橋本敬三先生の本を
読んで操体を知った人には、今まで私が書いてきたような操体
が本当に操体なんだろうかと疑問を持たれている人もいると思
います。

 そこで、先ず、今回は、動きの操体の変遷を、私の知りえた
範囲で、たどってみます。

*2.操体とは、ギュッ・パッ・ストン
 『万病を治せる妙療法 操体法』が出版されて全国的に有名
になった頃、それは私が操体を知り、初めて習った頃でもある
のですが、操体と言うと、次のようなイメージでした。 

(1) 動作を左右比較してラクな方の動作をしてもらう

(2) (1)に対して、操者が抵抗を掛けて、数秒その状態を保つ

(3) (2)の後、操者が「はい脱力して」と言って脱力させる

 擬音表現で言えば、「ギュッ、パッ、ストン」。受け手にし
てもらう動作も(目一杯)頑張ってもらう形でしたし、操者も
(目一杯)頑張って抵抗していたように思います。

 橋本敬三先生は「頑張らないで気持ちよい方に逃げろ」と書
いています。が、70年代後半に操体として伝わった方法は、
受け手にも頑張らせる形が多かったように思います。また、今
でも、そういう感じのものが操体だと思っている人が、一般的
には、一番多いと思います。

*3.「ギュッ・パッ・ストン」と「皮膚の操体」
 そういう風に思われている操体、「ギュッ・パッ・ストン操
体」と「皮膚の操体」が、何故、同じ「操体」という言葉で語
られるのか、実際に「皮膚の操体」を達人の先生方から受けた
ことのない人は、疑問に思われるでしょう。

 「操体の自然則」について書いていく手始めに、「仰向け膝
倒し」の操体を例にして、ギュッ・パッ・ストンから皮膚の操
体までの間の操体のバリエーションを紹介していきます。

 適切にやれば、ほぼ同じ効果を出せるバリエーションです。
それら一連のバリエーションを全て「操体」と感じてもらえる
ような説明を心掛けていきます。疑問点は質問してください。

*3.タイプ1:ギュッ・パッ・ストン
 さて、私が知っている一番古いというか、ギュッ・パッ・ス
トンというイメージに近い、仰向け膝倒しの操法は、以下です。

(1) 左右を比べてラクな方を見付ける (写真1,2)

&ref(DSCF3573.jpg)写真1
&ref(DSCF3574.jpg)写真2

(2) 逆の辛くなる手前の状態にする(写真3)

&ref(DSCF3575.jpg)写真3

(3) そこからラクな方に受け手に自力で動くように指示

(4) 操者は受け手が動いて来るのに頑張って抵抗する (写真4)

&ref(DSCF3576.jpg)写真4

(5) 受け手の動きが止まった所で数秒保つ(写真5)

&ref(DSCF3577.jpg)写真5

(6)「ハイ脱力」と指示する

 辛い方からラクな方へ動きが変わる所で、抵抗する手の置き
方を変えないと(写真4,5)、上手くできませんでした。その
ためか、ラクな方が見つかったら、膝を真ん中に戻してから、
受け手にラクな方に動いてもらうようになっていきました。

 そして、操者も抵抗しやすい方に移動したりもしました
(写真6)。

&ref(DSCF3578.jpg)写真6

 このタイプの特徴を書き出してみます。

 特徴1:仰向け膝倒しという、やりにくい動作そのものの逆
の動作を受け手にしてもらう。

 特徴2:受け手が動かそうとしている膝そのものに対して、
操者が抵抗を掛ける。

 特徴3:適度な所で動かなくなった時に、その姿勢で抵抗し
ている時間は、数秒。この受け手の動きと操者の抵抗が釣り合っ
た時間帯を「タワメの間(ま)」とよぶ。

 特徴4:操者が脱力を指示する。

*4.タイプ2:フワー・パッ・ストン
 こういう特徴のため、というか、主に「特徴2」のため、全
身に連動させることができない、つまり、体丸事が連なって一
緒に動いていくような動きができない人が、沢山いました。

 そのせいか、抵抗を掛けながら、操者が「全身に連動させて」
という指示を出すようになりました。

 この辺りは、その全身に連動していく様子を「フワー」と言
う言葉で表現することが多くなり、擬音表現で言えば「フワー・
パッ・ストン」と表現されるような形になりました。この形を
操体だと思っている人が、2番目に多いと思います。

 ただし、「全身に連動させてください」と言っても、初めて
の人は意味が分からないことも多く、上手くできない人も多かっ
たようです(写真7)。そのため、声を掛けて、首の向きなど
を動かしてもらう先生もいたようです(写真8)。

&ref(DSCF3580.jpg)写真7

&ref(DSCF3581.jpg)写真8

*5.私には、ギュッ・パッ・ストンは気持よくなかった
 実は、私は、1970年代後半から80年代前半に東京などで知
られていた「ギュッ・パッ・ストン」タイプの操体は、余り好
きではありませんでした。

