本項目ではスーパーファミコンソフト『ロックマンX3』と、その移植版であるPS/SS/Win版の紹介をしています。判定はいずれも「良作」。



ロックマンX3

【ろっくまんえっくすすりー】

ジャンル アクション
高解像度で見る
裏を見る
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 カプコン
開発元 水口エンジニアリング
発売日 1995年12月1日
定価 10,094円(税込)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2014年10月8日/823円(税込)
【New3DS】2016年11月21日/823円(税込)
判定 良作
ポイント 多くのシリーズ良作を手掛けたメーカー開発の外注作品
ゼロの初プレイアブル化
新要素は豊富だがやや練りこみ不足
内容自体は正統進化で十分遊べる
ロックマンシリーズリンク


イレギュラーハンター エックス&ゼロ 出動!!



概要

『ロックマンX』シリーズ第3作。基本的な仕様は前作に準じている。スーパーファミコン最後のシリーズ作品であり、また初めて他機種へ移植された作品でもある。

ロックマンXシリーズでは唯一の外注作品であり、そのためか前二作と比べて若干イメージと違う部分も散見されるが、外注先は稲船氏も認めた良作「ロックマンワールド」シリーズ等を手掛けてきた実績がある。


ストーリー

カウンターハンターと復活したシグマとの戦いを制したエックスは、
イレギュラーハンターに復帰し第0特殊部隊隊長に転属したゼロと共に、未だ増え続けるイレギュラーの掃討任務に従事していた。

そんな中、科学者型レプリロイド・ドップラー博士は、レプリロイドのイレギュラー化の原因が
コンピュータウィルス『シグマウィルス』であることを突き止め、抗体ワクチンの開発によって
イレギュラー発生の減少に寄与することとなった。

それから数か月後。
人間とレプリロイドの共生を目指す平和都市「ドッペルタウン」建設を指揮していたドップラー博士であったが突如豹変し、
ドッペルタウンへ招かれ抗体ワクチンを注入されたはずの特Aクラスのレプリロイド達を操り、人類に反旗を翻す。
イレギュラーハンターはドップラー博士をイレギュラーと認定し、
エックスとゼロの両名にドップラー博士の捕獲およびドップラー軍の壊滅を命じるのだった。

しかし、出撃から数時間後…突如ドップラー軍がイレギュラーハンター本部を強襲する事態が発生する。

こうして、エックスとゼロの三度目の戦いの幕が上がる。


特徴

  • 新システム「ゼロチェンジ」
    • X1』から登場している人気キャラクター「ゼロ」に交代してステージをプレイできるようになった。幾つかの条件付きではあるものの、ゼロを操作可能になったのは本作が初。
    • ステージ道中にスタートボタンでメニュー画面を開き、Rボタンを押すことで「ゼロ通信モニター」が出現、
      応答しないタイミングもあるものの、ここで更にスタートボタンを押すことで、1ステージ中に1度だけゼロへ交代できる。
      • 同じ操作でゼロからエックスへ再度交代もできる。
  • ライドアーマーが収集要素の1つとなり、ステージ内の転送機から任意で呼び出せる。
    • 『X1』の性能に近い基本型「キメラ」、攻撃力とリーチを強化した「カンガルー」、飛行能力と飛び道具を持つ「ホーク」、水中特化仕様の「フロッグ」の4機を使用可能。
    • キメラ以外の3機はキメラのカスタムパーツであるため、キメラを入手(特定のステージ内で敵に捕らえられているキメラを解放し乗り込む)しなければ呼び出せない。しかし、3機用の各カスタムパーツ自体はキメラを解放する前から入手することは可能。
    • 敵からの攻撃により、現在搭乗中のライドアーマーが大破してしまうと、そのステージ内ではライドアーマー自体を使用できなくなる*1。なお、フロッグ以外のアーマーで水中に入るとそれだけで大破してしまう。
  • 従来通りの強化アーマーパーツ4部位分に加えて、各パーツに新機能を追加する「強化チップ」が登場。
    • 前二作同様の パーツを封じた青カプセル の他に、 チップを封じた赤カプセル が別途用意されており、結果8ボスステージの全てでなんらかのカプセルが配置される形となった。
    • ただしチップは原則として4種類のうち1つしか入手できず、取得後に他のチップへの切り替えも不可能なため、慎重な選択が求められる。
  • 新アクション
    • 今作のフットパーツ能力「ヴァリアブルエアダッシュ」により、前作同様の空中の横エアダッシュに加え、上方向のエアダッシュも可能に。
      前述の強化チップ「フットチップ」を取得すれば、「二段エアダッシュ」*2も解禁される。
    • アームパーツ取得後の強化チャージショットは「クロスチャージショット」。
      • 3,4段階のチャージができるようになる。前作同様に2発連続でチャージショットを発射するスタイルとなっている。
      • 最大チャージのショットは特殊な性質を持ち、1発目の低速チャージショットに、2発目の通常チャージショットを重ねることで、上下に膨らむ5列の拡散ショットへ変化し広範囲を攻撃できる。
    • 今作のチャージ版特殊武器は、弾を頭上に撃ち上げたり、拳を地面に叩きつけたりといったモーションが追加され、更にバリエーション豊かになった。
  • 新たなステージ乱入ボス
    • 前作のカウンターハンターに続く「ステージ乱入ボス」として、VAVA MK-IIと、ナイトメアポリスと呼ばれるドップラーの側近のヴァジュリーラFF、マンダレーラBBの計3体が登場する。
    • この3体は、弱点の特殊武器でトドメを刺したかどうかで展開が分岐し、弱点以外の攻撃で倒した場合は「逃走」扱いとなり、後のステージで再登場となる。
      • 弱点武器で仕留める事に成功した場合は「討伐成功」となり、その場で爆散。後のステージには代わりのスペシャルボスが配置される。
      • 後述の隠し要素入手のためには、乱入ボスの1体であるVAVA MK-IIを弱点武器で破壊することが1つの条件となる。
  • 『X1』同様、特定のステージをクリアすることで別のステージ内に変化が起きるという仕様が復活した。
    • 全体的に広々としたオーソドックスな地形が多く、この点も『X1』と共通。
  • ステージ決定時のデモンストレーションは、本家/Xシリーズ含めた全ロックマンシリーズ中、唯一スキップ可能。

