当頁では『マリオテニスGC』と、その移植版『Wiiであそぶ マリオテニスGC』を紹介する。(判定は共に「良作」)



マリオテニスGC

【まりおてにすじーしー】

ジャンル テニスゲーム
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2004年10月28日
定価 5,800円(税5%込)
判定 良作
マリオシリーズ

概要

簡単操作で、誰でもラリーが楽しめる!」という前作の特徴はそのままに、スペシャルショットやスペシャルゲームなどの新要素が加わり、
おもしろさは断然スケールアップ!さらなる進化を遂げた白熱のテニスバトルが今ここに!
(公式ページより抜粋)

  • 今作はゲームモードを選択後、2人目以降は各コントローラのAボタンを押すことでエントリーしていく方式になっている。
  • 新たに飛びつきショット*1が採用されている。
  • 64版の基本システムはそのままに、ウリであるスペシャルショットステージギミックが搭載されているのが大きな特徴。
  • 前作同様に、隠し要素は全て1人用モードを進めていくことで解放される。

評価点

  • 分かりやすく動かしやすい操作性と、至れり尽くせりの設定
    • 前作に引き続き、操作自体はシンプルかつレスポンスは上々。
    • 操作オプションに「かんたん」・「ノーマル」・「テクニカル」の3つがあり、試合前にXボタンを押すことで変更ができる。
      • 操作オプションの項目としては「スペシャルショットを出すタイミング」・「スペシャルショットの入力方式」・「飛びつきショットの入力方式」の三種類が存在する。それぞれにマニュアル・オートがあり、3つのオプションを切り替えることでこれらを変更できる。
      • とはいえ、通常は「ノーマル」のままで問題ないだろう。充分に腕前が上がり、飛びつきショットの暴発を防いだり攻撃系・防御系スペシャルショットを使い分けたりといった高度なテクニックを使いたくなったならば全てマニュアルの「テクニカル」にすれば良い。
      • 「かんたん」は操作がスティック移動とAボタンだけでほぼ完結するようになるため、子供やほとんどゲームをやったことがない人にオススメ。
    • 試合の設定項目も充実しており、ウリであるスペシャルショットすらON・OFFの切り替えができる。
  • 本作において存在する、勝負を盛り上げる要素
    • 本作と『マリオテニスアドバンス』オリジナルの要素「スペシャルショット」。これのお陰でキャラクターの個性が強く引き出されている。
      • 全キャラに「決め球となりうるだけの性能を持ち、相手が防御系スペシャルショット以外で打ち返した場合様々なデメリットを発生させる」攻撃系と「どのようなショットでもほぼ確実に拾え、また攻撃系スペシャルショットを打ち返した際のデメリットを無効化する」防御系の2種類が存在する。
      • スペシャルショットは攻撃系だと「ラケットをハンマーに変えてぶん殴る」「ボールが虹を描く」「ビールマンスピンの勢いのまま打つ」、防御系だと「『オバキューム』や『ウルトラハンド』等のアイテムを取り出しレシーブ」「コートを埋め尽くす程の分身を出す」「空中を平泳ぎしてボールに追いつく」等、見ていて楽しいド派手な演出となっている。
    • 本作だけの要素「ギミックコート」。コート毎に特徴的なギミックが仕掛けられており、パーティ性が増した。
      • お邪魔キャラがプレイヤーやCOMを妨害するものから、コートの形状そのものが変化するものまで様々なギミックがある。当然ながら、従来同様のステージギミックが無いコートで遊ぶことも可能。
      • 厳密に言えば、シリーズ他作品においても64の「クッパステージ」*2や3DSの「ギャラクシードーム・メタモルコート」*3などが存在している。しかしギミックコートに特化したモードがあるのは本作だけである。
  • 豊富なキャラクターやモード
    • 前作に引き続き、初期から選択できるキャラクターの数はかなり多い。初期状態でも充分に遊べる。
    • キャラ選択時にLで左利きにできる他、隠し要素のスターキャラを解放済みならばRで適用できる。
    • 「エキシビション」の試合モードが「ギミック」・「スタンダード」・「リングショット」・「アイテムバトル」と多彩。
    • トーナメントのダブルスでは前作はパートナーが固定だったのに対し、今作では自由にパートナーを選べるようになった。
  • 見ていて楽しいムービー
    • キャメロットお気に入りのコンビ・ワリオとワルイージに脚光を当てたやたらと長いOPムービーは評価が高い。
      • …尤も、肝心のマリオやルイージ、ピーチ姫といったおなじみのキャラの出番はかなり控えめなものとなってしまっているのだが。
      • ゲーム起動時のスポンサーもこの2人が紹介している。
    • トーナメント優勝時のキャラ別ムービーもかなりはっちゃけた内容のものが多い。
      • 「トロフィーを受け取ろうとしたら、転んで仮面が取れてしまったヘイホー」「はしゃぎ過ぎて貰ったトロフィーを大変なことにしてしまうワリオ」「ピーチ姫に祝福のキスをねだるクッパ」…等々。
      • 極めつけはルイージのキャラ別ムービー。同じマリオシリーズの作品である『マリオ&ルイージRPGシリーズ』での描写からはとても想像できないであろう、衝撃的な光景を目の当たりにできる。ひどいや兄さん!
    • ネタバレになる為詳しくは記述できないが、エンディングのムービーも楽しい内容となっている。是非とも本作をプレイし、その目で確かめていただきたい。

