ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー
【でぃしでぃあ でゅおでしむ ふぁいなるふぁんたじー】
ジャンル
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ドラマチック プログレッシブ アクション
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売・開発元
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スクウェア・エニックス
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発売日
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2011年3月3日
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定価
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6,090円(税込)
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廉価版
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アルティメットヒッツ:2012年7月5日/2,667円
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判定
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良作
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ポイント
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システムを全面ブラッシュアップ バランス面や攻略自由度も向上
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ファイナルファンタジーシリーズ
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概要
『ディシディア ファイナルファンタジー』の続編であり、シリーズの完結編。
ゲームシステムを大幅に刷新している一方、ストーリーは「前日談+前作リメイク」という完全版的な構成となっている。
特徴
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ストーリーの大まかな流れは、新キャラが中心である前日談に当たる『012編』と前作をリメイクした『013編』で構成。
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また、クリア後の要素として別の可能性を描いた『知られざる物語』があり、そこではこの戦いの真相が明かされる。
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マップシステムが前作から大幅に刷新。3Dフィールドによるワールドマップが新たに用意され、前作におけるステージマップであったチェス盤型フィールドは「ひずみ」と呼ばれるダンジョン扱いとなった。
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DP(デスティニーポイント)制は廃止され、替わってKP(クポ)と呼ばれる専用リソースが登場。
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ダウンロードコンテンツが増大。追加楽曲やキャラコスチュームなどを購入できるようになった。
先行配信版
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2011年1月18日には先行配信版である『ディシディア デュオデシム プロログス ファイナルファンタジー』が配信(価格/300円)。
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プロログスのデータで手に入れたアクセサリーは本編に引き継ぐことが出来る。また、購入特典としてアシスト専用キャラであるエアリスが本編で使用可能になる。
評価点
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マップシステム刷新によるプレイアビリティの向上。
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DP廃止の関係でコンプ目的でシナリオをリピートする必要がなくなった。前作DPボーナスで得られたアイテムは今作ではKPによる購入となったため単純に入手そのものが容易となっている。
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パーティー編成制の導入により013編最終章にて作品ごとのキャラ同士を当てる事が容易になった。
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013最終編のキャラごとのムービーも1キャラクリアすれば、シアターで全員見る事が可能になった。
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ムービー自体もセシルのパラディン登場増加、カメラアングルやBGMなど細かい部分が手直しされている。
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前作の時点でUMDの容量限界といわれていたがスクエニ独自のデータ圧縮技術により新キャラ・新マップなどが多数追加された。
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キャラクターの追加・再調整。
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新規参戦キャラは「IV」のカイン、「V」のギルガメッシュ、「VII」のティファ、「VIII」のラグナ、「X」のユウナ、「XI」のプリッシュ、「XII」のヴァン、「XIII」のライトニングの8人+本作オリジナルの一体。
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前作では出ていなかった新作キャラ(XII,XIII)や人気キャラ、現在稼働しているオンラインゲーム(XI)が選出されており、概ね好評である。
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それぞれ独自の性能で追加されており、格闘ゲームにありがちな似通った性能・コンセプトのキャラはおらず、新規追加キャラも合わせどのキャラにも個性を持たせることに成功している。
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既存キャラも新技、技調整、EX能力追加等で修正されている。
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追加が一部作品のみとなってしまった点には残念な声も多いが、容量等の面でも追加キャラが一部になってしまった事は仕方ないと言われており、また、新キャラが追加されていない作品は代わりにステージが追加されていたり、マップとしてIのワールドマップそのものが採用されていたりとキャラ追加のない作品にも配慮はされている。
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ステージの追加。
