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術伝流一本鍼no.71 - (2017/01/28 (土) 00:35:17) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.71 (術伝流・体得篇(11))}

&bold(){&size(24){&color(green){漢方の勉強もしてみよう}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*1.はじめに
 江戸時代の葦原検校『鍼道発秘』に
「夫れ疾病の初めて発するや大抵鍼刺して巳ゆ、
  其の既に盛んなるや、湯液以て之を治すべきなり」
という一文があります。江戸時代には、鍼灸と漢方薬を同じ人が
扱っていたからでしょう。

 現代では、鍼灸師は、漢方薬を扱えませんが、江戸時代の鍼灸
文献をよく理解するためにも、漢方の勉強は必要だと思います。
特に、江戸時代に盛んで現代日本でも一般的な古法派漢方は、
『鍼道発秘』や『杉山真伝流』などに書かれた江戸時代に実践さ
れていた鍼灸と関連が深いので、参考になることが多いです。

 私自身まだまだ勉強の途中ですが、考えていること、実践して
いることを書いてみます。

*2.外傷性瘀血証が駆瘀血剤で改善
 漢方薬が効果的なことは、私自身も経験しました。20代の頃
に左肩甲骨下角を骨折したことの後遺症で、外傷性瘀血証になり
ました。冷房に当たったり、その部分に刺激が加わると、左手の
握力が無くなりました。そして、左肩甲骨の患部が疼くような辛
さが続きました。

 また、左足首捻挫の後遺症で、左片足立が短時間しか不可能で、
スキーをするとターンに大きな左右差がありました。そして、そ
れらの瘀血の影響で、冷え性でもありました。

 灸や灸頭鍼で、かなり改善しました。でも、症状は残っていま
した。それが、脳梗塞の再発予防に飲んだ漢方の駆瘀血剤で大き
く改善しました。冷え性ではなくなりましたし、余程の寒い時期
でないと、左肩甲骨が疼くこともなくなりました。左片足立も右
とほとんど同じ時間可能になりました。

*3.漢方薬の処方を鍼灸治療の参考に
 漢方薬の処方は、鍼灸治療の参考になります。

 患者さんが漢方薬を処方されている場合は、漢方薬の処方解説
などを読み、その漢方薬が使われる証、つまり漢方的な病態を理
解し、邪気の蠢(うごめ)く場所、水毒や瘀血のある場所の見当を
付けます。

 場所は、表位、上焦、中焦、下焦くらいの大雑把で良いと思い
ます。治療する前に処方されている漢方薬が分かれば、事前に調
べておきます。

 そして、治療で腹診をするときに、見当を付けた辺り、及び、
そこと経絡的に関係する手足を、丁寧に診察し、ツボが出ていな
いか調べます。

 私が、処方解説として利用している参考書は、『臨床応用漢方
処方解説』(矢数道明著、創元社東洋医学選書)、『傷寒論真髄』
(横田寒風著、績文堂出版)、『漢方製剤 活用の手引』(臨床情
報センター)などです。

 詳しく調べたいときには、『和訓 類聚方広義・重校薬徴』
(吉益東洞他著、創元社東洋医学選書)で、一つ一つの薬剤の特
徴を見ます。

 例えば、『重校薬徴』では「桂枝、上衝を主治す」とあるので、
桂枝の入っている処方のときには、上衝を治めるのに効果的な鍼
技術(手甲への引き鍼、頭の散鍼など)を使うことを検討します。

 また、「人蔘、心下痞硬支結を主治す」とあるので、 人蔘の入っ
ている漢方薬が処方されていたら、 心下あたり、具体的には上腹
部の中央の上半分と、その背中側、及び、それらと経絡的に関係
する手足の部分を、丁寧に観察し、ツボが出ていないか調べます。

*4.その病気によく使わる漢方薬を参考に
 患者さんに漢方薬が処方されていない場合でも、患者さんの病
気に頻繁に処方される漢方薬を調べると、参考になることがあり
ます。

 患者さんの症状や病気を漢方の症例集などで調べ、よく使われ
る漢方薬を調べます。そこからは、3.に書いたことと同じように、
使う鍼灸技術やツボが出ていそうな場所を予想します。

 例えば、カゼによく処方される漢方薬には葛根湯があります。
『傷寒論』には、
「太陽之為病、脉浮、頭項強痛而悪寒」
「太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之」
と出ています。

 ですから、カゼの診察のときには、脈が浮いていないか、悪寒
悪風がないか、汗が出ているかいないか、項(うなじ)〜肩〜背中
が凝っていないか、それらと関連する場所にツボが出ていないか
などを調べます。

 また、それに適した鍼灸技術を使うこと検討するわけです。脈
が浮なら、浅目で手早い刺鍼のほうが向くとか、汗を出させるた
めに散鍼したりとか、項〜肩〜背中の凝りを弛める刺鍼をしたり
とか、ですね。

 病気と漢方薬の組み合わせについて、私が参考にしているのは、
『漢方養生談』(荒木正胤著、大法輪閣)、『症候による漢方治
療の実際』(大塚敬節著、南山堂)、『洋漢統合処方からみた漢
方製剤保険診療マニュアル』(秋葉哲生著、ライフサイエンス)
などです。

 『漢方養生談』は、1965年初版の本ですが、鍼灸の技術や、
症例ごとの出やすいツボなども掲載されていて、参考になります。

*5.漢方医とコミュニケーション
 ツムラが配付している本による処方は、漢方を勉強している人
では嫌いな人もいるようです。が、現在日本の患者さんへの漢方
処方を知ったり、西洋医学との組み合わせを知ったりするには、
重宝します。

 また、漢方を処方している医師とのコミュニケーションをとる
ときにも役に立ちます。ツムラが後援する医師や医学生の漢方研
究会などに出席すると、もらえます。そうしなくても、漢方の勉
強をしたいからと、ツムラに連絡すれば手に入ると思います。

 漢方医とコミュニケーションをとるときにも、現在日本の漢方
を知るためにも、勧めたい本が、もう一冊あります。『専門医の
ための漢方医学テキスト』(日本東洋医学会学術教育委員会著、
南江堂)です。

 1990年代には中医の影響が強かった日本の漢方の世界も、現
在では、本来の日本の伝統の漢方を踏まえたものになっているこ
とが分かります。

 また、江戸時代に盛んだった鍼灸の伝統を踏まえた鍼灸を目指
している術伝流の私にとっても読みやすい本でした。終わりの方
に鍼灸の解説も載っています。

 この本を難しく感じるようでしたら、『学生のための漢方医学
テキスト』(日本東洋医学会学術教育委員会著、南江堂)から読
んでもよいと思います。

 また、以下のHPも参考になると思います。

-[[漢方・鍼灸を活用した日本型医療創生のため調査研究>http://kampo.tr-networks.org/sr2009/index.html]]
 (医師との連携を考える際には必読のHPと思います)
*6.漢方関係メルマガなど
追記:2017.01.28 漢方関係のメルマガなどーーーーーーー
[[漢方スクエア>http://www.kampo-s.jp]] ツムラ

[[元気通信>http://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/]] 養命酒
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