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術伝流一本鍼no.61 - (2016/06/25 (土) 10:57:00) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.61 (術伝流・体得篇(1))}

&bold(){&size(24){&color(green){礼と姿勢}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*1.はじめに 
 no.59「初めて診る病に出会ったら」で応用編の総まとめに
あたる内容を書き、no.60「花粉症でつらい」で、その具体例
を書きました。これで、鍼灸技術について、いま書けることは、
書き尽くしたかなと思います。

 もちろん、これからも、興味深い症例に出会ったり、新しい
考え方や新しい工夫が見つけられれば、報告していきたいと思
いますが・・・。

 そこで、これからしばらくは、今まで書いてきたような鍼灸
技術を身につけていくために、気を付けてほしいことを書いて
いきたいと思います。術伝流の鍼灸講座で、初心者に伝えてい
る内容です。

 1回目の今回は、講座でも、先ず初めに伝えている「礼と姿
勢」です。

*2.礼
 正座からの礼を説明します。

 片手ずつ右左の順で、手を付いていき(写真1)、左右の4
指と親指で三角形を作ります(写真2)。息を吐きながら礼を
していき、額が三角形にはいるようにします(写真3)。しば
らく礼の姿勢で留めます。その後、息を吸いながら、片手ずつ
手を上げながら、戻ります。

&ref(DSCF4940.jpg)写真1
&ref(DSCF4941.jpg)写真2
&ref(DSCF4942.jpg)写真3

 こういう礼は、形式的で権威主義的と思われる人もいると思
います。私もそう思っていましたが、けっこう実用的な側面も
あるようです。

 礼をした状態でも、爪先立ちになれば(写真4)、襲撃に反
撃できる形なんだそうです。

&ref(DSCF4943.jpg)写真4

 また、初めと終わりに、こういうきちんとした礼をしておく
と、印象が良くなるそうです。実際に、施術中にちょっと失敗
したけれど、礼が良かったので許されたという話も聞きました。

 礼の大切さを伝えるための作り話かもしれませんが。自分が
礼をされた立場に立って考えてみると、納得できることだなと
思いました。

 椅子に腰掛けたり、立ち姿勢での礼も、基本的には同じです。

*3.姿勢
 畳の上で鍼灸施術をする時の姿勢を説明します。

 できるだけ患者さんに近づいた方が良いので、胡座(あぐら)
が良いと思います。右利きの人は、左足が前、右足が胴体側にな
る胡座座です。ただし、後重心になりやすく、腰が曲がりやすい
(写真5)ことが多いです。

&ref(DSCF4946.jpg)写真5

 それを防ぐために、座布団を二つ折りにしたもの等を、尻の下
に敷き、尻を少し高くします。そして、仙骨〜腰椎を反らし気味
にしながら、背骨全体を少し前屈します。前から押されても後ろ
に倒れない程度に(写真6)。

&ref(DSCF4947.jpg)写真6

 実際に施術するときには、ヘソを患者さんに、もう少し詳し
く言えば、施術する方向に向けます。

 肩を落とし、脇を少し開け、肘は張り気味で、少し腕(かいな)
を返し、手首は折らない形にします(写真7)。

&ref(DSCF4945.jpg)写真7

 この姿勢は、夢中になっているとき、楽しいことや好きなこ
とをしているときの姿勢です。

 逆に、つまらないことや嫌いなことをイヤイヤしているとき
は、胡座でも違う姿勢になります。腰を落とし引いて、仙骨〜
腰椎は後屈し、背中は曲がり、肩は上がり、脇は閉じ、肘は伸
ばし、手首は背屈します。おまけに、ヘソは横に向け、目と指
先だけイヤなものに向けた姿勢になります(写真8)。イヤな
ものをできるだけ体から遠ざける姿勢ですね。

&ref(DSCF4950.jpg)写真8

 2つの姿勢で、試しに指を動かしてみてください。前者(写
真7)の楽しいことをしているときの姿勢の方が、圧倒的に指
が動かしやすいことが分かるでしょう。

 杉山和一検校の作とされる、鍼の秘訣を読んだ和歌がありま
す。

「鍼さすに 心で刺すな 手で引くな
  引くも引かぬも 指にまかせよ」

 「指にまかせる」ためには、患者さんの体の変化に応じて、
指が自由自在に動くことが必要ですね。いずれ「指にまかせる」
レベルになれるように、初めから、この姿勢を身に付けておい
た方が良いと思います。

 椅子での施術では、低めの椅子を使い、足を椅子の後側の回
すようにすると、同じ姿勢が取れます。特に、キャスター付き
の丸椅子が向くと思います。

追記20150813:それと、刺鍼中に左右の肘の高さが同じ位に
なるようにしてください。左右の肘の高さの違いが大きすぎる
と、腰痛になりやすいです。初心者の人は、施術中の姿勢が原
因で腰痛になることがあります。その中では、この肘の高さの
左右差が原因のものが一番多いように思います。

*4.身に付けるということ
 ついでに書いておきますが、鍼灸技術を身に付けるというの
は、大人になっても金槌の人が泳げるようになるようなもので
す。知識ばかり豊富で「畳の上の水練」では泳げるようにはな
りませんね。

 また、いくら心を磨いた高僧でも、生まれてから一度も泳い
だことがなければ、海に放り出されたときに溺れる可能性の方
が高いのではないでしょうか?

 私は小学校入学前に波に巻き込まれたことと、小中学校にプー
ルがなかったことで、高1まで泳げませんでした。高2の時に
一念発起して、夏休みに毎日学校のプールで練習し泳げるよう
になりました。

 家が代々鍼灸を家業としていたら、鍼灸技術も自然に身に付
くかもしれません。でも、そうでない人は、意識して体に身に
付けた方が上達が早いと思います。

*5.おわりに
 今回書いたことも、体に身に付けることができるように意識
して練習してみてください。その方が鍼灸技術の上達も早いと
思います。

 ただ、意味を理解しないと、やる気も出ないでしょうから、
できる範囲で、意味も説明していこうと思います。説明が足ら
ない、理解できないと思ったら、ツッコミしてください。

 鍼灸技術を伝えて十数年になりますが、多くの人のツッコミ
に四苦八苦しながら答えているうちに、今まで書いてきた程度
の説明ができるようになりました。

 もっと理解してもらえるような、もっと早く確実に技術を身
に付けてもらえるような説明ができるようになりたいと思って
います。そして、その2つが実現しやすい稽古法も工夫したい
と思っています。そのためにも沢山のツッコミを歓迎します。

 よろしくおねがいします。


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