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追加ステージはIIの「パンデモニウム最上階」、IIIの「クリスタルタワー」、VIの「魔列車」、IXの「劇場艇プリマビスタ」。
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ちなみに魔列車に関しては、登場キャラであるティナ・ケフカとも一切関係ないステージではあるが、スタッフのインタビューで「印象に残っている場所の中から面白いか、盛り上がるかなどを確認しながら選ばれた」と語られている。実際、非常に作りこまれておりマップ単体としてみれば評価は高い。最後の隠しキャラを使うと凄く狭いがこれもご愛敬である。
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装備品・アクセサリの性能変化。
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全体的にアクセサリが大きく弱体化したが、新しい性能が増えた。
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新システム
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アシストシステム
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各キャラクターを召喚して援護させる。専用のアシストゲージを消費して使用できる。繰り出す技はキャラごとに固定ではあるが、全てのキャラを使うことができるため攻撃パターンがとてつもなく増えている。爽快感や共闘感など新たな楽しさを生み出した。
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また、アシストは防御にも使うことができ、相手の攻撃を受けた際にアシストを使うと「アシストチェンジ」としてアシストキャラに攻撃を肩代わりさせることができる。
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前作からあったキャラクターをパワーアップさせる「EXモード」と対になっているシステムで、回転率の良いアシスト・一時的に高い効果を発揮するEXという性質の他にも「片方のゲージが溜まりやすい装備にすると、もう片方のゲージは溜まりにくくなる」「アシストを当てると相手のEXゲージを削る」「EXモードになると相手のアシストゲージが空になる」「相手のアシストキャラにEXモードでの攻撃/EXモードの相手にアシストキャラの攻撃を当てると、相手のアシストを封印/EXモードを解除した上でブレイクできる」といったシステムが組み込まれている。
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EXリベンジ
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アシストチェンジの対として導入されたEX側の防御システム。EXゲージが満タンのとき、攻撃を受けた際にEXモードを発動させると一定時間(デフォルトルールで約5秒)自分以外スロー状態になり、攻撃を叩き込めるというもの。この場合EXモードは発動しない。
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プレイヤーがクエストを自由に作成し配信できる「オリジナルクエスト」の追加。
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公式でもストーリーの補完を兼ねてクエストを「モグネット」にて配信している。
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このモグネットを利用することで、フレンドカードの疑似すれ違い交換も可能。すれ違いの環境差に配慮したシステムである。
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今回も小ネタの多さは健在。ヘルプやモグネットに前作のユーザー間で広まった話題に対しての小ネタが多く含まれている事も。
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具体的にはエクスデスを利用した経験値稼ぎ(通称エクスデス道場)についてのネタなど、結構敏感に拾ってきている。
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キャラコスチュームである3rdフォームやダウンロードコンテンツである4thフォームの追加。
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3rd以降のフォームはゲーム中のドット絵を下地にした物や天野喜孝氏によるイメージイラスト、移植や派生作品などが元ネタだったりとネタの幅が非常に広い。
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「どんなコスチュームなら盛り上がるか?欲しくなるか?」がしっかり考えてあるため、ネタが豊富で作りこまれている。
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追加キャラが惜しくも参戦しなかったシリーズのキャラ衣装は(皇帝、ジタン、クジャ、ティナなど)ファンからも喜びを持って受け入れられた。
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ただ、雑誌、ゲームの特典で封入されたものは入手不可能になってしまったものが多く、ファンから残念がられている(スコール、ヴァン、ライトニングなど)。
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値段は音楽・コスチューム共に300円。余ったお金で購入を検討してみてもよい値段である。
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ただし、4thコスチュームは全員に用意されたわけではなく、主人公勢でもフリオニールとティーダの4thは配信されていない。
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他、各作品のアレンジBGMが増大している。戦闘曲にいたってはほぼ全て網羅しているほど。
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戦闘の細部までルール調整ができる。対人戦のバランス調整・稼ぎの簡略化など、どのような方法にしろやりこみ派ならば使い方を見いだせるシステム。
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前述のように「アシストとEXの対関係」を強調したシステムが形成されているが、デフォルトルールではアシスト側が有利でありバランスは若干悪い。そのため、皮肉にもこのシステムの評価を高める結果ももたらしている。
問題点
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データ圧縮の弊害か、前作と比べロード時間が長くなっていたり、ショップでアイテムを売却する際にタイムラグが生じるようになった。
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ロード時間は最大容量でデータインストールしても前作より長め。
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ただしあくまで前作と比べてであり、大体2,3秒くらいの長さである。
