「術伝流一本鍼no.35」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

術伝流一本鍼no.35 - (2017/02/25 (土) 12:53:30) のソース

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) 
------
&color(green){術伝流一本鍼no.35 (術伝流・養生の一本鍼・運動器編(4))}

&bold(){&size(24){&color(green){肩の養生、灸頭鍼}}}
------
#contents
*(1)古いツボには、灸・灸頭鍼
 腰の場合と同じように、慢性期の型を中心に、腹などの古いツボを
鍼で治療していきます。そして、鍼のみでは変わりにくい古いツボが
見つかったときに、そういう古いツボに灸や灸頭鍼をすると、それを
さかいに体全体が大きく変化していくことがおおいです。
*(2)古いツボが出やすいところ
 腰の場合と同じように、慢性期の型で診察刺鍼をしながら、古いツ
ボをさがします。2,3回慢性期の型を中心に治療した人の場合には、
腹診や動作鍼などをして古いツボをみつけてもよいです。

 古いツボは、表面はペコペコで、押すとしばらくフニャフニャして
いて、ずっと奥にとても硬いシコリがあるという形をしています。

 肩の慢性期の場合には、腹、首〜肩〜肩胛骨まわり、脇の下〜上腕
陰経の3カ所を中心にさがします。

 腹では、腹診のときに説明した臍まわりの上下左右肓兪、章門、五
枢・維道がまず候補になります。その中でも肩によく関係しているの
は、臍より上の、左右の上肓兪、左右章門です。

 それ以外では、正中線上の中脘ちかく、肋骨の腹よりなどに出るこ
とがあります。中脘ちかくは、鳩尾から臍までのあいだでもっとも凹
んだところを押してみます。が、すこし横にずれていることもありま
す。肋骨の腹よりは、鳩尾から指をすべらして凹んだところをさがし、
押して痛みが強いところをとります。

 首〜肩〜肩甲骨まわりでは、横頚部中央、肩貞、首の横側の付け根、
肩井、頚椎や胸椎1〜5番の華佗経におおいです。不眠をともなうとき
は、天柱・風池によく出ます。肩甲骨まわりに出ていることもありま
す。また、 上腕太陽経の肘よりに出ていることもあります。

 脇の下〜上腕陰経では、腕をつらくない範囲で真横に上げて、脇の
下から上腕の陰経側を観察し、腕と平行に走っている溝をみつけます。
その溝のなかで押してもっとも痛いところをさがします。もっとも痛
いところが、脇の下のなかで、灸や灸頭鍼がしにくいときには、2番
目にします。

 腹から1,2カ所、首肩背から1,2カ所、脇の下〜上腕陰経から1カ
所くらいをえらびます。

*(3)補の灸
 古いツボには、10壮以上すえてやっと温かさを感じるぐらいの弱刺
激の「補の灸」をします。ゆっくりじっくり温め、体全体の力がクニャー
とぬけ、気持ちよくホンワカ、ポワーンとなることをめざします。

 3,4壮で熱くなる刺激では、皮膚表面だけ熱くなって、奥の硬いシコ
リにまで熱が届かないことがおおいので、古いツボは変わりにくいで
す。小さな刺激でゆっくり温める必要があるので、モグサも点灸用の
もっとも良質なモグサを使います。

 ゴマ粒大から底面直径5mm高さ2,3cmまで少しずつ大きな灸をし
ていきます。腰痛のときと同じです。

 臍まわりなど鍼して痛がられるところ、奥に肺があり気胸が心配さ
れるときなどは、灸頭鍼よりも補の灸のほうがむきます。

 この灸のあと、鍼を刺してもよいです。奥の硬いシコリがゆるみや
すくなっているのがわかると思います。とくに不眠をともなうときの
天柱風池などに刺鍼してみるとよいです。

*(4)補の灸頭鍼
 補の灸頭鍼は、鍼体をとおして熱を奥深くまで届けて、奥の硬いシ
コリをゆるめます。そのため、まず、奥の硬いシコリにあたるまで鍼
をふかく刺します。そのため、場所によって鍼の長さをえらびます。

 この場合に、肩まわりには、肺があるので、肋骨より下には刺さな
いよう注意してください。

 また、置鍼し灸頭鍼をしているときに、奥の硬いシコリがゆるみ、
鍼がより深く刺さってしまっても、胸膜には鍼先が達しない長さの鍼
をえらぶようにしてください。 そのため、 術伝では、鍼体の長さ15
mmと20mmの灸頭鍼用の鍼を特注したりしていましたが、いまでは、
5分、つまり鍼体長15mmで鍼柄が金属のディスポもありますね。

 炭艾用灸頭キャップの鍼柄に引っかかる部分には、あらかじめ鍼柄
がとおる穴を、細い三角ヤスリで開けておきます。 セイリンのラック
灸の場合には、鍼頭にかかる部分の下側の針金をペンチで切り、同じ
ように鍼体が素通りするようにしておきます。 

