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【すうぃーとほーむ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2Mbit+64kRAMROMカートリッジ
プレイ人数 1人
セーブファイル 1個
発売元 カプコン
発売日 1989年12月15日
定価 6,500円(税抜)
判定 良作
ポイント バイオハザード』の原型
シビアなリソース管理と高い難易度
凝った恐怖演出


概要

1989年1月21日に公開された同名のホラー映画を原作にしたRPG。
悪霊が跋扈する屋敷に閉じ込められた5人のテレビ取材班でパーティを編成し、操作するパーティを切り替えつつ屋敷からの脱出に挑む。

RPGという枠組みの中で原作のホラー映画の世界観を再構築し、独特なシステムによってリアリティある恐怖感を追求した作風が特徴で、『バイオハザード』を始め、後のホラーゲーム全般に影響を与えた。


ストーリー

有名な画家であった故・間宮一郎。
「彼の未公開のフレスコ画が間宮邸内に眠っている」という噂を聞きつけたテレビ局は、
幻のフレスコ画を撮影すべく取材班を編成し、裏寂れた山中にある彼の屋敷に潜入した。
しかし、番組収録を始めた取材班一行の前に、突如、間宮夫人の亡霊が現れ、怒りと共に出口を崩壊させ彼らを閉じ込めてしまう。
取材班一行は間宮邸から脱出するため、悪霊や魑魅魍魎の漂う館の内部へと踏み込んでいく…。

特徴

メンバー切り替え式のパーティ制
プレイヤーキャラはテレビ局の取材班の5人。
「ディレクター・星野和夫」「プロデューサー・早川秋子」「カメラマン・田口亮」「レポーター・アスカ」「和夫の娘・エミ」となる*1

  • パーティーの定員は3名までとなっており、3人パーティーと2人パーティーを編成して探索するのが基本。
    • 各キャラクターにそれぞれ単独行動を取らせることも可能で、戦闘中を除き「合流・離脱・再編成」が自由に行えるようになっている。
    • 戦闘時に限り「よぶ」コマンドで救援を呼ぶことが可能。一時的に別パーティーに操作が移り、制限時間内に合流できれば、その戦闘に限り5人フルメンバーで戦える。
      • 呼ぶ回数に制限はなく、時間切れになって再び呼ぶことで時間切れになった場所から再び移動が可能。
        呼ばれた側が移動中にはランダムエンカウントは発生せず、アイテムを拾ったり進路を開いたりといった行動も普通に可能なため、戦闘を利用して安全に行動させるという形で利用できる。

固有の特徴を持つパーティメンバー

  • 5人の操作キャラには、それぞれ明確な特徴が与えられて差別化されている。
    • 具体的には「体力の大小」「後述する『キャラ専用品』」「武器の装備条件」等で、各自の能力や固有アイテムを使い分けながら進んでいく。
  • 1人で持てるアイテムは「キャラ専用品1個」+「通常アイテム2個」+「武器1個」の4枠となっている。
    • キャラ専用品は後述する間宮邸のカラクリを解くのに必要なアイテムの一つで、他のメンバーに渡せない代わりに通常アイテム枠を消費することもない。例えば和夫の「ライター」は通路を封鎖しているロープを焼き切れる、アスカの「掃除機」はガラス片を吸い取る、秋子の「薬箱」は全ての状態異常を回復できる、田口の「カメラ」はフレスコの文字を読むことができる、エミの「鍵」は鍵がかかっている扉を開ける事ができるなど。使用回数も無制限。
    • 通常アイテムは間宮邸のカラクリを解くために必要となる品や体力/心の力(後述)を回復する「くすりびん」、メンバーが死んでしまった際に使用する代替品(例…先述の「和夫のライター」には「マッチ」が対応)などが該当する。
      • なお、謎解き用のアイテムは敵への攻撃にも使う事が出来る。相手によっては全く効かない場合もあるが、弱点に刺さると武器攻撃よりも高いダメージを与える事も出来る。戦闘中に限り板アイテムや消火器も使用回数が減る事は無い。
    • 武器はナイフや剣、槍、斧などで、男性と女性で装備条件が異なる物もある。また、「対生物」と「対霊」2つの攻撃力が設定されているため、敵との相性も多少は考慮して選択する必要がある。
      • ちなみに防具の類は存在しない。防御力は各キャラのステータス値によって固定されており(最高がたぐちで、最低がエミ)、おまけに戦闘中のコマンドに「防御」がないため受けるダメージを軽減することもできない。
    • キャラ専用品以外の通常アイテムは「その場に置いて行く」ことが可能。不要なアイテムを一時的に置いて行ったり、入手したアイテムと入れ替えるなどして、進行に応じて適切にアイテムを取捨選択していかなくてはならない。

