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小さな町工場がひしめく街、東京・蒲田の一角。経営難の秋川精機に突然海外からコンピューターでは難しいプロペラ製造の依頼が入る。手作業には自信のある熟練工の社長・起一(岸谷五朗)はこれで経営を立て直せると張り切るのだが、その日脳卒中で倒れてしまう。命に別状はないものの体に麻痺が残り、とても繊細な仕事が出来る状況ではない。倒産の危機に直面した妻の桜(夏川結衣)はワラをもつかむ思いでかっての恋人・草平(渡辺謙)のもとを訪ねる。20年前秋川精機で働いていた草平は、起一以上の腕を持った職人だった。だが、桜は跡取りである起一を結婚相手に選び、草平はその後工場をひっそりと去ったのだった。そして今は職人を辞め、郊外のホームセンターで働きながら妻の万里(田中美佐子)と娘の雪菜(川島海荷)と幸せに暮していた。20年ぶりに突然やって来た桜に戸惑い、助けを求められ思い悩む草平。しかし職人魂に灯がともり、秋川精機の門をたたく。こうして二人は少しずつ止った時間を進め始める。それは、十代や二十代に比べれば遥に複雑で苦く断念や秘めた罪悪感に満ちた想いだった。
最終更新:2021年05月31日 18:05