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風のクロノア door to phantomile(Wii)

【かぜのくろのあ どあ とぅ ふぁんとまいる】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 Wii
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 パオン
発売日 2008年12月4日
定価 4,800円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント オリジナルを知っていると首を傾げる部分多数
演出や雰囲気にこだわるゲームのはずが…
日本語版など追加要素の多くは特に問題はない
単体のアクションとしては良作レベル
風のクロノアシリーズ

概要

1997年にPSで発売され高い評価を受けたシリーズ第1作『風のクロノア door to phantomile』を、Wiiにてフルリメイクした作品。
これまでのシリーズで培ってきた、操作説明を始めとする親切なシステムの追加を始め、プレイヤーの敷居を下げる工夫が組み込まれている。
しかし、演出面の劣化が目立つために従来のファンからは賛否両論、本作からクロノアを知った人には好評と、評価には結構な差が存在する。


主な変更点

  • グラフィックは全てWiiの性能に見合った3D。
  • クロノア達のデザインが『2』寄りとなった。
  • ファントマイル語に加えて、日本語版が追加。
  • クロノア以外の声優が軒並み変更。
  • クロノアの体力が原作での「6」から「10」に増加。
  • 追加ステージやミラーステージなどが追加。
  • 1周クリア後にクロノアのコスチュームチェンジが可能に。

など、様々な面で強化されている…のだが、従来のファンからはいささか厳しい評価を下されている。


賛否両論点

  • 全般的な難易度の緩和。
    • 体力の増加、ボス戦においていくらか救済措置が施されるなど、目に見えて難易度が温くなっている部分がある。
      • とはいえ、「あくびが出るほどやりごたえがない」わけではなく、Wiiのアクションゲームとしては並の上といった具合。
    • ただしそういった人のためにクリア後のミラーコースがあるのだとも言える。
  • 日本語版の追加。
    • 従来のファントマイル語も存在するのだが、ファンからはそもそも「日本語版を用意すること自体が蛇足」と言われがち。
      • 雰囲気重視のゲームだけあって「クロノアの良さを何もわかっていない」という意味での反発の声は多い。
        重ね重ね注記しておくが、日本語版でも一部のクロノアの掛け声は従来と同じである(「わふぅ」と「るぷるどぅ」はステージ選択画面でどちらを問わず発する)。
      • ちなみに、『クロノア』シリーズの言語は『クロノアビーチバレー 最強チーム決定戦!』より言語が完全に日本語へと移行していたという経緯がある。
        つまり、厳密に言えば「今作は日本語版を追加した、というよりファントマイル語が復活した」という方がシリーズの流れ的には正しい。
  • キャラクターデザインの変更。
    • 前述の通り、本作は『1』のリメイクながら味方・敵と共に基本的に『2』準拠のデザインになったのだが、クロノアのデザイン変更には特に反発が強い。
      簡単に言うと体系や顔立ちが『2』寄りになり、服装も『2』をベースに『1』のそれとの折衷案のようになったため、原作を知る人にとっては違和感がある。
      • 原作の『1』のデザインでは頭身が低めで「幼い少年らしさ」が前面に出されており、世界観と共に独特の可愛らしさを生んでいた。
        『2』で「前作に比べてやや大人びた」という設定で体形・服装を含め、青年に近い大人びたデザインに変更された経緯がある。
      • 前述のようにゲームを1周クリアすると、クロノアの服装を着せ替えてプレイすることが可能となるのだが、これもファンにとっては賛否両論。
        『2』準拠の頭身の高いデザインのままでオリジナル版のものを無理矢理着せてる感もあり、この配慮は全面的に評価されているとは言い難い。
    • 敵キャラもデザインが変更されたものがあり、原作での原画に近くなったが安っぽくなったと言われるものも多い。
      • 特にジョーカーはこれまでとはかけ離れたものになってしまっており、両手と両足が追加された。この辺りは好みの問題とも言える。
  • 声優の大幅な変更。
    • 今回の新録に伴い、スタッフが担当していたキャラなども含めて、クロノア以外の声優はほとんどが変更されている。
    • 特にヒューポー役の瀧本富士子が変更されたことは、違和感を訴えるプレイヤーが多い。
      • ただし後任の神田朱未も雰囲気を崩さないよう、先代の演技をなるべく踏襲している。
    • ジョーカー役の島田敏に至っては、他シリーズ合わせてなんと四代目となる。
      • スタッフが担当していたキャラに関して、プロの声優を当てることはある程度評価する声もあった。
        しかし、「あのぎこちなさが良かった」「いくらプロでも変わったら逆に馴染めない」とする場合もあるため、一概にどちらがいいとは言えない。
      • ただし変更された声優は有名所が揃えられており、ファントマイル語版を含めて演技自体に問題があるわけではない。

