この項目では『戦場のヴァルキュリア3』と同『EXTRA EDITION』を紹介しています。判定はどちらも「なし」です。



戦場のヴァルキュリア3

【せんじょうのゔぁるきゅりあすりー】

ジャンル アクティブ・SRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD
ダウンロード
発売元 セガ
開発元 セガ
メディア・ビジョン
発売日 2011年1月27日
定価 6,279円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力
判定 なし
ポイント 新要素が加わった独特な戦闘システム
作り込まれたシナリオとキャラ
『2』に比べてかなりの難易度
『2』からと『3』の中での使い回し
安直な難易度調整
値上がりし、販売形態が増えたDLC
戦場のヴァルキュリアシリーズ

征暦(せいれき)1935年 ガリア正規軍には懲罰部隊が存在した。
422部隊、通称"名無しの部隊(ネームレス)"
彼らの任務はただひとつ "友軍のために死ぬこと"
顧みられることなく、戦場へ放り出される仲間たち……
大きな絶望の中、ひとつの小さな希望を、
自身の信念を失わない者がいた。
(パッケージ裏より引用)


概要

「PS3最高のSRPG」とギネスに認定され、世界中で数々の賞を残すなどSRPGの歴史にその名を刻んだ傑作『戦場のヴァルキュリア』のシリーズ3作目。
前作『戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校』に続き、PS3と比べると大幅にスペックダウンするPSPでの発売に加え、開発が外注制作であることに対して発売前からは早くも不安の声が続出していた。
不安はあったが、発売後の評価は後述のいくつかの点を除いて良好である。


特徴

システム
『2』に引き続き、分割マップ方式での「BLiTZ(ブリッツ)」システムを採用*1
それに加え、以下の新要素がある。

  • 「特殊化」
    • メインキャラ3人のみが使用できる、戦局を覆すほどの強力な特殊能力。専用の演出とBGMが挿入され、性能と相まってミッションを盛り上げるのに一役買う。
    • 具体的には、「直接指揮」という特殊化では味方を引き連れて移動→強力な連携攻撃が、「武装開放」では画面内の敵ユニット全員への攻撃が、「ヴァルキュリア」では無敵になって単騎突入→超火力攻撃が、それぞれできる。
    • 「CP(行動コスト)」に加えて、新たに導入された「SP」も消費するので、使いどころを見極める必要がある。
  • 広大な新規マップ
    • 『3』のベースとなった『2』と比較すると、縦(あるいは横)に長くて広いエリアを含むマップが登場し、新たな戦略が必要になった。
    • 『2』のマップに比べてユニットを単騎突入させると孤立しやすく、敵の長射程武器がより脅威となる。
  • 難易度の大幅な上昇
    • 『2』の難易度が、慣れたプレイヤーからはぬるすぎると言われたことに対しての調整である。敵の火力や耐久力などに大幅な上方修正がなされている。
    • ただし難易度選択が可能で、ゲーム中いつでも変更できる。難易度「イージー」では被ダメージが大幅に減るので、シナリオは気になるがミッションは苦手という人でも最後までプレイできると思われる。
  • 自由度の増した兵科・育成システム
    • どのキャラも好きな兵種(ジョブ)に変更できるようになり*2、部隊編成の幅が広がった。
      • 設定上では「ネームレスはいつ理不尽な命令が来ても対応できるよう、全ての兵種の知識を身に付ける必要がある」となっている。
      • ただし各キャラには得意兵種があり、HPや射撃などのステータスにボーナスが上乗せされるので、没個性にはならないといえる。
      • 多くの兵種を経験したキャラは強力なポテンシャル(スキル)を習得できる。
    • 『2』では兵種変更する際に「単位(転職証)」を消費していたが、『3』では単位が無くなった事もあり、気軽に兵種変更できるようになった。
    • またキャラ毎の装備品として新たに「アクセサリー」が追加され、キャラ、兵科の長所を伸ばしたり短所を補うなどのカスタマイズもできるようになった。