評価点

ストーリー関連

  • シリーズの方向性を決定づけたストーリー描写。
    • 本作で提示された「シグマの正体はプログラムウィルスで、レプリロイドがウィルスに感染するとイレギュラー化してしまう」という設定は、後の作品でも重要なファクターとして受け継がれている。
    • 過去作の8大ボスは自らの意思でシグマに加担した元イレギュラーハンターが主であったのに対し、本作では「本来非戦闘分野で活躍する善良なレプリロイドがシグマウィルスに侵され凶暴化してしまった」というボスが半分を占め、これまでとは比べ物にならない悲壮感が漂っている。
      また、元イレギュラーハンターのボスとしてはエクスプローズ・ホーネックとグラビティ・ビートブードが存在するが、彼らがドップラーに就いた経緯も一抹の悲壮感を与えている。
      • ホーネックは、上司のゼロがドッペルタウン建設の会議に招待された際、多忙であった彼に代わって出席し、そこでイレギュラーに変貌させられてしまったという経緯を持つ。
      • ビートブードは、過去作のボス同様に自らの意思で裏切ったのだが、その動機は「兄のブーメル・クワンガーを破壊したエックスへの復讐」というもので、過去の戦いで生じた遺恨が生々しく描き出されている。
    • こうした描写は、本家シリーズと比べ暗くシリアスなXシリーズの雰囲気をより一層際立たせており、後の作品においても悲劇性を重視したストーリーが展開されるようになった。
  • ゼロのプレイアブル化
    • 後述する制限要素の多さなどの問題はあるものの、それでも多くのプレイヤーから歓迎された。
    • 初期状態のエックスの16ライフを大きく凌駕する28ライフを有する。その上4段階のバスターチャージが可能であり、前作の終盤に披露した、ゼロ専用チャージショット「ハイパーゼロブラスター」と「ビームサーベル」による3連撃が再現可能と、序盤では即戦力として機能する。
    • 特に最後に放つビームサーベルの一撃は強力無比。
      • ただし、今作では8ボス由来の特殊武器の使用や、サブタンクによるライフ回復は出来ず、ボス部屋への入場もできない。
    • 今作では気軽にライドアーマーに乗り込むことが出来ない為、その部分を補完するような意味合いも含められている。
  • VAVAが復活した。
    • 『X1』でエックスに敗れたということで、彼への憎悪を感じさせる台詞が多い。エックスとはまた違った意味で人間臭いキャラとして描かれている。
    • 対VAVA戦では、ライドアーマーと本体の2連戦。実質2形態であり、それぞれで全く別の戦法が必要になる。ドップラーステージでは、新たな攻撃パターンが追加される。
      • 初戦ではX1に比べて早い段階で戦うためか、動きがかなり遅くなっているが、ドップラーステージではX1の時よりもさらに速い動きになっている。

ゲーム性

  • ダッシュ関連のアクションが強化された。
    • ヴァリアブルエアダッシュによって、上方向への移動能力が大きく向上する。このため、疑似的に二段ジャンプやホバリングのようなアクションが可能。
    • 強化チップによって、さらにエックスの移動能力が向上する。
      • ダッシュジャンプした後、さらにエアダッシュができ、飛距離も伸びる。より軽快な動きが可能。
      • いわゆる「ねずみ返し」と呼ばれる地形を、ダッシュジャンプなどと組み合わせることで簡単に突破できるようになる。
      • 各エアダッシュを連続で使うことで、空中に留まれる時間が延び、敵の攻撃をやり過ごしやすくなる。
  • シリーズで最も多くのライドアーマーを使用可能。
    • それぞれのライドアーマーの個性がはっきりしており、一部アーマーはパワーアップチップの入手に必須となっている。
    • また、1つの作品で複数のライドアーマーを使えるようになったのはシリーズ初。
  • 特殊武器の使い勝手の良さは健在である
    • 仕様がわかりづらく、使い所が局所的過ぎる「パラスティックボム(通常版)」「バグホール」など、使いにくい物も確かに存在するが、それ以外はクセも少なく使いやすいものがそろっており、後述のクロスチャージショットの問題点を十二分に補ってくれる。
    • 威力が高く、通常、チャージ版含めて広範囲を攻撃可能な「スピニングブレード」
      前方の広範囲に複数の弾をバラまく「レイスプラッシャー」
      敵に当てるとライフエネルギー回復アイテムが出やすく威力も高い上、チャージ版では氷の盾を作成出来るほか、水中では大きな氷の塊を足場として使用できる「フロストシールド」
      エックスの周りに三角形の電撃バリアーを張ることができる「トライアードサンダー」
      以上はX3における特殊武器の4強である。
    • また「アシッドラッシュ」は強い武器ではないが、武器エネルギー回復を出しやすいという特性があり、チャージ版を惜しみなく活用してメインとして使い続けるほか、上記の強力な武器のエネルギー補充用としても力を発揮する。
    • ただの攻撃手段ではなくギミックの動作もさることながら、アイテムドロップと言う新しい付加価値も打ち出している。
  • ドップラーステージでは、8ボスステージにて乱入ボス(及びVAVA)を弱点武器で破壊できたかどうかで、ボスが変化する。
    • このような仕掛けは周回プレイを誘う要素となっている。前作のゼロ絡みのシステムの発展とも言え、2周目以降に新鮮な感覚でドップラーステージに挑むことができる。
    • ドップラーステージ2に至っては地形こそ同じだが、背景の窓ガラスや壁面に損傷がない・最後の縦長エリア以外のザコ敵が変わる・中ボスが登場、などの変更により、ほぼ別ステージと化している。
  • 8体ボスの紹介デモンストレーションがスキップ可能。
    • Xシリーズひいては本家ロックマンシリーズでもおなじみの演出ではあるが、周回プレイにおいてはテンポを損ない煩わしく感じることもあるため、意外に便利な機能である。
    • なお、スキップ可能なのはシリーズ通じて本作のみ。デメリットは特にないはずなのだが、以降の作品で採用されなかった理由は不明*3
  • ステージセレクト画面において、『X2』では撃破したボスのアイコンが砂嵐画面に変化していたため、どのボスを撃破したのか分かりづらかった。それに対し、本作ではボスの顔グラフィックをモノクロームにしたアイコンになったので分かりやすい。
  • 隠し要素が豊富
    + 隠し要素ネタバレ
  • ハイパーチップ
    • 本作に登場する4種の強化チップは、獲得できるのは1種のみであり、どれか1つを入手すると、他の3種の強化チップは、それぞれ該当する赤カプセルに到達しても、組み込めなくなってしまう。
      …というのが通常の仕様だが、4種のチップの機能拡張を全て備えた「ハイパーチップ」を封じた5つ目の赤カプセルが存在し、これを取得すれば実質的に全てのチップをコンプリートした状態にすることが可能となっている。
    • 入手するとアーマーが金色に輝き、フルアーマー状態からさらに強くなったことが一目瞭然となる。
      • 「ライフエネルギーゲージ全快」「フル装備状態」「強化チップ未入手」という条件を満たした状態で、前作の昇竜拳を思い出させるような隠し部屋に赤カプセルが出現する。入手時期は8ボス撃破後になるが、それでも攻略上活用できる場面は多い。
  • ビームサーベル
    • 特定の条件を満たすとドップラーステージ2で特殊イベントが発生し、ゼロの戦線離脱と引き換えに、ゼロのバスターフルチャージ攻撃「ビームサーベル」をエックスが使用可能になる。
      複数のイベント発生条件が重なるために自力発見は難しいが、その労苦に見合った強烈な性能を有する。
    • ゼロの活動範囲では、基本的に相手がザコ敵のみだったため実感しにくかったが、「あらゆるボスを2撃で沈める」破壊力のままボス戦時の使用が解禁され、驚異的な威力の高さを存分に発揮できる。
    • 特別なコマンドの入力が求められることがなく、最大までバスターをチャージするだけで発動出来るため、前2作の「波動拳」や「昇龍拳」から比べると運用方法は極めてシンプル。また、ライフエネルギー残量に関係なく使用できる。
    • フル装備状態が入手条件だった波動拳、昇竜拳とは異なり、ビームサーベルはエックスの強化状況を問わず取得可能。そして密かにアームパーツの有無で使い勝手が大きく変化する
      • アームパーツ未取得の場合、通常チャージショットの後にそのままサーベル攻撃へと移行可能であり極めて連打性能に優れる。しかし、アームパーツが必要なアイテムが入手できない上に、敵に接近しないと当たらないというリスクを背負うため、玄人好みの仕様といえる。
      • アームパーツ取得後はサーベル攻撃が斬撃波に変化し遠距離攻撃が可能になる。しかもこの斬撃波は、ボスエネルギーゲージの2/3を奪う多段ヒット判定となり、直接斬るよりも威力が高い。
        その代わり、サーベル発動までに要するチャージ時間が延び、サーベル攻撃前にチャージショット二発分を撃ち尽くす必要があり、連打性能が損なわれるという欠点も発生する。
    • 以上のことから、どちらの仕様でも規格外の威力を持ちながら運用しやすい隠し武器と言える。ドップラーステージ後半において、簡単な操作でボスを次々秒殺できるようになるのは非常に爽快。
      • 実質的に、連打性能を取るか、長射程と高威力を取るか、「異なる性能の隠し技二つから一つを選択する」という分岐点としても作用し、この点でも周回プレイを誘う要素であるといえる。
  • 前述の、乱入ボスとの戦闘結果に応じたステージ内容の変化も隠し要素の範疇と言える。
  • ゼロが使用可能な状態かどうかで、エンディングの内容が若干変化する。
    + シナリオネタバレ
  • シグマ戦終了後、ウィルス状態のシグマによってエックスは追い詰められる。
    • しかし、テーマ曲と共にゼロが颯爽と現れ、シグマウィルス用の抗体ウィルスを組み込んだビームサーベルでシグマを撃退する。
      ゼロが戦線離脱している場合は、こちらもテーマ曲と共にドップラー*4が現れ、抗体ウィルスを纏ってシグマに突撃し、エックスや犠牲となったレプリロイド達に謝罪しながら、罪滅ぼしとしてシグマを巻き込んで自爆する。
      • それぞれで路線は異なりながらも熱い展開となっている。
  • 隠し要素や、チップの取捨選択、終盤のステージ・ボス・EDの変化など周回プレイを誘う分岐展開が多く、ここはSFCの3作で一番優れているといえる。