特殊能力「心の力」

  • 体力と対になる、原作映画では「集中力そのもの」と説明されていた精神の力。
    • 探索時は仕掛けの起動、戦闘中は攻撃や敵に掴まれた味方の開放といった用途で使う。
    • ポイント消費制であり、レベルアップによって最大値が伸びる。
    • ちなみに、映画版では限られた人物しか心の力を使えなかったが、本作では操作キャラ全員が使える。

屋敷探索
探索の舞台となる間宮邸だが、中はまさしく「魔窟」と呼ぶにふさわしい状況となっている。
間宮夫人がとある悲劇をきっかけに怨霊と化したため、屋敷内には間宮夫人が呼び寄せた異形の怪物や悪霊が徘徊するようになり、さらに屋敷の手入れも行き届かなくなったために、至る所が破損している。
そんな間宮邸を脱出するにはプレイヤーキャラの協力が必要不可欠となる。

探索の基本

  • 前述した通り、基本的には3人と2人のパーティーに分かれて進行していくことになる。
    • 戦闘では人数が多いほど有利だが、探索では人数制限のある乗り物やパーティを強制解散させるフロアなどが登場し、少人数や単独の方が楽な場合もある。
    • 部屋によっては人魂や幽霊が飛び交っていることがあり、捕まると接触したキャラクター1人が別の場所へ連れて行かれてしまう*2
  • 謎解きの多くは設置されているオブジェクトを調べることで一枚絵に切り替わり、適切なアイテムを使用した後に心の力を使用することでギミックが起動する。
    • 前述の使用量上限のため、レベルが足りないとギミックが起動せず先に進めない。レベル上げがそこまで重要なゲームではないが、ある程度レベルを上げる作業が必要となる。

有限のリソース

  • このゲームでは武器防具屋・道具屋、宿屋といった施設の類は存在しないため、武器・アイテムの一切を現地調達する必要がある。
    • 1人あたりのアイテム所持数が限られているため、効率よく攻略するためには常に「誰に何を持たせていくか」を考える必要がある。
      • ただし、アイテムは各地に点在しているため、かなり遠くまで取りに行かなくてはならないという状況にはなり難いよう配慮されている。
        また、交換コマンドでは、置かれているアイテムを取る際に手持ちのものを床に置けるので「手持ちがいっぱいで必要なアイテムがあったけど取れない」ということはない。
    • また、本作では体力や心の力は、通常アイテムの「くすりびん」を使わないと回復しないうえに、その個数も有限である*3
      むやみに使いすぎると底を突き、「詰み」となってしまうのである。
      • 敵を倒しても得られるのは経験値のみで、アイテムやお金を落とすことはない。また、レベルアップ時に体力や心の力が回復することもないので、ノーダメージで心の力も使わず経験値を順当に稼いでレベルアップしていたら満身創痍になっていた事を考えると、レベルアップの際にある程度の回復は行って欲しかったところである。