シナリオ

  • 『2』は、舞台が内戦下の士官学校であり学園ものの側面もあったのに対し、『3』は『1』同様に軍隊で物語が展開される。
    • 犯罪者や軍規違反者ばかりを集めた懲罰部隊である「ネームレス」という小隊。ネームレスの人間は仲間を名前ではなく番号で呼ばなくてはならないという規則がある。そして、主人公のクルトが身に覚えの無い反逆罪でネームレスに送り込まれるところから物語が始まる。
    • 明らかに重そうな雰囲気の漂うシナリオと、プレイヤーを引き込むかのような先が読めない展開は評価されている。
  • シリーズ初の分岐システム&ダブルヒロイン制を採用。ストーリーの大筋は変化しないが、選択によってミッション内容や登場するヒロインなどに違いが出る。また、最終章での選択ではエンディングが変化する。

評価点

高い完成度のBLiTZシステム

  • 試行錯誤の末に高難易度ミッションをSランク(最高評価)でクリアできたときの達成感は、言葉では言い尽くせないものがあるだろう。
  • もはや戦ヴァルシリーズになくてはならない要素。難易度の上がった今作では、醍醐味でもある「自力で戦略を練る楽しさ」や「緊張感」をより味わえるようになっている。

ユニットのバランス調整

  • 『2』と比べて「突撃兵」や「対戦車兵」の「AP(移動力)」が下がり、APの高い「偵察兵」との役割分担がより明確になった。
  • 『2』では瀕死(HP0)になったユニットの即時回復ができるのは、支援兵科最高ランクの一角である「衛生兵」のみだったが、今作では全ての支援兵科で瀕死キャラを回復させることができるようになった(ただし兵種によって回復量に差はある)
  • どのサイズの戦車でも行動に必要なCPが他のユニット同様「1」になり、活躍しやすくなった。耐久に優れる重戦車も1CPで動かせるようになったことは特に大きく、敵側の対戦車装備が一気に増える終盤戦で大きな活躍が見込める。

使いやすくなったオーダー

  • 味方にさまざまな有利効果を及ぼすオーダーだが、『2』ではCP消費が重く活用が難しかった。
    今作では消費CPが半分程度に減り、オーダーを積極的に絡めた幅広い戦術をとることができるようになった。

マップ上に出撃可能な人数の増加

  • 細かい点に見えるかもしれないが、プレイの快適さにつながったといえる。
  • 『2』では同時に最大6人までしか出撃させることができなかったが、『3』では9人になり、複数エリアで進攻と拠点防衛をしやすくなった。
  • また、『1』『2』では戦闘に参加できるのは全キャラのうち出撃前にグループ編成した20名(うち数人は固定枠)という縛りがあったが、『3』では常に隊全員からキャラを選んで出撃させることができるようになっている。

アクセサリー装備の追加

  • 『2』でやや使いづらかった「兵装一時強化」が廃止され、新たに装備欄に「アクセサリー」欄が追加された。
  • 「鹵獲装備」と同様、アクセサリーは1種につき1個しか保有できないため、気に入ったキャラには特に強力なアクセサリーをまわして活躍させるなど、キャラ性能にアクセントを加える要素として機能している。

入院システムの廃止

  • 『2』では瀕死ユニットを2ターン放置したり、敵に接触されたりすると病院送りになり、以後3ミッションで出撃不能になるペナルティがあったが、今作では廃止された。
    • 通常の瀕死は速やかな救助・回復で病院送りを回避できたものの、キャリーした装甲車が破壊されて即入院の場合は打つ手なしだった。近作ではそうしたリスクを考慮せずに装甲車を運用できる。

作戦地図形式のインターフェイス「進軍マップ」

  • 章ごとの中期目標や、各ミッションが戦況に与える影響がわかりやすく図示される。
  • ミッションをクリアすると戦線が押し上がり、プレイヤー部隊を示す駒が次のミッション地点まで動く。
  • 地図には森や都市などさまざまなエリアが描かれているが、実際のミッションの舞台としっかり整合している。

