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術伝流一本鍼no.62 - (2017/01/27 (金) 23:28:48) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.62 (術伝流・体得篇(2))}

&bold(){&size(24){&color(green){鍼灸で自己養生,「指を細く使え」}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*1.自己養生を習慣に
 「経絡の本は、手足」と古典に書かれているとか、鍼灸学校
時代の試験に出ました。つまり、経絡の本質的な部分は、手足
の経絡ということだろうと思います。

 そのためか、要穴は肘膝から先に多いですね。つまり、経絡
を使って治療するときは、「手足のツボを使って、体幹部(頭・
首・胴)の症状を改善する」ことが中心ということだと思いま
す。

 そのため、自分の手足に鍼灸することで、自分の症状の改善
も可能です。それだけでなく、鍼灸の腕も上達していきます。
他人の体の中の動きよりも、自分の体の中の動きの方が分かり
やすいですから。自分の体の調子を整えながら、勘と腕を磨い
て行きましょう。

*2.自己養生の基本的手順
 自分に鍼灸して養生していくときの基本的手順は、以下です。

(1)症状をよく観察する
(2)手足に出ているツボを取る 
(3)取ったツボに施術してみる
(4)自分の体の変化を観察する 
(5)変化に合わせ、必要なら施術を追加

**2.1. 症状をよく観察する
 先ず、症状をよく観察します。どういう種類の痛みか、どの
場所の症状か、動作制限もあるか…など。動作制限があるなら、
どういう動作が制限されているか、どういう動作のときに痛み
が出るか…。

 それらの中でも大切なのは、症状の出ている場所です。

 というのは、鍼灸による応急処置では、症状の出ている所で
蠢(うごめ)いている邪気を、経絡的に関連する手足末端に引
くことが要(かなめ)ですから。

**2.2. 手足に出ているツボをとる 
 手足を触って、自分の今の症状に関係していそうなツボを取
ります。ここでは、最も基本的なことを書いていきます。詳し
くは、必要な時に解説します。

 応急処置の場合は、基本的には、手足の陽経を中心に使いま
す。先ずは、手足の陽経側のツボを取り、そこに鍼灸して改善
することを目指します。

***2.2.1. 患部の位置からツボの場所を予測
 体の上下、左右、前横後などで予測します。

 上半身なら手、下半身なら足を選びます。
(より正確には、表位(肩甲骨・鎖骨から上)なら手が関係し
ます。そこから下、つまり、胸や胸椎7から下は、足も関係し
ます。ただし、頭頂部や肩甲間部の督脈華佗経などは、足も関
係していることがあります。ですから、先ずは、手の経絡を使っ
てみて、上手くいかない時は足の経絡を使ってみます。)

 患部の左右で手足の左右を決めます。

 それから、患部が体の前側なら手足の前側、体の横側なら手
足の横側、体の後側なら手足の後側を選びます。

 手の場合は、前側は、拇指〜示指とその延長です。横側は、
中指とその延長です。後側は、薬指〜小指とその延長です。

 足の場合は、前側は、2指〜3指とその延長です。横側は、
3指〜4指とその延長です。後側は、4指〜5指とその延長です。

 なお、足の場合、親指とその延長は、陰経側です。また、足
の裏、および、足の内踝の周りとその延長も陰経側です。陰経
側は、体の内側が関係する症状のときに使いますが、陽経側よ
りも慎重さが必要です。

 手の場合は、手平とその延長(前腕・上腕の手平側)が、陰
経側です。手甲とその延長は、陽経側です。

***2.2.2. ツボが出やすい場所、周りの様子
 手足で、ツボが出やすいのは、骨と骨の間(あいだ)、筋と
筋の間、この2つのライン上です。手の場合は、手甲も前腕も、
骨と骨の間が多いです。

 足の場合は、足甲は骨と骨の間が多いですが、下腿は筋と筋
の間も多いです。それ以外の場所に出ていることもありますが、
それは出てきたときに解説します。

 そういう場所の中でも、ツボが出ている所は、目立つ特徴が
あります。先ずは、見た目に、黒ずんだり凹んだりしているこ
とが多いです。触ると、少しベタベタしています。押すと、表
面がペコペコして、奥まで押し込むと痛いことが多いです。