戦闘

  • 戦闘時、敵は必ず1体で登場する*4。また、戦闘の行動順は必ず敵がターンの最後に行動となる。また、いわゆる先制攻撃や不意打ちは存在しない。
    • こちらからの攻撃としては通常の武器による攻撃・「心の力」による攻撃のほか、敵によっては特定のアイテムを使うことで大ダメージを与えられるケースもある。
    • 戦闘中、メンバーに掴みかかってくる敵もいる。捕まった場合、味方の攻撃ダメージはすべて捕らえられたキャラが負うことになるため死亡の危険性が高まる。
      • 「心の力」は敵にダメージを与えるのはもちろん、敵に捕まったメンバーを解放するにも使う。戦闘以外の状況を切り抜けるためにも必須とされ最後の最後まで重要になる。
    • また、通常攻撃のみならず、HPを徐々に減少させる状態異常の毒の他、心の力を減らすものなど、ただでさえ限られたリソースを更に削って来る行動が多い。
    • 戦闘終了後に効いてくるものも多数ある。これは一般常識とは違って戦闘が終わった直後に動けなくなったり更にはHPが減り続けたりすものがある、そして数歩歩いてから突然状態異常になるというのまである。状態異常の厄介さもさることながらBGMまで流れて来て恐怖を煽ってくれる。
      • 他には仲間を掴んで人質にしたり、別の場所へ飛ばして孤立させたり危険で悪質なものもある。ただし全体攻撃などの類は一切やって来ない。
  • エンカウント方式
    • ランダムエンカウントについては「セーブした際に歩数関連のデータ(あと何歩でエンカウントするか)が記録される」ので、リセットによる戦闘回避ができない。
    • 一部のエリアではシンボルエンカウント制の敵が存在するが、こちらは逃走が不可能であるため倒すしかない。また何度でも復活する。
  • 死亡する、行動不能にするステータス異常や罠にかかる等の要因でキャラ全員が行動不能に陥るとゲームオーバーとなる。
    • 死亡原因に関わらず、死んだメンバーを蘇生させることは不可能。
    • 「逃げる」コマンドの成功率は高めだが、その入力は個人単位。コマンドが失敗したキャラは取り残されてしまうため狙われ易くなる。
    • 状態異常や敵の特殊攻撃も厄介なものが多く、適切に対処しないとさらにやられる危険性が高まる。
  • セーブは何処でも可能(記録数は1つだけ)だが、システム上ゲーム進行が不可能な状態に陥る場合もあり、その対策として「ぎぶあっぷ」というコマンドが用意されている。
    • ギブアップの次の選択で「あきらめない」でセーブした所からやりなおし、「あきらめる」でデータを消去して最初からやりなおしができる。
  • 生存人数によって内容が変わるマルチエンディングを採用(後述)。

ポルターガイストイベント

  • 探索中に突然シャンデリアが落ちてきたりナイフが飛んできたり銅像が倒れてくるなど色々な形でポルターガイスト現象が発生し主人公たちを襲う。
    • この際は画面が1枚絵に切り替わり、制限時間内に表示される複数の選択肢からいずれかの行動を選んで回避しなくてはならない。
    • 回避に成功した場合は何事もなくやりすごせるが、失敗した場合はプレイヤーキャラがダメージを受ける。
    • 専用の画像まで用意されており見た目は迫力があるがダメージは最序盤としても微々たるもの。

評価点

  • 通常のRPGに留まらないユニークかつシビアな作風で構築されたホラー世界。
    • アイテムやキャラクター毎の能力の違いや、徹底したリソース管理が求められるシビアな作風にホラーテイストを加味することで独特な緊張感や恐怖感を作り出している。
  • RPGとリアルタイム要素の複合
    • 迫りくる配置敵は勿論、ダメージ地帯ではコンスタントにHPが減っていくなど、アクション性も備えている。
  • 「フレスコ画」「通路を塞ぐ赤黒く光る熱い影」や「青白い稲光で封印された通路」「供養塔」といった、原作映画にあった演出がフィールド上の仕掛けやイベントシ-ンでの演出として上手く取り入れられている。一枚絵も用意されており更に臨場感が増す。
  • 凝った恐怖演出。
    • ドアの鍵を開けた際に、主観視点でドアが開くアニメーションが挿入される。
    • 「ギー…」という独特な音色のSEもあって恐怖を煽られる演出である。
    • さらに部屋によっては「人魂が館の中を飛び回る」「音を立てて歩き回る西洋鎧(シンボルエンカウント)」「雷鳴が轟く」といった凝ったギミックもあり、SEも合わさって緊張感・恐怖感がより一層増している。
    • メンバーが死亡するとその様が克明なドットアニメで描写される。男女によって描き分けられており、しかも死んだキャラが死体となってその場に残る。
  • ドットグラフィックの書き込みレベルは当時にしてはかなり高い。
    • マップ画面も、真上視点ではあるが上下左右四方の壁が見えるように作られた室内グラフィックや高低差の概念を導入し、立体的な構成のダンジョンを表現している。
    • モンスターグラフィックもリアルに描き込まれており、恐怖感を醸し出している。更に大型のものやアニメーション処理が施されているモンスターも数多くおり恐怖が倍増する。
    • 敵が登場する際には「生物」と「霊」で演出が若干異なるのも細かい。ただし倒した際でも消えずにそのまま表示され続けるのは甘い。
    • 武器やアイテムにはアイコンまで用意されている。
    • 舞台は基本的に広大な屋敷内であるが、雷鳴の轟く屋外、湖などの野外ステージも存在し、単調に終始しないよう変化がつけられている。
      • 屋外から外への脱出ルートがあるのではと思わせつつ結局は……という形で絶望感を演出する。
  • BGMも非常に質が高く、FCの内蔵音源ながら場面場面に合った楽曲で効果的にホラー的な雰囲気を盛り上げている。
    • 序盤の導入は数十秒にわたる。まず最初は重厚かつ厳かに始まり次第に激しさを増していき締めはフェードアウト。この流れはまさに映画。