メインキャラの秘めた思いと、躍動感ある戦闘シーンを描いたOPムービー

  • テイルズ オブ シリーズでも有名な「プロダクション I.G」が制作を手掛けている。また、作中のアニメムービーも担当している。
  • バックに流れる主題歌「もしも君が願うのなら」を歌うのは、アニメ「マクロスF」などでおなじみのMay'n。今作で彼女のファンが大幅に増えたとのこと。

シリーズおなじみの崎元仁氏の音楽

  • タイトル画面で流れる「メインテーマ」は、アコースティックギター(アコギ)をメインとした切なさと盛り上がりを兼ね備えた曲であり非常に高評価。
  • ネームレス側のBGMは軽快なカントリー・ミュージック風なアレンジが多く、これまで重厚なストリングス曲を得意としてきた崎元氏の新境地を垣間見ることができる。
  • それ以外にも、ネームレス優勢時のマップ兼戦闘BGM「反転攻勢!」「誇りを胸に」の威風堂々としたストリングス・サウンド、直接指揮使用時に流れる「この一撃にすべてをかけて」は重厚かつハイテンポなサウンドも魅力的。
  • また、ネームレス側のマップ兼戦闘BGMの「譲れない一戦」、敵勢力カラミティ・レーヴェンのテーマ「渦巻く陰謀」や戦闘BGM「災禍の鴉」、敵軍の汎用戦闘BGM「迫り来る軍靴の響き」など、緊迫感と迫力を兼ね備えた曲も多く、総じて好評。
  • 本作のオリジナルサウンドトラックでは、ボーナストラック的な扱いで、アコギアレンジをした過去作のBGMを収録するなどのファンサービスも行われている。

今作にも多い、個性的なキャラ

  • 懲罰部隊だからガラの悪い連中が多い、ではなく上司と対立したり料理の為に物資を盗んだり給金が良いと言われて志願したり・・・等比較的軽い罪でネームレス送りになっている。
    作戦失敗をした士官候補生や死地を求めて志願してきた者や本物の重犯罪者も居る。
  • さらに制服は改造され隊員ごとに違ったデザインになっており、それぞれの個性を引き出すのに一役買っている。
  • 各キャラクターの固有エピソードについて、『2』では隊長のアバンと各キャラクターとの絡みがメインだったが、今回はサブキャラクター同士の絡みによって描かれるエピソードも増え、より広い人間模様が楽しめる。

歴代シリーズキャラが多数登場

  • 前述のように『1』と同じ舞台・時系列でストーリーが展開されることもあり、ストーリーにシリーズ作品のキャラが登場したり、過去作キャラが中心となって展開されるサイドストーリーなど、過去作品のファンサービスが豊富。*3
  • ただし、あくまでゲスト出演であり、メインストーリーは常にネームレス部隊を中心として描かれているため「過去作を知っていればより楽しめる」範囲の出演に留まっている。
  • また、これらのキャラクターの大半は条件を満たせば自軍ユニットとして使用可能であり*4、さらに『1』に登場するエーデルワイス号などの一部の戦車も自部隊で運用することができる。

豊富なやりこみ要素

  • 前述したようにシナリオには分岐があり、進軍するルートで会話や加入する隊員が変化するなど、周回プレイ*5も楽しませる作りになっている。
  • さらに大量のミッションで高ランククリアを目指すことに始まり、武器開発、エースの撃破、各キャラクター断章(個別エピソードの解放)、勲章の取得など、多数のやり込み要素が用意されている。
  • 全キャラクターの兵科が自由に変更できるようになったため、1キャラが覚えることのできるポテンシャル総数も膨大に。さらに特定のポテンシャル数種を覚えることによって解放される強力な「マスターポテンシャル」も追加されており、スタメン起用する数名にこれらを習得させるだけでもなかなかの時間が必要となる。

