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術伝流操体no.41 - (2017/02/25 (土) 06:31:34) のソース

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術伝流操体 【3】操体で一通り治療 [4] 座位立位などでの操体 
(1) 座位で、重さ、3軸、腕上げ
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#contents
*(1)はじめに
 操体は、普通はラクな姿勢からします。

 そして、症状があったり歪んだりしている人は、普通は、寝た姿勢が
ラクなことが多いです。それで、臨床の場では、ラクな寝方から、その
姿勢を強調していくことをやってみることが多いです。

 しかし、ここ2回ほど書いたように、寝た姿勢でやっているうちに座
位や立位になっていく人もいます。また、寝た姿勢ではバランスがとれ
たけれど、座位になったらバランスがなんとなくおかしいという感じが
することもあります。

 ふだん仕事は座位や立位ですることが多いので、座位や立位でもバ
ランスがとれていることが必要です。

 そこで、今回は、座位での操体について、今まで書いてこなかったも
のもふくめて、書いていきます。

*(2)座位でも、手順は同じ
 座位でも、基本的な手順は同じです。

(1)ラクな姿勢になってもらう

(2)キッカケをえらびイイ感じにする

(3)イイ感じを付け足し増やす

(4)気持ちよさを味わう

(5)姿勢を変えたくなったら終える

 ただし、前にも書いたと思いますが、座位は背骨が立った状態なので、
キッカケや付け足しで、体重移動が大切になってきます。

 体重移動をキッカケにしないときは、付け足しで、体重移動をしたほ
うがよいことがおおいです。

 また、終わるときも、姿勢を変えるというよりも、体重をもどしたく
なったら終えるという説明のほうが伝わりやすいと思います。

 そして、終えたあと、しばらく休んで、後味を味わうことも大切です。
寝た姿勢と違い動きやすいせいか、すぐ動いてしまいがちになりやすい
ので、数呼吸のあいだくらい、ゆったりと後味を味わうようにしましょ
う。

 つまり、以下のようになります。

(1)ラクな座位になってもらう

(2)キッカケをえらびイイ感じにする

(3)イイ感じを付け足し増やす
 ・とくに、体重移動を付け足す

(4)気持ちよさを味わう

(5)体重をもどしたくなったら終える
 ・そのあと、数呼吸、後味を味わう

*(3)なんと言っても、重さの操体
 いままで書いてきた、座位の操体は、重さの操体と、頭の後ろで手を
組んでの捻転・前後屈・側屈の組み合わせの操体でした。この二つの操
体が、座位の操体の基本です。

 とくに、重さの操体は、大切です。背骨を立てた状態というのは、けっ
こう不自然な状態です。植物は、重力に対して垂直に立っているものは
多いですが、動物は少ないです。

 とくに、背骨をもつ脊椎動物では、ヒト以外は、タツノオトシゴなど
魚類にすこしいるだけで、地上の脊椎動物で長い時間背骨を立てた状態
でいられるのは、ヒトだけです。

 それだけバランスを取るのが難しいのでしょう。魚類にいくつかいる
のは、海の中は浮力が働くので、バランスが地上よりも取りやすいせい
だと思います。

 ですから、その座位の姿勢でのなんとなくバランスがとれていない感
じを改善していくためには、まずは、重さの操体をして、重心のバラン
スを取る必要があります。

 そして、それから、胴体の3軸、左右捻転、前後屈、左右側屈の調整
する動きの操体をすると、座位でのおおざっぱなバランスが改善するこ
とがおおいです。

*(4)座位で、重さの操体
 前にも書きましたが、復習しておきます。

 ラクな姿勢の座位で座ってもらい(写真1)、体重を、右前、右後、
左前、左後の4つの方向に試しに移してもらい(写真2)、移しやすい
ほうをさがしてもらいます。人によっては、右真横や左真横がよいとい
う場合もあります。そういうときは、6つの方向を試してもらうことに
なりますね。

&ref(DSCF0272.jpg)写真1

&ref(DSCF0273.jpg)写真2

 そして、いちばん移しやすい感じがする方向に、すこし余分に体重を
移しながら、より深いイイ感じを探してもらいます。操者は、体重が十
分移せるように受け手の肘などを支えます(写真3)。大きく体重を移
すほうが気持ちよいこともありますから、しっかり支えます(写真4)。

&ref(DSCF0275.jpg)写真3

&ref(DSCF0276.jpg)写真4

 もちろん、首や手などもいろいろ動かすことも付け加え、より深い気
持ちよさをさがしていきます。

 体重をもどしたくなったら、終わりにします。

*(5)座位で、胴体の3軸の動きの操体

 ラクな姿勢で座ってもらい、頭の後ろで手を組んだ状態から、左右捻
転(写真5)、左右側屈(写真6)、前後屈を順に試してもらい、イイ
感じの組み合わせを探してもらいます。

&ref(DSCF0295.jpg)写真5

&ref(DSCF0296.jpg)写真6 

 決まったら、体重も移しやすい方向に移してもらい、より深い気持ち
よさをさがしていきます。操者は、しっかり体重が移せるように支えま
す(写真7)。

&ref(DSCF0297.jpg)写真7

 この場合には、手を頭の後ろに固定しているので、首くらいしか付け
足しで動かすところはないですね。椅子に座っていれば足も動かせます
けど、とくに高い椅子で足がぶらぶらなら。

 同じように体重をもどしたくなったら、終わりにします。

 さて、二つの操体をして、おおざっぱな歪みが取れたら、ほかの座位
の操体をしてみます。まずは、動きの操体から。

*(6)座位で、腕を上げる動きの操体
 座位での基本的な動きの操体を紹介していきます。座位で足が動かし
にくいこともあり、腕をキッカケにするものが多くなります。そのなか
でも腕を挙げる形のものから取り上げていきます。