賛否両論点

  • 死者が出るほどゲーム進行が厳しくなるゲームバランス。
    • 死亡したキャラの専用品はあきこ専用の「くすりばこ」を除いて使用不可能*5になり、代替アイテムによってアイテム欄が圧迫され、戦闘や罠に引っかかった味方を救援するのもキツくなってしまう。
      • 無論、そうならないよう計画的にプレイする事こそが本作のゲーム性の肝ではあるのだが、仕様上難易度は高めであり、計画性が要求されるゲームが不得手なプレイヤーには厳しい。*6
      • 死亡したキャラが所持していた武器や通常アイテムは回収できるようにはなっている。「キーアイテムを持ったキャラが死亡したので詰み」とはならない。
      • キャラの遺体は死んだ場所から移動させる事が出来ないようになっている。
      • 終盤には非常に危険なトラップまであるが、それで死亡した場合でもキャラの遺体はトラップの範囲外に戻されている。
  • 上述のゲームバランスや評価点の徹底したリソース管理が求められるシビアな作風、RPGとリアルタイム要素の複合で素早い操作を要求される場面もあるため、この時代の普遍的なRPGと比較すると初心者がつまづきやすい内容とも言える。
  • 原作改変
    • ストーリーに大幅な改変が加わっており、結果、不自然な点・矛盾点が生まれてしまっている。
    • これらの原作改変は、元から原作付きゲームであり、RPGというジャンルの枠組みの中で原作映画をゲームとして再現しようとした結果であることは確かだが、不自然さはやはり目に付く。
+ 原作映画との相違点について
  • 映画版
    • フレスコ画家である夫・一郎と共に幸せに暮らしていた間宮夫人だったが、生まれて間もない我が子を手違いで焼却炉で死なせたショックで精神を病み、近所の子供をさらっては焼き殺すという凶行を繰り返した末、自殺。間宮一郎の死後、住む者がいなくなった屋敷は閉鎖されて立ち入り禁止となり、鍵は厳重に管理されていた。
      しかし役所の上役は恐ろしい出来事が起きるという噂が流れていることを知りつつ、許可を求めてきた和夫一行に鍵を渡してしまう。
    • そして、取材班の一人である田口が何も知らないままうかつにも供養塔を蹴り倒した結果、間宮夫人が悪霊と化して復活し、本編への惨劇に繋がる。
  • ゲーム版
    • 導入部は原作と同様だが、細かい部分で相違点がある。
    • ストーリー上の目的が違う。
      • ゲームでは館からの脱出だが、原作では幼少時に母親を亡くすという境遇ゆえに子供を亡くした間宮夫人とひきつけあい、さらわれてしまったエミを救うことである。
    • 館からの脱出がメインであり、原作で見られた仲間内での人間模様は特に描かれていない
    • 和夫一行が踏み入れた時点で間宮夫人が既に蘇っている。「何者かが子供の墓を荒した」ことが原因とされており、和夫一行が原因ではない。
    • 和夫一行とは別に、先に屋敷に進入した先行者たちが何人もおり、彼らは後から来た者達にメモを残していたり、霊になった後も助言をしてくれたり、ある者とは共闘するという場面も出て来る。
    • 悪霊や妖怪といった怪物が跋扈しており「間宮夫人が召喚した悪霊」や「犠牲者の成れの果て」という設定になっている
    • 原作には存在しない執事や使用人が存在していて、彼らから情報を聞き出すことができる。
    • 屋敷が非常に広く、原作内には存在しなかった湖を船で渡っていくダンジョンなども存在する
    • 屋敷の中にも転がる岩、スリップする地形、流砂などのトラップが多い。