賛否両論点

  • BGMについて
    • 作曲者は前作の岩井由紀氏*5から、『悪魔城ドラキュラ』や『メダロットシリーズ』で有名な山下絹代氏へと交代している。
      • 全体的に、ディストーションギターを多用したヘビィロック風になっているのが特徴で、暗く重い雰囲気でありながらノリの良さを備えており、場面や背景としっかりマッチしている。一方で賛否が割れるのもまさにそこであり、「似たようなメロディ・音質」「音質が全体的に重い」「単調なリズム」は決して的外れという訳ではない。プレイヤーの好み次第で評価が大きく変わりやすい作風と言える。
      • 勇壮感に満ち溢れているゼロのテーマ、哀愁漂う曲調が背景の夕日のイメージと合致したビートブードステージ、躍動感と疾走感のあるメロディーのドップラーステージ1など印象に残りやすいBGMも揃っており、サウンドの品質は十分に高い。
    • なお、プレイステーション、セガサターン、Windows版のアレンジ曲の評価も賛否両論である。詳細は後述。
  • クロスチャージショットの仕様
    • 3段階目以降のチャージショット1発目はその低速度ゆえ、遠距離や素早い相手に単発で当てづらく、クロスさせた場合も一度後退してから前進するため、相手に着弾するまで時間がかかり、利用できるシーンが限られる上に処理落ちもしやすく、手軽に爽快感を得ることが難しい仕様となっている。
      • アームパーツ無しの状態と比較して攻撃能力は確かに向上しているのだが、前作のダブルチャージショットよりも火力は控えめ。その性能上、攻撃の度に少し足を止める必要があるため、いっそのことアームパーツ無しのほうが快適と感じてしまうプレイヤーも多い。
      • しかしアームパーツの特徴である「特殊武器のチャージ」は健在で、これがないと入手できないアイテムが例に漏れず存在するため、結局のところアイテム回収のためには必要不可欠となる。
    • 火力とスピード感に欠けるクロスチャージショットだが、その最大の長所は防御・迎撃性能にある。
      • クロスして一度その場に留まり拡散する特性上、撃ち落とせる敵の弾に対するバリアとしての運用ならば非常に効果的。 このため、ホーネックやシーフォース、ラスボスなど弾幕が激しい敵に対してはクロスチャージショットによる範囲迎撃が光りかなり有利に戦うことができる。
      • 壁を滑りながら撃てば、地上より素早くクロスさせられるので敵の弾をより防ぎやすくなったり、弾速が遅く威力の高い中心のショットにダッシュジャンプ等で追随することで小粒な敵を倒しながらの強行突破など、拡散ショットを盾に突撃する活用法も強力。
      • 本末転倒ではあるが、あえてクロスさせずに一発ずつ当てると、総合的な威力はクロスチャージショットより高くなるため、体力の高めのザコ敵には至近距離からの2連射が効果的。またボス戦では前作のように2連射しても無敵時間無視ヒットはしなくなってしまったが、少し間をあけて1発ずつ当てればやはり高いダメージを与えられる。
      • 相手や状況に合わせて、上記3つのテクニックを使いこなすことが出来れば、近距離では強力なダブルチャージショット、遠距離では防御を兼ねた広範囲攻撃(クロスチャージショット)となり、このアームパーツでも戦い抜くことが可能である。
      • 後述にあるがPS/SS/Win版では処理落ちが改善されている。
  • パーツ集めの順序の自由度が低く、初見ではなかなかカプセルまで到達できない。
    • 本作のカプセルはフットパーツ以外の3パーツそれぞれが別々の特殊武器+αを到達に要するため前2作よりもパーツ獲得の難度が高い。
      • アームパーツカプセルは上エアダッシュ。ヘッド/ボディパーツカプセルは特殊武器のチャージ版での発動を要求する*6ため、フット→アーム→他2種パーツという順番指定も存在し、初見プレイでは思うようにエックスの強化が進まないケースが多い。
    • そして厄介な要素として、乱入ボス「ナイトメアポリス」の2体の存在が挙げられる。
      詳しくは後述するが、X2の「カウンターハンター」と異なり遭遇を回避する手段がなく、どうしても戦って勝たなければならない上に高い戦闘力を誇る。
      • このため、強化パーツの早期獲得の重要度は前作よりも遥かに高い。にもかかわらず、強化が不十分な状態で乱入ボスと対峙することが多いため、歯ごたえがあると捉えるか、厳しい要素と捉えるか好みが分かれるところである*7
  • 隠し要素入手後の外観。
    • 黄金色で通常パーツとの差別化とともにレア感を醸し出したかったのかもしれないが、グラフィック上は黄色い姿でしかないこともあり、「格好があまり良くない」「イメージに合わない」という意見もある。
    • 次作以降導入された隠しアーマー「アルティメットアーマー」は濃い紫を基調とした全く別のデザインとなっており、こちらは概ね好評。