充実した図鑑要素

  • 各種図鑑やゲーム内の時事を新聞記事として閲覧できるなどの要素は今作でも健在。
  • 特に人物図鑑は、立ち絵の差分・イベントCGの閲覧に加え、一部ボイスも再生可能になっているなど前作より充実している。また図鑑のキャラ画像がいわゆる「マグショット」風になっているなど、懲罰部隊の隊員名簿としてそれらしく凝った画面デザインになっている。

賛否両論点

敵先攻ミッション

  • 初見殺しその1。事前に与えられる情報は、ミッションの目的とマップの構造、敵ユニットの種類だけで、敵の具体的な配置は実際にミッションを開始しないとわからない。
  • 敵先攻ミッションでは、敵軍がいきなり自軍本拠点目がけて複数ユニットを次々に動かすので、こちらが適切なユニット配置をしておかないと一気に不利な状況に追い込まれる(ユニットが戦闘不能になる、多くの敵ユニットが拠点の近くに集まって自軍の身動きが取りづらくなるなど)。
  • 壊滅状態で立て直しを要求されるならまだいい方で、最悪の場合いきなり本拠点を占拠されてゲームオーバーになるほどの理不尽っぷりを見せつけてくれる。
  • 難易度の高いミッションだが、その分クリアの達成感は大きいものがある。

地雷を踏むと即死

  • 初見殺しその2。過去作では地雷を踏むと大ダメージを食らって吹き飛ばされるだけだったが*6、今作では踏むと確実に瀕死になる。瀕死になったキャラの行動はもちろん終わってしまうので、作戦全体に影響を及ぼす。
    • 前述のように瀕死キャラの戦線復帰自体はやり易くなっており、難易度が極端に上がっているわけではない。が、やはり不意の戦闘不能はストレスに感じる面もある。
  • 見通しの悪い曲がり角や敵の迎撃が激しい場面など、プレイヤーの不注意を誘うような場所に地雷が設置されていることも多い。
  • 地雷がより地雷らしくなったともいえる。

ストーリーラスト付近の展開について

  • 今作のストーリーは前述のとおり評価は高めであるが、最終章の展開については大きく賛否が分かれる。
    • ネタバレになるため詳細は伏せるが、ラストではそれまでのシリーズ作品の常識および近代ヨーロッパという時代設定から大きくかけ離れたと言ってもいいチート級の超兵器*7が登場する。
      • 当然ラストミッションもこれの破壊が目的となるが、この兵器の存在は最終章までストーリー上でも語られることが一切ない。そのため人によってはとんでもないご都合展開ととられても仕方がないものである。またその時点ではネームレスがすでに一般市民に認知されるほどの割と知名度のある部隊となっているため「シナリオが無理やりネームレスを歴史から抹消しようとしている」と揶揄されることも。
      • 過去作でもラスボスが何かしらのオーバーテクノロジーを利用した超兵器を持ってくる展開は割とお約束となっているが、その超兵器に関しても存在することをほのめかすような描写はあった。
    • 歴代でもストーリーの重要なポイントとなっていた「ダルクス人への迫害」というテーマ。
      『1』で解決に大きく前進し、『2』で未だ根強く残る迫害が描写され、今作では最も後味の悪い結末が待っている。
      • ただし時系列は『1』≒『3』→『2』であるため、ある程度は仕方のない部分がある。
+ ネタバレ部分を含む詳細

最終的な主人公の任務は「ダルクス人の独立の阻止」
前述の超兵器もただの抑止力であり、ダルクス人の建国を認めるなら兵器を使用する気はないとラスボスも公言していた。
こういったデリケートな問題で善悪を判断するのは難しく、主人公サイドも明確な答えを出せないまま
「自国と隣国との戦争終結に悪影響」「各国のパワーバランスのため」という大義名分で、自国を守るために出撃する。

  • そのうえ、その後の展開が『1』での「国王がダルクス人救済のため行動をおこす」
    というラストに続き『2』で「その結果、内乱が起こり国王と首都が陥落する」という筋書きであるので、どうにも救われない。