「転がってくる岩やトロッコや流砂エリア等、『屋敷内』という設定にはそぐわない仕掛けが点在する」「屋敷内を徘徊する怪物は間宮夫人が召喚した」などの原作離れした設定が多く、ゲームとして成立させるためという事を考慮しても不自然に感じられる点が多い。
「先行者って不法侵入者なのでは?」「使用人たちはどうやって今まで生き延びてきたのか?」といったツッコミどころも含め、「原作の雰囲気を壊している」という意見もないではない。

  • エンディング関連
    • 実は全員生存EDが一番後味が悪い。また、2人生存と3人生存がほぼ同じED。
+ 以下、エンディング詳細ネタバレ注意

取材班一向は間宮邸の探索を進めていくうちに、間宮一郎の残したフレスコ画に隠されたメッセージ、自分たちより先に屋敷に潜入して閉じ込められた人達の書置き、手助けをしてくれた山村と名乗る老人の話などから、屋敷を覆いつくす惨状の元凶が間宮夫妻の子供の死亡事故を発端とする悲劇であること、間宮夫人の魂を鎮めない限り脱出は不可能だという事を知る。
山村と先行者達の死を乗り越え、ついに一行は間宮夫人の魂を鎮める事に成功。生き残った者は崩れゆく屋敷から脱出する…。

  • 全員(5人)生存
    • 間宮の屋敷内の写真を持ち帰り、元々の目的も成功させた取材班は他のマスコミからもインタビューを受けるほどの注目を受けていた。
      その傍らで写真を眺めている男に視点が切り替わった直後、エンカウント時に流れる不気味なSEと共にこちらを振り返る。その顔は、右半分が白骨化していた……。
    • なんとも後味の悪い締め方だが、恐らく「後味の悪さを余韻にして終わらせる」という、ホラー映画のお約束的な演出だと思われる。
    • ちなみにこのグラフィックは中盤で登場する雑魚敵・ふりむきおとこの使い回しである。
  • 4人生存
    • 屋敷全体が見えるほど離れた所から、崩れた屋敷より天へ上がっていく魂を目撃する。それを見送りながら、生き残ったメンバーの一人がこう呟いた。「皆一緒に逃げ出せれば良かったのにね…」と。
  • 2~3人生存
    • 悪夢が終わり、生存者たちのその後を示唆するメッセージが流れ、生存者と死者の数が表示された後、死者の数だけ人魂が黒い画面内を横切っていく。
  • 1人生存
    • ただ一人生き残った者が間宮夫人とその子供、そして犠牲となった全ての人々の冥福を祈り、二度と惨劇が起こらぬことを願って屋敷の跡地に供養塔を建てる。
+ ゲームバランスについて
  • レベル上げが必要な場面が多い
    • 心の力で仕掛けを発動させるイベントが随所に用意されているが、心の力はレベルに応じて増加するため、イベントでの必要量を満たすためにレベル上げのために戦闘する必要が生じ易い。
    • 繰り返しの戦闘は慣れを生み恐怖が薄れることを考えれば、ホラーゲームとして良好なデザインとは言えない。基本的に本作には制限時間もなく、戦闘の消耗を抑えるテクニックもあるため、慣れるほど作業感が強まりダレやすい。
      --メンバーの強化が攻略難度に直結するため、じっくりレベル上げができるのは一概に悪い点とも言えず、難しいところではある。
  • 終盤では序盤の敵を利用するプレイも可能になる
    • メンバーが成長すると、序盤の敵はまるで脅威にならないばかりか、呼ぶコマンドで別パーティを安全に移動させる*7、5人を集合させてくすりびんで全体回復するなど、便利な小技に協力させることも可能。
    • 序盤の敵がやがて雑魚と化すのは他のRPGでも一般的なことだが、恐怖を追求するならどこまで行ってもギリギリの状況を強いるバランスもあり得る。あまりにもゲーム的なテクニックに繋がる点で良し悪しではある。
    • メンバーのHPについても、序盤は100~150なのに対して終盤では4桁まで成長し、少々やり過ぎ感は否めないところ。
  • セーブ仕様
    • いつでもどこでもセーブ可能、しかも回数制限もなし。
    • 状況が悪くなってもロードすれば良いという逃げ道があるので、緊張感を損なってしまうのは否めない。
      • ただし、本作はわずかなミスの積み重ねが命取りになる要素もあり、セーブのタイミングと状況次第では詰んでしまうため、プレイヤー側の適切な判断も求められる。
        元より難易度の高さゆえに試行錯誤を繰り返すことも本作のゲーム性の一環とも言えるので、良しあしではある。
  • 落下
    • 板の上を複数で渡ると耐久力で板が破損してすぐに落下、その際はBGMも危機感を煽ってくるが実は大した事がなかったりする。そして普通の穴も至る所にあるがそちらに落下する事はない、そこが暗闇だったとしても手前で止まるので安心。
      • ただし、板で渡る穴とは違って終盤のうずまき状に流される流砂は非常に危険度が高いと言える。各うずまき流砂の部屋は3つの進入口の内、二つは即座に流砂に落ちる罠の上、渦の中央に飲まれると体力に関係なく死亡してしまうため。
  • 5人で移動する事が出来ない
    • 仕様上、必ず2チーム(3人と2人)に分かれなくてはならない。
      • 移動する際は追従して来るわけでもないので目的地に向かうには2チーム分の操作する手間がかかる。
      • 中ほどまで進むといきなり床が抜けて身動きできなくなる部屋や入っただけで渦状の流砂に落ち一定時間内に他のメンバーで救助しないと即死する部屋もあり、まとまって移動すると一度に全員がはまって全滅するのを防ぐための処置、とも考えられる。
    • 戦闘面では、呼ぶコマンドでかけつけた際もそのターンは行動出来ないので手数を損する。
      • 時間内に来れなかった際は次のターンに持ち越しだが、呼ぶコマンドを再度選択しなくてはいけない。
      • ただし、敵は必ず1体のみかつ行動も一番最後、呼ぶコマンドに便利な使い方があるという仕様を考慮するとフィフティフィフティと言える。
  • 「かたみのふく」と「かっしゃ」がチートすぎる
    • 夫人の部屋のベッドの下を調べると入手できる「かたみのふく」は心の力を全回復する事ができ、「かっしゃ」は移動速度が早くなるという効果があるが、安易に頼るとゲームバランスが崩壊する場合がある。
      • ただし、これらのアイテムのありかはゲーム中ではノーヒントの隠しアイテムなので、普通にプレイしているだけではまず見つけられない。