 その頃までに知っていたヨガや気功太極拳などの他の運動療
法よりも気持ちよくなかったからです。「フワー・パッ・スト
ン」タイプも、「ギュッ・パッ・ストン」タイプよりは、少し
は良いけれど…という感じでした。

 本に書かれている通りにやるよりも、少し動きを変形したり、
タワメの間を長くしたり、脱力を殆どしない方が、気持ちよかっ
たりしました。

**◎70年代後半、私が気持ちよさを増やすためにしたこと

(1)動きを少し変えてみる、気持ちよさを探す感じで動く

(2)タワメの間を長くする、気持ちよさが続いていたら、そ
の状態をゆっくり味わう

(3) 脱力をゆっくりする、殆どしない

 橋本敬三先生の本は好きで読んでいて、「考え方としては一
番面白いのに、どうして実技は気持ちよくないのだろう」と、
ずっと思っていました。でも、気になるので、操体の本は集め
ていました。

 そして、出合ったのが『操体法治療室』(初版は柏樹社、現
在は、たにぐち書店)でした。

 読んで、自分がやっていたような変形も、操体では「あり」
なんだと分かりました。「ラクな動きや本に書かれた動きと、
気持ちよい動きが違っていたら、気持ちよい方を選んで動きな
さい」というメッセージも伝わってきました。

 著者の先生に手紙を書きました。そしたら、講習会に来てみ
ないかという連絡が来たので出かけました。20年以上前、80
年代後半のことです。

*6.タイプ3:フワー・ポワワン・パッ・ストン
 さて、ここからは、その後、達人の先生方が色々工夫された
領域に入って行きますので、今でも操体を工夫し続けている達
人の先生に直接指導を受けた人以外には、余り知られていない
かもしれません。

 先ず一つ目は、(特徴3)のタワメの間が長い方が気持ち良
いと言う受け手が沢山出てきました。多分、上手く全身に連動
するようになったせいだと思われます。

 それで、その時間を長くするようになったようです。擬音表
現で言えば「フワー・ポワワン・パッ・ストン」と表現される
ような形です。

*7.タイプ4:ふわー・ぽわわん・ふっ・くにゃぁ
 次には、タワメの間が長くなったせいか、受け手の中に「パッ・
ストン」という形の脱力を気持ちよく思わない人が沢山出て来
ました。特に、都市部では、多かったようです。

 そのため、「ふっ・くにゃぁ」という感じの脱力でも良いこ
とにせざるを得なくなったようです。擬音表現で言えば「ふわー・
ぽわわん・ふっ・くにゃぁ」と表現されるような形です。カタ
カナ表記よりもひらがな表記の方が似合うようになりました。

 面白いことに、橋本敬三先生が70年代中頃にご自身で一人
操体している時の瞬間脱力が「ふっ・くにゃぁ」型でした。
その頃に仙台NHKが取材放送した動画が残っています。
(『操体法 橋本敬三の世界〜温古堂診療室から』農文協)

 高弟の先生からは「橋本先生の瞬間脱力は、いつ、どこでし
ているのか分からない位だった」と聞きました。

 その後、色々試行錯誤しているうちに、この「ふっ・くにゃぁ」
型の脱力の「ふっ」の部分は、アクビの終わりに口が閉じる時
の動きに似ているのに気が付きました。

 時間的に、とても速く、とても短い動きです。また、閉じて
も、上の歯と下の歯が衝突することはないので、距離的にも、
とても短い動きです。

 橋本先生の動画を思い出し、橋本先生の言う「瞬間脱力」と
言うのは、アクビの終わりに口が閉じるような、時間的に「瞬
間的に速く」「瞬間的に短い」、距離的にも「短い」ものなん
じゃないかなと思いました。

*8.タイプ5:遠い所で抵抗
 その次の変更は、遠い所で抵抗を掛けるようになったことで
す。声を掛けただけでは全身に連動できない人が多かったため
だと思います。

 動かしている膝に対して、遠い所で抵抗を掛けるような方法
が生まれました。こうすると、全身に連動しようと思わなくて
も、自然に全身を使った操体になります。

 倒れていくのと反対側の腕を使って抵抗を掛けました。膝が
左に倒れていく場合には、右手を使います(写真9)。

&ref(DSCF3584.jpg)写真9

 腕の置き方によって、つまり、どこに腕を置くのがラクかに
よって、やり方が少しずつ違いますが、要するに、膝を倒すの
と逆モーメントの動きが胴体部分に起きるような動きを腕に作
ればよいのです。

 例えば、腕を腰と反対方向(上)に伸ばしている場合には、
小指を甲側に捻る動きが抵抗になります。

 さて、私が達人の先生方から習ったのはここまでだったと思
います。同時に、皮膚をズラすという方法でも気持ちよさを感
じてもらえることも教わりました。

 次回は、そういう習ったことから、今、私がしている「ラク
な姿勢を少し強調する」までのバリエーションを展開してみま
す。


   つぎへ>>>[[術伝流操体no.66]]


-----
   >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]

   >>>このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.65]]

   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想・間違いなど
 感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
 「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。
参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----
   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
----