問題点

過剰すぎる使い回し

  • 携帯機なのでどうしても容量の問題が付きまとうため、ある程度の使い回しは仕方ないにしても、本作の使い回しは度を越えている。
  • 特に顕著なのがマップの使い回しで、今作のマップの約半分は『2』からの流用。また『3』単体で見ても、例えば「平原」というマップは、全体で60ミッションほどの本編のうち10ミッション以上で舞台となっている。
  • 本編のシリーズ最大のボリュームとなったが、それに見合ったマップの種類を用意できなかったといえる。
  • 同じマップでも、ミッションが違えばもちろん攻略も違ってくる。2に引き続き分割マップが採用されていて各マップに4~5エリアが用意されているので、マップ名は同じでも、実際の登場エリアだけでなく自軍の初期位置やミッション目的も多岐に渡る。ただ、マップの雰囲気は変わらないので拒絶反応を示す人がいるのも事実。
  • BGMや無線SEなども一部が『2』から流用されているが、こちらはまだゲーム性に影響を与えない範囲なので看過できるレベルだと思われる。
  • ネームレスおよびガリア正規軍の戦車のグラフィックが、『2』に登場した36式戦車のものを使い回しされている。
    • 『3』の時代設定は『1』と同じく征暦1935年であるが、ガリア戦役後に開発された36式戦車が登場するのは明らかにおかしい。
    • またガリア戦役当時のガリア正規軍は、軽戦車を主体とした運用思想があると『1』で設定されていたにもかかわらず、本作では強力な重戦車*8を多数運用しているなどの矛盾点も多い。
    • ただし、同じくガリア正規軍所属のオドレイの愛車・ナーシサス軽戦車については、新たにグラフィックが作られている。

安直なゲームバランスの調整

  • 大味な難易度設定
    • 今作は上記で述べたとおり難易度が高くなっているが、その調整方法がただ単純に敵の火力・耐久力・回避力を大きく上げるというありがちなパターン。
    • 象徴的なのが、敵専用の公式チートともいえるクラス「重装甲兵」。対歩兵・戦車ともに高い火力と長い射程、他兵種の約2倍のHPと高い防御力、高めの回避力を備える。
      • 『2』での「V2」に相当する強力ユニットだが、世界観やストーリー上で重要な意味合いがあったV2と異なり、重装甲兵についてはストーリー上でも特に重要な意味があるわけではなく、ただ強いユニット以上の特徴がない。V2と異なり特定条件での弱体化も出来ない。
      • 上記の通り重装甲で鈍重そうな見た目なのに高回避率という点をツッコまれることも多く、大した設定がないわりに不自然さや理不尽さの強いユニットとして特に不満が多い。
    • ちなみに敵のAIは強化されておらず、迎撃を受けても平気で突っ込んでくる上に近くに土嚢があってもしゃがまないことがあり、むしろ初代より悪くなっていると言える。そのためプレイヤーとの思考の差を圧倒的なパワーで埋めているように感じる。
      • 特にカラミティ・レーヴェンの幹部のひとりであるジグは、専用オーダー「強行進撃」を使用するため、上記のような状況で倒される場面が多く、一直線な性格というキャラ設定も相まって「猪突猛進しか知らぬ馬鹿」というマイナスイメージをプレイヤーに抱かせることになってしまった。
    • これはあくまでも「ノーマル」での話であって、「イージー」では簡単になる。ただあまりに簡単すぎるとの声も。HP3ケタの自軍ユニットに対し、敵突撃兵が攻撃を1セット当てても2ケタのダメージにしかならないほど。あまりにぬるくなりすぎていることやノーマルとの難易度の差が大きすぎることから、せめて中間の難易度が欲しかったとの声は多いと思われる。
  • 極端になった兵種バランス
    • 『2』で猛威を振るった「剣甲兵」は弱体化して非常に扱いづらくなったのに対し、過去作通してずっと極めて強力だった「狙撃兵」はなぜか強化されている。
      • 具体的には、近接兵種の剣甲兵は防御力が大幅に低くなり、敵に攻撃できる距離まで近づく前に迎撃で返り討ちにされてしまう。
      • 一方狙撃兵は、クラスアップなしでも中盤以降は3連射狙撃銃を装備できるようになり、元々高い攻撃力がさらに上昇する。
    • 突撃兵は、サブマシンガンに火炎放射器を装着できなくなり、弱体化した。
  • 装備の改悪
    • 前述のとおり、サブマシンガンに火炎放射器を装着できなくなった。
    • DLC限定の鹵獲装備が、『1』『2』ではプレイするたびに何個も入手できていたのに対し、本作では1個だけしか入手できなくなってしまった。
      • 『2』では凄まじい威力と射程を備えていたDLC限定サブマシンガン「イドゥンSpB」が、『3』で大幅に性能を下げられた。
  • 劣化した帝国軍戦車の描写
    • 『1』に登場した帝国軍戦車も登場するものの、何故か一部のディテールと装備が省略されるなどして弱体化した。
      • 重戦車は、車体前部に特徴的な122mm榴弾砲を備えていたが、『3』では省略されて普通の装甲板に置き換えられた。
    • ゲルビルの姉妹車であるエヒドナは、PSPの性能上「車輛ユニット」として動かすことが不可能なため、専用マップの「地形」扱いになっている。
  • 一部ミッションの遊びにくさ
    • 勝利条件「敵ユニットの全滅」のミッションでは敵が草むらに隠れている場合があるが、見えている敵をすべて倒しても隠れたままなので、草むらを手当たり次第探す必要がある*9
      • 敵を探すという発想ができればいいが、解決法がわからず掲示版などで質問するプレイヤーも多くいた。
      • 『2』にも全滅ミッションはあったが、『3』では全滅ミッションの舞台となるエリアが多くなり、より広い範囲で敵を探すことが必要になっている。
      • 「局地敵情収集要請」というオーダーを使えば、敵の位置を把握することはできる。しかしその肝心のオーダーが習得可能になる前の段階で、全滅ミッションが初登場する。