問題点

  • 一部のアイテム名が文字数制限6文字を超過しており、表記が中途半端になっている。
    • 「ボロボロのい(た)」「じょうぶない(た)」など。
      • 「もろいいた」「かたいいた」などにすれば、文字数制限は回避できただろう。
  • アイテムの位置
    • アイテム取得時、別のアイテムと交換せずに取得し、空白になった場所に再びアイテムを置く事は出来ない。例えば、序盤の暖炉近くのテーブルの上にアイテムをまとめておきたい場合、空白にしないように気を付けなければならない。
  • プログラムミスにより、魔よけの斧を装備しても状態異常を防いでくれない。
  • メニューを開いても、現在の経験値は非表示で分かり辛い。
  • 一部イベントにおいて、キャラクターの配置やコマンド選択次第でプレイ続行が不可能になる。
    • 例えば、湖では重要アイテムを持ってボートに乗ったキャラを丸太で閉じ込める事が出来てしまったりする。こちらは板と違って戻す事は出来ないので注意。意図的にやらない限りはそうならないが面白半分でうっかりセーブをすると取り返しが付かなくなる。
    • その他にもゲームが進行不能になるバグが存在している。詳細は「スウィートホーム バグ」での動画検索で参照されたし。
  • パーティーが3人いる状態で仲間に加えようとしたり別パーティーに加入済みのキャラを勧誘すると相手に拒否されるのだが物言いがどうにも冷たい。
    • 和夫・アスカ・エミには「一人で大丈夫」とそっけなく断られ、秋子・田口には「あなた(お前)とは一緒に行きたくない」と酷い言われ様である。
      • ホラーならではの極限の状況とはいえ、協力して脱出しなくてはならないというのにどうにも不穏さが拭えない感じである。
    • 5人同士のまともな会話は序盤の導入部のみで、ゲーム中では上記以外に会話を交わし合うような場面はない。
  • セーブがいつでもできる仕様上、タイミングを誤ると本当の詰みが発生する。
    • シンボルエンカウントの接触直前にセーブしてしまい、万が一勝てない敵だった場合が該当する。再開してもコマンドが開けないため「ぎぶあっぷ」が選べずどうすることもできない状態となる。

総評

RPGという枠組みの中で可能な限り原作再現とホラー要素を追求し、そこに他に類を見ない独自のシステムを加えることで、ホラーゲームとして、RPG作品としても非常に完成度の高い作品となった。