問題点

ボス関連

  • ボスの行動パターンのバリエーションが乏しい傾向にある
    • 行動パターンが多彩かつその場その場でランダムに攻撃方法を選ぶ前作のボス達と比較すると、本作はパターンの少ない決まりきった順番の行動を繰り返す、単純な思考ルーチンのボスが目立ち、特に壁への突進や高いジャンプを多用するボスが非常に多い。
      • 乱入ボスであるヴァジュリーラFFとマンダレーラBBが顕著。特に後者は最初から最後まで同じ行動をひたすら繰り返すため、非常に単調。
    • パターンは少なめだが突進やジャンプ以外に、エックスを足止めするような仕掛け(フェイント、2択、アクション制限、場に残り続けるトラップなど)を必ず持っていることなどから、見た目は単調ながらどこか本家ロックマンのボス的な「いやらしさ」があり*8どれも確実に避けるには練習や上達を要するため、やりごたえが皆無ということは決して無い。
      • エレキテル・ナマズロスの後半の攻撃パターンには「発電所の電気を収束して充電→散弾で電撃を撒く→突進」というものがある。この電撃を飛ばす軌道はランダム性が強く、アクションゲームとしてはあってはならない「運が悪いと回避できない」という事態になりかねない*9。しかも、充電から突進まで無敵状態で、後半は常時このパターンのため、弱点武器を使わないと時間がかかる。
    • オープニングステージに登場するマックやマオー・ザ・ジャイアントは、完全にゴリ押し前提の作りになっており、ほぼ回避し切ることを想定して作られていない。
  • ボス戦の演出面が全体的に劣化した。
    • ボス戦開始直前の「ボス出現演出」は、2作のボスそれぞれの特色が表現された出現演出と比べ、今作は「無音で画面上からただ降りて来るだけ」のボスが大半を占めるためかなり味気ない。
    • 火だるまになったり氷漬けになったりといった、ボスに弱点武器を当てた際の専用リアクションやエフェクトも皆無であり、単に怯んで動きが止まるか大きく仰け反るばかりになっている。専用リアクションらしいものがあるのは、チャージ版バグホールを受けて落下するエクスプローズ・ホーネックのみである。
    • ボスが戦闘中に発する効果音も、前2作に比べて大幅に少なく、攻撃は激しいのに無音であることが多い。
      • また逆に、シャイニング・タイガードの尻尾から発射する光弾には放屁のような効果音が流れ、なんとも間の抜けた印象を受ける。
    • 前2作ではボスにトドメを刺した際は「攻撃命中音と共に一瞬画面が静止し戦闘BGMが止まる」といういわゆる「ヒットストップ演出」で、迫力とテンポの両面で優れていた。
      しかし、本作はトドメの一撃では命中音が鳴らず、ヒットストップも無くBGMもフェードアウト、更にはトドメ時にエックスが空中にいた場合は、発射モーションから強制的に普通落下モーションとなるため、撃破した瞬間の爽快感に乏しくプレイヤー視点では爆散開始するまでの間「やったか!?」といった心境となるだろう。
      • なお次作以降もトドメ時ヒットストップは無いままだが、ハードの変更もあり、爆散する直前に相手が数秒点滅し爆発量も増えたため演出面は補強された。
  • 乱入ボス関連の難点
    • ナイトメアポリスの2体は前作のカウンターハンターと異なり、ステージセレクト画面で潜伏ステージのアナウンスは無く、遭遇するかどうかも実際に出現部屋まで行ってみないと分からない。また、ステージ構造上必ず出現部屋を通過させられるため戦闘を避ける方法はない。
    • 特にヴァジュリーラFFは攻撃パターンこそ単純だが、強化が整わない序盤(早ければ、ボス2体撃破直後に選択したステージ)に出現するため、慣れるまでは強敵となる。
      • マンダレーラBBは上述のように最後まで同じ行動を繰り返すため、一度見切ってしまえば対処は容易いのだが、攻撃をもろに受けた時のダメージが大きいため、こちらも慣れるまでは強敵。
    • ナイトメアポリス不在の場合もゲート開閉演出を必ず見せられるためゲームのテンポが損なわれている。更にこの時ゼロを操作していた場合、ボス不在の部屋前でもエックスへの交代を強いられてしまう。
    • 対してVAVAは、前作の乱入ボスと同様に、ステージの脇道に行かないと遭遇しないため、このような問題は起こりづらい。しかし、こちらは入り口がいかにも興味を誘うカプセルであり、とあるステージでは入り込むと戻れないような場所に設置してある上に、カプセル内に入るとしばらく元のステージに戻れなくなってしまう。そして、VAVAを退けた後に制限時間付きの脱出が必要など、ナイトメアポリスの2体と比べると乱入というよりもブービートラップ的な側面が強くなっている。
  • 「あくまでサポートキャラ」というゼロの立ち位置、仕様
    • せっかく本作より操作可能となったものの、操作性、ゲームシステム上の立ち位置などから非常に扱いづらい。
      • エックスより体が一回り大きいためやや被弾しやすい。また、当たり判定の大きさ故に動作が遅いと感じやすい。
      • オープニングステージを除いて、ゼロ操作中に1度でもミスしてしまうと、そのデータではゼロが戦線離脱してしまい使用不可能になる。ゼロが関わる一部イベントも発生しなくなるため、それらのイベントを見たい場合は、サポートキャラでありながらエックス以上に慎重なプレイを要求されることになる。
      • ライフエネルギー以外のアイテムやパーツを入手出来ない。自己強化は勿論、エックスへの受け渡しも不可能。
      • 一部除く中ボス、ボス(乱入ボス含む)とは戦えず、ボス部屋手前で強制的にエックスと交代してしまう。
    • 一方でゼロの体力の初期値は非常に高く、火力などを含め数値的には初期のエックスを上回っている部分は多い。
      • 後続作と違い本作ではバスター中心であり、特にチャージショットの最終弾として放つサーベル攻撃は、近接用であることや最後の一撃であるためか、火力が非常に高い。
      • ライフが多く、さらに瀕死になったらエックスと交代すれば良いことから、ゼロの死因の殆どはトゲトラップや落下死だと思われる為、ビートブートステージ等、比較的それらの少ないステージであれば十分に腕を振るうことが出来る。
      • 次作以降ではゼロが正式にプレイヤーキャラクターに昇格したため、これらの欠点は解消された。さらに、X7以降は、本作のチェンジシステムをもとにした「プレイヤーチェンジ」機能が実装されている。
  • ラスボス撃破後
    • 今作ではラスボス撃破からエンディング開始までの間に、短いながらも消耗したままの状態で手動での退避が必要になる。ダメージを受ける→ミスになる要素も含まれ、ここでやられてしまうと再度ラスボスを倒さなければならなくなってしまう。
      • ダメージを回避するにはテクニックが必要となるため、初見プレイ時はまず間違いなくダメージを受けるのも難点。ダメージ自体が小さいのは救いか。

