「「体は自然」が東洋的身体観の基本」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

「体は自然」が東洋的身体観の基本 - (2017/05/28 (日) 10:48:16) のソース

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) 
------
&size(24){&color(green){「体は自然」が東洋的身体観の基本}}
----
体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [1] 「体は自然」が基本
(1)「体は自然」が東洋的身体観の基本
#contents
*1.はじめに
 私が東洋的な身体観に興味を持ってから40年以上経ちまし
た。これから、東洋的な身体観・病気観の中で私が色々な経験
を通して実感できたものについて説明していきます。

 具体的な個別の症状の治療法に入る前に、東洋的な身体観・
病気観の概要を理解していた方が個別の症例を理解しやすいと
思いますので。

*2.人は動物、体は自然
 東洋的(漢方的、伝統医学的)な身体観・病気観としては、
「体は自然」ということが基本になると思います。

 難しい言葉でいえば、「天人合一思想」、つまり「天と人は
同じと見なす考え方」ということになるのかなと思います。

 要するに、「人は動物、体は自然であり、人はロボットでは
ないし、体は機械ではない」ということだと思います。

 それに比べて、臓器移植に代表される西洋医学の考え方は、
体を機械に近いものとして見ているように思います。

*3.自然側が大切
 「体は自然」ですので、病気になったり治ったりするのも、
雨が降ったり雷が鳴ったり風が吹いたりする、あるいは、それ
らが止んだりするのと同じ自然現象と見るわけです。

 そして、雨が降ったり雷が鳴ったり風が吹いたりするのには、
自然としての必然的な理由があるでしょう。それと同じように、
病気になるのも体という自然なりの理由があると考えます。

 操体で有名になった橋本敬三先生は「鍼灸を含む東洋的物療
で大切なのは自然則」という言葉を残してられます。そういう
自然としての必然的な理由を自然則と呼んで、それを理解する
ことが大切だと言われたわけです。

 余談ですが、橋本敬三先生は、1920年代に函館で毛鍼の
名人から鍼を学んだ鍼灸の達人でもあり、戦中や戦後60年位
までは鍼灸の方がどちらかと言えば多かったようです。

 1937年に発表された「力学的の構想」にも鍼灸の話が沢
山出てきますし、1965年には医歯薬出版から『鍼灸による
即効療法』という本を出されています。また、1980年代に
一緒にいた今昭宏先生の話ではその頃も鍼灸治療をしていたそ
うです。

 これから、そういう体という自然についての自然則で、私が
生活や臨床を通して実感できたものを順に取り上げ解説してい
きます。

*4.実践していることの共通点を納得しやすく
 できるだけ今の若い人にもガッテンして納得していただける
内容にしたいと思いますので、鍼灸の古典などに詳しい方から
見れば、ずいぶん違うことを書いていると思われる話も書いて
いきますが、ご容赦願います。

 若い人や、鍼灸以外の東洋医学をされる人、他職種、例えば
医師や、患者さんなど一般の人にも同じ説明をして、ガッテン
して納得していただきたいので。

 「体は自然」ですので、その体という自然の原則が分かれば、
色々な達人の先生の実演のときに、先生の実践していることと
患者さんの反応を見て、実践していることの意味が分かる可能
性が高くなるように思います。また、直ぐに真似できる可能性
も高くなると、少なくとも真似しやすくなるのでは…と思って
います。

 皆さんがそういう風になれるような説明ができたらいいなと
思います。

 達人の先生が実際に患者さんに実践していることの中で、患
者さんの治療に役立つと言うか、自己免疫機能を活発にさせる
ことに限れば、そう違いは無いように感じています。鍼灸操体
だけでなく按摩指圧なども含めて。

 「体の自然」についての基本的な原則を知っていれば、後は、
施術する側の得意なことや夢中になれる方法を磨いて、患者さ
ん一人一人のその時の体や心の状態に合わせて丁度良いことが
できれば良いと思います。