問題点

  • 前作『マリオテニス64』と比較しての問題点
    • 前作に比べボールの軌跡が細く見えるため、特にピーチドーム以外のコートでは視認しにくく、ボールへの反応が遅れてしまうことがある。
      • 同様に、コートのギミックやスペシャルショットのエフェクトでも見え辛くなる。
    • スマッシュを打てるボールの高さ・キャラの立ち位置などがシビアになっており、前作の様にはスマッシュを打ちまくれなくなった。
    • カーペットコートの廃止など、コートの種類数が前作から減ってしまった。
      • それに伴い、コートの特性である「たまあし」と「バウンド」のバリエーションも減少。
      • 一応、ギミックコートのギミックの有無で種類を水増し用意してはいるのだが、前述のボールの見え辛さにより、ピーチドーム以外のコートは選択肢に入りにくい。
      • 前作ではGB版との連動でコートがさらに増やせたが、連動の無い今作ではそれもない。
    • トーナメントでは中盤から2ゲーム3セットマッチとなり決勝戦は2ゲーム5セットマッチと長期戦になった。
  • スペシャルショットに関する問題点
    • 基本的には「確実にポイントを取れるとは限らない」攻撃系よりも「ほぼ確実に相手のポイントを阻止できる」防御系スペシャルショットのほうが強力。
      • 防御系を使えばほとんどあらゆる状況で打ち返せてしまうため、スペシャルショット有りの試合ではポイントが決まりにくく試合が長引きやすい。特に2対2のダブルスでは、常にどちらか(あるいは両方)がスペシャルショットを発動可能な状況が場合が多くさらに長引く。
      • しかも、スペシャルショットの発動に必要な「スペシャルショットゲージ」の消費量は、攻撃系より防御系の方が低く設定されており、防御系の発動頻度が高くなるため余計に長引く。
      • 一方、防御系は緩いトップスピンで打ち返すものが多いため、防御系を発動したところで追い打ちのボレーやスマッシュでポイントを決められてしまう場面もある。
    • 一部スペシャルショットに存在する性能格差。
      • 攻撃系は「球が早く返した相手をコート奥へ押し込む」、「返した相手が動きづらくなる」の大きく2つに分けられるが、ボールが基本的に相手に向かっていくためどちらもそこまで強力ではない。(決め球になりにくいものほどスペシャルショットゲージの消費量が少なく設定されており、発動できる頻度が高い。)
      • 防御系には「自分がボールの近くに移動して打ち返す」、「ボールを自分の位置に引き寄せて打ち返す」、「発動地点から打ち返す」の3パターンがあるが、この中では1つ目のパターンが不遇である。打ち返せなかったボールがコートの端にあった状態では、スペシャルショットで返しても結局逆方向に打たれて失点してしまうことが多いからである。(ただしダブルスではこの限りではない)。
      • 一部キャラのスペシャルショットは、ボールからあまりにも離れすぎていたり、ボールの高さがちょうど良い位置でなかったりするとミスに終わる場合がある。
        さらに問題なのが、このスペシャルショットが不発に終わる可能性のあるキャラの中にシリーズを代表する主役格のマリオの防御系が含まれている点*4。マリオのゲームとしてこれはどうなのか。
    • やはりというか「スペシャルショットによる試合の大味化」を嫌うプレイヤーも一部には存在している。
  • 隠し要素に関する問題点
    • 隠し要素の解放条件がほぼ全てトーナメントの優勝によるものなので作業感が強い。これは前作でも同様であったため、改善が望まれていたのだが…。
      • トーナメントでは必ずスペシャルショットありの設定となっている。上記の通り、防御系ショットで試合が長引きやすいため難易度が高いとかなり時間がかかる。
      • スタートーナメントは前作と違って序盤からCOMが強く、後半には高LVのCOMが対戦相手となるため、腕前によっては相当苦労する破目に陥る。特に最後のトーナメントである「プラネットカップ」の決勝戦はCOMの強さが「MAX」のため勝つのは至難の業。その分達成感も大きいが…
      • ただし負けた場合はその試合からやり直しが可能。トーナメントを一からやり直す必要がないのは救いか。
  • せっかくミニゲームが充実しているのに、こちらはクリアによるアンロック要素がないためこれを残念がる声もある。
    • 但し、これについては純粋にテニスゲームのみを楽しみたいプレイヤーからの「余計なミニゲームを強制的に遊ばされる事が無い」と評価する声も無い訳ではない。