原作映画が権利問題を抱えている(「余談」に詳細)こともあってか、配信やリメイクが限りなく不可能に近く、プレイするハードルが高いことが悔やまれる。


余談

  • カプコンは本作を開発した後、本作の作風やゲーム性を土台として『バイオハザード』を制作した。
    • 本作同様、シビアなリソースの管理、高い難易度、恐怖演出が大きな特徴となっており、本作の開発チームのメンバーが一部、携わっている。
      • バイオハザード0』では「床にアイテムを置いて手持ちのアイテムと入れ替える」「操作キャラを切り替えて謎解きする」という要素が取り入れられており、本作のゲーム性により近い作風となっている。
  • 山村の正体について。
    • 彼の正体については肝心の原作でも謎のままだが、ゲーム版ではEDにおける執事のセリフに間宮家に非常に近しい存在であるらしいことを示唆する内容が含まれているため、「一郎本人」「夫人の血縁者」「惨劇の元凶たる墓を荒らした人物」など、さまざまな憶測がなされている。
  • 本作は業界のみならずアマチュアの分野にも影響を与えている。
    • 中でもPC向け同人ゲームが初出として知られる『コープスパーティー』は、本作の作風を手本として作られている。
    • また、同じPC向け同人18禁ゲーム『腐界に眠る王女のアバドーン』は、システムの根幹や演出、グラフィックデザインなど、全般的に本作のオマージュ要素が強い作品となっている。
  • 関連書籍
    • 双葉社よりファミコン冒険ゲームブックとして『スウィートホーム 魔性の棲む館』が発売されている。こちらは映画版準拠のストーリーにゲーム版の要素を取り入れた形になっている。
      • 現在はプレミアがついて高騰しているが、それでも本作のファンなら選択肢として考えたい。
    • 御茶漬海苔により原作映画のコミカライズ化がされている。本編の前日譚で30年前の悲劇を描く。一郎と夫人の子は絵理子という娘、山村は一郎の助手、など公式設定かどうかは不明だが興味深い描写がある。
  • 本作は最初AVGとして製作される予定だったが、映画版の監督で本作の制作にもかかわった黒沢清監督より「AVGでは謎が解けない限りゲームが進行せずプレイヤーが退屈してしまう」との提案を受けたことでRPGに変更された。
  • 本作のCMにおけるナレーションは映画版の予告編映像からの改編引用となっている。CM冒頭に出てくる山高帽とジャケットを着てカチンコを持った骸骨も予告版に登場するものである。
  • マルサの女」との関連性。
    • 伊丹十三氏とカプコンによるゲーム化作品は本作の3か月前に「マルサの女」が発売されている。
    • その作中では店員がスウィートホームの映画を勧めて来るイベントも登場する。
  • 原作映画は、公開後に東宝からレンタルビデオ用のVHS版およびLD版が発売されたが、このビデオを巡って黒沢清監督が伊丹プロと東宝を提訴し、裁判沙汰となった。
    • 裁判自体は黒沢清監督の敗訴に終わったものの、伊丹プロ・東宝側はビデオの販売を自粛する対応を取り、VHS、LD版ともほどなく絶版となった。
    • DVD化やブルーレイ化もされていないため、現在これを観賞するにはまだ無事なVHSかLDを入手し、どうにかして再生するしかない。
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最終更新:2023年11月26日 16:19

*1 映画ではそれぞれ山城新伍、宮本信子、古舘伊知郎、黒田福美、NOKKO(レベッカ)が演じている。

*2 これ自体にダメージはないが、飛ばされた先で単独でエンカウントしたり罠にかかるなどして危険に陥る可能性も高まる。

*3 戦闘中に使うと仲間全員が回復するため、離れた場所の仲間を呼び寄せて戦闘に参加させてから使うことで、節約するというテクニックもある。

*4 一部群れで出る敵もいるが群れ全体で1体の扱い、複数回行動もしない。

*5 厳密には「あきこが死亡した地点で使えるだけ」で持っていけるわけではない。

*6 なお、キーアイテムが4つ続けて必要な所では「不足の場合のみ2つ(=1人が持てる上限)使った後取りに戻れる」という仕様があるため、難易度はその分上昇するが、例え最後の1人になっても理論上はクリア可能である。

*7 呼ばれているパーティはランダムエンカウントしないため、救援に駆け付けるという本来の目的を無視して攻略ルートを進むこともできる。