 ですから、そういう所を探して、2,3か所見付かったら、一
番嫌な感じの所を選びます。

***2.2.3. 「指を細く使え」
 ツボは、基本的に、出ていそうなラインに指を滑(すべ)ら
せて探します。このとき、指の滑らせ方にコツがあります。深
谷伊三郎先生は「指を細く使え」と言っていたそうです(福島
聰 著『特効針灸治療法』壮神社p268)。

 指は、爪の横幅方向の幅(はば、写真1)の方が、爪と指紋
の間の厚み方向の幅(写真2)よりも広いです。

&ref(DSCF4990.jpg)写真1
&ref(DSCF4991.jpg)写真2

 「指を細く使え」というのは、そういう指の形状を理解し上手
く利用しろということではないかと思います。実際に手足の甲の
骨と骨の間のツボを取るときなど、 骨と骨の間が狭いので 、指
を横にしないとツボが取りにくいです。

 前腕下腿のツボを取るときにも、指先の先端ではなく、少し
横の爪の角(かど)辺り(写真3)を使った方が、ツボが取り
やすいです。指先を使うよりも、確実に取ることができます。

&ref(DSCF4993.jpg)写真3

 指をツボが出ていそうなラインに皮膚に対して60度位の角度
で当ててから(写真4)、滑らせながら横にし、指先の横角の
部分でツボの芯を見付けます(写真5)。このとき、指先に少
し捻りを加え、えぐりこますような感じにすると、ツボの芯が
見付けやすいです。

&ref(DSCF4997.jpg)写真4
&ref(DSCF4998.jpg)写真5

 繰り返しになりますが、手足の甲のツボを探すときには、初
めから指を横向きにして、甲の骨と骨の間に入れないと、探し
にくいです(写真6)。

&ref(DSCF4999.jpg)写真6

 鍼灸というのは、どういう運鍼法・施灸法をするかよりも、
出ているツボが確実に取れているかの方が、効果が出るか否か
に関係します。先ずは、手足に出ているツボを精度高く取れる
ようになることが大切です。

 ツボを探すための様々な工夫は、これからも書いていきます。
今回は、最も基本的なこと、初めに身に付けてほしいことを書
きました。

**2.3.取ったツボに施術してみる 
 取った手足のツボに鍼灸してみます。取り敢えず、自分が知っ
ている方法で良いと思います。慣れていなくて不安なら、円皮
鍼、粒鍼、チタンテープ、点温膏などを貼ってみてもよいです。
 
 左手で片手刺しができれば、自分の右腕のツボにも刺鍼可能
です。これについては、後で、説明します。

**2.4.自分の体の変化を観察
 自分の今の症状に変化があったか、出ていたツボの周りに変
化があったか、よく観察します。この2つの場所の施術前後の
様子を比較することは、習慣にしてください。

**2.5. 変化に合わせて、必要なら追加
 1回目の施術後の体の状態の変化に合わせて、必要なら、関
連するツボに鍼灸します。

 初めのうちは、余り沢山しない方が良いでしょう。

 また、先急(応急処置)で書いてきたように、手足の陽経側、
特に手首足首から先で終了することも大切なポイントです。
 
*3.かなりの所まで独習が可能
 こんな感じで、自分の小さな症状を鍼灸で改善してみます。
先ずは、自分の体を整えながら、勘と腕を磨きます。勘を磨く
と、体のその時の状態を掴めるようになります。そして、その
時の体の状態に合わせて丁度よいことができる腕を磨いていき
ます。

 自分の体をある程度は自分で整えることができなければ、他
人の治療はできません。

 自分の体の中の動きがある程度は掴めなければ、他人の体の
中の動きは分かりません。


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