パーツ関連

  • ヘッドパーツの能力「アイテムサーチ」の性能
    • 8ステージ開始時に簡易マップが必ず表示されるようになり、その間は操作不能になる。そのため、ステージ開始時に待ち時間が発生してしまいゲームテンポが崩れる点が最大の問題。
    • 簡易マップもわかりづらく、表示されるのはステージ開始のみで、再呼び出し不可のため不便。現在地の確認も出来ないので後半にあるアイテムの位置関係は分かりづらい。せめて、任意のタイミングで表示できる仕様ならばまだ使い道はあっただろう。
    • パーツ入手に必要なアイテムや武器の都合上、ヘッドパーツの入手は最後部になるため、活躍期間が短い。
      • 本作のヘッドパーツの機能はアイテムの設置個所そのものを知らせる機能なため、確かに活動期間が短いのはやむを得ない。しかしそれ故に、アイテムの入手方法が「アイテムトレイサー」機能が備わっていた前作よりも難解になってしまっている。
    • ステージ選択画面で表示される、各ステージの取得アイテムの有無が分かる機能は便利なので、どちらかというと初回プレイ用・取りこぼし防止用であると言える。
  • ボディチップに関してプログラムミスがある
    • 本来はディフェンスシールド展開時のダメージを3/4から1/2にして、アーマー自体の軽減と併せて被ダメージを1/4に抑えてくれるものである。
    • しかし、ダメージを1/4に軽減できるのはシールド展開後の最初の一度だけ。二度目以降の全ての被ダメージはシールドを展開していない状態と同じになり、本来の性能を発揮できなくなる。

その他

  • 一部の中ボス部屋の先では中間復活地点が設定されておらず、大ボス部屋に到達する前にミスした場合は再度同じ中ボスを撃破しなければならない。
  • ライドアーマーシステムの不備
    • 今作では、他作品のようにステージ途中にライドアーマーに搭乗した敵が出てこないため、ライドアーマー同士の格闘戦はない。
    • 転送装置を使ってライドアーマーを呼び出し、各ライドアーマーチップを用いて、基本形である「キメラ」をフォルムチェンジするという仕様となっている。したがって、事前にライドアーマーチップを取得しても、「キメラ」を解放しない限り使用不可能。
      • この「キメラ」そのものの解放や、他のライドアーマーチップの入手には基本的に、特定の武器や強化パーツが必要*10であるため、全ての機能を利用出来るのはかなり後になってしまう。
    • アイテム収集に「ホーク」の飛行能力が必須な箇所や、「フロッグ」でしか破壊できないギミック*11が存在する中、「カンガルー」のみ、このライドアーマーでしか出来ないという要素がないため、扱いがやや不憫である*12
    • そもそも、「フロッグ」で破壊できるギミックは1ヶ所しかない。また、移動は常に小ジャンプなのでスピードが遅い。さらに、水中におけるダッシュボタン押しの連続ジャンプ移動も使い勝手がいいとは言えず、ライドアーマーの中で最も扱いづらい。したがって水陸を問わず、むしろ乗っていない方が進みやすいくらいである。
    • これらの欠点が考慮されたのか、『X4』以降は各ステージに適応したライドアーマーの内、ステージ道中に配置されているものに乗り込む形に戻った。
  • パスワードが昇順でしか打てず、降順では打てなくなってしまった
    • 例えば、1→2→3…の順番では打てるが、6→5→4…のような逆順番では打てないため、数字が行き過ぎてしまったときのやり直しがかなり面倒。
    • PS/SS/Win版では改善されているが、PS/SS/Win版ではメモリーカード等へのセーブ機能があるため、あまり意味がない。
  • ドップラーステージでのボスラッシュにおける回復の仕様
    • 中央の機械を撃つとアイテムが出るのだが、ライフエネルギーと武器エネルギーの各大小、どれが出るかはランダム*13のため、運が悪いと武器エネルギーばかり出てしまい、ライフエネルギーを全く回復できないまま次に挑むことになる。

総評

根本的なシステムが前二作から変わっているわけではなく、アクションゲームとしては十分に佳作~良作の部類に入る出来である。
やや粗は目立ったものの、ゼロのプレイアブル化、4種のライドアーマー、乱入ボスを倒すか否かによる展開の変化など、新要素を多数盛り込んだ意欲作と言える。