 そして、直径5cmくらいに厚紙(葉書の厚さ)を切ったもの、弁当
のおかず用のアルミケースにも、それぞれ真ん中に鍼柄がとおる太さ
の穴を開けておきます。また、間隔をあけるための道具として、ビー
ル缶のステイオンタブを折りたたんだものなども用意しておきます。

 つぎに、刺鍼した鍼のまわりに、アルコール漬け枇杷葉エキスをス
プレーしたり、エキスにつけた枇杷葉をおきます。それから、厚紙、
アルミケース、ステイオンタブ、灸頭キャップを、順に、鍼に穴をと
おして積みます。そして、炭艾をのせます。こうすると、皮膚から炭
艾の距離を一定にできるし、重さで鍼がしなることもありません。

 そして、点火します。熱すぎたら、紙とアルミケースのあいだに、
花びら型の緩和用の厚紙をいれれば、加減ができます。体全体の力が
クニャーと抜け、ホンワカ、ポワーンという感じが味わえるまで繰り
返します。

 奥の硬いシコリがゆるみ鍼がしずんで、鍼柄が皮膚について火傷す
ることがありますので、そうならないように注意してください。

 灰処理は、アルミケースごとすれば簡単です。このときにシコリが
ゆるんだせいか鍼が抜けやすいので、注意してください。

*(5)手順
 慢性期の型をして、古いツボが出やすいところから3〜5カ所くら
いえらびます。また、すでに2,3回慢性期の型を中心に治療をしてい
る場合には、腹診などをして、古いツボをさがし、補の灸・灸頭鍼を
してもよいです。

 座位、うつ伏せ(横向き寝)、あお向けの順で、補の灸・灸頭鍼を
します。灸や灸頭鍼をするところが上をむくように姿勢をえらびます。

 臍まわりなど鍼して痛がられるところ、奥に肺があり気胸が心配さ
れるときなどは、補の灸をします。それ以外は灸頭鍼をします。

 仕上げに、手指の骨空か指端に熱い寫の灸をします。ノボセ止めと
目覚ましを兼ねています。

 以前の治療で古いツボが見つかっているときや、診察中に古いツボ
が見つかった場合で時間がないときには、手の陰陽に引き鍼したあと
で、補の灸・灸頭鍼にうつってもよいです。

*(6)写真つき症例
 もうすでに慢性期の型で治療したことのある人でだったので、腹診
(写真1)などして、古いツボをさがしました。 腹、首肩背、脇の下
〜上腕陰経の3か所にみつかりました(写真2,3,4).

&ref(DSCF1780.jpg)写真1

&ref(DSCF1787.jpg)写真2

&ref(DSCF1784.jpg)写真3

&ref(DSCF1785.jpg)写真4

 臍左上のツボには、補の灸をしました(写真5,6,7,8,9)。
 
&ref(DSCF1788.jpg)写真5

&ref(DSCF1789.jpg)写真6

&ref(DSCF1790.jpg)写真7

&ref(DSCF1791.jpg)写真8

&ref(DSCF1792.jpg)写真9

 つぎには、上腕陰経に出ていた古いツボに灸頭鍼しました
(写真10,11,12,13,14,15)。

&ref(DSCF1793.jpg)写真10

&ref(DSCF1794.jpg)写真11

&ref(DSCF1795.jpg)写真12

&ref(DSCF1796.jpg)写真13

&ref(DSCF1797.jpg)写真14

&ref(DSCF1799.jpg)写真15


 上腕陰経に古いツボがあるときには、腕が横に上がらず、胴体と腕
のあいだがあまり離れないので、灸頭鍼をする部分を上にむけるのは
むずかしいです。あお向けの姿勢で、灸頭鍼する部分が横向きの状態
でします。この場合、灸頭鍼しているときに灸がおちないように注意
してください。

 アルミケースなどをとりのぞいたあとは、灸頭鍼したあとが温まっていることを確認してください(写真16)。

&ref(DSCF1800.jpg)写真16

 それから、うつ伏せになってもらいました。背中と腕のあいだに張っ
ている筋肉の肩貞あたりのツボが古かったので、そこをえらびました。
ここに刺鍼するときには、裏側に中指薬指をまわして押し手の拇指示
指でシコリをはさんでから(写真17)、刺鍼します(写真18)。

&ref(DSCF1802.jpg)写真17

&ref(DSCF1803.jpg)写真18

 順番に用具をつんでいき、点火しました。(写真19,20,21,22,23)

&ref(DSCF1804.jpg)写真19

&ref(DSCF1805.jpg)写真20

&ref(DSCF1806.jpg)写真21

&ref(DSCF1807.jpg)写真22

&ref(DSCF1808.jpg)写真23

 手の骨空に出ていたツボに小さな灸をして、後始末しました
(写真24,25)。

&ref(DSCF1809.jpg)写真24

&ref(DSCF1810.jpg)写真25



   つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.36]]


-----
   >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]

   >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.35]]

   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。

 また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。


 よろしくお願いします。

**間違いなど
 間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
 「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。

 よろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----
   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
----