真・女神転生 デビルチルドレン 黒の書・赤の書

【しん・めがみてんせい でびるちるどれん くろのしょ・あかのしょ】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
プレイステーション
メディア 【GBC】16MBitROMカートリッジ
【PS】CD-ROM 1枚
発売元 アトラス
開発元【PS】 アクセス
マルチメディアインテリジェンストランスファー
発売日 【GBC】2000年11月17日
【PS】2002年3月28日
定価 【GBC】各4,515円(税込)
【PS】6,090円(税込)
配信 【GBC】バーチャルコンソール:2013年11月13日/各600円
【PS】ゲームアーカイブス:2010年10月13日/600円
判定 なし
女神転生シリーズ

概要

『女神転生シリーズ』の外伝作品。子供を対象としており、かわいらしくデフォルメされたデビル(従来の「悪魔」)や簡略化されたデビルとの会話などが特徴。通称『デビチル』。
当時大量に登場した「亜流ポケモン」の一つで、「2バージョン同時発売で主人公とパートナーが異なる」「通信により友達とデビルの交換や対戦が可能」という要素が存在する。
これ以前にGBで展開していたラストバイブルシリーズから引き継いだ仕様も多い。「仲間に出来るデビルは主人公のレベル+5まで」「会話は仲間のデビルに任せる」など。

後にPSにも移植された。こちらは『黒の書』と『赤の書』を同時収録し、様々な追加要素もある。

特徴

  • バージョンにより異なる合体方法。
    • 『黒の書』では「種族合体」が可能。
      • 異なる種族のデビルを合体させることにより、別のデビルを作り出す。『赤の書』のようにデビルの能力を上げることは難しいが、こちらでは新しいデビルを作りやすくなっている。
      • また、『黒の書』のみの要素として「合体事故」が存在する。種族の組み合わせ次第でランダムで予想結果とは全くの別物のデビルを生み出す事が出来る。
    • 『赤の書』では「混血合体」「純血合体」が可能。
      • 「純血合体」では、同じ種族のデビルを合体させることで、デビルの能力を高めていく。またこの合体を繰り返したデビルが、新たなデビルにランクアップする事も。
      • 一方「混血合体」は『黒の書』の様なタイプの合体方法だが、同じく「ベースとしたデビルの能力を高める」というもので、別の種族のデビルを作ることが難しくなっている。
    • デビルにはレベルアップの要素がないため、合体による強化が主要な戦力アップの方法となっている。
  • 訓練所
    • 「訓練所」へ預けることでも能力の底上げができる。効率はあまりよくないが、種族やレベル据え置きのままパラメータが上がっていくので、レベル不相応に強いデビルを育成することが可能。ただし順当に攻略を進めていると、合体で強化したデビルに追いつくためには、ずっと預けっぱなしのような形になってしまう。
    • 「訓練所」では、この他にもデビルに新たな技を覚えさせる事も可能。ここでも基本的にデビルを預けて一定回数訓練する必要があるが、パートナー専用技(後述)の場合はデビルを預ける必要が無いのが強み。
  • バージョンにより異なるパートナーデビル。
    • 黒の書ではケルベロスの「クール」、赤の書ではグリフォンの「ベール」がパートナーになる。
    • パートナーとなるデビルは主人公の後ろについて回り、会話する事が可能。
    • フィールドやダンジョンで話しかけると背中に乗って移動する事が可能となり、徒歩では越えられない地形を越える事が可能になる。
    • なお、パートナーは合体しても他のデビルに変化する事はなく、純粋にパワーアップするだけの固定枠となっている。
    • また、特定のランクに到達すると、特別な技をパートナーに取得させる事が出来る。
      • これらパートナー専用技はいずれも強力で、激化する戦闘の助けになるだろう。
  • デビライザー
    • 仲間にしたデビルは召喚銃「デビライザー」「キングライザー」の弾に込める事で戦闘に出す事が出来る。
    • 召喚可能なデビルにはクラスがあり、ゼネラル以下は「デビライザー」で、キングは「キングライザー」で呼び出す事が出来る。
      • 各種ライザーには「アタッチメントパーツ」を装備させる事が出来、移動中や戦闘といった機会に様々な効果を及ぼす事になる。
  • ヴィネコン
    • 主人公の持つポケットコンピューター「ヴィネコン」では所持しているデビルのステータスや並べ替えにお別れといった補助機能の他、デビル図鑑「デビダス」も兼ねており、仲間にしたデビルの説明などを読む事も可能。
    • また、ストーリー進行の際に「デビホン」を入手する事で、「ヴィネセンター」(後述)と通信する事が出来、どこでも自由にデビルの出し入れが出来る様になる。
  • ヴィネセンター
    • 仲魔にしたデビルは各町に存在する「ヴィネセンター」に送られる。
      • 「ヴィネセンター」では、所持デビルの出し入れが出来る他、別のソフトとの通信も行う事が出来る。
        本作の通信では、例によってソフト同士での交換・対戦が可能な他、『黒の書』基準での合体も可能。なお、通信合体でしか生み出せないデビルも何体か存在していて、デビダス完成には必須。
      • また、項目の一つ「バトルネット」では、作中に登場した人物や歴代メガテンシリーズのキャラが育てたデビルと戦わせる事が可能で、さながらお祭りゲーに近い性質を持っていると言える。
  • その他サブイベント類
    • 特定の人物と会話する事で受けられる「デビダスクイズ」では、登場するデビルに関する知識を問われる他、クイズの正解数に応じて強力なデビルが手に入る事も。
      • 同人物からは、この他にもデビダスの完成度も評価してくれる。完成度に応じて様々な景品を得る事が出来る。
    • メガテンシリーズでの悪魔達のエネルギー源である「マグネタイト」は、本作では世界の至る所に散らばっていて、集める事で様々な景品を獲得する事が出来る、言わば「ちいさなメダル」的な役割に変化。