余談

  • OPステージの中ボス「マック」は一部の層に人気がある。
    • 異様なまでの斜めポーズ、ロ○コップを彷彿とさせるバイザー+顔半分と言う外見、とあるやりこみプレーヤーをして「回避難度はナイトメアマザー以上」とまで言わしめた激しい弾幕攻撃、エックスが出会い頭に放った「きみは ゆくえふめいに なっていた マックじゃないか。」という、唐突かつ妙に説明口調な台詞が人気の一因。
    • もっとも、そのあとゼロと戦闘になり会話も無く斬り殺されるのみなのだが、それもまた彼の特性を強めている。
  • ナイトメアポリスの2体は、ドップラー博士からエックスを「なるべく生け捕りで捕獲せよ」と命令されているのだが、実際にヴァジュリーラFFは、エックスと対峙した際に「はかせのめいれいだ、きえてもらう」と言ってくる。「ちゃんと話を聞け!」と言いたくなるものである*14
    • もっとも、相方のマンダレーラBBも撤退時に捕獲する気がないような台詞を残すため、ドップラー博士の命令に忠実に従っているかどうかは両者とも怪しいものである。
  • ドップラーステージ1の吊り天井部屋はゼロが出撃可能な場合、中ボスを倒すと同時に吊り天井を止めてくれるのだが、いない場合は奥にある機械を破壊して止める必要がある。
    • この機械の名前は不明なのだが、攻略本では「謎キャラ」、ロックマンX大全書では「スイッチ(謎キャラ)」と一応、名前があるかのように記載されている。
  • EDではボスキャラのPOWERとSPEEDの設定を見られるのだが、この数値がツッコミどころ満載。
    • いかにもPOWERがありそうなタイガード・マサイダー・シュリンプァーが、見た目にも無さそうなシーフォース(5800)より低い4000前後しかない。数値設定に違和感があり過ぎる*15
    • 極めつけはラスボスのカイザーシグマ。戦闘中の動きは非常に遅いのにSPEEDのパラメーターはPOWER共々10000を超えており、ボスの中で一番高い。
      見た目的にも速そうには見えず、違和感バリバリである。耐久力のパラメーターであったなら何もおかしくはないのだが。
  • 岩本佳浩氏の漫画版は『X1』、『X2』時代からそのハードな描写と熱い展開、名言の数々で人気を集めていたが、『X3』編ではそれをも大きく上回る重厚な内容となっている。復刊もされているので、本シリーズファンで未読の方は是非手に取って欲しい。
    • ストーリー描写がとにかく濃厚であり、当時は8大ボスの半数を倒した際の中間ステージなど無かったにも拘わらずそれにあたるエピソードが挟まれ、8大ボス撃破後のラストステージに至っては1話毎が長い月刊誌では異例の6話(半年)に渡って展開された*16
    • ちなみに漫画版ではマックはゆくえふめいになっておらず、初登場時はまともな奴である。結局ゼロに斬り殺されるのだが。
    • ナイトメアポリスの1体・ヴァジュリーラFFは、口元がパーツで隠れているため目でしか表情を表現できず、あまり表情を変える事のないクールキャラとして設定された。…が、受けたダメージの影響なのか、はたまたエックスとゼロを追い詰めていく過程で悦に入ったか、だんだんと壊れていき台詞や態度に狂気を帯びるようになっていった。
      • その極致が「メぇぇぇ~~リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!ひゃーーはっはっはっはっはぁーーーっ」という叫びである*17。この豹変ぶりが原因でカルト的な人気がある。作者までもが長らく自らのサイトで毎年ネタにしていた*18
      • 2020年7月、スマホアプリのアクションゲーム『ロックマンXDiVE』にてボスキャラとして採用。そしてクリスマスが近づいてきた12月23日のメンテナンスでプレイアブルキャラに昇格。その際の公式twitterで「クリスマス大好き」と書かれていたため、リプライが「メぇぇぇ~~(ry」で溢れかえることになった。
    • ヴァジュリーラ以外も全体的に濃ゆく描かれており、ぶっ壊れるキャラが少なくない。主人公のエックスを含めて*19。岩本氏も「暴走しまくり」「当時は何かに追い込まれていたのでしょうか」と回顧するほど。
    • 8大ボスの殆どが生き残ったり、パワーアップは終盤に一気に行ったりとオリジナリティが強い内容だが、ビームサーベルなどのゲームでの隠し要素もしっかり盛り込んでいる。特にゲームではハイパーチップで変化していた黄金のエックスは最終決戦にて思わぬ形で登場する。
    • ゲームを漫画版と同じ順番で進める考えもあるが苦戦は必至である。最初にフローズンバッファリオは良いとしてもそれ以降は弱点武器なしでボスと戦ったり一部のアイテムの入手が先延ばしになるからである。特にグラビティビートブードが8ボスでは最も後の登場なのでそれまでボディパーツは手に入らないのが厳しい。
    • 復刊された際には、『X7』でアクセルを演じた高山みなみ氏から岩本佳浩氏にメッセージが送られており、それを受けアクセルのイラストが書き下ろされている。
  • 隠し要素は『X』が「波動拳」、『X2』が「昇龍拳」であったため、本作は「竜巻旋風脚」ではないかと多くのプレイヤーから予想されていたが、残念ながら登場しなかった。
    • 後の『X8』にて実に10年越しの採用。*20ただし、あくまで特殊武器の1つという扱いのため、波動拳や昇龍拳と違って一撃必殺級の威力は無い。ちなみに正式な技名は「旋風脚」なのだが、ボイスではしっかり「竜巻旋風脚!」と叫んでいる。
  • 通常のプレイでは不可能な状態のパスワードが存在している。
    • チップを最大3つまで装備しているパスワード。
      • 一部は『大技林』などの裏技本に載っている。
      • パーツなしでチップだけ装備しているパスワードもある。ただし、パーツなしで機能するのはヘッドのみであり、ボディ・フットはパーツなしでは発動せず、アームもエネルギーはたまるが発動しても最初の一発だけチャージショットになって後は普通のショットしか出ない。
    • ビームサーベルを所持してドップラーステージから再開できるパスワード。
      • ドップラーステージ1はボスを倒した扱いになっているらしく、ボス部屋にたどり着くとクリアになる。
      • ドップラーステージ2はVAVAがボスの通常版になっており、ビームサーベルでVAVAと戦うことが可能。
  • 本作のエンディングテーマがJanne Da Arcの「Shining ray」に似ていると冗談めかして語られる事がある。
    • 「Shining ray」の発表は本作から7年も後の2002年なので勿論ただのネタである。
    • 後年の『X8』では主題歌にJanne Da Arcが起用され、エックスの特殊武器にも「シャイニングレイ」が存在するのは特に関係ない…はず。
  • 本作に限った話ではないが、製品版以前のビルド(所謂プロトタイプ版)の存在が確認されている
    • プロトタイプだけあってところどころグラフィックに違いがあり、一部のボスキャラは製品版とは大きくイメージが異なる。
      • 特に印象的なのがラスボスであるシグマ。製品版では前作までよりも頭部が小さめに描かれていたのだが、プロトタイプ版では頭部が大きく前作までのシグマに近い姿で描かれている。
  • 巨大メカニロイド群と8ボスの戦闘BGMが同じである。
    • これは本作だけに見られた様式であり、次作以降から巨大メカニロイド群に専用BGMが用意された。
    • ドップラー、VAVA、イナリー戦で使用された別の戦闘BGMがあったのにそれにしなかったのは謎だが。

ロックマンX3(PS/SS/Win版)

ジャンル アクション
裏を見る
裏を見る 帯を見る
対応機種 セガサターン
プレイステーション
Windows 95
メディア CD-ROM 1枚
発売元 カプコン
開発元 水口エンジニアリング(開発)
カプコン(移植)
発売日 【PS/SS】1996年4月26日
【Win】1997年3月28日
定価 【PS/SS】5,974円
【Win】6,380円
廉価版 【PS】PlayStation the Best for Family
2000年2月24日/2,940円
【Win】SUPER1500シリーズ
メディアカイト発売
1999年4月16日/1,650円
判定 良作
ポイント シリーズ初のアニメーション追加
BGMやSEなどをリアレンジして収録
処理落ちなどSFC版の不具合を修正
演出面にやや賛否あるがゲーム性は向上