問題点

  • 雰囲気を大事にするゲームなのに、尽く演出が劣化している。
    • 主人公のクロノアと、そのパートナーのヒューポーのセリフ量の比率が逆転。結果としてクロノアの台詞パターンはやや減少している。
      これにより原作でクロノア自身が喋っていた台詞をヒューポーが喋るシーンが多く、原作に比べてヒューポー主導の展開になってしまっている。
      • オリジナル版の主要スタッフであるよしざわひでお氏によると「プロデューサーの意向で日本語音声を入れることになったため、クロノアに対する感情移入が削がれることへの懸念があったためだった」ということを、ツイッターに寄せた開発秘話で明かしている。
    • PS版ではきちんと口パクが台詞ボイスに連動していたのだが、Wii版ではどの言語でも口パクが台詞と合っていない。
      • 2種類のボイスがあるためなのかは不明だが、ボイスの無い部分でも口パクするため、見た目だけでもやや違和感を感じやすい。
    • OPやEDも含めてリアルタイム描写(つまりゲーム画面と同じモデルを使用)となったため、どのシーンも演出が簡素になってしまっている。
      • Wiiの性能に合わせてグラフィックは強化されているとはいえ、ゲーム画面とさほど変わらないため演出にこだわれなくなっている。
      • 表情パターンはちゃんと用意されているのだが、一部その表情パターンを活かせてないシーンがある。
    • 原作プレイ者なら知っているエンドロール後の最後の文字が消えている。ストーリー的には非常に重要な締めなだけに大きな落ち度であると言って良い。
  • ステージ周りのエフェクトなども一部削除されている。