評価点

  • 一見子供向けのようでちゃんとメガテンしているストーリー。
    • 登場人物たちは全体的に冷静で、会話内容も淡々としたものであることが多い。よくある勧善懲悪ものではない、ダークな部分を持ち合わせた作風やプレイヤーの選択によるエンディングの変化という点は、本家シリーズのものと同様である。
    • 大筋のストーリーは共通しているが、それぞれの主人公の視点で展開されるためバージョンごとに異なる場面も存在する。
  • デフォルメされたデビルたち。
    • 『黒の書』のパートナーであるケルベロスは、上位ランクになれば従来のように雄々しい姿となるが、最初のランクでは愛らしい犬のような姿となっている。他のデビルも、恐ろしさを感じさせながらもどこか可愛げのあるデザインとなっている。
    • 一部デフォルメされていないデビルも存在する。例に、パートナーの最終形態やルシファー、パワー等。
    • 登場するデビルは200種類以上。複数のデビルの中から1匹を選ぶもの、1匹しか仲魔にならないものもいるため、1周しただけでコンプリートすることは出来ない。
    • 一部のレアなデビルはサブイベントをクリアすることで入手できる。これらのサブイベントは「お墓から怪しい声がする」「湖には化け物がいる」などの誰もが一度は聞いた事のあるような怪談や伝承がベースになっているものが多い。
  • 便利ボタンのBボタンでのダッシュの他、他の処理のスピードも上げる事が出来、それによりストレスフリー。
    • Bボタンで処理スピードを上げる事が出来るものは他に、合体時や、ランドを移動する時のワープのエフェクト等。

特徴・評価点(PS版)

  • イベントシーンに、アニメ版の声優による音声が付くようになった。
  • 新しいデビルも多数追加されている。
  • 登場しているデビルのデザインはGB版『白の書』(後述)に準拠している。
    • 「キツネのナマモノ」の名称も「タヌキのナマモノ」に変更されている*1
  • 通信システムはメモリーカード内のデータ同士で交換・合体・対戦が出来るようになっており、タイトル画面からいつでも実行可能となっている。
  • バトルネットの項目に「プレゼントカップ」が追加。同モードでは相手に勝つとアイテムや特別なデビルを獲得出来るモードになっていて、ようやくバトルネットが改善されたと言える。

問題点

  • 会話システムが簡略化され過ぎている。
    • 会話を始めると表示されるのは「何か話しているような吹き出しと結果」のみ。本家シリーズのような多彩な会話内容を期待すると物足りないものとなる。
    • これはこれでシンプルながらとっつきやすく、楽しめるとも言えなくはないが。
  • ストーリー上の会話が長い。 しかもスキップ出来ない。
  • 黒の書がゲームバランス的に難しいために不遇。
    • 黒の書にはパートナーが属性的に不利な為にかなりの苦戦を強いられるボス、キングフロストが存在する。キングフロストはラスボスよりも強力に感じられる程である。更に、ラスト前のダンジョン、ダークパレスにレベルのとりわけ高いデビル、トウコツが出現する。このデビルは属性的には有利なのだが、レベルがとても高いために先制攻撃を連発してくるので、レベル上げがなかなかまともに出来ない。回避方法は、ファイアーランドでレベル上げを行うしかない。
      • それに比べて、赤の書の難易度は黒の書に比べると簡単。その現象はまるで、初代ポケモンでヒトカゲを選んだ時のデジャヴを見るようだ。
  • それぞれのバージョンの必要性、通信交換の必要性が分かり難い。
    • 赤の書特有の純血合体を重ねるとランクアップして別のデビルになるが、変化先の大半が黒の書では入手不可。一方、黒の書特有の合体事故で作れるミュート族のうち一部は、赤の書では入手不可。
    • つまりこれらを補うために通信交換が必要という事になるが、それが分かり難い。
  • 魔法関連
    • 本作では歴代メガテンシリーズの魔法も多く登場しているが、携帯機発売に伴う容量の関係なのか攻撃魔法の場合は単体攻撃だと「アギラオ」「ジオンガ」といった中級クラスまで、全体攻撃だと「マハラギ」「マハジオ」といった初級クラスまでしか存在しない。回復魔法は上級クラスが存在するのに…
      • ただ、本作での中級魔法の威力は上級と同等のレベルに引き上げられているのが救い。故にファミ通から発売された攻略本では「上級」と記載されていた。
      • 続く次回作『白の書』では全体攻撃魔法のみ上級クラスまで実装された。両サイドに上級クラスが設定されるのはGBAの『光の書/闇の書』まで待つ事になった。
    • また、回復魔法の方は上級まで存在するが、「ディアラマ」及び「メディアラ」類の中級クラスを覚えるデビルの数が少なく、回復魔法のバランスがおかしな事になっている。
      • この為、「中級クラスのステータスを持つデビルにもかかわらず回復魔法は1ランク下のディア・メディアでしょぼい」という現象も頻発する事に。
      • こちらは『白の書』では特に改善は見られていないが、『光の書/闇の書』でようやくバランスが見直される事になった。
  • バトルネットについて
    • バトルネットは育てたデビルの腕試しが出来る格好の場所なのだが、相手を倒しても景品を獲得する事ができない。
    • この点に関しては次回作の『白の書』では改善されなかったが、後に赤・黒の書がPSに移植された際に追加された「プレゼントカップ」の導入によって改善される事になった。