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前作に比べてEXモードが使いにくくなり、対戦中にEXモードやバーストを目にする機会が減少し、戦闘が少し地味になってしまった。特にガブラスといったEXモードを主力にするキャラは相対的に弱体化した。
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この不遇な原因の一つにアシストによる「EXブレイク」(EXモード中にアシスト攻撃を受けるとEXモード即解除+相手側がブレイブ追加取得)があり、アシストの使いやすさもあいまってEXモードを使うことにデメリットが大きすぎる。EXモードを発動すれば相手のアシストゲージを空にできるが、アシストゲージは溜まりやすいためEXモード中にアシストを使うのは難しくない。
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アシストにも「アシストブレイク」が存在(EXモード中にアシストを攻撃すると、アシストを一定時間使用不可能にして追加ブレイブ取得)するが、アシストは攻撃後2~3秒ほどでいなくなるため、慣れないうちは狙いづらい。またアシストは敵を地面や壁に叩きつけ、行動できない時に使用してコンボをすることが多いため、デメリットになりづらい。
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皇帝等のダメージ関連のEX能力が無いキャラはクリティカル率が上がるだけの為、「不意討ち」等をセットしてアシスト中に背後に回る等の戦法により攻撃+α+クリティカル攻撃とEXモードよりブレイブを大きく取得できる為に攻撃面でのメリットも少なくなっているキャラクターもいる。
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EXゲージを使った防御システムの「EXリベンジ」を使った「あえて相手の攻撃を食らってからEXリベンジを発動し、相手のブレイブをブレイクして追加ブレイブを得る」という戦法が強いため、同じEX間でもモードを使う必要性が薄くなっている。
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上記の皇帝も、リベンジ中に地雷もしくは機雷をあてつづけたほうがEXモードやEXバーストを行うよりも多大なブレイブを得られる。今作はEXバーストの威力が下がったため、リベンジコンボの方がダメージ効率の良いキャラクターもいる。
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ただこれらの弱体化については、前作ではEX弾きの存在やモード発動時のアドバンテージなどによりEXモードに依存しすぎた側面があったため、対戦の選択肢を広げる方向性として妥当なものとされており、先述したようにバランスに難がある部分は「ルール作成」によりある程度の解消が可能。対人戦の評価は概ね良好である。
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システム調整・アクセサリの弱体化によるキャラクターの弱体化。
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キャラクター調整により全員は上方修正されたと言われているが、上記により弱体化したキャラがいる。
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コスモス勢で言うと、「スコール」と「ティーダ」が挙げられる。スコールはEXモードになると2000近く奪えたブレイブが600~800に減少。ティーダは本作は回避性能が大きく弱体化された為にそれに伴い弱くなってしまった。
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アクセサリが弱体化した理由は「アシストシステム」導入の調整のため、もし前作のままだと…。
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上記のスコールのEXモードでアシストを絡めると4000+αという壊れ性能になる事が続出する為に弱体化したと思われる。
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基本的にすべてのキャラが調整を受けており、「全ての技を均等に使えるように」「弱かった技を強く」といった旨のいわゆるアッパー調整が行われている。はずなのだが、ティナだけは「強かった技を弱く」といった逆の方向で調整されてしまっており、あらゆる技の使い勝手が遥かに悪化した。
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新キャラの一人であるラグナは「ボタン入力で性能が変化する遠距離攻撃」を主軸に戦闘を繰り広げるキャラなのだが、今作で強化されたアルティミシアに同様のコンセプトを持つほとんどの技の性能で負けてしまっている。
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「デュエルコロシアム」に替わって登場した「ラビリンス」は高難易度に見合う程の見返りが殆ど無く(入手したアイテムの大半が本編に持ち越せない)ほぼモード内で完結してしまっているため多くのプレイヤーが不満を漏らしている。
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カレンダーボーナスが適用されないため、キャラを育成するにも不向きなモード。
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ただしラビリンスは旧スクウェア作品のネタが多く、知っているとニヤリとさせられることも。
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CPUの反応が酷くなっている。
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こちらもメニューで強さ調整ができるのである程度改善が可能。本作にはレベル調整(これを利用した大量KP稼ぎも可能)も基本実装されているため、ある意味攻略面の自由度は非常に高いといえる。
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ちなみに無印DFFでできた「エクスデス道場」はCPU強化の関係で出来なくなった。このことから「エクスデス先生」改め「教官」「軍曹」と呼ばれるようになった。
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これに関しては上記の「ルール作成」や「フレンドカードインポート」によるザコゴーストの作成で代用可能であり、設定次第では「エクスデス道場」より容易に稼ぎが出来る。
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新規ストーリーが前作に比べてかなり短い。
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そのため殆どが新キャラのみで進んでしまい、コスモス勢の新キャラと旧キャラの絡みは非常に少ない。一応、スクエニ公式のオリジナルクエストである程度絡みが増える。
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前作のストーリーをほぼ丸ごと遊べるというサービス精神が、逆にこの短さを際立たせてしまっている。それよりは新規の物語に労力や容量を割いてほしかったということである。
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原作の宿敵同士であるヴァンとガブラスが一度も遭遇することなく終わってしまったことも残念な点になっている。