特徴(PS/SS/Win版)

本作はプレイステーション、セガサターン、Windowsと多岐に渡り移植されている。OPテーマとEDテーマ、OPとステージ開幕にアニメーションが追加され、BGMがアレンジされている。

評価点・改善点(PS/SS/Win版)

  • 操作性・ゲーム性の向上
    • SFC版で散見されていた処理落ち(解りやすい部分だとクロスチャージショット発射時やVAVAステージの制限時間付きのエリアなど)が改善されたり、壁蹴りの上り速度が向上したことなどにより、非常にスムーズにキャラを操作することが出来るようになった。
    • そのほかチャージ版「トルネードファング」で敵を倒すと武器EN回復を落としやすくなるなど細かい調整も入っている。
    • Win版では、敵からのダメージを減らし、回復アイテムを落としやすくなる「イージーモード」が搭載されており、良心的である。
  • セーブにメモリーカード等を使用してデータ保存が可能になった(例えばPS版ではメモリーカード一枚で1ブロック3つまで保存可能)。
    • このおかげでパスワード機能の必要性は減ったが、パスワードも降順でも打てるように改善され便利になっている。
  • アニメデモ
    • 下記の通り出来には問題があるが、当時のユーザーにとってアニメーション動くエックスやゼロ、シグマらを観賞出来ることはそれだけでも十二分に価値のあるものだった。
      • 但し、次回作以降のようにキャラボイスは付いておらず、アニメ内でキャラが台詞を喋る事は無い。
    • 後発作ではアニメを導入した作品こそあれど、ボス一体一体にアニメデモを用意しているのは後にも先にも本作のみである。

賛否両論点(PS/SS/Win版)

  • アレンジBGMの評価は、賛否両論が激しい。
    • 全体的に軽く明るい曲調、音質に変化しており、元の良さの多くをスポイルされているが、逆に原曲でかなり単調かつ引っ込み気味だったリズム感を前面に出したアレンジが多い。
    • メロディが上質という点は変わらないのでどちらも悪い訳ではないが、ほぼ別曲なので単純に好みの問題やSFC版、PS/SS/Win版のどちらから入ったかで意見が分かれやすい。
      • 例えばSFC版と比較して、マサイダーステージのアレンジは洞窟ステージなのに重厚感がない、タイガードステージのアレンジは緊張感がない*21等の意見がでている。指摘そのものは確かにその通りなのだが、代わりにどちらにもトリッキーなリズムが採用され、違う意味で尖った曲になったとも言える。*22
      • その他シュリンプァーステージのイントロ、ドップラーステージ1、高い音程のシンセが前面に出てしまったシグマ第一形態のテーマなどが賛否の対象になる。
      • その独特の軽く明るい曲調から「ホームセンター」と揶揄されるゼロのテーマに関しては突出して評判が悪い。ただ、「ゼロの冷静なところと合ってる」という意見も存在する。
      • 逆にイントロに大胆アレンジを施したホーネックステージや、順当にPS/SS版仕様といった印象のシーフォースおよびバッファリオステージ、VAVAステージ、「X4」ライクになったナマズロスステージ、音色の明るさと暗さを両立させたシグマ第二形態のテーマなど、多くのプレイヤーに好評なアレンジBGMも存在する。
    • 初期PS/SSのゲームよろしくBGMのループがなくなり、最後にフェードアウトしてまた初めからかけ直す形式になっている。SFCに慣れ親しんだ当時のプレイヤーには違和感を感じやすい仕様だった。
  • SEもすべて一新され、エックスやゼロのチャージショットの音が雷鳴のような「バシャー!」という感じの音から「ビュオ~ン!」という感じの力弱い音に変更されたこと等、若干の賛否がある。
    • ただしSFC版で不評であったボスの攻撃SEの少なさやタイガードのレイスプラッシャーの音など改善された部分もある為、BGMほどの賛否両論にはなっていない。
  • 本作のロードに関しての捉え方もプレイヤーによって賛否がある
    • ゲーム起動時やアニメデモの前後には長めのロードが入る点は不評。
      • せっかちな人だとイライラするかもしれないが、当時のほかのソフトと比べて著しく遅いというわけではなかった。
    • ステージ攻略に関してはX4などの後続作と比べても、繋ぎやボス登場前にロードが入ったりすることが無く、非常に快適でSFC版と遜色なくプレイすることが可能である。
    • 慣れてくると、気になるのはゲーム起動時のロードのみであり、ボス選択時のアニメはスタートボタンを押しっぱなしにすることでロードごとカット出来る。この場合はどうしてもボスのデモ画面が一瞬表示されるSFC版よりも速くなる。

問題点(PS/SS/Win版)

  • OPのアニメデモは作画レベルが著しく低い
    • ドップラー博士がエックスの前2作の戦闘の映像を見るというある種ファンサービスともいえる内容なのだが、動きが飛び飛びである。
      • また、ゼロはムービー登場時は『X2』で復活してからのアーマー姿なのだが、次に登場する場面では『X1』のアーマー姿で描かれている(場面はほぼ連続しておりアーマーを更新する猶予はない)。内容が内容だけに無理に詰め込んだ結果なのか、単なる作画ミスなのかは不明。
      • この他、エックスも1シーンだけ前述の岩本氏の漫画風のタッチで描かれている。
    • これはまずこのPS/SS/Win版のX3が発売された当時は、ゲームソフトにセルアニメを導入すること自体がまだまだ珍しい時代だったという背景がある。
  • ハードウェアの仕様上、プレイステーションでは動きがガクガクなのに対して、2Dグラやアニメーションの表現に強いセガサターンや、性能の良いパソコンでは比較的滑らかにアニメーションしている。この問題については次回作であるX4では解決している模様。
  • SS版のみ、アスペクト比が少し縦に潰れたようになってしまっている
    • これはSFC、PSのドットが長方形であるのに対してSSはほぼ正方形のため。
    • その代わり画面周りにステージごとの専用フレームが表示される。
    • この為、アニメーションにおいてはSS版の方が優位だったが、ゲームそのものの移植度はPS版のほうが高いと言える。
    • なお、ボスを選択したときやボスを2体倒したときに流れるアニメデモの作画は普通に安定している。
  • SFC版には無い不具合もいくらか散見される 上記にもある通り「フロストシールド」はライフ回復を、「アシッドラッシュ」は武器EN回復を落としやすくなる特性があるが、SS/PS/Win版はノートルバンジャー(上や斜めに大砲を打つ良く見かけるザコ敵)相手の時のみ、この効果が逆転してしまっている不具合がある。
    • Windows版のみ、一部ライフアップをゼロで入手出来てしまうバグが存在する。
+ 参考動画:アニメーションやラグフレームについて