  • COMの強さや行動に関する問題点
    • 隠し要素でもあるCOMの強さ「MAX」が冗談抜きに非常に強く、並のプレイヤーでは歯が立たない。
      • ボールへの反応速度も極めて高く、キャラによってはネットプレイでかなりの鉄壁ぶりを発揮する。特にダブルス戦で前衛がMAX同士だとボレーボレーの激しい応酬を始めるため、どちらかが打ち負けるまで試合がそこで一時的に止まってしまう*5。また唐突に打ち負けてボールが後ろに抜けて来るため、プレイヤーが後衛に回る場合は対処が難しい。
      • この為シングルスでMAXのCOMと対戦する際には、何かしらの策が必要になってくる。
        例えば、チャージしたドロップショットをネットとほぼ平行に高角度に打ってネットかアウトを誘う等。相手の位置によっては効かない場合もあり、ロブで打ち返されるとネットもアウトも回避されてしまう。MAXの攻撃系ショットに対しては、高高度のロブショットで対策可能*6
      • 今までのプレイ記録としてキャラクターごとの対戦表と勝利したCOMの強さが表示される画面があるのだが、全ての欄をMAXからの勝利で埋めるのは至難の業。埋めても自己満足以外の何の意味も無いのがせめてもの救いか。
    • ダブルスの場合、相手側のCOMがあからさまにプレイヤーを避けるように打ってくる。
      • プレイヤーが前衛の時はほとんどロブしか打ってこない。プレイヤーが後衛の時は平然と前衛にばかり打ち返す*7
      • このため、ダブルスでは自分になかなかボールが回ってこない。COM同士が1対2で試合をしているような感じになる。スペシャルショットゲージ(球を打つごとに溜まる)も自分だけ溜まりが遅い場合が多い。
      • プレイヤー2人で組んでダブルスを行うと、2人とも避ける事はできないためか、割と普通に打つようになる。
  • その他、様々な問題点
    • 一部のスペシャルゲームをクリアする際、難易度によっては1人プレイだと結構難しい。
      • 先述の通りクリアしても何もご褒美は無いので、最悪放っておいても実害は無いのだが。
  • 飛びつきショットが使い方次第で極めて強力なものとなる。
    • 一部のキャラクターを使用しベースライン近くでチャージしながら飛びつきショットすると、体勢をあまり崩さずに飛びついて打ち返せる。ショットの威力もそれほど下がらない。
    • このテクニックが可能なキャラクターだと、本来のリーチの2~3倍程度の範囲をカバー出来る。テクニックタイプのキャラクターはほぼ全員が可能で、正確に打ち返せる為デメリットがまるで機能していない。
    • ただ、今作のCOMの強さ「MAX」の尋常では無い強さとパワータイプの強力なストロークショット等の関係上、一種の対抗策として捉えられなくもない。
  • 前作や同じGCの『マリオゴルフ ファミリーツアー』にも存在した携帯ゲーム機版との連動要素が一切ない。
    • これについては、雑誌インタビューにおいて「開発時期の都合で連動要素を入れることができなかった」と語られている。
    • 「その代わり、携帯ゲーム版はそれ単体で満足してもらえるような内容にした」とも語られているが、手塩にかけて育てたキャラで据え置き機版での対戦を楽しみたいプレイヤーは多かったらしく、落胆の声があちこちで聞かれたという。
  • ステージギミックの乱雑さ
    • オバケが多数出現するルイージマンション、ドット絵のコートが特徴的なクラシックコートなどは、演出上画面がかなりごちゃごちゃしており、何が起きているのか、そもそもボールがどこにあるのか分かりづらい。
    • トーナメントでは強制でギミックがONになるが、通常のエキシビションではギミックをOFFにしてプレイすることも可能。ステージとしては良く出来ているのでありがたい仕様。

総評

前作でゲームとしてはほぼ完成されていたので、それをほぼ劣化せずに引き継いだ今作も完成度が高い良作であるといえる。
隠し要素自体もそんなに数は多くなく、がんばればすぐに全部解放できるので、いったん解放さえしてしまえば多彩な遊び方ができる。
また、アイテムバトルが非常にユニークでスペシャルショットの有無に関わらず一味違った面白さがあるため、一見の価値有り。

GC版はコントローラとメモリカードさえあればWiiでもプレイできる。
「スペシャルショットによる大味化や試合のテンポ悪化があるから」と食わず嫌いせず、一度プレイしてみてはいかがだろうか?