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ミッション(実績・トロフィー的なもの)の減少。特に、先に述べたようにCPUが強くなったのに「何回も負ける」ミッションが無くなったのはちょっと寂しい。
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一部声優の変更
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原作でヴァンを担当した武田航平氏は事務所の意向で参加する事が出来なかったため、代役が割り当てられた。
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とはいえ、代役の小野賢章氏は武田航平氏と声質がよく似ていることや演技もほぼ再現されていたことから違和感はほとんどなく、開発陣から驚嘆の声が上がるほどであった。実際に演技を聞いたユーザーからも好評を持って迎えられている。
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ギルガメッシュは郷里大輔氏が他界してしまった為に中井和哉氏に変更されている。こちらはやむを得ない事情もあり、あまり話題に挙がっていない。
総評
続編というよりは完全版的な内容であるとはいえ、マップやバトルシステムの大幅刷新により、前作部分もほぼ新作感覚でプレイできる。
作り込みも前作以上であり、前作の長所はほぼそのまま受け継いでいる。
特にアクション面はやや大味であった前作からは大きくブラッシュアップがなされており、より多彩かつ自由度の高いバトルが楽しめるようになった。
FFシリーズ好きなら前作同様押さえておくべきタイトルといえるだろう。
余談
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前作・本作のクリエイティブプロデューサー及びキャラクターデザインを務めた野村哲也氏によれば、本作で『ディシディア』シリーズは終了を予定しており、「オールスターゲームそのものはディシディアとは別の形で制作したい」とも発言していた。
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後にニンテンドー3DSでディシディアシリーズの雰囲気を持った音楽ゲーム『シアトリズム ファイナルファンタジー』が発売された。
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また「前作の時点で既にギリギリだったディスク容量を更に圧縮し本当にこれ以上は詰め込めないぐらい詰め込んだため、新作が作られるなら別のハードになるだろう」とも語っている。本シリーズはその後、2015年11月にACへ登場することになる。
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なお、AC版でもヴァンの声優は小野賢章氏となっているが、今作のように武田航平氏に寄せた演技ではなくなっている。
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前作でXIIファンから不評だった、パンネロによるキャラ解説は毒舌が大幅に減って改善された。
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言うまでもなく落ち着いた理由はヴァンが参戦したかららしい。セルフィも「彼女 反省したみたいだから許してあげて!」とフォローを入れている。
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…のだが、何故かクラウドとセフィロスの説明は非常にテンプレめいた形となっているあたり、前作の毒っぷりを完全に払拭していない。
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また、設定上は「パンネロが反省した」ということになっているものの、本来反省すべきは前作のスタッフである。それを含めて彼女に代弁させているのではあろうが。
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前作で形状などが矛盾しているとプレイヤーに突っ込まれ、半ばネタと化していたフリオニールの「のばら」に関して、今作の追加エピソードでフォローされた。
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ただ、フリオニールがただのバラを「のばら」と勘違いして信じ込むくだりは半ばギャグエピソードとなっており、フォローとしては少々無理やりな感はある。
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前作でハマり役以上と言われた千葉繁氏が演じるケフカの迷言に拍車がかかっている。
本作におけるケフカの行動自体は、原作同様冷酷非道だが、一方で千葉氏の(良い意味で)字幕を思いっきりふっ飛ばしたコミカルなアドリブについ聞き入ってしまう。
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以下、千葉ケフカ語録の一例
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「さー兵士さんたち!明日は給料日ですよー、はりきって参りましょうねー。コスモスの戦士達に向かっていくズラ!」(イミテーションの兵士を使い、コスモス陣営と戦わせようとした時)
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「もうかーえろっと。たく生意気なガキだね~。ああ言うのが将来、もうスルメなんかしゃぶりながらさー、子供に勉強しろー勉強しろーとか言うんだよ全く偉そうにー」(ティナを助け、彼女を連れて行ったヴァンに対して)
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太字が千葉氏のアドリブ。この2つなど氷山の一角にすぎない。
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日本語版で彼が長々と字幕に無い台詞を喋るシーンは、海外版ではしっかり字幕付き。どうも正式な台詞として組み込まれたっぽい。
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なお本作のケフカには、「
プレイヤーの姿が見えている
」という、いわゆる第四の壁を破る裏設定がある。
ヴァンの声優の変更について
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本来の声優である武田航平氏は前作でヴァンが出なかったことに悔み、オファーを待つなどかなり乗り気であった。しかし、当時所属していた事務所の都合により参加は出来なかった。この事については公式HPでも告知され、スタッフ側も無念であったようだ。
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特撮『仮面ライダーキバ』に出演した際は役者として順調に成長しており、この声でヴァンの声を聴きたかったという意見も多く、残念と言える。
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また「ヴァンではなくバルフレアが参戦してしまうのでは?」と本気で危惧する予想が多かったため、ヴァンが出ただけでも良しとするユーザーも多い。
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ちなみに当のバルフレアはヘルプキャラであり、フランからは「解説だけの主人公なんて新しいわね」と皮肉られている。
最終更新:2023年10月05日 21:15