 違うのは、説明というか、「心に言葉で描かれた物語」。そ
の違いの大きさに初心者は面食らってしまうわけです。

 そういう「物語」をできるだけ省いた所で言えることを色々
な達人の先生の実践していることの共通点を中心に、体の自然
則を書いていくよう心掛けていきます。

*5.病気になるのも自己免疫機能
 体は自然なので当たり前ですが、病気も自然現象として見ま
すので、病気観も西洋のものとは結構違ってくるように思いま
す。

 西洋医学的な病気観は、病原体病源説に代表されるように病
気を克服すべき対象と考えているように思います。病原体病源
説というのは、細菌やウイルスなどのような病原体が病気の原
因であるという考え方です。

 それに比べると、東洋的な病気観には、病気も体の養生シス
テムの一つとしてとらえる見方があります。つまり、「病気の
症状は、体が発する「無理のしすぎ」という警報で、それを切っ
掛けに養生すれば、病気になる前よりも生命力の高い状態に成
れる」という病気観です。

 無理、つまり、理が無い、自然則に合わないことを実践し過
ぎたと体が感じたときに、それを意識させるために、また、そ
の状態を健康な状態に戻すために、病気の症状と言うのが出て
くるし、それを切っ掛けに体を元に戻すように養生していけば、
病気になる直前の状態よりも生命力の高い健康な体に成れると
いう考え方です。

 一般に、病気の症状は出ていないが、既に無理して体が歪ん
で、いつ病気の症状が出ても可笑しくないと言うか、もう少し
無理が重なると病気の症状が出そうな状態のことを未病と呼び、
東洋医学の治療では、病気の症状を消すだけでなく、未病を治
すことが大切と考えられています。

 要するに、病気に成るということも体という自然が持ってい
る恒常性維持機能の一つ、極論すれば、病気に成るのも自己免
疫機能の一部という考え方です。

 そういう理由で、東洋医学では、病気の症状を消すだけでは
なく、病気になる前よりも生命力の高い状態にすることが求め
られています。このことを覚えておいてください。

&ref(ksf-mibyoutohossa.jpg)図1

 この辺りのことは、整体の野口晴哉先生の『風邪の効用』
(ちくま文庫)などにも書かれています。野口先生は鍼灸はさ
れませんでしたが、上記の病気観でカゼという病気を観察した
ことが詳しく書かれていますので、一度読んでみることをお勧
めします。

*6.東洋医学は、病人治療が基本
 さて、体は機械ではないので、人間が作った仕様書通りに作
られているわけではありません。ですから、治す方も人間が作っ
たマニュアル通りにやっても治せないときもあります。

 また、一人一人の遺伝子は基本的に異なっているので、ヒト
は一人一人違っているわけです。また、遺伝子が同じ一卵性双
生児でも全く同じ環境で全く同じ行動を取っているとは限りま
せん。ですから、一人一人のその時の体という自然の状況は異
なっています。

 そして、自然の状況ですから、同じ人でも、診る時に因って
違います。

 ですから、東洋医学の治療は、基本的に病名治療ではなく、
目の前の人の今現在の状態に合わせていく病人治療になります。

 要するに、目の前の人の体という自然に今現在の時点で起き
ている現象を把握し、自然則を使って理解し、それに基づいて、
その人の体の現時点での状態に合わせて治療していくというこ
とになります。

 「東洋医学は、病人治療が基本」ということも覚えておいて
ください。

*7.おわりに
 「体は自然」という東洋医学的な身体観から、「病気になる
のも自己免疫機能の一つ」という東洋医学的な病気観、「目の
前の人の体のその時のの状態に合わせる」という治療観までを
説明しました。

 納得していただけたでしょうか?


   >>>つぎへ>>>[[気持ちよいと歪みが取れる理由]]


-----
   >>>目次へ・・・・・・・・・[[体は自然、臨床は対話]]

   >>>このページのトップヘ・・[[「体は自然」が東洋的身体観の基本]]

   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。

よろしくおねがいします。

術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ 
(この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) 
(「あま」を「@」に、)(以下無視kuaniu、nteyu、lPpkiumo)
(「ググ」を「googlegroups」に、)(以下無視mesiun、kiuen)
(「どこ」を「.com」に変えて送信してください。) 
(面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----
   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
----