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術伝流一本鍼no.76 - (2018/07/08 (日) 08:18:24) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.76 (術伝流・体得篇(16))}

&bold(){&size(24){&color(green){「見立ての型」から手順へ}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*1.はじめに
 腹診を中心にした四診からツボの出ていそうな所を予測
したら、次は、手順の組み立てです。

 鍼灸は、手順が大事です。同じ配穴、つまり同じツボの
組み合わせを使っても、手順を間違えると、結果が出ない
こともあります。また、患者さんに辛い思いをさせたり、
余計悪くなったと言われやすくなったりもします。

 手順の組み立てをしていくためには、鍼をした時の患者
さんの体の中の邪気の動きを理解していることが必要です。

*2.手足に邪気を引く
 江戸時代の鍼灸書『鍼道発秘』には、

>「病さかんならば、まづ遠き所より引く」

など「手足に引く」という表現が沢山出てきます。

 また、同じく『鍼道発秘』(余論)には、以下も出てい
ます。

>「およそ、鍼は万秒一邪と心得べし
>  何の病にても、我が手の内の術さえ至らば
>  一愈を刺して癒ゆべし、別の方を用ゆることなし」


 そして、『鍼灸重宝記』の「補瀉迎随の論」に以下の記
述があります。

>「蓋し針は邪気を退くるもの也、
>  邪気さへ退くときは自ら正気は盛になる理なり」

 「蓋(けだ)し」とは、新明解国語辞典(第2版)には、
「次に述べる判断は十中八九まちがいが無いだろうという
主体の見込みを表わす」とあります。

 そして、『杉山真伝流』「皆伝の巻 鍼法撮要」の「気察」
には、以下のように書かれています。

>「鍼刺の要は、至気を以て、有効の時と成す…
>  邪気の至るや緊にして疾く、
>  穀気の至るや徐ろにして和す」

 これらの文章を読んだ時に、私は刺鍼中の自分の実感と
合っているなと思いました。私は、体幹部の症状に対して
関連する手足のツボに鍼をすると、患部から刺鍼している
所に邪気が引かれてくるように感じます。

 それで、私は、「鍼は邪気を退くるもの也」というのは、
「鍼は、邪気を患部から退けるものである」ことだと思っ
ています。つまり、刺鍼すると「刺鍼した所に患部から邪
気を引いてきて、患部から邪気を取り除く」ことができる
ということだと思います。

*3.邪気は頭を衝く
 もう一つ刺鍼した時の鍼の動きとして特徴的な現象とし
て、「鍼をすると、邪気は頭の方に動きやすい」というこ
とがあります。

 漢方用語で言うと「上衝」という現象が起こるようです。
ビールやシャンパンの栓を抜いた時に泡が吹き出すのに似
ているように思います。

 ですから、後始末を丁寧にしないと、後で、熱が出たり、
頭が痛くなったり、目眩をおこしたり、という感じの、首
から上の症状が出やすくなります。
 
*4.頭を衝かせず、邪気を患部から取り除く
 それで、2.と3.を組み合わせると、「頭を衝かせな
いように注意しながら、邪気を患部から取り除く」ことが
刺鍼では大切になります。

 そして、それには、「手足に引く」だけでなく、『鍼道
発秘』には、「横腹に引く」「背に引く」という表現も出
てきます。

 要するに、「より陽位に引く」ということだと思います。
患部が体の中の場合、皮膚表面に出してくるのも、より陽
位に引くことの一つだと思います。 

 結局は、「患部から邪気を陽位に引き出し、頭を衝かせ
ないように、体の外へ出す、特に、手足末端から出す」の
が、刺鍼のコツと思います。

 また、敏感な患者さんたちの話も、上記の内容に合って
いる場合が殆どでした。患部から邪気を引き、邪気を患部
から退けられると、症状が緩和されたように感じるようで
す。

 前にも書いたと思いますが、手足の甲に刺鍼していると、
患部からビリビリしたものが動いて、爪の根元から出て行っ
ているということまで感じ、話してくれた患者さんもいま
した。

[[リウマチ薬で数値は下がったが、症状が改善しない>https://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/248.html#id_d2c04916]]

*5.術伝流の手順
 術伝流の手順は、先急(応急処置)も養生(慢性期)も、
以上の点を踏まえたものになっています。確かめてみてく
ださい。
 
**5.1. 先急(応急処置)の基本手順
(1)四診
(2)手足の甲への引き鍼(+運動鍼) 
(3)患部の基本刺鍼 
(4)患部の動作鍼など 
(5)後始末 
   (1) 頭散鍼(陽のみのときは省略) 
   (2) 手足甲への引き鍼

**5.2. 内科系急性期の基本手順
(1)四診 
(2)準備:上衝をおさめる 
   (1) 手甲(手指)に引く 
(3)手足に引く           
   (1) 手足陰経に引く 
   (2) 必要があれば、陽経にも引く 
(4)陽に引く 
(5)必要な処置を付け加える 
(6)後始末:上衝をおさめる 
   (1) 頭の散鍼 
   (2) 手甲に引く

**5.3. 養生の基本手順
(1)四診
(2)仰向けで、手に引く
  (必要なら手甲(合谷など)に引く)
   (1) 手陰経に引く
   (2) 手陽経に引く
(3)仰向けで、腹に刺鍼
   (1) 横腹に引く
   (2) 下腹に刺鍼
   (3) 上腹に刺鍼
(4)仰向けで、足に引く
   (1) 足陰経に引く
   (2) 足陽経に引く
(5)うつ伏せで、背腰に引く
   (1) 背に引く
   (2) 腰尻に引く
(6)うつ伏せで、足に引く
   (1) 足陰経に引く
   (2) 足陽経に引く
(7)座位で、肩首に引く
   (1) 肩甲骨周り肩甲間部に引く
   (2) 首陽位に引く
(8)座位で、後始末
   (1) 頭に散鍼
   (2) 手甲に引く

*6.おわりに
 先回の「見立ての型」も、今回の「術伝流の手順」も、
その2つのどちらも、この連載で今まで書いてきた症例の
殆ど全てが当てはまることを確認してみてください。

 「型を持つ」ことができるようになると、このように、
症例の殆ど全てで、その型が活用されているという状態に
なります。


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