PS版、SS版のOPアニメ比較
https://www.youtube.com/watch?v=NPtUknDP4Ik

PS版のTAS動画:ラグフレーム(処理落ち)などについて言及されている。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29457319


総評(PS/SS/Win版)

SFC全盛から次世代機への過渡期にリリースされた作品ということもあり、その仕様(ロードやBGMかけ直し等)に馴染みのないプレイヤーが多かったこと、お世辞にも質の高いとは言えないアニメデモや大胆にアレンジしすぎたBGMなどで発売当初の評価は低かった。
とはいえ実際プレイしてみればアクション部分が快適になったことや、メモリーカード等を利用したバックアップ機能などより遊びやすくなった部分も存在するため、トータルで見ればSFC版と遜色ない評価ができるであろう作品になっている。
また本バージョンは『ロックマンX アニバーサリー コレクション』には収録されていないため、これに収録されている主題歌やアニメムービーが視聴できるのはPS/SS/Win版のみとなる*23。シリーズファンであれば是が非でも手に入れておきたい。


余談(PS/SS/Win版)

  • 渋谷琴乃の歌うオープニングテーマ『ONE MORE TIME』とエンディングテーマ『I'm Believer』はテーマソング集に収録されていない。フルサイズを聞くためには「七星闘神ガイファード オリジナル・サウンドトラック」(1996年06月26日)を入手しなければならないが、廃盤なので入手するとなると非常に困難*24。恐らく、渋谷氏が『ガイファード』で主題歌を担当した関係と思われる。『バイオハザード』の主題歌(ディレクターズ・カット版は未収録)も収録されているのも、同じ理由と思われる。
    • OPテーマは、ゲーム版とフルサイズでは歌詞・渋谷氏の歌い方・曲調など全く違っている。
      • そのサビの歌詞の一部「信じているよ 絶対に平気*25」が歌われるシーンは、『X1』時代のVAVAがキャノン砲(『イレギュラーハンターX』でいうフロントランナー)でエックスに攻撃する描写になっており、近年の動画サイトでは「絶対に兵器」ともネタにされる。
    • EDテーマは、OPと違い歌詞に違いはないがループの回数がゲーム版とフルサイズでは違っている。
      • ちなみに移植版のエンディングはSFC版と同様の構図としつつ、モノクロのアニメーションを小さい枠で流したものとなっている。そのアニメーションの中には『イレギュラーハンターX』まで具体的に明かされなかったエックスの出生を匂わせる描写も含まれている。
  • ナマズロスステージのアニメでは、何故か無印シリーズのキャラであるライトットが登場している。
    • 背景にチラっと後ろ姿が映るだけだが、どういう訳か普通の民家のような部屋でコタツに入ってテレビを見ている。1秒程度の小ネタながらツッコミ所満載の演出になっている。
  • 3DOにも移植予定だったが開発中止となってしまった。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ACT
  • カプコン
  • ロックマン
  • ロックマンX

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月18日 08:42

*1 ステージクリアかゲームオーバーになった後は使用可能。

*2 前作『X2』でも擬似的ながら可能だった。

*3 単に、本作の該当演出時間が他作品と比べて長いため、それが理由でスキップ可能にしたのだと思われる。

*4 エックスに敗れた直後に元の人格を取り戻していた。

*5 Xでは複数人が担当していたが、前作で岩井由紀氏だけ続投。

*6 ただし、ボディパーツに関しては、フットチップを使用しての連続上方エアダッシュによりカプセルに到達可能。

*7 ナイトメアポリスは、前作のカウンターハンターと同様に、8体ボスのうち2体を撃破した後に動き出す。したがって、8体ボスをなるべく倒し過ぎないように全ての選択ステージを回り、故意にゲームオーバーになる事も繰り返しながら、強化パーツ獲得はもちろん、ライフアップ等の隠しアイテムを多く集める事が対策手段となる。手間はかかるものの、ナイトメアポリス出動直後に(とあるテクニックの駆使や一部の装備状態、そしてステージにもよるが)その対決場所へ到達する前の時点で、ライフアップ7個とサブタンク全4個と強化パーツ全4種類とライドアーマーチップ全4種類を集め、最強装備に近い状態にする事も一応可能ではある。

*8 例えば「グラビティ・ビートブード」の攻撃パターンはロックマン2「ウッドマン」によく似ている

*9 突進は非常に危険だが、幸い電撃の威力は低め。

*10 「フロッグ」のみ、やや困難ではあるが初期状態でも入手は可能

*11 このギミックを破壊することにより、とある強化チップカプセルの設置場所へ行けるようになる。

*12 なお、「フロッグ」はギミックを破壊せずとも該当カプセルの設置場所へ到達する方法があるため、必須と言うわけではない。さらに隠し要素であるハイパーチップを前提とした場合は、ライドアーマーが4種も用意されていながら、「キメラ」だけがあれば全ての隠しアイテムを揃えられてしまう。

*13 ただ、ビームサーベルを当てたときだけは、機械が一発で壊れてしまうものの、必ず1UPアイテムが出る仕様になっている。

*14 ドップラー博士は、あくまで「なるべく生け捕りで」と言っているのであり「必ず生け捕りで」とは言っていない。そのため「もしも手に余れば消してしまっても仕方ない」という意味もあるのかもしれないが、いずれにせよ優先順位を誤っている感はある。

*15 この件と似たような事例として、本家シリーズ『ロックマン6』の選択8ボスステージ決定時のボスキャラ紹介演出でも数値が表示されるのだが、そちらも身長などの数値設定に違和感を感じるものがある。

*16 参考までにラストステージに割いた話数は『X1』は2話。『X2』は3話である。

*17 敗北したエックスとゼロを捕らえ、12月25日の朝を以って公開処刑を行う。というシーンにて。エックスが処刑用ドリルで粉砕された…と思われた瞬間に発した台詞がこれである。

*18 ロックマンX20周年を記念してかついに2013年でヴァジュリーラは御役御免となった……と思いきや、2014年にしれっと作者のTwitterで再登場した。

*19 特にVAVA戦で鬼の形相になった顔や、Σ戦で頭から大量に出血(オイル)したシーンはトラウマ級である。

*20 『X8』より以前の『コマンドミッション』ではゼロの隠しハイパーモード時に「旋風脚」という技が使用出来たが、本編では『X8』が初。ちなみに「波動撃」「昇龍拳」も同時に使用可能であり、敵専用技に「滅殺波動拳」が存在する。

*21 より具体的な指摘として、動画サイトでは「サファリパークみたい」といったコメントも見られる。

*22 補足するとそもそも、この2つは原曲時点であまり評判はよくなかった。

*23 『Mega Man X Collection』には収録されているが国内ではリリースされていない

*24 なのにEDのフルサイズを聞くには、このCDでないと聞けない。

*25 フルサイズでは「信じているよ 諦めないでね」に変更。