メルゼブルクの呪文
成立/9~10世紀
言語/古高ドイツ語(ラインフランク語)
概要
メルゼブルクの呪文(Merseburger Zaubersprüche)とは、1841年に歴史学者ゲオルク・ヴァイツ(Georg Waitz)によって写本が発見された中世の呪文のことです。ハレ近郊のメルゼブルクにあるメルゼブルク大聖堂で発見されたため、この名があります。写本が含まれていた文献の年代から成立は9~10世紀と見られており、発見の翌年ヤーコプ・グリム(Jacob Grimm, グリム兄弟の兄)が呪文の価値を評価するコメントをつけて本を出版したことにより有名になりました。
呪文は古高ドイツ語(の一方言であるラインフランク語)で書かれており、戦闘で捕らえられた捕虜の解放を願う「身内生還の呪文*」と、脚を痛めた馬の回復を願う「馬の呪文*」の2編から成っています。いずれも最初にゲルマン神話での出来事が語られ、その後に呪文となる命令のフレーズが続くという体裁を取っています。キリスト教化以前のゲルマン人の信仰が反映されているため、当時の人々の精神世界を知る上で貴重な史料となっています。
*) 呪文名は下記の高橋(2003)の文献によるものです。原典には呪文の名前は記されていません。
この本を出典とする楽曲
In Extremo は2編の呪文両方をそれぞれ楽曲化しています。
参考文献・参考ページ
最終更新:2012年12月19日 23:13