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上焦:邪気の病 - (2010/09/15 (水) 11:10:37) のソース

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* (1)はじめに
 上焦の病は、体の内側の横隔膜より上に主症状やツボが出る病で、
呼吸循環器系ともいえます。邪気によることがおおいです。

 手の陰経に引きやすいです。また、横輪切りの背中の横隔膜より上
にもツボが出ます。症状の出ているあたりの胸側にも出ます。

 中焦の水毒や下焦の悪血・虚などが原因のことが多く、そのときは、
腹や、足の陰経・陽経、横隔膜から下の背中側にもツボが出ます。

 また、上焦の下部に水毒が溜まることがあり、咳や痰の原因になり
ます。

*(2)ツボが出やすいところやねらい目
**(1) 手の陰経
 まずは、手の陰経から。

 触診してみて、檀中あたりより上の症状は、手太陰。檀中あたりか
ら下の症状は、手厥陰。それぞれ出やすいです。胸郭内部背中側の症
状は、手少陰に出やすく、とくに、その左側には、心臓に関係するツ
ボが出やすくなります。

 急性症状が出ているときには、鍼では手首ちかくを使います(手の
ひらは痛いので)。

 咳なら列缺、吐き気なら内関、不整脈なら左陰げきちかくに出てい
ることが多いです。

 灸では、手のひらや指のツボも使います(労宮、裏合谷、親指関節
横紋橈側など)。

 症状が長引いている慢性症状のときには、肘ちかくの上腕よりにも
出ます。長引く咳には上尺沢。檀中より下の症状のときや中下焦が原
因のときは、上曲沢に出ていることがおおいです。

**(2) 背中(陽位)
 背中側の横隔膜より上の1,2,3行線、督脈、華陀経に出ます。慢性期
には、2,3行線や督脈・華陀経によく出ます。とくに、古いツボは、筋
肉の厚いところ、華陀経や肩胛骨まわりに出ることがおおくなります。

 呼吸器系では、肩胛骨の上半分によく出ます。長期にわたる呼吸器
系の病では、肩胛骨まわり外側の肩貞に出ることが多いです。

 心臓系では左肩胛骨の下半分、とくに、下角ちかくに出ます。

 また、水毒や悪血が原因している場合には、横隔膜より下にも出ま
す。中焦の水毒が原因のときは、胸椎7,9,11ラインの1,2,3行線・督
脈・華陀経や痞根に出やすいです。下焦の悪血や虚が原因のときは、
腰椎3〜仙骨の1,2,3行線・督脈・華陀経や腰徹腹に出やすいです。

 この場合にも、病が長引いているときの古いツボは、筋肉の厚みの
関係から、胸椎7,9,11ラインでは華陀経に出やすく、肋骨のないとこ
ろでは脊柱起立筋外側の痞根、腰徹腹に出やすくなります。

**(3) 胸腹部
 胸腹部の症状の表面ちかくにも出ます。呼吸器系では、中府、檀中
と、それむすぶ斜め線上で、肋骨を1本上がることに外よりに出ます。
循環器系では左肋骨間で、とくに下よりに出ていることがおおいです。

 水毒や悪血が原因しているときには、腹部にも出ます。水毒が原因
のときは、中完、章門。悪血が原因のときは、水道や五枢維道のあた
り。下腹の虚・冷が原因のときは、関元に出やすくなります。

**(3) 足の陰経
 中下焦に原因のあるときは足の陰経にも出ます。下腹の虚・冷のと
きには、照海。水毒が原因のときは、地機、節紋(灸)。悪血が原因の
ときは、蠡溝、中封に出ていることが多いです。慢性期には、足の大
腿部にも出やすくなります。

 くわしくは、「[[中焦:水毒の病]]」、「[[下焦:瘀血の病]]」を参照
してください。

**(4) そのほか
 腹の表面や背中のシコりの関係から足陽経にも出ます。

 手陰経のツボの表側の陽経に出ることも多いです。

 下半身に冷えには足の甲3,4間(灸)が効きます。

*(3) 手順
 急性期は慎重に。救急医療と連携も考慮にいれてください。見極め
が大事になります。

**(1) 慢性期
 急性期でも、その時点で症状が激しくない場合には、この方法です
ることもおおいです。

 基本的には、ツボを考慮して慢性期の型の順で刺鍼。

 ただ、すでに表位に症状が出ている場合には、まず手甲の合谷など
に引き鍼します。

 また、胸上部から鎖骨喉にかけてツボが出ていることがおおいので、
肩頚のあとに刺鍼し、それから頭散鍼・手甲引き鍼で仕上げます。

 必要に応じて、ヘコんで冷えたり虚したりしているところや華陀経
などにある古いツボに灸・灸頭鍼をし手の指端の灸で終えます。

 灸や灸頭鍼と置鍼を組み合わせてもよいです。うつ伏せで手陰経の
肘ちかくや背上部を灸したあと、仰向けで胸まわりを灸し、手指端の
灸で仕上げます。

 手指端は、目覚ましなので、施灸したあと寝られるときは省略しま
す。

 表位の症状があるときや原因が水毒・悪血のときには、それぞれの
ツボを付け加え、座位→俯せ→仰向けの順で上から下に施灸します。

**(2) 応急処置
 手甲に引き、手陰経の手首に引き、背に引き、頭に散鍼し、手の甲
で終えるのが基本です。

 邪気の動き速いので、刺鍼は速め速めにします。

 途中で表位に症状が出たら、手の陽経に引きます。背に引いたあと
肩頚に症状が出たら、肩頚に刺鍼します。

 急性期の応急処置は、くわしくは、[[術伝流一本鍼no.24]]に書きました。



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   >>>目次へ・・・・・・・・・・[[鍼灸基本後期詳細]]

   >>>このページのトップヘ・・・[[上焦:邪気の病]]
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