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中焦:水毒の病 - (2010/09/15 (水) 11:37:31) のソース

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* (1)はじめに
 中焦の病は、体の内側の横隔膜より下、ヘソより上におもな症状や
ツボが出る病で、消化器系ともいえます。水毒によることがおおいで
す。

 足の陰経(とくに、太陰経)や、横輪切りの背中の愈穴などに引き
やすく(とくに、胸椎の7,9,11の高さ)、症状付近の大腹にも出ます。

 2000年以降、中焦の水毒から発生した邪気が上焦・表位の病の原因
となる例が非常におおいです。肩腕指にピリピリビリビリするシビれ
感をうったえる方がおおいですが、慢性的な頭痛や眩暈などもありま
した。狭心症をうたがわれ検査したが正常という方が、左大腹の水毒
をへらす治療で良くなった例もあります。線維筋痛症の方の発症時の
ようすと似ている例もおおかったです。

 中焦に水毒がたまっている場合には、中焦である大腹にもシコりが
出ますが、肋骨下部を押してもパンパンに張っていて弾力がないこと
でもわかります。胸脇苦満とよばれる腹症です。左右差があることが
おおく、たいていは、肩や手に症状のある側に出ます。

 中焦が水毒により硬くなっていると、下焦の悪血や中焦の水毒より
発生した邪気が上昇できずにたまってしまいます。たまった邪気が限
界をこえ鉄砲水のように上衝すると、卒中とよばれる事態をまねきま
す。心下とよばれる横隔膜の腹側が硬かったり(心下痞)、脇腹の左右
差が目立つときは、そうなりやすいので注意が必要です。

 消化器系の病で器官の変性をともなわないときには、左中焦のガス
停滞をなくすとなおることが多いです。

 また、水毒が、肩頚にあればコり、内耳にあれば耳鳴り・眩暈、上
焦にあれば咳・痰、それぞれの原因となります。それぞれの症状に関
係する治療のほかに、中焦の水毒をへらす治療を加えたほうが経過が
良いことがおおいです。

 下半身の浮腫は、小腹(下焦)や足厥陰経(少陰経)との関連がふか
く、下半身の冷えや発汗不足などの原因で、中焦の水毒がひどくなく
ても発生することがあります。

*(2)ツボが出やすいところやねらい目
**(1) 足の陰経
 慢性期には、膝ちかくの陰陵泉や大腿部に出ます。

 急性期には、足首より先、商丘、公孫に出ていることがおおく、接
触鍼なら陰白を使います。灸なら節紋、裏内庭、第2指裏横紋など親
指2指そばのツボを使います。

 地機、漏谷は、急性慢性どちらにも使います。

 すこしずつ、上下左右にずれることもあり、足のほかの陰経にも出
ることもあります。

**(2) 足の陽経
 腹の表面のシコりは、足陽明から少陽に引けます。下腿、足甲を使
うことがおおいです。灸なら足指のツボも使います。慢性期には、伏
兎〜梁丘、風市など大腿部にもツボが出ます。

 腹のツボが、上肓愈など正中線ちかくのときには、脛骨のすぐ脇に
出ていて、章門など横腹ちかくのときには、豊隆のラインや足少陽に
出ていることがおおいです。

 下半身の冷えが関係するときは、足甲3~4間にツボが出ていること
がおおく、補の灸でじっくりあたためます。患者さん自身で温灸をし
てもらうのもよいでしょう。

**(3) 陽位(背)
 まず、胸椎7,9,11の1,2行線、督脈、華陀経で、昔から「胃の六灸」
とよばれているあたりです。

 慢性期には、そのなかでも華陀経、つまり、背骨のすぐ脇に出てい
ることがおおいです。また、すこし下で外よりの胸椎12〜腰椎2のラ
インで脊柱起立筋のいちばん外側の痞根にツボが出ていることがおお
いです。

 精神的な要因があるときには、すこし上の頚肩、肩甲間の督脈・華
陀経にツボが出ているがあります。

**(4)  腹部
 肋骨下の不容、章門、任脈の中完、ヘソまわりや、その横の天枢ち
かくに出ていることがおおいです。

 慢性期には、横腹の章門、ヘソまわりの上肓愈に出ていることがお
おくなります。

**(5)  そのほか
 手の陰経、なかでも厥陰経に出やすいです。慢性期には上曲沢。急
性期には内関。

*(3)手順
**(1) 慢性期
 ツボを考慮して慢性期の型の順で刺鍼します。はじめに刺鍼する手
の陰経のツボは上曲沢のことがおおいです。冷えて虚しているところ
や華陀経などにある古いツボに灸・灸頭鍼をし手の指端の灸で仕上げ
ます。

 灸や灸頭鍼と置鍼を組み合わせてもよいです。手の骨空ではじめ、
座位、うつ伏せ、仰向けの順で、ツボを選び、施術し、手指端の灸で
終え仕上げます。灸頭鍼は古いツボに効きます。

 腹への灸は、腹の邪毒の状態で可否を判断します。邪毒実すること
が顕著で、炎症性の熱感が強いときは、避けたほうがよいこともおお
くなります。

**(2) 応急処置
 手甲〜内関の順で引き、足太陰〜足陽経〜背にも引き、頭に散鍼し
手の甲で終えるのが基本です。

 はじめや途中で表位に症状が出ていれば、そのつど、手甲など、手
の陽経に引きます。背に引いたあとで肩頚に症状が出たら、肩頚に刺
鍼します。

 体を前に曲げて耐えているときは、背中側のいちばん出っ張ったあ
たりに引くことが有効なことがおおくなります。

 症状がかるいときは、慢性期の手順で灸をしてもよく、子供の腹痛
などにむきます。

 急性期は慎重にします。処置後数時間以内に痛みが復活するときは、
器官破壊などをうたがい、救急医療と連携してください。症状が激し
い場合には、手を出さずに救急医療と連携したほうがよいこともおお
いです。

 急性期の応急処置は、くわしくは、[[術伝流一本鍼no.25]]に書きま
した。



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