値上がりし、販売形態が増えたDLC

  • 過去作と同様に発売当初からずっとDLCが配信されているが、なぜかボリューム据え置きで値段だけ『2』の2倍にするという暴挙をしでかした。
  • 2倍といっても、ミッション単体では200円と割と良心的ではある。しかしフルボイスシナリオとミッションがセットになった「エクストラエピソード」はなんと600円。ちなみにこちらは遊べるミッションが2つ。
  • 内容に関しても、ウリになっている鹵獲(ろかく)武器は一部が店売り品の劣化版だったりと、価格の上昇に対してあまり割に合っていない。
  • ちなみに現在確認できるDLCだけで、合計6600円。これはゲーム本体の定価より高い値段である。バンナムか!
  • また、後述のOVAのBD/DVDやねんどろいどなど特定のコンテンツにプロダクトコードが付いているものもある。それらも合わせると総額は10000円を超える。

総評

単体で見るなら十分な内容。ボリュームも多く、長く遊べる面白いSRPGであることは事実である。
しかしながらマップの使い回しやBLiTZシステムの完成度に支えられているだけと言わざるを得ない粗削りな難易度調整など、使いまわしの「手抜き」という印象が拭えないのも事実である。
そのため今作が初プレイという人は十分に楽しめるだろうが旧作(特に前作)をプレイ済みの人も素直に楽しめるかというと疑問符が残る。
ストーリーはかなりマシになっていたため、せめて新マップなど難易度調整など作りこんでいたなら他の戦ヴァルシリーズと並ぶような作品になっていたことは間違いない。その点では非常に惜しい作品といえよう。