**1.頭の後ろで組んだ手のひらを天井へ
 ラクな姿勢で座ってもらい、頭の後ろで手を組んでもらいます(写真
8)。その手のひらを天井に向ける方向に捻転し、しっかりキメる感じ
で支えます(写真9)。

&ref(DSCF1041.jpg)写真8

&ref(DSCF1043.jpg)写真9

 その手を天井のほうに動かすことをキッカケに、イイ感じの方向にノ
ビをしていきます(写真10)。操者は、膝ですこし受け手の肩甲間部を
押してあげると、気持ちよさが増えることがおおいです。

&ref(DSCF1044.jpg)写真10

 体重は、すこし後ろよりにしてもらったほうがイイ感じが増えること
がおおいです。

 左右捻転の左右差がある場合には、左右どちらかに体を捻転したほう
がイイ感じが増えます、体を左右どちらかにすこし向けてみるというこ
とです。

 重さの操体や3軸操体を先にしていれば下半身の左右差は少なくなっ
ていると思いますが、上半身の左右差は残っていることもあります。こ
の場合は、体重もすこし左右どちらかに移したほうがイイ感じが増える
でしょう。

 イイ感じが消えたり、体重をもどしたくなったら終わりにします。

 この操体は、片方の手ずつ行うこともできます(写真11)。

&ref(DSCF1046.jpg)写真11

**2.腕の小指側を伸ばす
 つぎは、腕の小指側を伸ばすことをキッカケにいい感じを探していく
操体です(写真12)。片手ずつ操体します。

&ref(DSCF1047.jpg)写真12

 操者は、支えている手の皮膚を、ずらしやすいほうにずらすことを付
け加えると、気持ちよさが深くなりやすいように思います。小指側が手
甲側にまわるのにつながる皮膚ずらしがよいことがおおいです。

 受け手に首をイイ感じのほうにむけてもらったりするのも気持ちよさ
が増えることがおおくなります。

 また、体重も移しやすいほうに移してもらいます。

 肩手のひらを天井にむけていくことをキッカケにする操体に似ていま
すが、天井にむけて腕をあげていくよりも、腕の小指側を伸ばしたほう
が気持ちよい場合には、この操体になります。

 字を書くときも、パソコン仕事をするときも、腕の小指側の筋肉を使っ
ていることがおおいせいか、気持ちよいと言ってくださる人がおおいで
す。

  一人でするときには、手の小指側を手甲のほうへ捻転すると、気持
よさが増えることがおおいです。

 橋本敬三先生のところで操体を学んだ経絡指圧の増永静人先生は、こ
れとよく似たというか、ほとんど同じ形のものを、手少陰の経絡伸展法
や経絡体操として紹介されています。

**3.腕の中央を伸ばす
 腕の中央を伸ばすことをキッカケに気持ちよさを探していきます(写
真13)。両腕同時にしたほうがイイ感じの場合がおおいです。

&ref(DSCF1048.jpg)写真13

 この場合も、操者が支えている腕の皮膚をずらしやすい方向にすこし
ずらしたり、首をイイ感じのほうに動かしてもらったりしたほうが、気
持ちよさが深くなっていくことがおおいです。

 また、操者がすこし肩甲間部を押してあげたりするのもよいことがお
おいです(写真14)。

&ref(DSCF1050.jpg)写真14

 体重も移しやすいほうに移してもらいます。両手同時にしているので
左右差は少ないですが、後ろに体重を移したほうがイイ感じが深くなり
やすいと思います。

 体の左右差があれば、体の向きをイイ感じのほうにすこし向けたほう
が、気持ちよさが深くなります。このときには、体重も左右どちらかに
すこし移したほうがイイ感じになりやすいでしょう。

  一人でする場合は、手の甲を反らす、つまり手首の背屈をしたり、
自分で背中を反らしたりすると、気持ちよさが増えることがおおいです。 

 この操体は、増永静人先生のいう手厥陰の経絡伸展法や経絡体操と、
ほぼ同じです。

**4.腕の親指側を伸ばす。
 腕の親指側を伸ばすことをキッカケに気持ちよさを探していきます
(写真15)。これも、両腕同時にしたほうがイイ感じの場合がおおいで
す。

&ref(DSCF1049.jpg)写真15

 ほかのと同じように、この場合も、操者が支えている腕の皮膚をずら
しやすい方向にすこしずらしたり、首をイイ感じのほうに動かしてもらっ
たりしたほうが、気持ちよさが深くなっていくことがおおいです。また、
操者がすこし肩甲間部を押してあげたりするのもよいことがおおいです。

 また、 体重も移しやすいほうに移してもらいます。両手同時にしてい
るので左右差は少ないですが、後ろに体重を移したほうがイイ感じが深
くなりやすいとおもいます。

 一人でする場合は、手首の、とくに親指側を背屈したり、背中を反ら
したりを付け加えます。

 この操体は、増永静人先生のいう手太陰の経絡伸展法や経絡体操と、
ほぼ同じです。

*(7)おわりに
 今回は、重さの操体、胴体の3軸の操体、腕を上げることをキッカケ
にする操体を説明しました。

 重さの操体、胴体の3軸の操体は、背骨が立った状態の基本的なバラ
ンスを整えるものですし、腕を上げる動きの操体は、普段の仕事で疲れ
た腕肩など上半身に効果的で、気持ちよいといってもらえることがおお
いからです。

 次回は、それ以外をキッカケにする動きの操体や、皮膚の操体などを
紹介していきます。


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