評価点

  • 大半のファンが重視していたであろう演出面はともかく、ゲームとしての内容自体は忠実で、完成度や初心者への配慮はオリジナルより明らかに高まっている。
    • Wiiリモコン横持ち操作では原作よりボタン数は少なくなるが、プレイ感覚は原作に近い感覚でプレイすることができ、やりづらさも特に感じられない。
      操作方法の解説もゲーム内で簡易的に行われるようになったため、ゲームテンポを著しく崩すことなく、初心者でも操作方法を覚えることが出来る。
    • 温くなったと言われる難易度も、実に程よく難易度が緩やかに、しかしはっきりと上昇していく。シリーズ作でも無理のない難易度上昇を実現しているとの声もある。
    • 日本語の追加も、『クロノア』シリーズの独特な世界観へ没入するまでのハードルの高さを軽減している。
      また、日本語の存在により、2周目からはファントマイル語に切り替えて世界観に再度没入し直せるという、ある意味「2周目をより違う形で楽しめる」メリットもある。
      • 前述の賛否両論点や問題点は、主に過去シリーズのプレイヤーから噴出している不満が大半である。
        しかし裏を返せばこの作品はWiiというファミリー向けのハードであるため、様々な措置が必要だったと言える。
  • リメイクだから当然とも言えるが、全般的に再現度も高め。映像がWiiというハードに合わせて圧倒的に綺麗になっている。
    • タイトル画面の演出なども結構忠実に作られている。ストーリー演出はともかくそういったサブ要素は出来る限り崩さないようにしている努力は見られる。
    • 全てのキャラや背景が『2』と同様のトゥーンシェーディング調の3Dになったことで、かなり滑らかに動くようになり、見ているだけでも小気味が良い。
  • 追加ステージやクリア後のミラーステージ・クロノアのコスチュームチェンジ・モデルビューワー等の細かなボリューム増加。
    • 特に2周目以降プレイ出来るミラーバージョンは、これまでと感覚がまるで異なるため、内容こそほとんど同じながら、非常に新鮮な気持ちで2周目をプレイ出来る。
    • コスチュームチェンジはデフォルトの服装に加え、原作『1』に近い服装、『2』を再現した服装、ムゥのお面を頭に添えた青い甚平を着たお祭り姿*1の4種類がある。
      • 『1』や『2』の服装とファントマイル語を組み合わせてプレイしてみる、シリアスな場面であえて甚平姿でプレイし雰囲気ブチ壊し等々…、
        2つの言語や追加ステージと組み合わせれば、ファントマイルをより違う雰囲気で楽しむことが可能で、リプレイバリューはシリーズ中でも随一と言える。
      • 一方でコスチュームチェンジ時の背景は、大半のプレイヤーが「それ?」と思うであろうモノであり、演出面と絡めたツッコミ所としてネタにされる事もしばしば。
    • モデルビューワーも、各衣装のクロノアや各味方・敵も含む全キャラを1体ずつじっくり見ることが可能で、コアなファンにも高く評価された要素の1つと言える。
  • リメイク前で1ヶ所だけ1度しか観れなかった例のシーンが6⁻2クリア直後に引き上げられ、見返すことが可能になった。

総評

過去の名作のリメイク作の場合、新規の追加要素や変更点で不評を買ってしまうことが多いものだが、
本作もまたコアなファンが多いシリーズなだけあって、様々な追加点や変更点の多くが受け入れられなかった。
演出面での劣化は特に顕著であり、改めて見比べるとむしろオリジナル版のほうが良い演出がなされていると感じとれる部分も多い。

しかし、ゲーム内容自体にはほぼ問題は見受けられず、むしろ演出面に凝れなかった分多くの改善が施されており、ゲームとしての完成度も他作品同様に非常に高い。
演出面の劣化も過去作をプレイ済みの者だからこそ感じやすい問題点とも言え、見方を変えれば作品自体が「旧作未経験者に向けたリメイクである」とも考えられる。
ゲーム性を含めた何もかもがなし崩し的に悪くなってはいないので、単純に片方の視点から「演出面が劣化したから駄作」と断じるのも早計だろう。


余談

  • 海外版では、ファントマイル語バージョンの声優は日本のままだが、英語バージョンは新たにあちらの声優で録り直され、クロノアの声優は男性に変更されている。
    • しかし、やや低い声となったために「イメージに合わない」「まるでソニックのようだ」と評判はあまり良くなかった模様(参考:英語バージョンプレイ動画)。
  • 原作にもあった、クロノアの育ての親「じっちゃん」がパイプ煙草を吸うシーンだが、本作では北米のレイティング審査機構「ESRB」の目に留まったようで、北米版のレイティングが原作での「E(全年齢対象)」から「E10+(10歳以上対象)」に地味に引き上げられている。

その後の展開

  • 本作以降の展開が途絶えていた『クロノア』シリーズだが、2022年2月10日に『1』『2』のリマスター版『風のクロノア 1&2アンコール』が発表された。
    • 『1』は本項のWii版をベースにしているものの、登場人物の姿や声、ムービーパートに該当する場面以外の演出等を改めてオリジナル版準拠に近づけた内容のリマスターとなる。
    • 対応機種はSwitch/PS5/XSX/PS4/One/Winで、One/Win版以外は2022年7月7日に、One/Win版は同年7月8日に発売された。
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  • 判定不一致

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最終更新:2023年05月28日 16:23

*1 なお、この姿はシリーズでは非常に数少ない、クロノアの素足が一瞬でなくまともに見えるものでもあり、そういう意味でも珍しい服装である。