余談

  • 発売と同年にOVAでアニメ化された。前後編の全2話。
    • 内容はストーリー中盤のサイドストーリーとなっているためゲームのネタバレがあるので注意されたし。
    • また『1』のキャラクターも多く登場し、実質『1』のサイドストーリーも兼ねている。
  • 2018年にシリーズ新作となる『戦場のヴァルキュリア4』がPS4/Switch(後にSteamも)で発売。プラットフォームが据え置き機に戻り、演出面などが強化。またシステムやバランスも据え置き機であった『1』をベースに強化・調整され、「原点回帰の正統派進化」と評されている。
    • 一方で、一部の兵種や転科システムの廃止など、整理・削除されてしまった要素もある。また本編のミッション数が『1』程度に減少したこと、隊員の断章がセット(2~3人の隊員につき1つ)になったことなどもあり、遊びの自由度や単純なボリューム、隊員個々の掘り下げといった面では『3』に軍配があがるという意見もある。

戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION

【せんじょうのゔぁるきゅりあすりー えくすとら えでぃしょん】

ジャンル アクティブ・SRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD
ダウンロード
発売元 セガ
開発元 セガ
メディア・ビジョン
発売日 2011年11月23日
定価 3,990円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力
判定 なし
ポイント エピソードの追加、一部DLCを収録
それ以外は通常版そのまま

概要(E2)

『戦場のヴァルキュリア3』の完全版であり実質的な廉価版。略して『E2』と呼ばれる。
細かいバグは修正されているが、前述の問題点は改善されておらず本編自体への追加要素もない。


追加点(E2)

  • 新規エピソード
    • イムカ、グスルグといったメインキャラの新規エピソードが追加。
    • カリサにも新規エピソードがあり、こちらはミッション付き。
  • 一部のDLC収録
    • 『3』通常版ではもう手に入らない、予約特典限定のシナリオ付きミッション。
    • 同じくもう手に入らないモバイル小説連動ミッション*10*11
    • リエラ、イムカといったメインキャラのシナリオ付きミッション。
  • 通常版からセーブデータを本作にコンバートすることも可能。

評価点(E2)

  • エピソードの追加
    • キャラクター人気の高いシリーズという事もあり、エピソードの追加そのものは歓迎されている。
    • 内容自体も及第点である。

問題点(E2)

  • 少なすぎる追加要素
    • 上記の通り、エピソードの追加が行われている以外は通常版ほぼそのままとなっている。通常版を買った人へのフォローもなし。
    • 価格も4000円ほどと通常版から定価自体は下がっているものの決して安くもない。

総評(E2)

内容の9割ほどが通常版そのまま。それでも尚、通常版よりは本作の方を優先して手にする価値はあると言える。

+ タグ編集
  • タグ:
  • SRPG
  • セガ
  • 戦場のヴァルキュリア
  • メディア・ビジョン

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最終更新:2023年12月03日 16:07

*1 BLiTZ自体については『1』の、分割マップについては『2』の「特徴」項目をそれぞれ参照。

*2 『2』にも「兵種」変更はあったが、実際にはキャラごとの固定ジョブの中で枝分かれしつつクラスアップする方式だった。例:「偵察兵」→「上級偵察兵」or「狙撃兵」

*3 『1』『3』から2年後の物語となる『2』から登場するキャラクター数名は、しっかりと2年前の姿で描かれている。

*4 ただし『1』キャラの大半は有料DLCの購入が必要

*5 厳密には本編クリア後のフリープレイ

*6 これを利用して移動距離を稼ぐ「地雷ジャンプ」というテクニックがあった

*7 一発攻撃するだけで首都が壊滅するほどの威力と説明される。しかも有効射程範囲はヨーロッパ全土に及ぶという。つまり現実世界の核弾道ミサイルに相当する兵器であり、過去のシリーズ作品でもここまで強力な兵器は登場しない。

*8 これも『2』の36式戦車を流用したもの。

*9 手当たりしだいといっても実際には、敵が隠れている可能性のある場所はミッションごとに最大でも3ヵ所程度。

*10 フィーチャーフォン用サイト「☆ぷよぷよ!セガ」の月額会員になってflash小説を読み進めると、期間限定でミッションのプロダクトコードが発行されていた。flash小説は今でも読める。

*11 なお、当然ながらflash小説は『E2』に収録されていないので、関連シナリオを楽しむにはフィーチャーフォンが必要。