Wiiであそぶ マリオテニスGC

【うぃーであそぶ まりおてにすじーしー】

ジャンル テニスゲーム
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2009年1月15日
定価 3,800円(税5%込)
判定 良作

概要(Wii)

『マリオテニスGC』を、「Wiiであそぶ~」シリーズの一作としてWiiに移植した作品。
GCコントローラは一切使えず、Wiiリモコンやヌンチャクを振り回して操作するという大きな違いがある。
キャラの移動やチャージがオートになったが、移動についてはヌンチャクを使って自分で操作する事も可能。ヌンチャクを使わなければソフトの側で自動判断してキャラが移動するようになっている。

評価点・改善点(Wii)

  • 何気に、WiiUでマリオテニスGCを遊ぶ唯一の手段となっている点。
    • Wiiと違い、WiiUはGCとの互換が廃止されたため、WiiUでマリオファミリーのハチャメチャテニスを楽しみたいなら本作一択である。
    • ハチャメチャに拘らず、マリオファミリーがテニスしさえすればそれでいいと言うのであれば、代替手段も無い訳ではないが。
  • 後述する一部要素の変化・削除以外は、ほぼ原作そのままの移植である点。また、GC版からの改善点も見られる。
    • スペシャルショットゲージが追加され、どれ位ゲージが溜まっているのか一目瞭然に。駆け引きもしやすくなった。
    • クローズアップリプレイ追加、16:9のワイド画面対応等により、対戦時はより熱く、より楽しく盛り上がれるようになった。
    • 対戦時に画面分割するようになった。1画面ではどうしても画面手前側のプレイヤーが有利になりがちなので、これも評価点であろう。

問題点(Wii)

  • 操作媒体の変化に起因する内容だが、打ち分けの操作がWiiリモコンを振り回す方式に変更されたため、直感的な打ち分けが難しくなってしまった。
    • 一応説明書を見てみると、数種類存在する打ち分けの操作方法が詳細に書かれているが…不満の声が複数見られる事から考えて、作中でもチュートリアル位は欲しかったところ。
    • 仮にGCコントローラに対応していれば、どうしても慣れない場合にそちらを使うという事もできたのだが。
  • こちらも操作媒体の変化に因る所が大きいが、GC版から大きく変化した、若しくは削除された要素が幾つか存在している。
    • 先に挙げた移動・チャージのオート化に加え、サーブのスピードが全体的に低下。ナイスショットも削除された。
    • ミニゲームの内、メカクッパバトルやゲッソーチャレンジなどはルールそのものが変更された。

総評(Wii)

「GC」とタイトルに冠しており、また実際にGC版の内容が流用されてはいるが、GC版とは全く別物のゲームに仕上がった一作。
Wii Sports』のテニスを、マリオキャラを使って大幅に内容強化したようなゲーム…とでも例えれば分かりやすいか。

勿論『Wii Sports』を楽しめたプレイヤーや、Wiiリモコンでの操作に抵抗の無い方ならばGC版と変わらぬ良作として楽しめるだろう。
しかし単純にGC版の互換として本作を手に取るのは、少し考えた方がいいかもしれない。


余談

  • 本作は任天堂発売のゲームキューブ作品の中でも、タイトルにハード名を冠する珍しい作品の一つだったりする。
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最終更新:2024年03月23日 16:01

*1 使用すると姿勢を崩してしまうものの、普段は取れないようなボールも拾える可能性がある

*2 コートが揺れる。またアイテムバトルの前身でもある。

*3 チャンスショットでコートの性質が変わる。

*4 他に不発の可能性があるキャラはデイジーと、隠しキャラのボスパックン。

*5 激しいラリーの応酬はテニスの醍醐味でもあるのだが、流石にやりすぎではないだろうか…。

*6 COMはスペシャルショットを打てるようになれば即座に打つ習性があるが、ヨッシー以外の攻撃系ショットは高高度のロブを打ち返せない為、防御系ショットが出てしまう。これを利用することで、スペシャルショットを無駄打ちさせられる。しかしこの対策にも「ヨッシーには効かない」という穴があるのだが。

*7 攻め担当である相手側の前衛にみすみすボールを与えるのは、テニスの戦略上好ましくない行為である。