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鍼灸症例問答no.1 - (2010/08/25 (水) 06:41:15) のソース

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*(1)はじめに
 ペンネーム「母さんの鍼」さんの鍼灸症例1つめです。

*(2)「うつ熱」の解熱について
   ・20代後半の女性
   ・体調を崩し、休職中

**1.患者さんの症状
   9月初旬の朝、「熱が39.5℃あり、グッタリして動けない」と
   の連絡を受けた。

   外気温33°の日。伺って話を聞くと、

  .1.今朝方、身体中が熱く体温を計ってみると、39.5℃あった。

  .2.冷え性なので、冷たい飲み物はさけて、温かい物を飲んでいた。

  .3.クーラーは苦手なので、かけないでいた。

  .4.高熱が出た原因については、思い当たることがない。

**2.患者さんの身体の状態など
  .1.顔が赤く火照り、体幹・両下肢とも熱感があり、グッタリして
   動ける状態ではなかった。

  .2.風邪の症状(悪寒・喉の痛み・咳・鼻水・鼻づまり等)は、な
   かった。

  .3.部屋はかなり室温が高く、また湿度も高いため、ムッとした不
   快感があった。

  以上、発熱物質による発熱とは考えにくく、外的環境の高温・多
  湿・無風の中に長時間いたこともあり、熱の産生と放散のバラン
  スが崩れ、体内に熱がこもる、うつ熱を疑った。

**3.実際に行ったこと
  (1)先ず、クーラーで除湿し、室温を下げた。

  (2)刺鍼

    1.座位
     .1.手の合谷に強く引き鍼
     .2.前頭部全体を散鍼
     .3.肩こりがあり、肩甲骨上角・肩甲間部にツボが出ていた
      ので刺鍼

    2.仰臥位
     .1.元々風邪を引いたりすると喉にくる方なので、中府に刺
      鍼したとたん、物凄い勢いで邪気が出てくる反応があっ
      た。
     .2.熱病の急性症状であるため、内関に刺鍼。
     .3.手の甲に引き鍼をして終了。

**4.施術後の変化
   .1.施術中、瞬く間に熱が引いていくことが、患者さんにもよく
    分かったようだ。

   .2.体温は39.5℃から38.7℃に下がり、随分楽になったとのこ
    と。

   .3.表情は明るくなり、生気が出て、浅かった呼吸も深くなった。

   .4.手・足の熱感が大分取れた。

   .5.施術後、1時間程で顔の火照りも治まった。

   .6.その後の患者さんの話では、体温の上がり下がりはあったも
    のの、翌日は37.5℃に落ち着き、だるさは残るものの、元気
    になったとのこと。

**5.感想
   .1.うつ熱の解熱に、鍼がこれ程効果があるとは思っていなかっ
    たので、正直驚いた。

   .2.患者さんも鍼で熱が下がったことに驚くと共に、身体が大そ
    う楽になり、喜んで頂けて、励みになった。

   .3.今回は、かなりの高熱に内心オロオロしながらの施術だった
    が、もっと手際良く出来るように努力していきたい。

   .4.目の前で「解熱」という結果が直ぐに出せて、鍼をやってい
    くことのモチベーションが上がった。少しずつ「出来ること」
    を増やしていき、自信へとつなげていきたいと思う。

 以上、長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。
 この症例では、教わったことを組み合わせて施術することで、
 結果を出すことが出来ました。


*(3)遊風のコメント

 こういう例では、発汗しているかどうかを見たほうがよいです。

 うなじから手を入れて、首の後ろ側の付け根から肩甲間部上部にか
けて、汗ばんでいないか見ます。

 汗ばんでいなかったら、熱が出られない状況と判断します。本来な
ら、表位から汗が出て放熱するはずなのに、できてない状態。

 たしか漢方では「肌が閉じている」という表現をしたと思います。
その処置は「解肌(げき)」だったかな。

 カゼの葛根湯証系でも見られますが、それ以外でも熱中症や日射病
などでも見られますし、梅雨明け直後の老人にもおおいです。

 梅雨明け直後の老人の場合には、譫語といって、わけのわからない
ことをわめく症状が出ると昔の本にも出てたと思います。

 また、ご指摘のように、冷房などが嫌いな方にもおこります。

 たしか整体の野口晴哉先生の本にも、カゼは冷やすといけないと、
戸締まりしすぎで熱が体にこもってしまった例が出ていました。

 本などの言葉通りに忠実にやりすぎて、現場あわせができない例と
して紹介されていたように記憶しています。

 こういう例で、肩背中が汗ばんでいなかったら、肩背首を触って熱かったら、
そこも散鍼したほうがよいでしょう。

 こういう例では、以下のことが基本になると思います。

1.手の陽経陰経に引き鍼して上衝を降ろす

2.散鍼して表位の肌を開く
3.表位の凝りを緩める

 また、中府に刺鍼するまえに列缺に引いておいたら、中府に刺した
とたんの邪気の量が減った可能性があります。

 内科系急性症状なので、数時間以内に同じ程度以上にぶり返したら
救急医療との連携を考えたほうが良いですが、その後のことや、つぎ
の日の朝のこともしっかり把握しているようで、お見事です。

 とくに、治療後の表情や、つぎの日の朝の体調が良いと予後が良い
ことがおおいです。そのあたりの観察もしっかりされてますね。

*(4)おわりに
 初めての症例報告にしては、本当にみごとな内容でした。

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