問題点(PS版)

  • 他のPSのゲームと比べてもロード時間が長い。ボイス導入の影響もあると思われる。

総評

とっつきやすいデザインやシステムは好評で、後に多数の続編が制作されている。
これまでファンの居なかった低年齢層に、部分的とはいえ女神転生シリーズの世界観の魅力を示した功績は非常に大きいといえるだろう。ここから女神転生シリーズを始めたプレイヤーも多い筈である。


その後の展開

  • 2001年7月27日にマイナーチェンジ版にあたる『白の書』も発売。
    • ただし、ストーリーが『黒』『赤』の数ヶ月後で第3の主人公が活躍する全くの別物に変更されていたり、エリアマップの変更や合体方式も新規の物に加えて両バージョンの物が採用されていたりと、ほぼ完全新作とも言うべき代物になっている。
    • 前述通り、PS版のデビルのデザインは本作に準拠している。
  • シリーズ新作として、2002年に新作『光の書・闇の書』、2003年に『氷の書・炎の書』『パズルdeコール!』、2004年に『メシアライザー』が発売。
    • これらは本項の『黒・赤・白』から登場人物が一新されたシリーズとなっている。

余談

  • メディアミックスも多数展開された。以下は『黒の書・赤の書』がベースのもの。
    • アニメ版『真・女神転生デビチル』(2000年10月~2001年9月、TBS系列)。
      • 「子供向け」を前面に押し出した明るい雰囲気で、ゲーム版プレイヤーの好評を受けた。*2
    • コミックボンボン誌での漫画版『真・女神転生 デビルチルドレン』。藤異秀明作。
      • コミカライズに伴いとてつもない暴力的な描写が全編に渡り展開され、は従来のメガテンファンから絶賛された*3。また、藤異氏は続編『ライト&ダーク』の漫画版も手がけている。
    • 『真・女神転生 デビルチルドレン カードゲーム』
      • 本作の発売と近い時期に展開された、言わばポケモンカードゲームや遊戯王OCGの後追いで乱発されたゲーム・漫画モチーフのカードゲーム類の一種。
      • 割と好評だったのか、GBA『光の書/闇の書』発売辺りまで続いていた模様。
  • スフィンクス系の公式イラスト。
    • 本作に出現するデビルのうち、ゲーム中と公式イラストのキャラデザが大きく違っていた物が存在する。
      • そのデビルは、ライバルのナガヒサのパートナーである「スフィンクス」。同デビルはゲーム上では初期から順当に進化していると察すれるキャラデザになっているのだが、公式イラストの物は初期クラスこそゲーム側と同一のデザインであるものの、クラスアップすると何故かスレンダーなデザインにガラリと変化してしまい、最終進化の「ネオスフィンクス」ともなるともはや「誰?」としか言いようが無い物になっていた。
        ちなみに、このスフィンクスはアニメ版にも重要ポジションのキャラクターとしてちゃっかりと登場していた。
      • もっとも、上位スフィンクス種自体、『白の書』が発売された際に原作には忠実な公式イラストが製作されている。公式側も流石に「まずい」と思ったのだろう。

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最終更新:2023年01月21日 22:58

*1 漫画家・柴田亜美氏の自画像を元にしたデビル。その自画像はタヌキをモチーフにしているため「キツネ」という名前はふさわしくない。これは同氏の漫画内でもネタにされた。

*2 刹那役の森久保祥太郎氏とメッチー役の釘宮理恵氏は、『ペルソナ4』でそれぞれ花村陽介、久慈川りせ役として出演している。

*3 その描写から『児童誌のベルセルク』という異名がある。